仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 少年はアラン・チャールズと出会う。少年は降霊術を行った。アラン・チャールズは降霊した魂の器の錬成を行った。錬成した器に入ってきたのは黒の波動だった。器に入った魂は2人に語った。
『我が名はオシリス。冥界より出し者』
オシリス。そう名乗ったモノは、神話だけの存在だったはずなのだ。
『旧約 死神録 冥界より出し者』より。


♯9星屑

 12月24日。その日は孤児院でクリスマスパーティーをしていたはずだったんだ。

『なおちゃーん!なおちゃーん!』

僕はなおちゃんの名前を叫び続けていた。帰ったら孤児院は燃え盛っていて、気づけば僕は水を被って中に入っていた。中を走り回って見回すと色んな子供達が焼死していた。

『あの時と同じ、、、もう、失いたくない!』

息が苦しくなる。でもまだなおちゃんには会えてない。早く!早く!なおちゃんに会いたいんだ!

『、、、らくーん、、、くらくーん、、、さくらくーん!』

なおちゃんの声が聞こえた。僕は全力で走った。なおちゃんの姿が見えてきた。ふと、視界がぼやける。嫌だ。まだ、なおちゃんに言えてない事が沢山あるのに!なおちゃんの手が届く距離まできたその時!

『残念。キミには絶望してもらわなきゃいけません』

何かの影が僕を突き飛ばし、なおちゃんを掴んでなおちゃんを炎で包み込んで消してしまった。瞬間、僕の中の何かが暴れ出した。

『うわぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!』

そうだ。コイツはなおちゃんを!みんなを!殺したんだ!

『絶対に、、、許さない』

齢12のクリスマスイブ。その日は、僕の2度目の喪失だった。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 空鈴サンと南條サンに支えながら廃工場から逃げていた時、一台の車が僕たちの目の前に泊まった。どうやら芸能人が移動に使うロケバスのようだ。ドアが開き、中から田井中サンが手を伸ばしてくる。

「乗って!!」

田井中サンの手を掴み、僕たちはロケバスに乗った。運転手がアクセルを吹かせたのか、もの凄いスピードで走り出した。田井中サンが説明する。

「蛇芽くんが嫌な予感がするから守条くん達を連れて逃げてくれって言われたの」

「ヒメちゃんが車だしてくれって言ったからビックリしたよ〜」

運転手が笑いながら言う。どうやら姫雛鳥の2人と仲がいいようだ。実際、悪霊の話をすると疑わずに信じてくれたし。

「だって、仮面ライダーがいるんだもの。敵もいるでしょ」

いやまぁその通りだけども。話を聞きながら南條サンによる応急処置が始まった。

「イテッ」

「大人しくしろ守条咲良。もう消毒を嫌がる歳じゃないだろ」

「いやそうだけど、それもあるけど、南條サン包帯がイテテテテテテ」

「仕方ないだろう!こういうのは初めてなんだから!」

まぁ、怪我して帰った事ないもんね。見かねた空鈴サンがかわりに包帯を巻いてくれる。的確で巻き方も優しかった。曰く、「よくダンスとかの練習で怪我する」らしい。空鈴サンのドヤ顔を見て南條サンは若干ムカついてるように見えるんだけど気のせい?

「ん?なにあれ?」

運転手がバックミラーを見て驚く。僕は窓から顔を出して確認するとさっき戦ったゴリラエビルが追いかけてきた。もしかして蛇芽の足止めから逃れたのか?だとしたら僕のやる事はひとつだ。僕は窓を全開にしてそこから飛び降りる。

「え!?守条くん!?」

「そのままスピード出し続けて逃げて」

僕は空鈴サンにそう言うと懐を確認する。ベルトが入ってなかった。南條サンに回収されたみたいだ。でも忘れてないだろうか。

「おいで〜。シニガミベルト」

僕の開けた窓からベルトが飛んできて僕の腰に装着される。因みに♯2以降やってないから忘れてる人多いと思う。バスは見えなくなった。僕は悪霊を見据えるのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 ゴリラの悪霊が咆哮を上げてドラミングで威嚇する。ゴリラって本来はおとなしい性格らしいけど、悪霊って人間から感じた悪意と一緒になんらかの偏見も吸収するらしいからああいう風になったんだろうなぁ。そんな事を考えながら僕はラビットのカードをベルトに挿入する。

