DxD TAIL   作:min-can

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火竜、倒します!

 散々飯を食い散らかした後、腹ごなしに散歩する事になった。

 

「ぷはぁー!食った食った!」

 

「はぁ...ルーシィちゃんのお陰でダメージは減ったけどそれでも財布が寂しい...」

 

 ルーシィちゃんとの出会いが無かったらいい加減俺もキレる所だった。

 命拾いしたなナツ...次の出先では絶対にこいつらに奢らせる。もう二度とこいつら奢らねぇ...

 

「見て見て~あの船よ火竜(サラマンダー)様の船!あ~ん私も船上パーティ行きたかったなぁ!」

 

火竜(サラマンダー)?」

 

「知らないの!?今この街に来てるすっごい魔導士なのよ」

 

 女の子達が楽しそうに会話する声が聞こえてくる。

 そんなすごそうな奴には見えなかったけどな...くそ、魅了(チャーム)なんてずるい魔法使うような奴がモテモテで船上パーティだなんてこの世はなんて理不尽なんだ...!

 

「あの有名な妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士なんだって!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺達は体をびくりとさせた。

 あのいけ好かねぇ顔は忘れてない。あんな野郎は俺達のギルドには居ないはず...

 

「おいナツ」

 

「ん?」

 

「あんな奴知らねぇよな」

 

「おう」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)を騙るなんて許せねぇよなぁ!」

 

「おう!」

 

「そんな野郎が女の子いっぱい侍らしてるなんて絶っっっっ対に許せねぇよなぁ!!!?」

 

「お...おう?」

 

「あの野郎ぶっ飛ばしに行くぞ...!」

 

「でもどうやって?火竜(サラマンダー)はあの船の上なんだよ?」

 

「そりゃハッピーに運んでもらって...」

 

「おいら一人しか運べないよ?」

 

「俺の魔法で強化するに決まってるだろいつもやってんじゃねぇか」

 

「なるほどぉ...!」

 

「毎回関心したような顔してんのはネタなのか...?まぁいい。来い、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!」

 

 俺は自分の力の源である特殊なラクリマのついた籠手を呼び出す。

 

『Boost!』

 

「後何回か倍加したら譲渡するから、気張れよハッピー」

 

「あい!ネコマンダーの真の力を見せる時が来たみたいだね...!!」

 

「おう、期待してるから頑張ってくれよ」

 

 それから数十秒待った事で俺の中にかなりの力が蓄えられた。

 

「よし...いくぞ!」

 

『Transfer!』 

 

 譲渡の力でハッピーの身体能力が、魔力が、何倍にも底上げされる。

 

「やっぱりすごいよ!今ならおいら何人でも運べそう!!」

 

「おし、行くぞナツ!!」

 

「おう!」

 

 それぞれでハッピーの手に捕まってハッピーが(エーラ)の魔法を発動する。

 

「いくよ!!」

 

 ハッピーが翼をはためかせると凄まじい風が吹き荒れて列車のような速度で空中に飛び出す。

 

「...あ、制御できない」

 

「は?...おいハッピー!譲渡した時はいつも以上に気を付けて魔法使うように何回も言ってんだろ...!!」

 

「あい...ごめん」

 

「ハッピー!お前このまま突っ込むつもりか!!?」

 

「だって止まれないし」

 

「アッハッハ!いいぞハッピーそのまま行っちまえ!!」

 

「あい!」

 

「バカ!!ナツお前...!!俺はお前と違って頑丈じゃねぇんだぞ...!!」

 

「「お...お...うぉおおお!!」」

 

 爆音と共に船の中に突っ込んだ。ゴロゴロと転がって何かにぶつかって更に転がって壁にぶつかる。

 

「きゃああ!!」

 

「うげ...!!ぐは!!!」

 

 痛ってぇ...ん...?なんか柔らかいものが俺の掌に...

 

「痛ーい!!急になんなのよ....って、きゃあ!!この変態!!」

 

 目を開いた瞬間金髪が映ったと思ったら肘が俺の顔面に叩き込まれる。

 

「痛って!!!!」

 

 鼻から血を垂らしながら今の感触を考察する。女の子の声がして、目の前に女の子がいて...あの重量感と柔らかさ...おまけに変態の二文字...まさか、おっぱいだったのか...!?

 俺はこんなラッキースケベで念願のおっぱいに触ったって言うのか...!?ごちそうさまです!!!

 

「あんたどさくさに紛れて...!!ってイッセー!!?どうしてここに...?ってかナツとハッピーも!!?」

 

「うぷ...」

 

 ナツが船酔いで蹲っていた。というか俺もダメだ気持ち悪い...

