DxD TAIL   作:min-can

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零帝、現れます!!

 グレイもある程度落ち着いて来たので、まずはデリオラとやらに何をするつもりなのかを暴くべく、ここで待機する事になった。

 

「夜までここで待つとか無理だっつの!!暇ー!」

 

「寝てりゃいいだろナツ」

 

「...それもそうだな!くかー」

 

 寝てろとアドバイスしたのはいいが、まさか言って5秒も経たずに入眠するとは思わなんだ。

 

「確かに...待つとはいったものの、暇ねー。しっかり寝たから別に眠たくも無いし」

 

「あい。そしてしっかり寝てたんだね。イッセーに抱き着いて...」

 

「うっさい...あ、そうだ!今日は第2水曜だから...開け、琴座の扉、リラ!!」

 

「キャー!超久しぶりィルーシィー!!もぉ!!たまにしか呼んでくれないんだもーん!!」

 

 リラという星霊が現れた。衣服のガードはめちゃくちゃ固いけどこの子も可愛いな...!なんだ、星霊って言ってもちゃんと可愛い子も何人かいるもんだな...てっきり牛とか蟹みたいなのばっかりだと!!

 

「だってあんた呼べる日、月に三日しかないじゃない」

 

「えぇ!?そうだっけ?」

 

「でぇ?今日は何の詩歌ってほしい?」

 

「何でもいいわ、あんたに任せる!」

 

「オッケー!!じゃあてきとーに歌うわね!!」

 

「ふふ...リラはすっごく歌が上手いのよ」

 

「ミラだって上手だよ、魚の歌を歌ってくれるし!!」

 

「なんであんたが対抗すんのよ...」

 

 リラが琴を弾きながら歌い始める。

 

「おぉ...」

 

「ね?すごいでしょ?」

 

「うん...めちゃくちゃ綺麗な声だ」

 

「わぁ!」

 

 俺達はリラの歌声に聞き入った。歌詞もいい感じにしんみりとしていて、それでも希望に向かって進んでいる感じがしてすごくいい。

 

 ふと隣を見ると、グレイが涙を流していた。

 

「え?グレイ...」

 

「あ?何だよ」

 

「グレイが...泣いた...」

 

「泣いてねぇよ!」

 

「確かにリラは人の心情を読む歌が得意だけど...もぉ、もっと明るい歌にしてよリラ!」

 

「え~だったらそう言ってよぉ」

 

「違げぇって!!つーか誰か来たらどうするんだ。黙ってろ」

 

 グレイに怒られて俺達は手を口を塞いだ。

 

「ごめんね、リラ。歌はおしまいみたい」

 

「んーん、しょうがないわ」

 

 それから俺達は特に会話する事も無く...気が付くと眠ってしまっていた。

 

 ──────────────────────

 

 突然地響きが鳴り始める。

 

「...何の音?」

 

「夜か!!?」

 

「一体なんだ?」

 

 寝起き眼をこすって周囲を見渡すと、洞窟の天井が開いて光が入ってくる。天井が動いた音だったようだ。

 

「紫の光...月の光か!」

 

「光がデリオラに当たってやがる。偶然じゃねぇぞこれは!...行くぞ、光の元を探すんだ!!」

 

 グレイの言葉に同意した俺達は上へ続く道を上って光の発生源へと近づいて行った。最終的に、遺跡の天井へとたどり着く...そこにはなんらかの儀式を行っている集団が居た。

 

 月から光が降りて来て、デリオラの居る地下まで直通させているようだ。

 

「本当に月の光を集めてんのか!」「そんなものデリオラに当ててどうするのよ...!」「いや、知らんけど」

 

「あれは、べリア語の呪文、月の雫(ムーンドリップ)ね」

 

 リラが俺達に答えてくれた。

 

「なんだそりゃ」

 

「こいつらは月の雫(ムーンドリップ)を使ってあの氷を溶かし、デリオラって悪魔を復活させるつもりなのよ」

 

