DxD TAIL   作:min-can

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エレメント4、激突します!!

 ルーシィの家で一泊した後、少し買い物に出ると町で嫌な噂を聞いた俺はみんなを呼んで現場へと駆けつけた。

 

 南口の公園には人が集まっており...その中心に向かうと、一本の木があった。

 

 そこには、ジェットとドロイとレビィちゃんが血だらけで磔にされており、レビィちゃんのお腹には幽鬼の支配者(ファントムロード)のギルドマークがつけられていた。

 

「レビィちゃん...」

 

「ジェット!!ドロイ!!」

 

 誰がこんな事を...いや、鉄で木に磔にされてるんだ。誰が犯人かなんてわかり切ってる。ギルドを壊したのも三人をこんな目に遭わせたのも全部全部鉄の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の仕業だ...

 

 俺が拳を握りしめて怒りに耐えていると、後ろから強大な魔力の波動を感じた。

 振り返るとそこにはじいさんが居た。

 

「ボロ酒場までは我慢できたんじゃがな。ガキの血を見て黙ってる親はいねぇんだよ...」

 

 じいさんはバキリと持っている杖を握り折った。

 

「戦争じゃ」

 

 ぽつりとつぶやいたその声にはとてつもないほどの怒りが込められていた。

 

 ...................

 

「....!!どこ行ったんだルーシィのバカ!!」

 

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)のみんなでファントムに襲撃をかけるというタイミングでルーシィがどこかに行ってしまった。

 襲撃に行くならはやく集合して欲しいし、そうじゃないならみんなが居ないこのタイミングで一人になるのは不味すぎる...次に襲われるのはルーシィかもしれないのに!!

 

 何個かルーシィが行きそうな場所を探したが見つからない。

 

「くそっ...!襲撃に間に合わねぇ...いや、ルーシィの方が万倍大事だ。それにナツがいる、皆が居る...あっち充分だ。俺は早くルーシィを...!」

 

 後、考えられるのはレビィちゃん達が入院している病院だろうか?

 俺はその方向に向けて急いで駆け出した。

 

「...雨。はぁ、はぁ...不吉だな」

 

 しばらく走っていると雨が降り出した。すごく嫌な予感がする。

 何かは分からないが嫌な予感が泊らないんだ...

 

 そして、ついに見つけた。

 

 ルーシィが二人組の魔導士によって水の牢に捉えられていた。

 

「おい...何をしてるんだお前らは...!!!」

 

『Boost!!』

 

 俺は二人に向かって駆け出す。

 

「おやおや、貴方は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士ですかな...?これはなんとタイミングの良い!囚われのお嬢さん(マドモアゼル)を救いに来た騎士(シュバリエ)といった所ですかな?」

 

「ルーシィを離せ...殺すぞ!!!!」

 

 俺はぐにゃぐにゃと動く男に殴りかかる。全てひらひらと避けられた。

 

「くそっ!!!」

 

「邪魔しないで」

 

 もう一人の女が俺に水の刃を放つ。

 

「ぐあっ!!」

 

 籠手で防御しようとするが、吹き飛ばされてしまった。

 こいつら...!!相対して分かったがちょっとやそっとの倍加で勝てるような魔力をしてない...!おまけにそんな奴らが二人も!!

 

「さて、始末の前に自己紹介をば...ボンジュール、愚者(イディオ)。私の名はソル。ムッシュ・ソルとお呼びください」

 

「ジュビアはエレメント4の一人にして雨女」

 

「エ...エレメント4!!?」

 

 ファントムのS級魔導士か...!!

 

「くそ...なんでルーシィを狙う!!一人だったからか!!」

 

「ノンノンノン、3っつのノンで否定させていただきます。彼女こそが我々が今回あなた方と戦争してでも求めた真の標的(シブル)、ルーシィ・ハートフィリア様でございます...故に、私共はルーシィ様を捕獲できるこのタイミングを待っていたのですよ」

 

「ルーシィ...ハートフィリア...?」

 

「おや、ご存じない!?ノンノンノン...3つのノンでそれはいけませんなぁ。あなたがたはルーシィ様の事を何もご存じないようだ。そのような方々に彼女をお任せするわけにはいきませんな...消えていただきましょう!!」

 

 男がくるくると回る。

 

岩の協奏曲(ロッシュコンセルト)!!」

 

「ぐが...!!」

 

 大量の瓦礫が俺を襲う...!

 

『Boost!!』

 

 三度目の倍加だが...足りねぇ!!

 

水流斬波(ウォータースライサー)!!」

 

 女が放った水が斬撃のように俺に襲い掛かる...!

 

「ぐあっ!!」

 

 肩から脇腹にかけて水の斬撃が通り抜けて吹き飛ぶ...

