DxD TAIL   作:min-can

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デリオラ、復活します!

「デリオラを復活させてから倒す!?なんでそんな周りくどい事をするの?」

 

 俺達はグレイと合流し、目的地である遺跡へと向かっていた。

 

「零帝...リオンは俺の兄弟子なんだ...そして、あいつの目標は俺達の師匠のウルを超える事だった。ウルが居ない今、あいつがウルを超える為にはウルですら倒せなかったデリオラを倒す事しかない...って訳だな」

 

「...?別に、デリオラにこだわらなくても、自分が満足できるまで強くなればいいじゃないか」

 

「それが理解できるならこんな事してる訳ねぇだろ!!あいつはウルに固執しすぎて何も見えなくなってんだよ」

 

「じゃあ、止めないとな」

 

「当たり前だ。あのバカは俺が止める...止めなくちゃならねぇ。あいつからウルを奪った...ウルをあの氷獄に変えてしまった俺の責任だ」

 

「どういう事だ...?」

 

「そうだな...ケリは俺がつけるにしても、ここまで巻き込んだからには俺の事も話しておく責任がある...か」

 

 グレイはそこから自分の生い立ちについて話してくれた。

 

 10年前、デリオラがグレイの住む街を襲い両親を、友人を、故郷をたった一日で全て奪ってしまった。

 そんな時にその街に訪れていたのがウルであり、奇跡的に生き残ったグレイをウルが救助してくれたらしい。

 グレイはデリオラを倒せる力を手に入れる為に、ウルはそんなグレイを保護し育む為に、氷の造形魔法を教わる事になったそうだ。

 

 師匠と兄弟子の三人での暮らし、修業も厳しかったが...それでも、両親を失った寂しさや憎しみを一時的には忘れてしまう程には賑やかなひと時だったらしい。

 

 しかしそんなある日、街中でデリオラの動向を聞いてしまったグレイは当時の憎しみが再燃してしまい、ウルの制止を振り切ってデリオラの元に向かってしまった。

 

 当然、なすすべもなくデリオラに殺されかけたグレイを救ってくれたのは、これまたウルだった。

 ウルはリオンと一緒にグレイを止めに来たが、デリオラとの接触に間に合わず戦闘が勃発。未熟なリオンはすぐにダウンしてしまっていた。グレイはウルの指示でリオンを連れて退避しようとしたが、そのタイミングでリオンは目を覚ましてしまう。

 

 リオンはウルが最強の魔導士だと信じて疑っていなかった。また、とある最強の魔法を隠していた事も知っており...それを使わないウルは本気で戦っていないのだと激昂する...いや、ウルがデリオラなんかに負けないと信じたかったのだろう。リオンはデリオラに為す術のないウルに代わってデリオラを倒すべく、その魔法の構えを取る。

 

「それが、絶対氷結(アイスドシェル)....」

 

「あぁ。だけど、ウルはリオンを氷漬けにしてそれを止めたんだ...とはいえ、ウルでもデリオラには勝てないのは事実。結局、リオンと同じ魔法を使うしか術はなかった...自らの肉体を氷へと変換し、対象を絶対に溶けない氷の牢獄に永久に閉じ込める禁忌の魔法を」

 

「じゃあ、あの氷は...」

 

「あぁウルそのものだ。ウルはあの時言ってくれた...おまえの闇は私が封じてやる、と。氷となって永遠に生き、お前たちを見守っている、と...だから、あの氷を溶かさせる訳にはいかねぇ!他ならぬあいつにだけは...!!」

 

 グレイがそこまで話してくれた所で、森を抜けて遺跡が見えてきた...

