自分を星野アイだと勘違いしている一般星野アイ 作:マッキーガイア
配信者として活動し始めて2年。
あと1ヶ月で私は高校2年生となる。
転生してから16年ちょい…映画館で観た『推しの子』の第一話の記憶も今では段々と薄れつつある。
とは言え、アイが死んでしまったショックは今でも覚えている。漫画で続きを読もうとしたけど辞めて、第二話を楽しみに待っていたのに死んでしまった無念も…覚えている。
故に生き残ったとしても2話以降の行動がわからない。何が地雷なのか、何がフラグなのか。生き残っても地獄な可能性は十分に存在しているのだ。
故に…
「ママぁ〜、おっぱいちょうだぁ〜い。」
ママに甘える事にした。
前世含めて30超えのおっさんの本気の駄々である。見苦しくてしょうがない。
するとリビングの扉がガバッと開かれて、ママが中に入ってきた。
「おっぱいおっぱいっていつになったら乳離れするの!?もう17歳でしょ!!」
「あと1ヶ月で17歳なんだよ。だからまだ16歳11ヶ月の赤ちゃんなんです〜!」
「義務教育終わってるじゃない!!
まったく、真っ昼間からゴロゴロしてないでシロの散歩にでも行ってきたらどうなんだい!」
「暑いからヤダー。」
そう呟くと私はケータイからAmazonを開いてコスプレ道具を探し始める。
お気づきの方もいらっしゃるだろうが、私には両親が存在する。たしか、星野アイは施設育ちだったはずだ。どうやらこの世界は原作とだいぶ差異が存在している様だ。
最初の頃は『私にママなんていないんじゃなかったっけ?』なんて言ってママを泣かせちゃったっけ。あれは反省しかない。
まぁ、私がVチューバーなんかになっている以上違いは出てくるよなと理解はしたが、まぁ…ストーリー的には納得は難しいところがある。だが、ママは大好きなのでオールオーケーだ。
「まったく………今日仕事はどうなの?」
「…17時から部屋に入らないで貰えると助かる。マナにも言っておいて。」
「あの子も姉離れしない物ね…わかったわ。でも、部屋に突撃しても私は一切責任負いませんからね。」
「せめて、助けて。」
…次の事務所訪問にはウルトラマンで行こうと決定した瞬間であった。
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星野ルビーは困惑していた。
何気なく覗いた事務所に何故かウルトラマンが居たからだ。
「????」
見れば見るほど頭がおかしくなりそうだ。
当たり前の様にお茶を啜っているがどうやって飲んでいるのだろうかとか、そんな事も頭に浮かんだが、そんな事よりも我が家にウルトラマンがいる方が気がかりだった。
「あ、あの〜、ウルトラマン…さん?でよろしかったでしょうか?
ウチに何か?
えっと円谷プロだったら渋谷区の方だと思うのですが。」
扉の影からそうウルトラマンに問いかける。
ひっ、こっち向いた。
「シュワッチ!」
「え…?」
「ジュワッ!!」
「み……み……」
「シャッ!!」
「ミヤえもぉぉぉぉーーーん!!!!」
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「もう、ウチの子あんまり困らせないでよね。」
「いやぁ〜、ごめんね。ミヤコさん。可愛いからつい。」
数分後、駆けつけてきたミヤコさんの影に隠れながらルビーは「あははっ」と笑うウルトラマンに向けて抗議の視線を送っていた。
ウルトラマンの正体はどうやら女性らしいと、異様に膨れた胸を見ながらルビーは思う。
デカい。いや、まぁ、私のも小さい訳じゃないけど、倍くらいデカい…こんな化け物がこの世に居たのかと軽く戦慄した。
「何何?ルビーちゃん。私のおっぱいに興味あるの?」
「いいいいいいえ!!きょきょきょ興味なんてないですよ!ええ!!ええ!うん!!」
「童貞か。」
そう笑いながら突っ込んでくるウルトラマンさん。ウルトラマンが童貞って言ったーー!!
