【本編完結済】距離感のバグったTSっ娘と親友がイチャイチャする話   作:エイジアモン

8 / 47
8.テスト勉強と甘え

 

──駿太朗 View

 

教科書類をカバンに入れ、帰り支度をする。

 

「駿!迎えに来たぞ!」

 

睦巳が迎えに来たようだ、そんで声がデカい。

今までなら自分の教室で男友達と話しながら俺を待っていたはずだけど。

 

そんなに待ちきれなかったのか、……そうだな、そうかも知れないな。

 

ちょっと教室がザワついている、俺も顔を上げて睦巳を見てみる。

驚いた、一昨日よりさらに美少女っぷりが上がっているじゃないか。

そりゃこんな美少女が突然教室に来たら男子の注目を集めるよな、仕方がないか。

さて、とっとと連れて行こう、注目を集めすぎだぞ。

 

「よし、帰るぞ」

「お、おう!帰ろう帰ろう」

 

睦巳の腕を取り、俺と睦巳は注目を浴びながらそのまま教室を出ていった、そして下駄箱付近で腕を離した。

何故だか睦巳は嬉しそうだ、もしかして学校で良いことでもあったのだろうか

 

「睦、やけに上機嫌じゃないか、何か良いことでもあったのか?」

「あー、いや、うん、何でも無いよ、ただ一緒に帰れるのが嬉しいだけだ」

 

そう言って睦巳はニコッと微笑んだ。

いやお前、その反応は学校で良くない事があった反応じゃないか。

 

「なんだよ、あんまり学校は楽しくなさそうだな」

 

「──んー、駿に隠し事は出来ないな。

なんだかな、上手くクラスに馴染めなくて、男友達だったやつらにも触られたくないと感じるし、かといって女子達ともまだ上手く話せないし、どちらともなんだか難しくて」

「なんだよ、俺もダメなのか?」

 

ちょっと意地悪な事を言ってしまった、この答えは想像がつく、俺は大丈夫だと言うと思う。

睦巳は無言で俺の左腕に自分の腕を絡めてきた。

 

「駿、お前は特別だよ、俺の居場所だからな、むしろ俺を拒絶しないでくれよ」

 

想像していたより重めの答えが帰ってきた、安心させてやろうと思って返した。

 

「安心しろ、拒絶なんかしない、前にも言ったけど、頼って欲しいし支えてやる、睦を不安にさせたくないんだ、それに甘えても良いんだぞ」

 

それを聞いた睦巳は俺の左腕に身体と頭を預けてきた。

うーん、親友なのにこの距離感、これじゃ俺は彼女を作れないだろうなあ。

 

◇◆◇

 

お互い家の近くで別れた、着替えとバスタオル類と勉強道具を持って睦巳の家に行く為に。

帰宅後直ぐに着替えて、必要な道具一式を揃え、一応母さんに出掛ける事を伝える為に声を掛けた。

 

「じゃあ母さん、言ってくるよ、帰りは遅くなるから」

「はい行ってらっしゃい、向こうに失礼の無いようにね」

「分かってるって、じゃ」

 

睦巳の家に到着し、玄関でチャイムを鳴らすと睦巳が出迎えてくれた

 

「いらっしゃい、ご飯まで時間あるから少しでも勉強しようか」

「ああ、そうだな少しでもやるか、それじゃお邪魔します」

 

そういえば睦巳が女の子になってから初めて部屋に入るな、少し緊張する。

 

「なーに緊張してるんだよ」

「だってお前女の子の部屋だぞ、そりゃ緊張する」

「それを言うなら和香さんのほうが女の子の部屋だと思うけどな、それに3日前まで男だったんだぞ。

まあ前と殆ど変わってないから安心してくれ」

 

部屋を開けると確かに前と変わらない光景だった、違う所は机の上の化粧道具と女の子の制服が壁に掛かっているくらいだろうか。

 