 

「遺跡が...傾いてる?」

 

「ナツだ。あいつが言ってたイイコトってのは遺跡の基礎をぶっ壊して傾ける事だったのか...!」

 

「でかしたな。これで月の光がデリオラに当たる事はねぇ...心置きなくリオンと決着がつけられる訳だ」

 

 あいつまじでファインプレーすぎるだろ!ほんとこういう頭の冴えには純粋に尊敬の念を抱いてしまう。俺はこういう柔軟な発想に乏しいからな...ドライグにも少しは見習えとよく怒られる。

 遺跡に向かおうと走る速度を上げようとした時、魔法が飛んでくる...!すぐさまエルザさんがそれを斬り捨てた。

 

「見つけたぞ妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!」

 

 覆面の男達、月の雫(ムーンドリップ)の儀式をしていた奴らが俺達を囲んでいた。

 

「...囲まれたか。ここは私達に任せろ、グレイ。道は開けてやる...リオンとの決着をつけるのだろう?」

 

「おう....!」

 

 グレイが走り出すのでエルザさんが先行し、即座に覆面達を切り飛ばして道を開けた。

 

「ルーシィとイッセーは私とこいつらの相手だ...!いいな!?」

 

「はい!!」「おう!!」

 

 俺は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を起動し、覆面達に殴り掛かる。

 まだ本調子とは言えないが、しっかり治療も施したし一晩眠ったのでそれなりに体調は整ってる。これくらいなら問題ない!

 

『Boost!!』

 

「開け!金牛宮の扉....タウロス!!」

 

「Moooo!!!」

 

 タウロスが雄たけびを上げると覆面達はその圧力にたたらを踏む。

 

「...こりゃあ、負けてられねぇな!」

 

 俺は一層やる気を出して駆け出した。

 

 ────────────────────────ー

 

 覆面達を全員倒した頃、大きな揺れが俺たちを襲った。

 

「...なんだ?」

 

「い、遺跡が...!」

 

 ルーシィの声に遺跡の方を向くと、傾いていた遺跡が元に戻り始めていた。

 

「なんだぁ!?」

 

「わからん...が、私達も中に向かった方が良さそうだな」

 

 エルザさんに従って俺たちも遺跡へと向かっていく。

 中に入ると、遺跡をぶち抜いて紫の小さな光が下へと降り注いでいた。

 

月の雫(ムーンドリップ)が降りてきてる!?」

 

「まずい...!デリオラの復活はもうすぐって話だった。今すぐ止めないともういつ復活するかわかんねぇぞ!」

 

 俺達は一度通った道なので、急いで上へ上へと登っていく。

 最上階では、ケモノ男が月の雫(ムーンドリップ)の儀式を行っていた。

 エルザがケモノ男に肉薄し、斬り捨てる。

 

「ぎゃぁー!!....っもう遅いんだよ!!気付けよバカ!!」

 

 ケモノ男が吹き飛びながら俺達に吐き捨てる。

 瞬間、腹のそこまで揺らされるような大音量の叫び声が聞こえた。

 

「う...ぐ...!!」

 

 声だけでビビってしまいそうな程の威圧感があった。こんな奴が暴れたら小さいガルナ島なんてあっという間に...!!

 

「とにかくデリオラの居る場所に降りるぞ...!!」

 

 エルザが月の雫(ムーンドリップ)の穴から飛び降りたので俺もそれに続く。

 

「ルーシィは普通に降りて来てくれ!!」

 

「え、ちょっと私だけ置いてけぼり!?」

 

 ルーシィの声が聞こえたがもう穴に降りてしまった。

 

「くそ...!!ドライグ!!俺の腕をくれてやる!!だから禁手化(バランス・ブレイク)を...!!」

 

 どれくらい効果があるかは分からないが、もしかしたらあの化け物を少しは足止めできる力が手に入るかもしれない...!!

 

『いや...その必要はないだろうな』

 

「どういう事だ?」

 

『デリオラとかいうデカブツ...もうとっくに死んでいる』

 

「あ!?でもすげぇ雄たけびが...」

 

『あれは断末魔だ。あれが生きているのであればあの程度のか弱い叫びでは済まないだろうよ』

 

「そ...そうなのか?」

 

『あぁ。信じられんなら見てくればいい』

 

 穴を降りて、最下層まで降りると...デリオラが大量の灰になって崩れ去っていた。

 

「まじか...」

 

『恐らく絶対氷結(アイスドシェル)とやらの中でじわじわと生命力を奪われ続けたのだろうな』

 

「すげぇ...」

 

