DxD TAIL   作:min-can

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悪魔、見つけます!!

 村に到着すると、大きな木の塀に囲まれており、立ち入り禁止の看板が門に張られていた。

 

「すみませーん!開けてください!!」

 

 返事がない。

 

「しょうがねぇ、壊すか」「すぐ壊そうとしない!」

 

 ぎゃあぎゃあ騒いでいると物見台から人が顔を出した。

 

「何者だ貴様等」

 

「魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)の者です。依頼を見て来たんですけど!」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)?依頼が受理されたとの報告は入っていないが」

 

「何かの手違いで遅れてんだろ、村に入れねぇなら帰るけど」

 

 グレイが機転を利かせてくれた。

 

「全員紋章を見せろ」

 

 そう言われ俺達は紋章を出した。

 

「本物のようだ...入りなさい」

 

 門が開くと、人々が集まりだした。その中心にいるのが村長だろう、俺達に歓迎の言葉をかけてくれる...全員マントと布を深々と被り目以外のパーツが見えない。なんかそういう文化なのだろうか?

 

「さっそくですがこれを見ていただきたい」

 

 村長がそう言うと、村人全員が布を外した。そこには体の一部が異形と化している人々が居た...ちょうどあの船乗りのように。

 

「すげぇもみあげ!!!」

 

 ナツが叫ぶ。確かに村長のもみあげはすごいけど、今見るべきは明らかに異形と化している腕の方だ。

 

「おほん...この島に居るものすべて、動物まで例外なく全てがこのような呪いにかかっております...」

 

「呪いという根拠はあるのか?」

 

「いえ...しかし、何十人もの医者に診てもらいましたがこのような病気はないとの事で...それに、こんな姿になってしまったのは月の魔力が関係しておるのです」

 

「月?」

 

「えぇ。元々この島は古代からの月の光を蓄積し、島全体が月のように輝く美しい島でした。しかし、何年か前に突然月の光が紫色に変わり始めたのです」

 

「紫の月ぃ?んなもん見た事ねーぞ」

 

「ほがほが、外から来た者はみなそう言うのです...ほら、ちょうど月が出てまいりましたな」

 

 見上げると紫色の月がそこにはあった。

 

「本当に紫だ...」「不気味だな」

 

「これは月の魔力の呪いなのです...」

 

 そう言った後、村人全員が苦しみ始めた。全員の体から角や模様が出て来て...やがて完全に悪魔の姿になってしまった。

 

「驚かせてしまったようで。しかし、あの紫の月が出ている間わしらはこのような醜い悪魔の姿になってしまうのです。これを呪いと言わずになんと言えばよいのでしょうか...」

 

 村人達は改めて自分たちの状況を見せつけられたからか、涙を流し始める。

 

「月が沈めば再び、先程のような姿に戻れるのですが...中には心まで悪魔に染まってしまう者も出てきたのです。そうした者は殺す事に決めております...放っておけば、皆が殺されてしまう...幽閉などしても牢はすぐに破られてしまうのですから...だから...ワシも息子を殺しました...!心まで悪魔になってしまった息子を!!」

 

 そういって村長が泣きながら取り出した写真は俺達が出会った船乗りの写真だった。

 

「えぇ!?あたしたち昨日...」

 

「しっ。ようやく消えちまった理由がわかった。そりゃあ、うかばれねぇわな」

 

「さぞ高名な魔導士方とお見受けします。どうか...この島を救ってください...!!このままでは全員悪魔になってしまう...!!」

 

「そんな事にはさせねぇ!!」

 

 ナツが叫ぶ。

 

「ありがとうございます...私たちの呪いを解く術は一つだけ...あの月を破壊して欲しいのです!あの忌々しき紫の月を...!!」

 

「月を...破壊...」

 

 おいおいちょっと待ってくれよ...そんな事いくら俺達でも...じゃあ何か!!?ここまで来て俺はルーシィのおっぱいを好きにすることは叶わないということか!!?

 

 絶望に心が包まれそうになるが、まだ皆が諦めた訳じゃない。俺も諦めるわけにはいかない...!

 合法的に!ルーシィの許可の上で触れるおっぱいの価値は、こんなもんで諦めきれるようなもんじゃねぇ!!