 しかしまさかルーシィちゃんだったとは...超絶美少女のおっぱい触れたしもう死んでもいいかもしれん。

 

「助けに来て....くれたにしては二人とも動けないのね...」

 

「あい、二人とも乗り物に死ぬほど弱いからね」

 

「じゃあなんで船に来たのよ...」

 

火竜(サラマンダー)の事を倒しに来たんだよ。でもまぁ...ルーシィが居るなら先に逃がさないとね」

 

 ハッピーがルーシィちゃんの事を尻尾で掴んで飛び上がった。

 

「え、ちょ、きゃあ!!どういうこと!!?」

 

「逃がすな!!評議員共に通報されたら厄介だ!!」

 

 火竜(サラマンダー)がルーシィちゃんを狙って火の魔法を発動させる。周りの男達も銃を放つ。

 

「...おい」

 

『Boost!』

 

 俺は気持ち悪くて今すぐに蹲りたい気持ちを抑えて立ち上がった。

 

「ルーシィちゃんを狙ってんじゃねぇ...!」

 

 俺は火竜(サラマンダー)を殴りつける。くそ、上手く力が入らなかった。

 

「ぐ...なんだお前...!」

 

 男の蹴りが腹に突き刺さる。

 

「がはっ...!!」

 

「邪魔するなガキ...!!なんなんだお前らは、急に飛び込んで来たと思ったら船酔いで蹲るわフラフラで殴り掛かって来るわ...!!」

 

 男が更に俺の腹を蹴りつけ、丸くなった俺の頭を踏みつける。

 

「くそ...!あの女は殺したんだろうな!」

 

「一応海には落ちたみたいですが...」

 

「ちっ...くまなく探せバカ!!万が一にでも逃げられたら面倒だぞ!!」

 

 男は俺に唾を吐きつけて外に出ようとした。

 

『Boost!』

 

「待てよ...」

 

 俺は男の足を握りつぶすつもりで掴んだ。

 

「ぐ...!なんだお前!さっきより力が...!」

 

 男が何度も俺の頭を踏みつけるが俺は構わず握り続ける。

 

『Boost!』

 

「ぐ...ぐあぁ!!なんだその力は...!!!」

 

「ルーシィちゃんをこれ以上狙ってみろ...!ぶっ殺すぞ...!!」

 

「があぁぁ!!やってみろバカが...!!」

 

 男が炎を俺に向けて放つ。

 

「ぐぅぅ...!!」

 

『Boost!』

 

 俺は熱に耐えながら更に力を強める。いっつもナツと喧嘩してんだ!!こんなチンケな炎痛くも痒くもねぇ...!!

 

「折れる...!!待て...!!折れる...!!!」

 

 バキバキと音が鳴り始めた瞬間だった。船が凄まじい勢いで何かに叩きつけられ、がっくんがっくんと揺れながら高速移動し始めた。そして、ひと際大きな衝撃と共に揺れが収まった。

 

 突然の衝撃で男の足を離してしまったが...これなら動ける...

 

「おいナツ...」

 

「あぁ。揺れが収まった...」

 

 二人で立ち上がった所で扉が開いた。

 

「イッセー!ナツ!だいじょうぶ!?」

 

 ルーシィちゃんの声が聞こえる。良かった、無事みたいだ。

 

「じゃあ後はお前らをぶっ飛ばすだけだなぁ!!」

 

「なめてんのかお前ら...!!」

 

 火竜(サラマンダー)の部下達が俺達に襲い掛かって来る。

 俺とナツは一撃でそいつらをぶっ飛ばす。

 

「...お前、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士なんだってな」

 

 ナツが男に話しかける。

 

「あ?それがどうした!...くそっ!痛てぇ...!」

 

「俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツだ!おめェなんか見た事ねぇ」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!?ナツが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士なの!!?じゃあイッセーも...?」

 

 ルーシィちゃんの驚く声が聞こえる。

 バレちゃったか...じゃあしょうがない。

 

「たくさんの女の子達の心を最低の魔法で弄びやがって...!!しかもその女の子達を侍らせて船上パーティでイチャイチャしてるとか絶対に許さねぇ!!!......後ついでに妖精の尻尾(フェアリーテイル)も騙りやがって許さん!!」

 

「あれぇ!?滅茶苦茶私情が入ってるみたいですけどー?」

 

「あい、イッセーはモテモテな火竜(サラマンダー)が許せなくて来ただけだからね」

 

「私を助けに来たんじゃなかったの!!?」

 

「もちろんルーシィちゃんが居るって知ってたら助けに来たって!!でもまさかこんな所に居るとは思わなかったから!!」

 

 俺はルーシィちゃんに釈明する。

 

「それは...こいつに妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入れてあげるって騙されて...」

 

「ルーシィちゃんを騙しやがって絶対許さねぇ!!」

 

『Boost!!』

 

 俺とナツは上着を脱いで臨戦態勢に入る。

 

「お...おい、あの紋章!!あいつら本物だぜボラさん!?」

 

「バ...バカ!その名で呼ぶな!!」 

 

「ボラ...紅天(プロミネンス)のボラ、数年前「巨人の鼻(タイタンノーズ)」っていう魔導士ギルドから追放されたやつだね」

 

「聞いたことある...魔法で盗みを繰り返してて追放されたって!」

 

「お前の名前ボラっていうのか!大ボラ吹きにぴったりな名前だな!!」

 

「うるせぇガキ!!お前だけは許さん...!!」

 

 ボラが俺に向けて炎を放つ。

 

「ナツ」

 

「おう!」

 

 ナツが俺の前に飛び出して炎をその身に受ける。

 

「ナツ!!イッセー!!」

 

 ルーシィちゃんの心配そうな声が聞こえるが全く問題はない。

 

「....まっずい。何だコレ、お前本当に火の魔導士かよ...こんなマズい火は初めてだ」

 

 ナツが火を食べている。相変わらず気色の悪い光景だ...