 目の前では、グレイが零帝...リオンに肩を貸していた。良かった、仲直りは出来たみたいだな...ナツもボロボロだけど元気そうだ。

 

「ナツー!!」

 

「おぉイッセー!!」

 

 俺はナツに向けて手を振りかぶる。ナツもそれに合わせてハイタッチした。

 

「これで、S級クエスト達成だな!!」「これで悪魔の呪いに集中出来るな!!」

 

「「あ?」」

 

「何言ってんだよ。敵は全員倒したんだから終わりだろ?」

 

「それと悪魔の呪いには直接関係がないじゃねぇか」

 

「なんでだよ」

 

「いいか?悪魔の呪いが月の雫(ムーンドリップ)の影響だって言うなら、俺達が倒した眉毛とかゴスロリちゃんとか、ケモノ男とかはどうなんだよ...」

 

「そりゃ、自分たちの魔法なんだからどうにかよぉ」

 

「で、どうなんだ...?零帝さんよ」

 

「....俺達は月の雫(ムーンドリップ)を浴び続けていたが、特に対策などしていない。そもそもあの魔法にそんな副作用はないはずだ。膨大な魔力の余波を浴びる事は種族の垣根を越えて変化する事の原因にはなりえないだろう」

 

「やっぱり...な。あの...その...エルザさん?」

 

「なんだ?」

 

 ギロリと睨んでくる。

 

「その...出来ればこの依頼、最後までやりきりたいなぁというか...村を守り切れなかったお詫びと言ったらなんですけど、せめて悪魔の呪いだけでもどうにかしたいなぁって、思いまして...」

 

「.....ハァ。ここまで乗りかかった船だ。貴様等が資格を持たぬ身であろうとも、村人達は呪いを解いてくれる事を大いに期待しているだろう...これを裏切れば妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名に傷がつく」

 

「エルザさん...!」「ハハッ!」

 

「ルーシィが合流したら早速村に向かうぞ」

 

「え、もう解呪の方法が分かったんですか?」

 

「大方な...」

 

 エルザさんの言葉に俺達の顔は明るくなる。やっぱ本物のS級魔導士は全然違うな!!流石エルザさん!!

 その後エルザさんが零帝にいくつかの質問をしていた。俺には核心的な事は分かっていないが、エルザさんはもう気付いているのだろうか?だったら教えて欲しいけど...まぁ、種明かしまで自分で考えてみるか!

 

 ────────────────────────────────ー

 

 それからルーシィと合流して村の資材置き場に向かった。

 

「あ?誰もいねぇぞ」

 

「どうしてだ...?」

 

「ふむ、ひとまず誰かいないか捜索するか」

 

 しばらく皆で人が居ないか探していると、村人が外から走って来た。

 

「皆さん戻りましたか!!た、大変なんです!!!」

 

「どうかしたのか?」

 

「と、とにかく村まで急いでください...!!」

 

 俺達はやけに焦っている村人についていく。何か問題があったのだろうか...?あの焦りようだと、村の危機か?

 

 疑問は尽きないが、村の場所まで距離はそれほどない。見ないと何も始まらないだろう...

 そう思ってしばらく走っていると、木の囲いが見えてきた。

 

「あれ...?あのゼリーで村の囲いは全部消えてたよな?」

 

「は、はい...!まぁ、見ていただけると早いかと!」

 

 村人にそう言われてしまったので黙ってついていく。

 門を抜けた先にあったのは来た時と全く同じ村の様子だった。

 

「どうなってんだこりゃ!まるで時間が戻ったみてぇだ!!」

 

 ナツがそう言いながら壁の強度を確かめるようにガンガンと叩く...あ、ヒビ入った。

 

「せっかく治ったんだしアンタは触らない方がいいわよ」

 

「時間...?」

 

「ナツ、なんか心当たりでもあんのか?」

 

「あー...いや、なんでもねぇ!」

 

「...?」

 

 ナツが良いと言うならまぁ、いいか。

 しばらく村を散策していると村長が現れた。

 

「村を元に戻してくれたのはあなた方ですかな?それについては感謝します...しかし!魔導士殿!!一体いつになったら月を壊してくれるんですかな!!?ほが──!!!」

 

