自分を星野アイだと勘違いしている一般星野アイ   作:マッキーガイア

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ちゃんと私の名前は星野アイ。

アイドルという仕事をしようとする奴の気が知れない。

キモオタに好き好き言いまくって媚び売って、一朝一夕じゃ出来ないようなダンスや歌を練習して、スポンサーの機嫌伺いながら時には契約外の演技もしたりして、終わった頃にはクタクタで、それなのに貰える給料は少なくて……、

 

そんな割に合わない仕事をしてる奴の気が知れない。

 

 

私の名は『星野アイ』である。

 

数年前に転生を自覚した転生者入りのこの世界の主役とも言うべき存在である。

とは言え、原作では序盤で死んでしまうので主役と言えるかはビミョーな立ち位置だがまぁ、この世界の原作である『推しの子』の第1巻の表紙を飾っているし、ブルーレイの表紙も飾っている。

だから、主人公とも言えなくもなくもない様な気がするような…でも主人公は息子のアクアの様な…でも、ポスター上では主人公より目立っている…そんな存在である。

 

そんな私の将来の職業はアイドルである。

 

とは言え、この先このまま『星野アイ』としての生を享受していたらの話であるが。

 

私はただいまピッチピチの15歳。『推しの子』はアニメで1話しか観ていないので、どの時点でアイドルにスカウトされたか分からないが、スカウトされていないと言う事はまだという事だろう。たしか『アイ』は16歳で妊娠した設定だったか………。

あと1年……なんか、無茶がある気がしてきたが、多分なんやかんやあって一年以内に人気アイドルになって妊娠するんだろう。

あれ、さりなちゃんの時系列ってどうなってんだ…?

 

…………多分っ!なんやかんやあるんやろ!!知らんけど!!

 

だが、私はアイドルになる気は毛頭無い。

最初に言ったとおり、私はアイドルに毛程も魅力を感じていない。

何が楽しくて野郎の為に苦労して踊って歌わなきゃならないんだ。

何が楽しくて毎日をカメラに追われる様な日々を送らなくちゃならないんだ。

 

そして何より、このまま時の流れに身を任せたら妊娠してしまう!!

 

死んでしまったさりなちゃんやゴローせんせには悪いが男に抱かれるのなら便所に頭から突っ込んで太平洋まで下水道をクロールしながら泳いだ方がマシだ。

出来るか出来ないかじゃない。それくらい嫌という事が重要なのだ。

まぁ、理由をつけるとするならば前世が男だったとだけ付け加えようか、まぁ兎にも角にも私はアイドルにならない事は決定した。では対策をどうするかだが、答えは簡単だった。

 

私がB()I()G()になれば良いのだ。

 

BIGな有名人であればそう易々と私をアイドルへスカウトなんざ出来ないであろう。生憎私は超絶的な美少女だ。顔が良ければその分だけ相手側に良い印象は持たれるしお得だ。

故に、どんな業界でもある程度の所までは行くと思う。それこそアイドルになれば伝説のアイドルと言われる程の…まぁそれは別の世界線でのお話なので実質言われてないも同然だが、どうせ今後何をしても『可愛すぎる』が外せない女になる事は間違い無いのだ。だが、この際この顔は封印したいと思う。

 

何度でも言うが前世の私は男だった。

 

つまり、男に欲情的な目を向けられるのは堪えるのだ。女になったと言っても趣味趣向が変わるわけじゃあ無い。私はおっぱいが好きであるので理解はできるが、自分のおっぱいを見られる事に忌避感がないわけじゃあない。

 

故に…

 

 

 

「どーも!いちごプロ所属のバーチャルユーチューバー!

"ラブスター"です⭐︎」

 

 

『おはようロブスター 』

『こんばんロブスターww』

『ロブスターwww』

 

 

「もーー!!ロブスターじゃない!!

ラ ブ ス タ ー !!!」

 

 

 

企業所属のVチューバーになりやした。

 

 

⭐︎⭐︎⭐︎ーーーーーーーーー

 

我が苺プロには稼ぎ頭が二人いる。

 

一人は覆面筋トレ系ユーチューバー『ぴえよん』

小中学生を中心に絶大な人気を誇り、年収一億を叩き出した。しかし、その実様相は変態的でヒヨコの覆面を被って、下はブーメランパンツ一丁という徹底ぶり。

 

そしてもう一人がバーチャルユーチューバーの『ラブスター』

学生から大きなお友達まで幅広いファンを持ち。持ち前のトーク力でがんがん登録者を伸ばすタイプの人間だ。

 

因みに彼らの間に一切の交流はない。だが、ウチの経済的には鎬を削り合っているのは確か、勝ったり負けたり、まぁ、両者ともそんな事は気にもしていないのだろうが、最近は少しラブスターが優勢になってきている。

 

ラブスター…彼女が初めてこの事務所にやってきた時の事を思い出す。

始まりは当時、ニヨニヨ動画で配信者をやっていた彼女をメールでスカウトした事だ。

素顔を絶対に見せない。本名も絶対に公開しない会社にも絶対にというスタンスからのスカウト開始で、当時はとんでも無いのをスカウトしてしまったというのが感想だったのを覚えている。あの時はB小町が解散してしまって会社的に一歩も引けない状態だった事もあり、その無茶を承諾せざるをえなかった。そしていざ初対面となったあの日、彼女はスパイダーマンのコスプレをして私の事務所へやってきた。

目を疑った。正直、社会的常識とかは全く期待していなかったが、ここまでかと驚愕したのを覚えている。

まぁ、素顔を隠すスタイルで行くからシクヨロとはメールで伝えられていたが、まさか全身タイツで来るとは思わなかった。

え、つまりこの格好で外を出歩いていたって事?

正気かこの女。

 

それ以来彼女が事務所に来る時は何かしらのコスプレをしてくる事が恒例になった。

とは言え夏になればコスプレも軽装になりやすく、この間はガンダムと書かれたダンボールを着込んで頭にヒカ○ンのマスクを被ってやってきていた。まぁ、マスクは熱が篭りやすく何度かトイレに駆け込んで熱を逃していたが……

 

 

とは言え、と"斎藤ミヤコ"は思い頭を抱えてため息を吐いた。

 

「はぁ、なんでウチのタレントはみんな癖が強いキャラクターばっかりなのかしら…」

 

星野アイが死んでからもう10年とちょっと、アイや双子達により脳を焼かれている自覚があるぶん、そう言うのを集めすぎたと内心自分を叱責した。

 

 

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