自分を星野アイだと勘違いしている一般星野アイ 作:マッキーガイア
腱鞘炎で指が動かない…
「あっ、大事なこと聞き忘れてた。2人のユニット名とかあるの?」
ふと、ぴえヨンが何気無くそう言い放てば、私も「ああ、そう言えば。」なんて同調しながらマスクの口部分を引っ張って空気を入れる。少し息しづらかったんだ。
彼女らは曰くまだ売り出し前のアイドルグループらしい。この時期ならまだ無くても問題にはならなかったが、ぴえヨンや私の動画に出た以上、名前を出しておいた方がバズりに乗りやすい。つまるところ今のうちに決めておくのがセオリーである。
「「あー………」」
2人して気の抜けたような声を出せば、少し考えて有馬かながルビーに向けて
「もう、ルビーが決めて良いわよ」
なんて言い出した。
向かいのホワイトボードを見れば『ユニット名を決める!』と大々的に書かれていたので目下の悩みだったのだろう。
「いいの?」
ルビーがそう聞けば頷く有馬かな、それを了承と捉えたのかまた少し考えた。
「えっと……。
じゃあ、私たちの名前は…」
左目に浮かぶ虹色の星が煌めいた。
なんだろう。この輝きは…
知っている気がする。
私は思わず彼女の方へ歩み寄ろうとした瞬間だった。
「『B小町』!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
?????????????????????????????????
私、頭悪りぃからわかんねーんだけどよぉ…それって私が入る予定だったアイドルグループだよねぇ?
自宅にて脳が熱を上げながらそんな問いに対して答えを探る。
ネットなら何でも教えてくれるとばかりにヤ◯ー知恵袋にて「私が本来入る筈だったアイドルグループが何故か私抜きで出来ていたんですけどどうすれば良いですか?」と投稿してみれば「もう少し日本語の勉強をしましょう。一文一句意味がわかりません」と返され、何処ぞの掲示板に書き込めば「脳みそが腐ってんのか?オメー」と返された。
教えてくれGoogle……Yahoo!は俺に何も言ってはくれない。
「ピプペポパニックだよぉ…」
故に現在脳が沸騰しているというわけだ。
「お姉様〜、いつの間に帰ってきたんですか〜?」
部屋の扉が開くと可愛い妹の声が部屋中に響く。沸騰していても脳は妹の声を聞き逃さなかった。
「うぇ…マナぁ…。」
死にそうな声色でマナに泣きつけば少し、マナは困ったような声を上げた。
「良い匂い……」
「お姉様は早めにお風呂に入ってくるです。微かにですが、汗の匂いが……」
「私の汗の匂いがかげねぇってのか!」
「めんどくさい酔っ払いのフリは辞めて、意味わかんないし。」
癖の敬語すら使わずに少しキレられたので次の瞬間には土下座をかました。
「…で、どうしたんですか?」
機嫌を取り戻したマナがそう言えば、私は正座のまま経緯を話す。
苺プロでアイドル部門が発足した事、私とぴえヨンがコラボした事、そのアイドルのグループ名がB小町だったこと。
全部話終え、そして焦る私を見ながらマナは大きくため息をこぼした。
「それお姉様に関係あります?」
「あるよ!めちゃくちゃ関k…………
いや無いな。」
よく考えたら私が居ろうが居なかろうがB小町は誕生してただろうし、アイの為のB小町が他の誰かにすげ変わるだけだ。
この世界の星野アイの立ち位置が『有馬かな』に変わるのか、それともあの特徴的な瞳をした少女『星野ルビー』に変わるのかはわからない。
「ほら、そんな事よりお風呂入りますよ………一緒に」
「うん!………うん?」