 

 ────────────────────────ー

 

 クエストはさておき、もう夜も遅いので小屋を1つ貸してもらい就寝する事にした。

 

「見れば見る程不気味な月だな...」

 

「早く窓閉めなさいよ。あんまり見てるとあんたも呪いにかかっちゃうかもしれないわよ?」

 

「にしても参ったな...月を壊すっつっても、何発殴れば壊れるか見当もつかねぇよ」

 

「無理に決まってんだろ!!」

 

「でも、依頼は月を壊すって物だ。できなきゃ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れだぞ」

 

「うーん...そもそも月を破壊する必要は無いはずなのよね。だって私達が普段見てる月は正常で、ここでだけあぁなってるわけだし...月が紫になってる原因があって、それが呪いを起こしていると見るのが自然でしょ?」

 

「そうだなぁ...そっちなら全然希望が見える」

 

「うん。でも、何よりもまず情報収集ね。月が紫だけじゃ何もわからないわ」

 

「よし!じゃあ明日は探検だし、今日はもう寝るか!」「あいさー!」

 

「そうだな考えるのは明日だ」

 

 ナツとグレイ、ハッピーがさっさと眠ってしまう。

 

「私達も寝ましょうか...って、う...」

 

「ん?どうかしたか...?」

 

「そういやなんで男女で同室なのよ...」

 

「しょうがないだろ。空き家はここしか無かったんだし」

 

「そりゃあそうだけど...うぅ~」

 

「...なんだよ。俺の隣は嫌ってか?」

 

 左からグレイ、ナツ、空席、空席となっている。

 俺とルーシィが隣り合うのは確定で、後はもう一方の横がナツなのか壁なのかの違いだけだ。

 

 仕方なくナツの寝床を俺とルーシィの間になるように引っ張ろうとすると止められた。

 

「ナツはもっと嫌だし...!というか、そんなんじゃないわよ...!普通に男女一緒が無理かもと思ったの!!私、男の人と同じ部屋で一晩眠るのなんて初めてだし...」

 

「まじか...そりゃあ悪かったな。とはいえ屋根が無い場所に行ってもらう訳にもいかないし、なるべくグレイとナツと俺の分端っこに寄せて、なんか適当に布でも仕切りとしてかけるから、それで許してくれないか?」

 

「......別にいいわよこのままで。私も眠たいし、ナツたちを起こすのも悪いし...それじゃ、おやすみ!」

 

 それだけ言うとルーシィは壁側の寝床にさっさと入ってしまった。

 

 ...まぁ、なるべく隙間は空けるようにしようか。

 俺も男のすぐそば気持ち悪いが、なるべくナツの傍まで寝床を移動させて眠った。

 

「....なんでそういう配慮は出来るのよ」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「何にもない!おやすみ...!」

 

 なんかルーシィが若干機嫌が悪い気がする。まぁしょうがないか、俺も女の子ばっかりの所で寝ろと言われたら嬉しいとかは置いておいて落ち着いて眠れはしなさそうだし...

 

 ナツのいびきはうるさいが、必死に目を閉じてなんとか入眠できた。

 

 .............................

 

「....!!」

 

「......?」

 

「....!!」

 

 誰かの声が聞こえて来て、目を覚ます。

 

「ん...?」

 

 起き上がろうとするが、何かが俺の半身と首元に乗っかっていて動かなかった。

 

「ん...んん!!?」

 

 横を見るとルーシィが俺に抱き着きながら眠っていた。

 

「ちょ...!ルーシィ!?」

 

「何よ...もう...んー...ふぁ...」

 

 ルーシィのあくびが耳に直撃してびくりとしてしまう。

 

「んー...ん?あ、れ...っ!!!!」

 

 ルーシィが飛び起きる。

 

「あっ、ご、ごめん...!!」

 

「いや...俺は全然良いってか、役得と言うか」

 

「ぶぷ...でぇきてぇる」

 

 ハッピーが明らかにバカにしたような顔で俺達をからかってくる。

 

「で、出来てないわよ!!」

 

「いや、これはもう怪しさ満点だがな...」

 

「カカッ!お似合いなんじゃねぇの?」

 