「バカな...絶対氷結(アイスドシェル)、あの魔法は絶対に溶けない氷なんだぞ!!」

 

「その氷を溶かす魔法が月の雫(ムーンドリップ)なのよ...一つに集束された月の魔力はあらゆる魔法をも解除する力を持っているの。おそらくこの島の人が呪いだと思っている現象も月の雫(ムーンドリップ)の影響なんだと思うわ。一つに集まった月の魔力は人体にも容易に影響するほどの魔力の塊だもの」

 

「...その影響ってのはあいつらを倒して儀式を止めれば無くなる物なのか?」

 

「そこまでは...」

 

「しっ、誰か来たわ...!」

 

 仮面を被った男が現れる。あのあからさまな感じは間違いなくあいつが零帝とやらだろう。これでただの幹部とかだったら調子に乗りすぎだし。集団の長としてもやりすぎなぐらいだもん。

 

「悲しい事ですわ、零帝様。昼に侵入者がいたようなのですがとり逃してしまいました。こんな私には愛は語れませんね」

 

 やっぱり零帝だったか。

 

「侵入者...デリオラの復活はまだなのか?」

 

「この調子だと今日か明日には...」

 

「そうか。いよいよこの時が来たか...ここまで来て邪魔はされたくない。侵入者と言ってもこの島にはあの村の住民しかいないはずだ。村を消してこい」

 

「了解...!」

 

 昼に洞窟で見た三人が零帝の命令に従って走り出してしまった。

 

「何だと!!?」

 

「村の人たちは関係ないのに...!ど、どうしよう!!」

 

「とにかく二手に分かれよう。グレイとナツはここで情報収集するか零帝を倒してくれ。俺とルーシィであの三人を止めに行く...!」

 

「よぉし!燃えてきたー!!」

 

「この声...おい、嘘だろ?」

 

 なぜかグレイが酷く動揺した声を出していた。

 

「どうしたグレイ...いや、時間が無ぇ。行くぞルーシィ!」

 

「えぇ!?ちょっと...!」

 

「そっちは任せたぞイッセー!あいつは俺がぶっ飛ばす!!」

 

「おう...!」

 

 俺は即座にルーシィの腕を掴んで村の方へ走り出す。

 

「ねぇ...ほんとに良いの!?こんな時に二手に分かれて...!」

 

「しょうがねぇだろ。村を消される訳にはいかないし、かといって全員で村に行ったら儀式が終わってデリオラが復活するかもしれない...二手に分かれるしか手は無かった。それに、ナツとグレイなら大丈夫だ...!」

 

「...うん。ごめん、私たちが今すべきことはあいつらから村を守る事だもんね」

 

「よし...急いでいくぞ!」「うん!」

 

 少し後ろ髪を引かれる思いであったが、あいつらなら絶対大丈夫だ。俺は一抹の不安を飲み込んで、一層足に力を入れた。

 

 ──────────────────────────ー

 

「という訳で、この村を壊すために敵がやってくるかもしれません!!」

 

「俺達が守ってみせますが、念の為皆さんには避難してもらいたいんです」

 

 俺達は村に戻って、村人の人たちに敵が来ることを説明していた...あいつらはまだ来ていないようだ。それなりに時間が経ったのに未だに姿を現さないのは少し怪しいが、来ないならこっちも都合がいい。

 

「この騒ぎは何事かね...!」

 

 村長がこちらに走って来る。

 

「聞いてください。もうすぐここに敵が来るんです。そいつらは森の遺跡に住みついてて、みんなの体をそんな姿にした犯人の可能性が高いです」

 

「敵...敵じゃと!?そんな事より月の破壊はどうしたのじゃ!!早くあの月を破壊せんか!!」

 

「いや、だからそいつらを倒せば...」

 

「ルーシィ」

 

 俺はルーシィの言葉を遮るように声をかける。

 

「月の魔力の影響を取り除くのと、あいつらを倒すことはイコールじゃない」

 

