自分を星野アイだと勘違いしている一般星野アイ 作:マッキーガイア
「あ、ぴえヨンとラブスターだ!」
「え!?知り合い!?」
ルビーがそう叫んだのと同時、有馬かなは叫び出した。
因みにこの一瞬で有馬かなはルビーとの付き合いについて割と真面目に考えていた。こんな変質者と関係者だと一瞬でも思われたく無いと思ったが故の回避行動である。
「小学生中学生に大人気!覆面筋トレ系ユーチューバーぴえヨンと高校生大学生に大人気!覆面変態系Vチューバーラブスターをご存知でない!?ウチの稼ぎ頭だよ!!」
「なんでこんな変質者しか居ない事務所に入っちゃったのか現在!後悔中ッ!!」
そして現在、有馬かなは割とマジに事務所移籍を考えた。
そんな事をしている前でぴえヨンとラブスターは変なポーズで有馬かなを煽り立てている(自覚なし)。そこに青筋を立てた。
「ラブスターは友人の伝手で知ってたけど…YouTubeあんまり見ないから…こんなのが子供に人気なのねぇ…
世の中ってやっぱり歪よね。」
「ぴえヨンに『こんなの』!?なんて口を!!」
少し意趣返しのつもりで放った一言にルビーが突っかかった。
「ぴえヨンさん!ビシッと言ってやってください!!」
「所詮、ネットってインパクト勝負って言うか…
テレビの企画を流用したキャラビジネスって言うか……」
「ボク年収1億円だヨ?」
「ナマ言ってスンマセンした。」
あんなに生意気だった小娘が年収に負けた瞬間である。ワカラセ、ワカラセ。
その裏でラブスターこと、星野アイは脳が機能停止していた。今考えている事なんて「オソラアオイナー」(見えないけど)くらいである。
目の前に有馬かながいる事とか事務所をウチに移籍した事なんて私聞いてない!状態の彼女にとってこれらの状況は脳が理解を拒んでいた。
「で、なんでワタシも呼ばれたの?」
「ラブスターはぴえヨンに声色合わせなくて良いよ?」
仕方なく切り替えて高い声でそうラブスターは問いかけるとルビーがそう止めた。流石に喉痛めるので有難い。
「ミヤコさんに何も言われてないの?」
「うん、なんかジュースくれるって言うから来た。」
「子供か。あそこにポカリあるから持って行きなさい。」
そう言うと「わーい」とポカリの入った段ボールに手を突っ込んでペットボトルを一つ取り出すとその場に座り込んでチビチビ飲み始めた。
因みにここに居る全員がスパイダーマンの格好してなければ可愛かったのにと内心思ったと言う。
「ジャア、とりあえず話始めようか。」
ラブスターがポカリ飲んでいる側でぴえヨンがそう言い始めた。そしてホワイトボードに書かれた文字を消すと『レッスン1 ネットでサバイブする為には』と書き上げた。
「イイカイ?登録者を稼ぐにはいくつかテクニックがあるヨ!ナンだと思う?」
そう問いかけるぴえヨン。すかさず全員が手を上げて答えをそれぞれ言い始める。
「毎日投稿!」
「元々の知名度?」
「不平不満を視聴者にぶつけてストレス解消。」
「それでチャンネル登録者稼げたの君だけだからネ?」
「みんなドMだから…」
そう呟くとぴえヨンに「君はこっち側でショ!」と横幅のでかい腕で引き摺られた。
味方が居なくて寂しかったのだろうか…
「うん、確かに毎日投稿、知名度…大切ダヨ?
でも君たちには毎日投稿する根気も知名度も無いヨネ?」
「辛辣〜〜〜」
「でも!手っ取り早く登録者話増やす裏テクがあるんだけど!!知りたくなぁ〜い?」
「「「知りたい!知りたい!」」」
「1人ボクよりチャンネル登録者が多い人がいた気がしたけど…良いヨ」
そう言うとぴえヨンは自分と同じ覆面を三つ取り出した。
「一番宣伝になるのはやっぱりコラボ!!有名ユーチューバーとコラボするのが一番手っ取り早い!!」
ぴえヨンがそう答えれば全員ワー!キャー!と騒ぎ出した。
「しかも!此処にはその有名ユーチューバーが2人もいる!!