『ラビット』

背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「変身」

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり僕に纏わりつく。

『ラビットグリム』

モルテに変身した僕はいつものセリフを言わずにソードガンで奴に斬りかかった。奴は大きな腕でソードガンを防ぐと僕はその腕で吹き飛ばされた。滞空中にガンモードに変形させ、連射。だけど効いてないみたいだ。やっぱりか。僕は着地するとバゼラードを左手に持つ。奴が拳に炎を纏わせて僕に殴りかかってくる。僕はそれをかわしてバゼラードで斬撃。更にその上から銃で撃つ。どうやら攻撃を重ねればソードガンでも攻撃は効くようだ。思惑通り。

『※※※※※※※※※※※※※※』

奴が咆哮を上げ、全身に炎を纏わせる。先ほどつけた傷もいつの間にか塞がっていた。バゼラードのゲージを見る。フルチャージまで後3撃。

「やっばいなぁ、、、僕、死んだかも」

でも3撃当てる位の体力はもうない。僕は地面に倒れ伏した。

「殺れよ。もう僕に反撃の気力はない」

それは紛れもない本音。体の力が抜け、ソードガンが手から溢れ落ちる。感覚も鈍っていた。だからだろうか。

「やめろ!ゴリラエビル!殲滅する!」

銃を構えて発砲した南條サンと、

「やぁあああああぁぁぁぁぁああああああああああ!」

ソードガンを拾い、発砲した空鈴サンに気が付かなかった。

 

♣︎♣︎♣

 

 『※※※※※※※※※※※※※※』

悪霊は発狂し、2人に目を向ける。空鈴サンは反動で吹き飛ばされたのか地面に倒れ伏しており、南條サンは空鈴サンに付き添っていた。奴の拳が南條サンを捕える。僕はふと思い出した。

『妹を、、、美澄を、、、守ってくれ!咲良!』

そうだ。僕は悪霊の攻撃を自分が盾になる事で防ぐ。

「がぁあああああぁぁぁあああああああああああ!?」

倒れるまもなく、僕はバゼラードで斬撃を2発当てる。ゲージが6分の5まで溜まった。南條サンが僕に叫ぶ。

「なんで、、、なんでお前はそこまで!」

「約束、、、したから、、、」

そう。ある人と交わした大事な約束。僕が一生を懸けて守らないといけない、大事な約束。

「それに、、、助けてって言ってきた人もいるんだ。絶対に助けるさ」

その人は僕に依頼してきた。助けて欲しいと依頼してきた。僕はその依頼を達成するために動いている。

「だから僕は絶対に怯まない。倒れない。負ける訳にはいかない!」

僕は咆哮を上げて奴にバゼラードで斬りかかった。僕の攻撃が当たったと同時に、奴の拳も僕の胴体に当たる。肋骨が折れた感覚がした。僕は吹き飛ばされて近くの木にぶつかる。ふと、バゼラードから音声が聞こえた。

『unlock』

そうだ。僕はそれを待っていたんだ。ベルトに入っているカードを抜き、ベルトの鎌を上げる。バゼラードに入っていたカードを抜いてベルトに挿入した。

『スタークル』

瞬間、僕の意識は一瞬、途切れた。

 

♣︎♣︎♣

 

 目を開けると、僕は星空に包まれていた。数万もの星が煌めき、夜空を照らす。その光景に僕は心打たれていた。流れ星が流れる。すると、一筋の流れ星が僕の元へ流れる。それについてくるように流れ星が沢山、僕に流れてきた。

『これは、、、情報だ。今まで死んだ死神の情報』

それが流れ星になって沢山僕に流れていく。その流れ星は僕に向かってこう言っていた。

『守ってくれ。それが我ら死神の願いだ』

そして最後の一筋は人の形に変わる。青い髪を束ねており、赤のメッシュがある。それは、僕が約束を交わした人物だ。僕は彼に言った。

『僕、死神になったよ。アンタのコードを引き継いだんだ。アンタとの約束はこれからも守っていくよ。あ、それとさ、』

僕は続けた。

『分かった気がするよ。100人の恨みよりも、1人のありがとうの意味』

僕がそう言うと、彼はサムズアップし、流れ星になって僕に流れたのだった。

『頑張れよ。咲良』

そう、聞こえた気がしたんだ。

 

