自分を星野アイだと勘違いしている一般星野アイ 作:マッキーガイア
はい、無茶苦茶やりますが、星野アイに黒川あかねに対する問題で怒る権利も怒鳴り込む正当性もありません!
ふらふらと、足元が揺れる様な感覚に陥る。
暗くなった家の敷地を星野アクアは歩いていた。
何を考えているか、何をしているのか本人にも理解が及んでいない。しかしとて、その内面には『星野アイ』という呪いが渦巻いている。
ドンっと気づいたら目の前に現れる木製の扉。気付かずぶつけてしまった額を摩りもせず、光を失った目のまま鞄を探す。そうして拾った鍵を鍵穴に刺した。
「お兄ちゃん!!遅い!!」
そう飛んできた言葉に目を向けた。開いた扉の先にルビーが立ちはだかっていた。
「……すまん。」
撮影が終わってから数時間、公園のベンチで黄昏ていた。時間の感覚なんて無かったに等しい。ショックな出来事が起こったというのもそうだが、その実、情報の整理に時間が掛かったの要因だろう。現に今も整理が付いていない。
黒川あかねが言う『星野アイ』の正体。
俺の『星野アイ』の解釈。
どれが正しくてどれが間違っているのかわからない。
だが、一つ分かった事がある。
「なぁ、ルビー……」
「何?お兄ちゃん?」
「アイが生きてるかも知れないって言ったら、お前信じるか?」
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ふむ、馬子にも衣装とは言うが流石は私。
アイドルになったら伝説になる程だ、どんな衣装でも着こなすとは…転生前に見かけたら一目惚れしてたぞ、中身が終わっているから、すぐ冷めると思うがな。
私はそう駅のトイレで鏡を見ながら思った。
シンプルかつあまり詳しくない私でも良い物と思う服にパンツ。ただ10年くらい前の流行りな気がしなくもない。
「案外、動き易いんだね。こう言う服って……
いつも着てるものが着てるものだけにすっごい軽く感じる。まるで甲羅を外した後の悟空みたい。」
ウルトラマンとか特に酷かった。熱いし、苦しいし。人間が着る物ではないと思う。
「さてと、もうちょいで時間かな。」
鏑木勝也プロデューサーとの対面は大人気配信者ラブスターの名を使って取り測った。
私個人としては今回の件についての苦言を申しつける事のみが目的だが、それだけではきっとアポイントなんて貰えないだろう。
大人気配信者とは言え業界人がこっちの事を下に見ているなんて明らか。
だから一つ、餌を準備させて貰った。
私の今日甘と今ガチの『同時視聴』はどうやら番組の視聴率にブーストを掛けたらしく、それなりの好成績を残したらしい。とは言え今ガチに関しては未だ終わってはいないが、それでも現段階でも上々。
故に『次も同時視聴してやるから金をくれ』とせびったのである。
勝手にやった癖にそれが良い結果を残せたから金をくれとはなんとも身勝手極まりないと彼らは思うだろう。
だが、今ガチに出演している星野アクアがいちごプロ所属と言う事もあり、そう言えない。
故にこの対談を申し込んだ。そう言う肩書きだ。
因みに上記の内容はつい2時間前の生放送で視聴者に伝えてある。視聴者には裏で嘘は付きたくないし、アポを取った時点でこっちの勝ちだ。
今更あの生放送を観て無かった事にして欲しいなんてあり得ない。
どうせ観ていようと観ていまいと宣戦布告は済んでいるのである。
こっちの目的は文句を言いに行くだけ。何かを懇願する訳ではない。
ただただクレーム付けて帰る。それだけだ。
正直言って、こっちに正当性なんかない事は分かっている。
でも、そもそも怒りの矛先は常に視聴者である事は分かっている。
だが、少なくとも自殺し掛けたのにフォロー無しはなんの冗談だろうかと言わざる得ない。
それにあのあかねちゃんを悪役に仕立てるような編集もいただけない。後の和解シーンなんか本人から聞かなきゃ知りようすら無かった。どう言う脚本家雇えばあんな邪悪なナレーションが流れるようになるんだよ…。
未成年者を集めているにも関わらずカウンセリングやその他の配慮がカスすぎる。あまりにも人を人とは思わない配慮の無さ、準備不足、仕事がお粗末すぎるのだ。
こちとら大事な親友と同じプロダクションの俳優を預けているのにこれじゃあお話にもなりゃしません。
なんだ?不祥事のバーゲンセールでもやりたいのか?