ボクとラブスターのコラボ。そんなビッグタイトルを視聴者は見逃すはずも無い!!」
「「おぉー!!」」
「やったー!!ぴえヨンとコラボだーー!!」
「マジで何も聞いてなかったんだね。」
「正直、社長がこの最終兵器を此処で使うとは思ってなかっタヨ。まぁ、ワンチャン君たち背景になるかも知れないから覚悟した方が良いかもね!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ピエよんと」
「ラブスターの!」
「「オールナイトじゅっぽんーー!!!」」
『変態だァァァァァーー!!!』
『変態だァァァァァーー!!』
『変態だァァァァァーーー!!!』
こうして始まったコラボ、まさかの歓喜も雄叫びもなく事実だけが述べられるコメント欄に私は震えた。
「全くもって折角のコラボにヒヨコの仮面に半裸ってどうなのよ。変態ってみんなに言われてるよ。ピエよん。」
「スパイダーマンで来た君も人の事言えないからね?」
「いや、これは私の制服だから…」
「HAHA.アグレッシブ。」
『どっちもどっちなんだよなぁ…』
『どんぐりの背比べ的な…』
『雄っぱい………でかっ!!』
「さてさて、さてさて、今日から始まりました。オールナイトじゅっぽん。
なんでも……え、社長聞いてないんだけど!毎週日曜やるって何!?え、30分だけ、それってオールナイトって言わないんじゃ……え、報酬が…え、マジで?」
「まぁ、そんな事を置いておいて、今日は……しがらみ案件です!」
『第一回から!?』
『何故そうなる。』
「うちの事務所でアイドルユニット…?
とかなんかやるらしくてお前の番組で使えって…
最初断ろうと思ったんだけど!!
まぁ、社長が言うからね…」
「そもそも私はこの番組やるの今日初めて知りました。」
「君、資料見てないでしょ。」
「はい!美味しかったです!」
『感想…?』
『まさか、お前…?』
『なんで知らないのに番組出てるのお前?』
「まぁ、とりあえず。次のコーナー…入る?」
「次のコーナーって何?ワタシキイテナイ」
「そりゃあ……本題だよ。30分しか尺ないんだヨ?」
「あ、そう言えば社長が新しい車買ったって話「じゃあ!BGMスタァーーツッ!!」」
瞬間、背中に響くような重低音が突き刺さると同時、ピエよんがポーズを取り出した。
以前、チャンネルの同時視聴でこのポーズ見た事があるから簡単に合わせられた。昔から、運動会の振り付けとかは一回見ただけで覚えられたのは私の特技の一つである。
ポーズを取る度に「ムキィッ!」「ムキィッッッッ!」と隣の筋肉の隙間から謎の擬音が聞こえるかと思うほどに洗練されたポーズに少し舌が渇く。
そうして、指を天に掲げた。
「ぴえヨンブートダンス!!1時間ついて来れたら素顔出してヨシッッ!!」
「待って!?30分の枠だったはずでは!?!?」
瞬間、後ろでひよこマスクを被ったルビーちゃんとかなちゃんが動き出すのを見て、「あ、これ私もやらなきゃならない奴だ。」と絶望した。
1時間後、そこに立っていたのは私とぴえヨンだけだった。
目の前にはぐだぐたなかなちゃんとルビーちゃん…私はと言うと息の一つも切れていない。なんか転生してから身体が強く逞しくなった気がする。これが小説で良く見る転生特典という奴なのだろうか。神様に一度も会ったことないけど。
「はい!お見事!着ぐるみ取って自己紹介どうぞ!」
なんか無茶言ってる。
かなちゃん達を見れば確かに疲れ切っていると言った感じでもはや起きているかさえ怪しい。
前世の僕だったら絶対無理だった事は必至だろう。
汗ひとつかかずにぼうっと少女達が自己紹介をするのを見届けた。
「いちごぷろしょぞく……ほしのるびー……
自称アイドルです。」
頬を赤らめながらそうカメラに言いかけるルビーちゃんの表情はどうも煽情的だ。だが、それに煽られたのか
「有馬かな!
自称アイドルです!!こんにちは!!」
とヤケクソ気味で有馬ちゃんが叫び出す。あのヒヨコマスクになりたい。