「どうだ、安心したか?」

「ああ、少しガッカリしつつも安心した感じかな」

「なんだそりゃ」

「まあいいじゃないか、勉強しようぜ」

 

この数日間を見ているともっと女の子になっているイメージだったからな、思っていたほどじゃなかったってだけ、むしろ変わってなくて安心したほうが大きいかな。

座り、バッグから教科書や筆記具なんかを取り出して準備する。

 

「休憩とかどうする?まずは晩ご飯まではやるとして、そうだな大体60分毎に休憩って事にしようか」

「そうだな、休憩毎に風呂とか済ます感じだな、じゃあそれで」

 

晩ご飯の時間になって俺と睦巳と睦巳のおばさんとおじさんの4人での食事となった。

隣には睦巳が座っていて、俺はそれなりに緊張して食事をした。

 

そういえば睦巳は親に対しても"私"と言っていたな、親も過去が女の子と思ってるみたいだし、本当に俺と2人きりの時にしか"俺"と言わないつもりみたいだ。

これは俺だけに心を許しているか、睦巳が良く言う俺が居場所だからだろうか。

それに親友だからというのもあるか。

 

お風呂は先に睦巳が入ってから俺が入るようにした。

単純に睦巳は髪が長く、女の子だから風呂上がりのスキンケアなんかも含めて時間がかかるからだ。

 

風呂上がりは睦巳から特に良い匂いがしていて、さらにパジャマ姿なんかは新鮮で女の子なんだなと改めて実感してしまった。

 

その後の休憩時間で睦巳は甘えてきて、俺はベッドに座り睦巳に膝枕をしてあげた。

風呂上がり後だと普段より良い匂いがしてくらくらするし、相変わらず俺のお腹を向いて横になっているしで俺の気が休まらなかった。

 

そして俺の手の置き場が無い、女の子の頭に手を置くのも躊躇われるし、というか髪を纏めているから触りどころがそもそも分からない。

左手にしてもこっち向いてるから腕の上くらいしか手の置き場がなくて、それですら置いていいものかどうか。

というわけで手はだらんと下げるに留まってる。

この姿勢、ちっとも休めないんだけど。

 

「なあ駿」

「んー、なんだ」

「もしかしてさ、手の置き場に困ってる?」

「そうだな、触るわけにはいかないだろうし、正直な」

 

「いいよ、駿なら触っても」

 

ドキッとするような事を言う、冗談か本気か分からないから止めて欲しい。

 

「そうは言ってもなあ、どこ触って良いのか分からない」

「じゃあさ、はい、握ってよ」

 

そう言って右手を出してきた、この手を握れって事か?

まあ左手で握ってやるか。

睦巳の手は細く、柔らかくて俺の手より温度が低いのか少し冷たかった。

 

「あー、良いね、優しく握ってくれてなんか落ち着く」

「俺も睦巳の手が細くて柔らかくて気持ち良いよ」

「ばか、ちょっと恥ずかしいだろ」

「いやお前バカはないだろ、本当に柔らかいんだぞ、女の子の手って感じだ」

「まあ女の子だからな、感謝しろよ」

「それ膝枕されてるやつが言うセリフじゃないな、で俺の手はどんな感じだ」

「そうだなー、ちょっとゴツくて、大きくて、なんか暖かいな、包まれてるような気分になる」

「んー、俺もちょっと恥ずかしくなってきた」

「そうだろ、褒められると恥ずかしくなるだろ、分かったか、俺の気持ちが」

 

睦巳は両手で俺の手を包んできた。

細く、柔らかい手に包まれてなんとも言えない心地良さだった。

 

「なんか包まれてるとか言いながら両手で包んできたやつが居るんだけど」

「良いだろ別に、俺この大きな手が好きかもな、でも俺もさ、ちょっと前までは……いや、今だからこそ好きなんだろうな」

「……」

 

俺は何も言えなかった、数日前まで自分もその大きな手だった、という感情に対して適当な事は言えないと思ったからだ。

 

「あ、そうだ右手は俺の顔の横から軽く撫でてくれよ」

「なんだか難しい注文をされたような気がするが、……こんな感じか?」

 

睦巳の頬を優しく撫でてやる、きめ細かい頬と耳周りの髪を流れに合わせて撫でたり、その周辺を優しく。

なんで女の子ってこんなところまで柔らかく感じるんだろうな。触ってる俺のほうが心地いいんじゃないか?