だったら未成年者の…しかも学生を矢面に立たせんなよ。ぶっ殺すぞ。
自分らが顔を出さない事を良い事に言いたい放題ナレーターに言わせやがってからに……
いやまぁ、問題を起こした方が悪いのは分かる。分かるよ。だが、精神的に不安定なあかねちゃんを唆した上に問題起こしたら大々的に旗に掲げるのは人間辞めすぎてるて。ホントスタッフ全員明日から背中に気をつけて帰る様にしとけな?
「さてと、行きますか」
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「ミキさ〜ん!ありがと〜!!また飲もうね〜」
今をときめく天下の大女優といわれてば皆、一人を思い浮かべる。
『片寄ゆら』それがあの酔っぱらいの正体だ。僕は彼女がふらふらに帰路をつくのを観ながらあんなのファンが見たら幻滅するだろうなと一人愚痴る。
ああ、あんなに酔ってしまって……事故に遭わなければ良いが。まだまだ若いと言うのにストレスをだいぶ溜め込む気質があるらしい。
「……ふぅ、とは言え僕もだいぶ飲まされたな。」
彼女と飲むといつもこうだ。あまり得意ではないのにガバガバ飲んでしまう。
喉が焼ける様がよく似合うとでも言うのだろうか。まだまだ陽が降りてからそう経っていない。
僕は自分の足元を探る様に帰路についた。
街灯が帰路を照らす。こんな道を酔っぱらいながら歩くとかまるでいつかの映画みたいだ。
「…………っ
やはり少し飲みすぎたかな。」
脚がもつれてバランスを崩した。
電柱に手を掛けてかがみこんでしまう。まいったな、こんなに飲んだつもりないのに…
動けないと言う事はないが脳が揺れる。
街灯の下、耐えきれずポツンと座り込んだ。背中が少し寂しくなる。
「まさか、僕がこんな馬鹿な事やってるなんて……君なら笑うかい?」
いつかの彼女の顔を都会の星空を眺めながら思い出した。
思えば笑ってる顔くらいしか君のことを知らない。種類はあれど大体笑っていた君の表情。
忘れるはずもない。忘れるわけもない。
僕のビギンズ、僕の元凶。
「……あの、大丈夫ですか?」
ふと、中学生くらいであろうか。女の子の声が響く。
こんな場所に居座ったのだ。驚いてしまったのだろう。
「あ、ああ、ごめんね。直ぐに大丈夫になるから。」
そう言い返して彼女の顔を見た瞬間、
固まった。
知っている顔だった。
知らない表情だった。
だけど、その瞳に天性の物は無かった。
一瞬で分かってしまう。彼女ではない。彼女はそんな心配そうな顔をしない。彼女はそんな雰囲気で話しかけてこない。
次第に吐き気を催し、怒りが込み上げてくる。
それが正当なものかどうか等、とうにどうでも良くなっていた。
ソレを返せ、ソレは彼女の物だろう。
決して君なんかが被っていい物じゃないんだ。許されないことなのだ。
ああ、これはしょうがない。
重さの感じない殺しなんてしたくもないがしょうがない。
「そ、そうですか。では帰ります。」
あんな偽物を放っておけない。
僕が責任を持って処理しなければ…
踵を返して帰っていく彼女を見る。
ああ、そうだ。絶対な
「殺さなきゃ」
次回に回します!次回の自分!!がんば!!