 ナツとグレイまでからかってくる。

 

「お前らなぁ...!いくら事実だからって」

 

「事実無根よ!!」

 

 バシンと頭をしばかれる。痛い。

 

「...慣れない寝床に慣れない男女同室で寝相が悪かったのよ!!たまたまだから...!!」

 

「たまたまでそうはならねぇよ」

 

「俺達が起きてからしばらく経ってもあの状態でぐっすりだったしな」

 

「ちょっと...起きてたなら起こして離してよ...!!」

 

「ま、こいつの何が良いかは知らねぇが良いんじゃねぇの?」

 

「うるさい...これ以上そのネタ引っ張ったら二度と口利かないから」

 

「...わかったよ」

 

 グレイが手を上げて降参ポーズをする。

 ルーシィのご機嫌が斜めだ。あんまり刺激しないようにしよ...

 

 ──────────────────────────

 

 俺達は村から出て、森の中を散策している。

 

「にしても、なーにが原因なんだかな」

 

「んなもん知らねぇよ!やっぱ月をぶっ壊す方が早いんじゃねぇか?」

 

「壊せるならな...まずどうやって行くつもりなんだ?」

 

「ハッピー」

 

「流石に無理です」

 

「それによぉ、月壊したらお月見できなくなるぜ?」

 

「そっか!期間限定の月見ステーキもなくなっちまうのか!そりゃあ良くねぇ!!」

 

「ちょっと、何が居るか分からないんだから大声出さないでくれる?...と申しております」

 

 ルーシィは星霊のホロロギウムの収納スペースに入っていた。

 

「いや、自分で歩けよ」

 

「だって、相手は実体がない呪いなんだから...怖いじゃない。と申しております」

 

「さすがS級!燃えて来たぞ!!」

 

「呪いなんざ凍らせてやらぁ」

 

「俺が呪いからも絶対守ってみせる!!」

 

「ホンットアンタらバカね...と申しております」

 

 星霊がいちいち中でルーシィが喋った事を伝えて来るのでなんか変な感じだ。

 そうこうしながらだらだら歩いていると、急に森がざわめきだした...

 

 目の前の鬱蒼とした草の中から巨大なネズミが現れる。

 

「でけぇネズミ!!?」

 

「っしゃ、やるぞ...!」

 

「待て、あいつなんか吐き出す気だ..!」

 

 ネズミが息を吐き出す...いや、くっっっっさ!!!!

 鼻がもげる...!!!

 

 ふとルーシィの方を見ると、星霊が気絶して閉門してしまい、ルーシィも匂いにやられていた。

 

 ネズミはキャッキャとこちらをあざ笑ってくる。

 

「くっせぇぇ...何だこの臭いは...!」

 

「おいナツ...!そっか、お前鼻良いもんな」

 

「んぐ....んがっ!はっ!!...意識が飛んでた」

 

 ナツは一瞬気絶していたようで、びくりと体を震わせてから目覚めた。

 

「いいから逃げろー!!!」

 

 ネズミが追いかけて来るので全力で逃げる。

 

「ちっ...これでもくらえ!アイスメイク(フロア)!!」

 

 グレイが地面を凍らせると、ネズミは足を滑らせて転んでしまった。

 

「あ...見て!あそこになにか建物があるわ!今のうちにあそこに隠れましょ?」

 

「「「今のうちにボコるんだ!!」」」

 

 俺達は散々やってくれたネズミを再起不能になるようにボコボコに殴りつける。

 

 ...一通り攻撃して完全に気絶したことを確認すると、遺跡の中に入っていくことにした。

 

「いつの時代のものかしら...」

 

「見ろよ。なんか月みてぇな紋章もある」

 

「元々月の島って言われてるらしいしな」

 

「それにしてもぼろっちぃな...地面とか大丈夫なのか?」

 

 ナツが床をガンガンと踏みつけると、突然亀裂が入り大きな穴が開いた。俺達はそのまま全員落下する。

 

「おぁぁああああ!!!」

 

「ハッピー!!なんとかならないの!!?」

 

「全員は無理」

 

「じゃあ私を助けて...いやー!!」

 