♣︎♣︎♣

 

 意識を取り戻すと、背後に3つの星のモニュメントが現れた。

『ARE YOU READY?』

決まってる。

「超変身!」

僕はベルトの鎌を下ろした。

『スターグリムアップ』

モニュメントがアーマーに変わり、僕に装着される。両肩にひとつずつ装着され、もうひとつは胸に装着される。黒のカラーリングが星空を模したカラーリングに変わり、仮面のドクロの目つきも鋭くなった。

『スタークルグリム』

モルテスタークルグリム。進化した僕にゴリラエビルは拳を放ってくるが、装甲に傷がつかず、奴は弾き飛ばされた。南條サン達の方向に目を向ける。いつの間にか来ていた蛇芽と麗央が2人を連れて離れていた。僕は奴に向けてバゼラードを向ける。

「さ、始めようぜ〜。今宵は死神の時間だよ」

僕は奴に向かってゆっくりと、殺気を含めて歩くのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜美澄side〜

 ワタシ達に蛇芽さんと明神麗央が駆け寄ってくる。彼らもモルテの変化に戸惑っていた。

「なんやあれは?あんな事聞いたことないで!?」

「俺も、、、死神強化の計画は知ってたけどまさか彼が成功するなんて」

そういえば、御堂本部長がバゼラードのスロットに強化用のカードが入っていると言っていた。彼はアンロックの条件を満たして強化を決行したのだろう。ぶっつけ本番で成功させるなんて。

「蛇芽さん」

「ん?なんだい?」

「守条咲良は、勝てますよね?」

ワタシは彼に自分の不安を吐露した。空鈴ヒナも不安そうに守条咲良を見ている。蛇芽さんは答えた。

「勝てるさ。俺は彼を信じる」

彼は後ろを振り向く。エビルトルーパーの集団と狼を模した装甲の戦士がいた。蛇芽さんの隣に明神麗央が並ぶ。

「ワイらの役割は、咲良を戦いに集中させることや」

「あぁ。いくぜ!」

2人がベルトを装着しようとした時、何処かから光の矢が飛んで、1体のエビルトルーパーを倒した。空鈴ヒナは驚いているようだ。ワタシも驚いている。

「来たか!」

「だ、誰や!?」

「援軍さ」

蛇芽さんがワタシにスマホを放り投げる。スマホは通話状態になっていた。

『間に合ったみたいだな』

「貴方はまさか!?」

その声には聞き覚えがあった。というのも本部でよく聞いたことある上、声の主とは何度か話している。

『そこにいるのは南條か?』

「楠神さん!」

楠神真琴(くすがみまこと)。本部所属の死神の中でも特に実力がある死神だ。そしてアーチェリーのプロなのだ。

『ゴリラの方はRに任せればいいんだろ?』

「はい」

『ならこっちは俺と』

「おれ様に任せろ!」

そうやってエビルトルーパーを数体吹き飛ばしたのは虎を模したドクロの死神だった。死神は巨大な剣でエビルトルーパーを吹き飛ばしていく。1体のエビルトルーパーが死神を奇襲しようとするが、

「遅い」

いつの間にか変身したのか、スコールに変身した明神麗央がガンブレードでエビルトルーパーを倒した。

「お前やるなぁ!名前とコード、教えてくれよ」

「コードSのスコール。明神麗央だ」

「おれはコードFのオルクス。冴島灰馬(さえじまはいま)だ」

冴島さんはベテランの死神だ。10年以上前から死神として戦っているらしい。2人は背中合わせになり、武器を構える。遠くから数本の矢がエビルトルーパーに突き刺さる。

「行くぞ!」

「『おう!」』

3人の死神の戦いの火蓋が今切られたのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 ゴリラエビルの攻撃をかわし続ける。ラビットグリムの時よりもスピードが上がっているようだ。奴の背後を取り、バゼラードで斬撃。フルチャージ前よりもダメージを喰らっている。