「....そっか。でも、じゃあどうすれば...!」

 

「それでも、デリオラが復活しちまったらそれまでだ。呪いどころの騒ぎじゃなくなる...呪いへの対処法を考える時間を得る為にも、あいつらを倒すしかないのは一緒だ」

 

「うん...それにしてもあいつら遅いわね。もう私達がついてからずいぶん経ったのに...まさか土地勘のあるあいつらがあの遺跡から村の位置が見えてたのに迷うなんて事は無いだろうし」

 

「まぁ、嫌な予感はするな」

 

「お二人共...!人影が門へと近づいて来ています!!」

 

「ようやく来たか...!」

 

『Boost!!』

 

 俺は籠手を起動しておく。

 

「あいつらも魔導士だ。門なんか足止めにもならない。だったらこっちから開けてやるほうが被害が少ないはずだ...!開門してくれ!」

 

「わ、わかりました...!」

 

 俺の指示で村人が門を開けてくれる。

 段々と大きくなるまんまるなシルエットは...良く見ると体を大きな氷の玉で覆われているナツと、それに背負われるグレイだった。

 

「なんだ...?折角急いで来たのにもう終わったのか?」

 

「いや、まだ敵は来てないけど...てか、お前もグレイも何があったんだよ」

 

「...零帝とかいう奴にやられた。まぁ俺はグレイに邪魔されなかったら戦えてたけどな!!」

 

「お前も手酷くやられてんじゃねぇか...それ、お前の火でも溶かせないのか?」

 

「...溶けねぇ」

 

「まじか。ナツの炎で溶かせない氷なんてあるんだな...!まぁじゃあ、俺の力でナツの力を高めてみるか。敵が来る以上、ダウンしてるグレイはともかく、氷だるまのナツは邪魔になる」

 

「あ!?ならねーよ!」

 

『Transfer!!』

 

 何度か倍加していたので、その力をナツに譲渡する。

 

「おぉぉぉぉ...お、お!?」

 

 ナツが体中に炎を纏うと、あっという間に氷は溶けてしまった。

 

「あれ?さっきはうんともすんとも言わなかったのに...!」

 

「あれか?時間か、距離か、両方かで魔法の効力が落ちてたのかもしれないな」

 

「なるほどなぁ」

 

「ちょっと待ってよ!氷が溶けたのは良いけど、ナツとグレイの二人が勝てない相手なんてどうやったら...」

 

「だから、俺は負けてねぇっつの!次はゼッテェ勝つ!」

 

「あの氷だるまでそこまで自信を持てる理由を教えて欲しいわよ...」

 

「んー...現実的な話としては、俺がナツを強化して勝てるレベルまで引き上げる事なんだろうけど...素のナツを完封できる強度の氷か...」

 

 これは少し厳しい戦いになるかもしれない。

 俺が色々と迷ってうんうん言っていると、村人の一人が叫んだ・

 

「な、なんだあれは!!」

 

 見上げると、俺達が朝にボコボコにしたネズミがバケツいっぱいになにかを抱えながら飛んでいた。

 ネズミって尻尾を振り回して飛べるのか...

 

 ふと、内容物が少し漏れて落ちて来る...それはルーシィの上に落ちてきた。

 

「ゼリー?」

 

「...危ねぇ!!」

 

 俺がルーシィを抱えて飛び退くと、ルーシィが居た場所にゼリーが落下し地面が溶解して大きな穴が開いた。

 

「おいおい...こんな威力の溶解液があのバケツ一杯に入ってんのか!!?」

 

 見上げると、ネズミがバケツの中身をぶちまけていた。

 

「...ナツ!ハッピー!!」

 

「おう!」「あい!」

 

『Transfer!!』

 

 そんなに力は溜まってないけど、無いよりはずっとましだ...!