 

「もうちょっと強くても良いぞ、──ああ、なんか眠くなってきた」

「いや寝ちゃダメだろ、勉強しに来てるのに」

「えー、今日ぐらい良いじゃないかよー、このまま寝かせてくれよ」

「はいはい、もう起こすぞ」

 

手を頬から離し、包まれた手も振りほどき、身体をスライドして膝枕を外した。

あーあ、俺も心地良かったのにな、でも目的を忘れたらダメだろ。

 

「ちえー、ケチー」

「睦、お前目的忘れんなよな、でもそうだな、テスト終わったら満足するまで膝枕してやるよ」

「マジかよ、忘れんなよ、しょうがないなあ、少しは我慢するかあ」

「本当にそんなんで良いのかよ」

「はあ、良いに決まってるだろ、駿に包まれてるように感じるんだぞ。

前にも言ったけど俺の居場所は駿だからな、それに包まれるとか最高だと思わないか」

 

「うーん、まず前提が分からんからな、想像も出来ない」

「はあ、でもお前も良い思いしてるだろ、美少女に膝枕して手を握って貰えて頬を撫でられるんだぞ、喜べよ」

「確かにそこは中々出来ない体験だよな」

 

その後、勉強中に睦巳が俺の顔をジーッと見つめて、いや観察か?していた。

ジーッと見ているかと思ったらスマホで俺を撮りやがった。

 

「ちょ、急に撮るなよ」

「動くな、そのまま自然体で頼む」

「なんなんだ一体……」

 

注文通り気にしない風にそのまま勉強を続けた。

何枚か撮られた気がする、そして睦巳はやった、とか言って嬉しそうだ、マジで何してんだコイツは。

 

「はいそこまで、いい加減ちゃんと勉強するぞ」

「分かったよ、勉強するって、んふふ」

 

睦巳は直ぐに勉強はせず暫くスマホを眺めていた、ニヤニヤすんな。

そんなこんなで勉強と休憩をしていたら夜10時半くらいになっていた。

 

「あ、もうこんな時間か、もうちょっと駿と一緒に居たかったけどこれ以上は遅くなりすぎるしここまでだな」

「そうだな、まあ今日は捗らなかったけど」

 

そう、今日は捗らなかった。なんか睦巳がはしゃぎ過ぎていた。困ったものだ。

玄関先で別れ間際。

 

「じゃあ駿、また明日な、また夕方迎えにいくから」

「おう、待ってるよ、おやすみ」

「うん、おやすみ」

 

◇◆◇

 

睦巳のやつ膝枕した時にかなり甘えてくるようになったな、まあ学校も上手く行ってないみたいだし俺が息抜きになってくれればそれで良いけどさ。

 

というか膝枕か、俺もして貰いたいけどなー、なんか俺達の間だと俺がするって役割になっちゃってる気がするんだよな、普通女の子にしてもらうものじゃなかったのか。

睦巳は吹っ切れてるのか甘えるのに遠慮を余り感じないけど、俺はやっぱな、親友で元男にそういうの頼むのどうなんだって思っちゃうんだよな。中々ハードルは高い。

 

あと写真だけど、まさか俺の写真見てニヤニヤしていたのか、まさか。

だって睦巳はついこの間まで男だったんだぞ、男の顔みてニヤけるって、うーん、流石にそれはないな。

じゃあ何かっていうと分からんけども。

 




気に入っていただけましたら評価や感想をお願いします。
作者のモチベーションに繋がってとても嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。