「すごい、、、これがシニガミバゼラードの新しい力!」

僕はバゼラードを回して逆手に持ち、高くジャンプする。進化した相棒の新しい機能を使わせてもらおう。僕は溝にラビットのカードをスラッシュさせる。

『ラビットスキャン』

刃にエネルギーが迸る。僕は回転しながら降下し、奴目掛けてバゼラードを振るう。

『スキャンスラッシュ』

「よっ」

『※※※※※※※※※※※※※※』

奴は想像以上のダメージを喰らったようだ。傷の修復に時間がかかっているようだ。傷の修復を終える前に連続で攻撃していく。久々だ。こうやって連撃を行うのは。奴の拳を察知して、僕は奴の背後に移動した。奴が混乱してる隙に奴の足を引っ掛けて転ばせた。そして両足に一撃ずつ。

「立ち上がれないとその拳の攻撃も意味ないんじゃない?」

『※※※※※※※※※※※※※※!?』

僕は奴の胸にバゼラードを突き刺すと、ベルトの鎌を上げる。右足にエネルギーが迸る。

「トドメと行きますか〜」

飛び上がり、鎌を下ろす。

『スタークルグリムブレイク』

「よっ」

奴に蹴りを喰らわせる。奴は断末魔を上げて爆散した。

「ようやくの終わりだね。ゆっくりお眠り」

 

♣︎♣︎♣

〜麗央side〜

 オレは最後の1体をガンブレードで斬り伏せると、アリスが銃からカードを抜いて変身を解除した。どうやら咲良の元へ向かうようだ。アリスの足元に矢が刺さる。

『危ないなぁ。でも、今日は沢山の死神に会えたからあの人にいい報告が出来る』

「あの人?誰のことだ」

オルクスが切先をアリスに向けて問う。アリスはふふっと笑うとオルクスの頭上を飛び越えて咲良の元へ向かった。オレは変身を解く。オルクスも変身を解いた。

「ぷはー!2度目の変身は疲れるわー」

「大丈夫か?明神」

オルクスの正体は大柄な中年の男だった。年齢はおそらく30代だろう。冴島さんはワイの肩を抱くと、

「しっかしすげぇなお前!ガンブレードをあんなに扱えるなんてな!」

「あんたこそ、よくあんな大剣振ってられるな」

冴島さんはガハハと笑い、経験が違うと言った。楠神と呼ばれていた男の通話は切られていた。会話に参加する気はないのだろうか。向こうの様子をみよう。ワイは咲良の元へ向かうのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 変身解除し、僕は地面に仰向けになる。空鈴サンと南條サンが僕に近寄る。

「守条くん!大丈夫?」

「生きてるか!?守条咲良!」

僕は上半身だけ起きあがろうとしたが、起き上がらなかった。ダメージを喰らいすぎたな、、、ってか眠い。

「すぅ、、、すぅ、、、」

「って!寝ないでよ!」

僕はうっすらと目を開ける。蛇芽が手を差し伸べてきたので彼の手を取り、立ち上がった。アバラが痛む。ふと、アリスが近づいてきた。

『よくあの悪霊を倒したね』

「しんどかったけどね」

『後1日。頑張ってね〜』

そう言うと、アリスは消えた。気になる事があったのに。とりあえず、、、

「帰ろっか。ていうか、僕のバイク、、、回収して、、、すぅ、、、」

僕は眠りについたのだった。

「か、守条くん!?」

「起きろ!守条咲良!?」

〜期限まで、後1日〜




 強敵を打ち倒した守条咲良。姫雛鳥のライブの最中、悪霊が出現する。更に空鈴ヒナに魔の手が迫る!次回、仮面ライダーモルテ♯10理由
「歌おうよ!姫雛鳥と一緒に!」

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  • 南條美澄
  • 南雲蓮
  • 蛇芽奏多(仮面ライダーサマエル)
  • 空鈴ヒナ
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  • 速水心花
  • 明神麗央(仮面ライダースコール)
  • 楠神真琴(仮面ライダーサリエル)
  • 冴島灰馬(仮面ライダーオルクス)
  • アリス(エビルライダー)
  • ジン
  • アキネ
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