 

「ぐっ..っ...」

 

「ノンノンノン・ノンノンノン・ノンノンノンノンノンノンノン...3・3・7のノンで否定いたします。その程度の実力で私共に挑もうなどと、笑止千万!!」

 

 男が飛び上がる。

 

砂の舞(サーブルダンス)!!」

 

 砂が巻き上がって俺に襲い掛かる...全身が砂によって嬲られて血が噴き出て来る。

 

「づっ...ぐぁあ!!!」

 

 ダメージに加えて、砂で周囲が見えない。

 

「そぉれ!」

 

 突然目の前に靴裏が現れた。

 

「んがっ!!」

 

 顎を蹴り飛ばされる...!!

 

「づぅ...っ、はぁ...はぁ...」

 

 俺は口から垂れて来る血を拭って立ち上がった。

 

「おや、随分と頑丈(コリアス)な方だ...まだ立ち上がるのですか?」

 

「くそ...」

 

 ダメだ。今の俺では勝てない。今のままじゃ勝てない...!!

 

「ドライグ...!!!」

 

『分かった...少し痛むが意識を保てよ』

 

「あぁ...!」

 

 瞬間、俺の左手に激痛が走る。

 

「ぐ、がっ!!」

 

 籠手が消えて、俺の左手は下から侵食されるように鱗に覆われる。爪が生えて来て、まるで龍の腕のような見た目になっていった。中心にはドライグの眠るラクリマが埋め込まれている。ラクリマの接着部分と俺の腕と龍の手の境界部分にはおびただしい量の血管が浮かんでおり、そのすべてがドクドクと脈動している...

 

「がぁぁぁああああ!!!」

 

「もしや接収(テイクオーバー)?いや、あなたにはそのような情報は無かったはず...おやおや?」

 

「あぁぁぁああああ!!!!」

 

『Welsh Dragon Over Booster!!!!』

 

 俺の全身から凄まじい量のオーラが立ち上る。左腕から始まり、全身が赤い鎧でおおわれていく...!!

 これが...これが...!!

 

「輝きやがれっ!!!赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)ぁぁぁぁ!!!」

 

『Welsh Dragon Barance Breaker!!!!』

 

赤龍帝の(ブーステッド・ギア・)(スケイルメイル)!!!」

 

 全身に赤い鎧が装着され、ところどころに赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)のようなラクリマが埋め込まれている。そしてこの腹の底からあふれ出すような魔力とオーラの塊...!!

 

「これが...禁手化(バランス・ブレイク)...」

 

『あぁ...お前が支払った代償に相応しいだけの力を与えてやる。20分。20分だけその力をお前は扱える...最大まで倍加する度に5分程の力を使うと思ってくれ。四度目の倍加はないと思え』

 

「充分だ!!!」

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Booooooost!!!!』

 

 ただでさえ、桁違いだった力が凄まじい勢いの倍加によってとんでもない所まで行ってしまう。

 

「ノ...ノンノンノン!そのような力...!!聞いておりませぬぞ!!」

 

「今覚えたからなぁぁぁ!!!らぁっ!!!」

 

 俺は男に殴り掛かる!渾身の一撃は、男には避けられたが地面を通じ周囲の建物にまでバキバキとヒビを入れてしまう。

 

「っな...なんだその威力は...!!」

 

「次は外さねぇ...!!」

 

水流裂鞭(ウォーターカーネ)っ!!!」

 

 女が鞭のような水で俺を襲うが欠片もダメージを受けない。

 

「...女を殴る趣味はない。今すぐルーシィを解放すればお前だけは逃してやる」

 

「ふ、ふざけないで...!そんな事...そんな、事....っ!」

 

 俺が一歩一歩女に近づく度に、女は後ずさりに顔色が悪くなっていく...

 

「ジュビアに物理攻撃は...効かない...から...っ!」

 

「今すぐこの水を解け...!!」

 

 俺が右腕を振り上げると、最後には女は水の拘束を解いてしまった。

 

「っ....げほっ!!げほっ!!」

 

「ルーシィ!!!」

 

 俺はルーシィに駆け寄る。意識は無いが息はしている...良かった。

 

「ジュビア様!!仕事放棄はいけませんなぁ!!」

 

 男が俺に岩をぶつけて来る...今の俺にとってはこんなもの砂よりも軽い。

 

「次は当てるって言ったよな...なぁ!!!」

 

「ノ...ノン、ノン....ノォォォォンごぱぁ!!!」

 

 俺は男に近づいて顔面に思いっきり拳を叩きつける...!!