「ひぇーっ!」

 

 ルーシィがあまりの圧に軽く悲鳴を上げる。

 

「すみません。でも、必ず解決してみせますんで、もう少しだけ待ってくれませんか?」

 

「ほが...あなたは私とボボの墓を庇ってくれた魔導士殿...うむ、あなたがそうおっしゃるなら、もう少しだけお待ちいたしましょう」

 

「あんたにはやけに従順ね...いやまぁ、当然かもだけど」

 

「ご老公。本日中に月を破壊してみせるが、その前に確認したい事がある。皆を集めてくれないか?」

 

 エルザさんの言葉に村長が頷いて、村人に声をかけてくれる...やがて、村人全員が広場に集結した。

 

 ..................

 

「集まってくれて感謝する。月を破壊する前にいくつか質問させてほしい.....君たちは紫の月が出てからそのような姿になってしまった。間違いないか?」

 

 エルザさんが村人達に質問し始める。

 

「はい。正確にはあの月が出ている間だけこのような姿に...」

 

「ふむ。ここまでの情報と合わせると恐らくそれは3年前からということになるな」

 

「うぅむ...まぁ、それくらい経つかも...」

 

「この島では3年間もの間、月の雫(ムーンドリップ)の儀式が行われていた。つまり遺跡には一筋の光が毎日のように見えていたはずだ...つまりこの島で一番怪しい場所ではないか。なぜ調査しなかったのだ?」

 

「そ...それは村の言い伝えであの遺跡には近づいてはならんと」

 

「でも、そんな事言ってる場合じゃなかったわよね。死人も出てるしギルドへの報酬額の高さからみても...」

 

「本当の事を話してくれないか?」

 

「ほがぁ....そ、それが...ワシらにもよくわからんのです...正直、あの遺跡は何度も調査しようといたしました。皆は慣れない武器を持ち、ワシはもみあげを整え何度も遺跡に向かいました...しかし、近づけないのです。遺跡に向かって歩いても気が付けば村の門、我々は遺跡に近づけないのです」

 

「どーゆう事?だって私達は簡単に...」

 

「人除けの魔法が張られてるって訳でもなさそうだったが」

 

「こんな話信じてもらえないだろうと黙ってましたが...」「本当なんです!遺跡には何度も行こうとしました!!」「それでも誰一人たどり着けなかったんです!!」

 

 村人達は次々に、真剣な表情で訴えて来る。

 

「やはり...か」

 

「やはり?」

 

「あぁ。謎は解けた。後は月を破壊するだけだ...ナツ、ついでにイッセーついて来い。イッセーは倍加を始めていてくれ」

 

「お、おう?」

 

『Boost!!』

 

 俺達はエルザさんに連れられて村の物見やぐらを登る。エルザさんが換装する...おぉ!やっぱ換装はエロ...うぉっ!

 唐突に拳が飛んで来た。ギリギリ避けられた...

 

「そう言えばお前の矯正も有耶無耶になっていたな...罰共々覚悟しておけよ?」

 

「は、ひゃい!」

 

 ごつごつとした鎧に換装したエルザさんに睨まれる。こえぇ...

 

「この鎧は投擲力を上げる巨人の鎧。そしてこの槍は闇を退けし破邪の槍」

 

「おぉ!それをぶん投げて月を破壊すんのか!!すっげぇ!!」

 

 ナツのテンションが爆上がりする。俺もちょっと楽しみだ...エルザさんなら月を壊せるのだろうか?