 

「「「「は....はぁ!!!?」」」」

 

 周囲が驚きの声で包まれる。

 

「ふぅ、ごちそうさまでした...食ったら力が沸いてきた!!」

 

 ナツが魔力を高めて、腹の中から炎を沸き上げる。

 

「ボ...ボラさん!!俺はコイツ見た事あるぞ!!...桜色の髪に鱗みてぇなマフラー...間違いねぇ!こいつが本物の...!!」

 

火竜(サラマンダー)...」

 

「火竜の...咆哮!!!」

 

 ナツの放った炎が周囲を燃やし尽くす。

 

「よーく覚えとけよ。これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の...魔どうぎゅ!」

 

 ナツがボラ相手にカッコよく決めそうになっていたので俺はナツのマフラーを引っ張る。

 

「おい待て!!そいつは俺の獲物だ!!」

 

「げほ...!おいイッセー!てめぇ何しやがる!!」

 

「そりゃこっちのセリフだ!!何良い所全部持ってこうとしてんだお前!!」

 

「あ!!?関係ねぇだろ...!やったもん勝ちだ!!」

 

「だったら今から俺がやるから任せろ!他の奴らは全部お前に譲ってやるから!」

 

「ふざけんな!全員俺がやるに決まってんだろ!!」

 

「なんだと!?大体なぁお前俺にどんだけ借りがあると思ってんだ!こういう時くらい譲ってくれてもいいだろうが!」

 

「それとこれとは関係ねぇよ!!」

 

「あるっつの!!」

 

「なんだやんのか...?」

 

「あん?上等だよ、今日の喧嘩の続きといこうぜ...」

 

「よぉし!勝負といこうじゃねぇか...!今日もぜってー勝つ!」

 

「バカ言うな!今日も俺が勝つ...!!」

 

 俺とナツは殴り掛かった。互いの頬を殴った拳から凄まじい衝撃波が発生する。

 

「ぐ...っ!」「ちっ...!!」

 

 そこからは殴る蹴るの応酬だ。どっちが先に倒れるかの男の勝負。

 俺の拳がマストをへし折り、折れたマストをナツが振り回し、マストを俺の足が砕き、ナツが炎を吐き、俺が拳圧でそれを吹き飛ばし、互いの腹に向けて拳を放つ。

 

 片方が吹き飛べば、追撃にかかった相手を飛ばし返し、目の前の障害物を全て薙ぎ払いながら相手に襲いかかる。

 

 周囲の影響など考えずにひらすらに暴れ続ける。

 

「ハハッ!!」「アッハッハァ!!!」

 

 互いに思いっきり好きなだけ暴れる。どれだけ暴れても全部受け止めてくれる。

 

「ぶっ倒れろ!!!」「てめぇがな!!!」

 

 互いの拳がぶつかり合って鈍い音が響き渡る。

 

「ちょ...ちょっと!!暴れすぎよ...!!仲間同士でなんでこんなに...!!」

 

「いつも通りの事だから気にしなくていいよ。スッキリしたら元の仲良しに戻ってるから」

 

「そりゃあ本人達はいいのかもしれないけど...!港がめちゃくちゃー!!!」

 

 ルーシィちゃんの叫び声が聞こえるが今はどうでもいい。やっぱりナツは強えぇ...!!楽しい!!

 

「火竜の...!!!」

 

「ドラゴン....!!!」

 

「咆哮!!!」「ショット...!!!!」

 

 炎と俺の魔力弾が混ざりあい凄まじい爆発が起こる。

 

「キャー〜!!ちょっと!!死んじゃうってば!!」

 

「逃げるよルーシィ」

 

「えぇ!?ちょっと本当に放っておいていいの!?」

 

「あい。どうせもうすぐ喧嘩も終わるしね」

 

「どういう...」

 

「この騒ぎは何事かね!!」

 

 ふと、野太い声が聞こえたのでナツと一緒にそちらを向く。

 

「やべぇ軍隊だ...!」

 

「逃げるぞイッセー!」

 

 俺達はすぐに喧嘩をやめてルーシィちゃんを運んでいるハッピーの元へと走り出す。

 

「ちょちょちょっと!なんでこっちに来てんのよあんた達!!私まで犯人みたいじゃない!!」

 

「なんでって...入りたいんだろ?俺達のギルド」

 

 ナツがルーシィちゃんを追い抜いて振り返る。

 

「来いよ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!」

 

「....うん!!」

 

 俺達は大声で笑いながらかけていく。

 へと、俺達の家族の元へと帰るため。

 

 新たな家族を迎える為に。

 

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