 男の顔面が地面に大きなヒビを作り、更にバウンドしてはるか後方へと吹き飛んでいく。

 

「.....っっ!」

 

 振り向くと女がびくりと震えた。

 

「お前はルーシィを解放してくれた...それに免じて一度だけ見逃す。その代わりそっちのマスターに伝えろ。なんのつもりか知らねぇが、ルーシィを狙うつもりなら...お前ら全員跡形もなく消し飛ばしてやるってな!!」

 

 女は男の方に走って行って、男を抱えると逃げていった。

 

「ドライグ...解除してくれ」

 

 鎧が消し飛んで、元の状態に戻る...左手以外。

 

「はぁ...はぁ...はぁ...」

 

 事前にあいつらにやられてたってのもあるけど、思ったよりもずっと消費が激しい...これは完全に諸刃の剣だな。力が強すぎてあっという間に全部持っていかれそうになる。

 

『あぁ...言い忘れていたが、不完全な禁手化(バランス・ブレイク)は籠手の機能に大きなダメージを与える。しばらくは能力が一切使えないと思ってくれ』

 

「そういう事は早く...!!っいや、わかった。ありがとう」

 

『後もう一つだ...今のではお前が支払った代償にまだ釣り合っていない。後一度は禁手化(バランス・ブレイク)する事が出来るだろう』

 

「そ...そうか!それはありがたい...!」

 

 まだ、ファントムの奴らと戦う事があるかもしれないからな...この力があれば心強い事間違いない!

 

「う...うぅ...」

 

 うめき声が聞こえる。

 

「ルーシィ!!大丈夫か!?」

 

「イッ...セー...?」

 

「あぁ!」

 

「そっか、助けに来てくれたんだ...ありがと...」

 

「当たり前だろ?」

 

「そうだ...鍵...」

 

「あぁ、ここにあるよ」

 

「あっ...良かった...」

 

 それだけ言うとルーシィは再び意識を失ってしまった。

 

「...ギルドに戻るか」

 

 今頃あいつらならファントムの奴らをコテンパンにしてる頃だろう。

 今はルーシィを休ませてやらないといけないし、俺も休まないと流石にきつい...

 ギルドまで保てばいいけど...

 

「はぁ...はぁ...なんで、ルーシィを狙うんだあいつら...!」

 

 俺はルーシィを背負いながらギルドへの道を歩いて行った。

 

 ──────────────────────────ー

 

 ギルドで休んでいると皆帰って来た。

 

「おか!...え、り...」

 

 その姿は明らかに戦いに勝った者たちの姿では無かった。

 

「皆負けた...のか?」

 

「いや、撤退した...マスターの魔力が空にされてしまったのだ。それよりイッセー貴様はどこで...なんだその左手と傷は...!」

 

 エルザさんが聞いてくる。

 

「...ルーシィが居なかったから探してました。そしたらエレメント4を名乗る二人組がルーシィを襲ってて...勝てなかったから、左手をドライグに捧げてすげぇ力を貰って戦ったんです...一人はぶっ倒してやったけど、もう一人は逃がしてしまいました」

 

「そうか。そんな事が...よくやったなイッセー。ルーシィを守ってくれてありがとう...その手は戻るのか?」

 

 俺は首を振る。仕方がない、ルーシィを守る為だったんだ。片手くらい安いもんだ。

 

「そうだ!エレメント4の奴らが今回戦争を起こした理由はルーシィをさらう為だって言ってました!どうしてかまでは分からなかったんですけど、ルーシィ・ハートフィリア様とかなんとか...」

 

「ハートフィリア...?」

 

「それって国でも有数の資産家の家名だよな...?」

 

「って事はルーシィがそのハートフィリア家だったって事か!?」

 

「...待て。ルーシィは今敵に襲われて意識を失ってしまっている...いたずらに憶測で物を話すな。本人から話を聞けばいいだけだ」

 

 エルザの一言で落ち着きを取り戻す...とりあえず、ルーシィが目覚めない事には何も始まらないな。

 

「そ、それも大事なんですけど!じいさんが魔力を空にされたって...!!」

 

「......あぁ。マスターはエレメント4の一人、大空のアリアの魔法によって魔力を全て失ってしまったのだ。それで戦闘不能になってしまい、私達は撤退したという訳だ」

 

「そんな事が...」

 

 あのじいさんがやられてしまうなんて、エルザさんから直接聞いても信じられない。

 

「ちくしょう!!絶対卑怯な手を使ったに決まってる!!!」

 

「許せねぇ...次こそは絶対あいつらをぶっつぶしてやる」

 

 空気が重い...

 

「ルーシィ」

 

 俺は眠っているルーシィの前髪を少し撫でる。

 

「何があっても、守ってみせる...例えギルドそのものが相手だって。だから...教えてくれよ、ルーシィが抱えている物。何があっても絶対に味方だからさ」

 

 

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