 

「あぁ。だが、これだけでは届かないだろう...そこでイッセーとナツの力を借りたい。イッセーは私達に力の譲渡を、ナツはその後私の投擲に合わせて石突きを思いっきり殴って欲しい」

 

「はい!」「おう!!」

 

「....いくぞ!」

 

 よし...せっかくなら最大威力に挑戦してみるか。

 

『Boost!!』

 

 物見やぐらに上がるまでの間もずっと倍加していたし、ここについてからもそれなりの時間が経ったのでもう限界近くまで力が溜まっている。

 

「いきます!!」

 

『Transfer!!』

 

 俺はエルザさんとナツ、ついでに巨人の鎧と破邪の槍の性能にも力を譲渡した。

 

「...ナツ!!」

 

「そらぁ!!」

 

 エルザさんが振りかぶると同時にナツも炎を拳に纏い、ドンピシャのタイミングで石突きに殴り掛かる。

 

「届けぇぇ──ー!!!」

 

 槍は凄まじい勢いで上空へと飛んでいき...ついに...月にヒビが入った。

 

「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

 

「「嘘だ────!!!」」

 

 バキバキとヒビが入っていき、ついに...月が...月が、あれ?

 バリバリと何かが砕ける音がして、夜空にいつもの月が現れた。

 

「え!?」

 

「割れたのは月じゃない...?空が割れた?」

 

「どうなってんだこれぇ!!」

 

「この島は邪気の膜に覆われていたんだ。月の雫(ムーンドリップ)によって発生した排気ガスだと思っていい。それが結晶化して空を覆う事で月が紫になっていたわけだな」

 

「邪気の膜が破れ、この島は本来の輝きを取り戻す」

 

 村人達がきらきらと輝きだす...ついに呪いが!と思ったが、キラキラが収まっても姿は変わらないままだった。

 

「あ、あれ?」

 

「もとに戻らねぇのか...?」

 

「いや、これで元通りなのだ。彼らは上空の魔力の結晶によって記憶に影響を受けていた訳だ。夜になると悪魔になってしまうという誤った記憶を植え付けられた...つまり」

 

「つまりぃ!?」

 

「これが彼らの本来の姿...ここは悪魔達の住む島だったんだ」

 

「ま...まじか?」「うぅむ...まだ少し混乱しとりますが...」

 

「彼らは人間に変身する力を持っていた。その人間に変身している姿を本来の自分だと思い込んでしまったのだ...それが月の雫(ムーンドリップ)による記憶障害。リオン達が無事だったのはこの記憶障害が悪魔にだけ効果があるものだからであろう。遺跡に近づけないのも彼らが悪魔だから、聖なる光の充満したあの場所に近づけなかったということであろうな」

 

「やっぱり、あんたらに頼んで正解だったぜ」

 

 ふと、誰も居ないはずの方から声が聞こえたので振り返ると、そこには俺達の目の前で消えた船乗り...村長の息子のボボさんがいた。

 

「ゆ、幽霊!!?」

 

「生きてるさ!」

 

「え、でもだって...」

 

 村人がボボさんの墓と本人を何度も見比べる。

 

「はははっ!胸刺されたくれぇで悪魔は死なねぇだろうがよ!そんで魔導士さん達の疑問には...こうさ!」

 

「うおっ!」

 

 ボボさんが一瞬で消えた...良く見ると翼を生やして上空に飛び上がっていたらしい。なるほど、海でこれをされたら絶対に落ちたと思う。

 

「俺は一人だけ記憶が戻っちまって、自分達を人間だと思い込んでる村のみんなが怖くて怖くてよ....この島を離れちまったんだ」

 

「おぉ...おぉ...!ボボぉぉ!!」

 

 村長が翼を生やしてボボさんの方に飛んでいく。

 

「やっと正気に戻ったな親父!」

 

 みんなもそれにつられて羽を生やして空を羽ばたいていく...

 

「ふふ、悪魔の島...か」

 

「でもよ、みんなの顔を見てっと...悪魔ってより天使みてーだな!」

 

 ナツのつぶやきについ笑みが浮かぶ。確かに、これは悪魔って感じじゃないな。みんなとっても幸せそうで、こっちまで幸せな気分になってくる。

 

「今夜は宴じゃ──!!悪魔の宴じゃー!!」

 

 俺達は村のみんなと一晩中宴で騒ぎ明かした。

 色々な事があったけど、結局全部丸く収まってくれて良かった。

 

 グレイの師匠と、この村を治してくれた奴...この二人が居なかったらこんなに楽しい宴なんて開けなかっただろう。俺は顔も分からない二人に感謝の念を送っておいた。

 

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