なんてどうでも良い事考えながら、未だ目を離せていない。
「私が実践した育乳法教えよっか?」
「マジですか!?」
「うん、マジだよ、ちょいと左胸触ってみて。」
そう言うとウルトラマンさんは私の手を掴んだ。
え、待って、ちょいちょい!!
ウルトラマンさんはグイッと前のめりになり胸を強調させてきた。エッッッッ!!
あ……///
柔らかいモノが手に収まった。
うわっ、柔らかっ…まるでスポンジみたい…
待って!そんなに握らせないでよ!!胸!握り潰しちゃう!!
ポチッ…
「えっ……?」
ピコン…ピコン…
胸の間のカラータイマーが点滅し始める。
「まぁ、この胸の大半はカラータイマーの電池パックとスイッチなんだけどね。」
「こんの!!虚乳めぇぇ!!!」
私を淫らせたこの虚乳を思いっきり引っ叩いた。
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「はぁ……このウルトラマンはVチューバーの『ラブスター』…あなたも知ってるでしょ?」
「あ、ロブスターか!だったらこう言う事する!」
数分後、ミヤコさんにため息を吐きながら紹介される。しかし、その返した言葉にかっちーんときたのか後ろに回り込まれた。
「ルビーたん?ロブスターじゃなくてラブスターね?あーゆーOK?」
「いだだだだ!!オッケー!!オッケーー!!」
頭をぐりぐりとされながらルビーは必死に答えた。直ぐに離してはくれたが、ちょっと頭がイガイガする。くぅ〜…
「くぅ…ラブスターさん、ファンです。早くボイス出してください。」
「流れる様なボイスの催促……大物になるよ君。」
「だって、綺麗な声なのに勿体無いじゃないですか。」
「一応これ声作ってるんだけどね。地声と全然ちゃうから、忌避感あるんよね。」
そう言いながらラブスターはソファーの背もたれに寄りかかると呟き始めた。
「私って、嘘ばっかりだからさ。ファンにも時々ありもしない今日の出来事の話とか買っても居ない商品の紹介とかフツーにするし、なんだったら私の声もキャラクターもまるまる嘘だしね。
だからお金が掛かる物くらいには嘘をつきたくないんだよね〜。私、メンバーシップのみんなには誠実で通ってるんだよ〜」
「え、、、もしかして昨日の配信で妹さんが部屋に突撃してきた事もヤラセ?」
「あれはちゃんとイレギュラーだから安心して、むしろヤラセだった方が嬉しかった。」
「はい、という事で今日はエイリアンvsハンターのオンラインやってくよ。みんな入ってきて。」
『何がと言う訳なの?』
『日本未発売やんけ!』
『ハードル高っっ!!』
『何当たり前みたいに言ってんのこの人。コワー。』
『そもそもオンライン未実装じゃねーか。』
『幻覚見てるやんけ!!』
「やるっつったらやるの!!オンライン!!」
『いくら探しても無いよ。オンライン』
『良かった、俺だけ無い訳じゃ無かったんだ…』
『もしかしてキメてる?』
『とりあえず英語読めてるかどうかが疑問。』
「ええええ英語っ!?!?!?
もももももちろん読めてるよ!ホラ!これが設定ボタンでしょ!」
『うん、正解!それがデリートだよ!』
『これでストーリーのセーブデータ消せる様になったね!』
『じゃあ!記念に押してみようか!』
「辞めて!クリアするのに1ヶ月掛かったんだから!!」
『なんでそれを配信しなかったんだよw』
『100人クラフトで眠そうにしてたのはそのせいか。』
『英語よわよわなのにストーリー理解できたのか?』
『多分、勘でやってる。時々日本語ですら無視するもん。』
「もーー!!もういいもん!エクバやろ!エクバ!」
『だからなんで癖強いのばっかり選んでくるの?』
『ほら、こーいうのはさAPEXとかフォトナとかやろ。なんでガンダム選ぶんさ!』