自分を星野アイだと勘違いしている一般星野アイ 作:マッキーガイア
妹の同義語は大天使である。(ただし二次元に限る。)
つまり、私の妹『星野マナ』は二次元だし妹だし、存在もするから、もう天使超えて大天使だと証明されているのだ。
私こと星野アイは隣でショッピングモールの館内地図を見る妹にそう結論付けた。
午前11時52分。場所はショッピングモール1階。映画の上映開始まで4時間近くあるし隣に映画館があるので暇つぶしに買い物に来ている。
買い物といっても私は服や装飾品に興味を示さないタチなので妹の買い物について行きつつ、実況用のゲームを買う為にTSUTAYAのゲームコーナーに足を運んだり、ヴィレバンで動画のネタ探しをするくらいに留めるつもりである。とは言え、マナは私の服も買おうと意気込んでいた為、少なからず「女の買い物って長い」の洗礼は受ける事にはなる事だろう。
まぁ、妹の為なら長時間の買い物の一つや二つ容易い物だ。
「…お、オイ。アレって……」
「う、嘘だろ!?」
ふと、そんな声がして私は思わず顔を顰めた。
先程から何故か辺りが騒がしい。確かに妹が可愛いのは認めるが煩いのは御法度である。あ、今お前写真撮っただろ。マナの写真を撮ってどうするつもりだ、ナニに使う気だ?あ?死にさらそか?
「なんか騒がしいですね、お姉様。なんかみんなこっちを観てる様な…」
ほらぁ!マナも困ってるじゃん!!真面目に死に晒そうかテメェら!!
「そうだね〜、マナは可愛いからね。」
そう醜い心の声を飲み込みつつマナに向けて言う。
事実、マナは可愛い。顔は私と似て美人で、一纏めにした髪は私と違って光り輝いている気がする。私は…ほら、結構コンディショナーとか忘れるタイプだから…それに私はよく分からないけどオシャレとかセンスがある気がする。私の私服は大体がマナのお下がりだったりするので良くマナに見てもらっているが私のセンスは大体残念なのでもう外行きの服はマナにお願いしている感じである。今日もお願いした!私!可愛い!
「もう、お姉様だって可愛いのです!
いつも、ヘンテコなメガネを掛けてるか……っ!」
瞬間、妹は気付いた!!
姉の目元にいつもなら綺麗な顔を隠している筈のぐるぐるメガネがない事に!!そして姉がそのことに気付いていないことに気がついた!!
姉はとてつも無いコミュ障(妹はそう思っている)である!!他人と顔を隠さなきゃ話せないヤバいタイプのコミュ障である。
妹は知っている。この間、姉がウルトラマンの格好して外へ出歩いていた事を!!行き先が配信者をやっている姉が所属する事務所だという事も!!だからあのメガネがなければ姉は膨らんで破裂してしまうのだ!あのバンドアニメの様に!!
「うん!まぁ、いっか!!」
「え、何が?」
だが、妹は眼福だったので見なかったフリをした!!
なんだか、よくわからないが酷い言われ様だった気がする…
「とりあえず、TSUTAYAに行くです。
欲しい本もありますし、何よりお姉様はそっちが本命でしょう?」
妹はふと館内マップを見ながらそう問いかけた。
「うん、そろそろ新しいのもやらないとヤバいからね。この間の投稿でZ指定のゲーム実況しちゃったからミヤコさん激おこだったし。」
「あまり、困らせないであげてくださいよ。お姉様が炎上とかそんなの無しですから。」
「あはは、まぁ、気をつけるよ。」
そう言うと2階に登るエスカレーターに乗る。そこから一番端のTSUTAYAまで行かなくちゃならないのでもう少し時間がかかりそうだ。
「とりあえず、グロはダメですよー!あと、エロもダメです!」
「ふふ、はいはい。」
その間ずっとそんな話をしながら歩いているとしばらくしてTSUTAYAが見えてきた。
一番端のこのショッピングモールの中でも大きい部類のテナントの半分が本屋となっている。もう半分がDVDの貸し出しとレンタルコミックとゲームコーナーとなっていた。
「お姉様。私はあっちの文庫本のコーナーに行っているので何かあったら呼んで!です!」
何故か、語尾の「です!」に感情を込めながらそうマナは言い切ると文庫本コーナーへ向かった。
そんなに信用ないのだろうかと私はマナの背を見る。
「まぁ!信頼はされてるしオールオッケー!」
そう言うと私はゲームコーナーにスキップしながら向かった。
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有馬かな。役者。
10秒で泣ける天才子役と持て囃されたのはもう昔の話。今は型落ちの役者として芸能界の隅で窮屈な思いをしながら頑張っている。
だが、型落ちしているとは言え昔、人気子役だったという事もあり、時折、仕事が入ってくる事がある。
「…やっと回ってきた仕事。頑張らなくちゃ…」
『今日は甘口で』略して『今日あま』。高校生を中心に大人気沸騰中少女漫画である。とは言え、流行ったのは自分が小学生の頃だったのでもう結構経っているのだが、アニメや映画と言った派生作品のおかげか、いまだに人気が衰えない。
今回、それがネットドラマになる事が決定したのだ。しかもその主演が私、有馬かなである。
正直言って他のメンツを見てクオリティが分かりきっているが…もうそれは私の努力次第でどうにかなるかも知れない。
そうと決まれば原作で少しでも勉強を!そう思い近場のショッピングモールの本屋に立ち寄ろうとしているのだが…
「にっ…しても、人がゴミの様ね。」
モールの入り口に入った時点でネットで買えばよかったと後悔した。
確かに本屋で手に取って分かる感動があるかも知れないと思い立ったのは私である。だが、私は一応、型落ちと言え有名人だった女だ。流石にこの中だったら私の顔を覚えている人も多かろう………多分。
「どうでも良い事考えてないで早く買って帰ろ。もしかしたらパソコンに仕事のメールが入るかもしれないし……多分無いけど。」
はぁ…とため息を吐いて2階に登るエスカレーターに目を通す。ここの入り口からだと本屋は遠かった筈。
ちょっと人目を憚りながら歩くには遠い…そう思った瞬間だった。
そんな考えが打ち消える程の衝撃が走ったのは。
「…………は、アイっ!?」
B小町のアイ…10年以上も前に堕ちた筈の星がそこにはあった。
エスカレーターで誰かと一緒なのだろうか、楽しそうに笑いながら話している。昔共演した頃と何も変わらない姿、少し変わっているとしたら前はストレートだった髪がポニーテールに変わっているところだろうか。
「ゆ、幽霊でも見てるの?私。
たしかに昔バラエティで霊感ありますなんて可愛いジョーク言ったけど、そんな……マジで?」
いや…でもと周りを見渡す。見えているのは私だけでは無いと直ぐに分かる。たしかに周りが相応の反応を示しているのだ。
ケータイを構えて写真を撮る者、辺りに喚き散らす者、神の様に拝め称え祀る者。
「いや、リアルよね。これは……」
まさにカオスだが、それが彼女の存在を裏付けていた。
この後、1000文字ほど続いてたんですけど、間違えて消して泣きたくなったのでこのまま投稿します。
ちなみに妹が星野アイだと勘違いされなかった理由もその1000文字に一文で書き表していましたが…次回じっくりやります。