 俺はルーシィの下敷きになれるよう、ルーシィの手を掴んで無理矢理俺の上に移動させる。

 ドゴンと墜落したが、なんとか怪我はせずに済んだ。ルーシィも俺をクッションにしたので無事だ...他の奴らも特に怪我はなさそうだ。

 

「てめぇ!なんでいっつも後先考えねぇで行動しやがる!!」

 

「さっきの遺跡の地下みたいだな...穴がだいぶ小さく見える...結構落ちたなぁ!」

 

「秘密の洞窟か...!!せっかくだからちょっと探検しようぜ...って、なんだあれ...」

 

 珍しくナツの元気が無くなっていったので何事かとそちらの方を向くと...氷漬けになっている巨大な怪物が佇んでいた。

 

「なんだこりゃ...!」

 

「はぁ!?...デリオラ...!?なんでデリオラがここに!!?」

 

 グレイが明らかに動揺していた。

 

「なんだ?こいつ知ってんのか?」

 

「あり得ねぇ!!こんな所にあるわけが....!!!」

 

「ちょっと落ち着けよ...」

 

 俺が肩に置いた手が振り払われる。

 

「っ...!このバケモノがなんだってんだよ」

 

「こいつは...デリオラ。厄災の悪魔だ....あの時の姿のままだ。どうなってやがる...」

 

 そうこうしていると誰かが歩いてくる足音が聞こえる。

 

「誰か来たわ、ひとまず隠れましょう」

 

 ルーシィの言葉に従い全員岩陰に隠れた。

 

「この辺りで人の声がしたが...」「おぉ~ん」

 

 すさまじい眉毛の男と、獣っぽい男が現れた。

 

「昼は眠い...お前、月の雫(ムーンドリップ)浴びてね?耳とかついてるし」

 

「浴びてねぇよ!!飾りだよ分かれよ!!」

 

「からかっただけだバカ」

 

「おぉ~ん」

 

 なんか、バカっぽい奴らだな...

 

月の雫(ムーンドリップ)...呪いの事なのかしら?」

 

「さぁ?でも月ってワードと浴びると異形化する性質...間違いなく呪いと関係があるだろうな」

 

「ユウカさん、トビーさん。悲しい事ですわ...アンジェリカが何者かによっていたぶられてました...そして愛」

 

 ゴスロリのすごい女の子が現れた...衣装に目を引かれるけどよく見たら美人だしおっぱいもなかなか...!

 

「これまた強烈なのが出て来たわね...」

 

「あいつらこの島の奴らじゃねぇな。匂いが違う」

 

「あんた、何気にすごい鼻よね...犬並み?」

 

「侵入者か...」

 

「もうすぐお月さまの光が集まるというのに、なんて悲しい事でしょう。零帝様のお耳に入る前に駆逐致しましょう。そう、お月さまが姿を現す前に...」

 

「だな」「おぉ~ん」

 

「デリオラを見られたからには生きて返す訳にはいきません。侵入者に永遠の眠り...つまり愛を」

 

「死、をだよ!!殺すんだよ!!」

 

 そんなこんなで特にしっかり探すという訳でも無くやつらは去って行った。

 

「んだよ、さっさととっつかまえりゃ色々聞けたのによぉ」

 

「まだよ、もう少し様子見しましょ」

 

「なんなんだろうあいつら」

 

「くそ...あいつらデリオラを何のためにこんな所に持って来やがった...つーかどうやって封印場所を見つけたんだよ!」

 

「封印場所?」

 

「あぁ。こいつは北の大陸の氷山に封印されていた...10年前、イスカバン地方を荒らしまくった不死身の悪魔。俺に魔法を教えてくれた師匠のウルが命をかけて封じた悪魔だ」

 

 グレイがぐぐっと拳を握りしめる。

 

「この島の呪いとどう関係してるのかわからねぇが...これはこんな所にあっちゃいけねぇもんだ。零帝...何者かは知らないが、ウルの名を汚す気ならただじゃおかねぇ...!!」

 

 グレイの体から冷気が漏れ出してくる...

 くそ、なんかややこしいことになって来たな。

 不死身の悪魔に、悪魔に異形化に...

 

 流石はS級クエスト、一筋縄ではいかなそうだ...!

 

 

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