 ナツがハッピーに乗り、上空に飛び出す。

 

「全員村の中心に集まってくれ!!!」

 

 俺の叫びに村人は軽くパニックになりながらも、中心へと集まってくれる...ただ一人、村長を覗いて。

 

「ワシは!!ワシはボボの墓から離れんぞ...!!」

 

「バカ...!!!」

 

 俺は村長の方へ走り出す。

 

「イッセー!ダメ!!!」

 

 ルーシィの声が聞こえたがもう動いちまったものはしょうがない。

 

『Boost!!』

 

 ....一回分の倍加して出来てないが、これでやるしかない。

 

『Transfer!!』

 

 俺はクエストの時はいつも持ち歩いているラクリマ爆弾に力を譲渡し、上に投げつける。

 

「火竜の...煌炎!!!」

 

 ナツが炎を爆散させて散らした溶解液が村の中心からだけは逸れて外縁部に降り注ぐ...

 無論、村長の上にもその被害が降り注ごうとしたが、俺の投げたラクリマ爆弾が起爆しさらに拡散して少しだけ穴が開く。

 

 俺は村長に覆いかぶさるようにして庇った。

 

「っっっぐあぁぁ!!!!」

 

 直撃は避けられたが、いくらかしぶきが俺の背中に当たって背中が溶ける...!!

 急いでしぶきが当たった服を脱ぎ去って被害を抑えるが、それでも背中はかなり被害を受けてしまった...

 背中が引きつるように痛い...!!

 

「お...おぬし...」

 

「バ...バカ野郎...!!死んだら全部終わりだろうが...!!美少女でもない癖に庇わせんなちくしょう!!」

 

 俺は涙目になりながら村長を怒鳴りつける。

 

「すまぬ...」

 

 溶解液の反応が粗方終わったのを確認してから、俺は村長と一緒にみんなの元に歩いていく。

 

「ちょっとイッセー!!!大丈夫なの!?...って、その怪我...」

 

「大丈夫大丈夫!こんなもん屁でもないって...!」

 

「こんなに火傷してるのにそんな訳ないじゃない...!!」

 

「本当に大丈夫...そんな事言ってられねぇから...」

 

「どういう事...って、あ...」

 

 俺の見ている方向をルーシィが見る。そこには零帝の部下の三人が居た。

 

「零帝様の敵は全て駆逐せねばなりません...せめてもの慈悲に一瞬の死を与えてやろうとしたのに。どうやら大量の血を見る事になりそうですわ」

 

「....やらせねぇよ」

 

「村人約50、魔導士3...20分って所か」

 

「おいらもいるぞ!!魔導士4だ!」

 

 ハッピーが叫ぶと同時に俺達は臨戦態勢に入った。

 

『Boost!!』

 

 村長を庇ってからも起動していたので、四度目の倍加が入る。

 

『力を高めすぎるなよ...今のお前はあまり動いていい状態では無いからな』

 

「うるせぇ...やるしかねぇからやるんだよ。だから、そこら辺の見極めは頼んだ」

 

『...肝心な所は全て俺任せの困った奴だなお前は。まぁ、やってやろう』

 

「わりぃイッセー。俺がもっと吹き飛ばせてりゃ...」

 

「いや、ナツは良くやってくれたよ。俺が弱えぇのが悪い...ナツと同じくらいの力があればあんなもんいくらでも避けれたんだ」

 

 ちくしょう...禁手(バランス・ブレイカー)、こういう時に欲しくてたまらねぇじゃねぇか。

 いくら赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)がすごくても、使い手の俺がダメだからこうなっちまう。

 

「イッセー...」

 

 ルーシィが心配そうにこちらを見て来る。

 

「大丈夫だって!...死にはしねぇよこんくらいで。大体ナツとの喧嘩の方がよっぽど大けがしてるしな」

 

「...絶対無理しないでね」

 

「....おう」

 

『Boost!!』

 

『Explosion!!!』

 

 俺が倍加した力を固定させた所で、戦いの火ぶたは切って落とされた。

 

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