もう何度目かの天井をぶち破ると、目的の場所についた。
目線を向けると、ナツが怪しげな男に背後を取られており異様な苦しみ方をしている...まさか、こいつがじいさんをやった奴か!!?
「う...が...あ...っ!!」
「ナツ...!!てめぇ!!」
俺はナツの後ろに立つ怪しげな男に殴り掛かった。
「ぐはっ...!!!」
男は俺の存在に気付くのが遅れたので殴り飛ばされた。
「大丈夫か!?」
「ぐ、はぁ...はぁ...その声は...イッセーか!?...って、なんだそのかっけぇ鎧!!」「なんだ──!?」
「
「お、おう...そうだ!」
「よし...さっさとぶっ倒すぞ!!」
「ぐぉ...お前はマスターが言っていた赤龍帝だな?すばらしいパワーだ...!二匹も竜を墜とせる時が来る...なっ!!」
俺はそういって微笑んでいる奴へとブースターを吹かせて急速接近した。
「来ねぇよ!!」
『Boost!!』
より一層力を高めて拳を放つ。
「ごはっ...!!!!!」
バキバキと床を砕いて下の階まで堕ちていく...
「お前が堕ちろ、目隠し野郎...!!」
「つ...強えぇ...!!」
「ドラゴン...ショット!!!!」
俺は下で顔面を抑えて蹲っている奴に向かって魔力弾を放つ。特別に譲渡もしていないが、普段とは比べ物にならないほどの規模の爆発が起こった。
数階分の床をぶち抜いて、エレメント4の男を完全に沈黙させる。
よし...後強大な力の匂いを放ってるのはジョゼとガジルと...と!?
「この匂い...ルーシィの...!!!」
そこまで言った所で巨人が大きく揺れだした...!!
「うぉ...!うぷ!」「ちょっと待て...!今乗り物酔いは...!!」
俺達は二人で吐き気を抑えて座り込む。
「強くなってもそれは相変わらずなんだね」
「ま...ずい...ルーシィが、鉄の
「なんだって──!!」
揺れが収まると、放送が聞こえてきた。忌々しいジョゼの声だ。
『
『痛っ!やっ...!』
ルーシィの小さな悲鳴が聞こえる...そして、大きな打撃音が聞こえた。
『げっほ!!!げほ!!げほ!!...っっ!!』
「あ...い、つ、ら.....!!!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!BoBoost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!BoostBoost!Boost!Boost!Boost!Boooooooost!!』
怒りが燃料となり、体の奥から存在しないはずのエネルギーがあふれ出してくる...
「こ、これがイッセー...?」「こんな魔力、感じた事がない...」
「ナツ...ハッピー...ルーシィを助けに行くぞ...あいつら、死んでも許さねぇ...!!!」
「っ...おう...!!」
俺は全速力で駆け出した。途中でジョゼとルーシィ、ガジルの二手に分かれたようだ。
「もちろん、ルーシィ一択!!!!」
俺は全速力にブースターを加えて尋常じゃない速度でルーシィの方へ向かった。
「おい待てイッセー!!」「待ってよぉ!」
二人の声が聞こえたが待ってられない。一刻も早く、ルーシィを助け出す!!守るって決めたんだ...!!せめて、これ以上は...!!
最速でルーシィの部屋に到着すると...そこには磔にされているルーシィ、ルーシィの顔のすぐ傍に何本か刺さっている刃物、刃物を握っている男が居た...
「お前か...ようやく見つけた...!!」
「ギヒッ!待ってたぜ赤龍帝...!今となっちゃ
「赤龍帝...まさか、イッセーなの!?来て...くれたの?」
ルーシィから驚きの声が聞こえる...良かった。万全って訳じゃないけど、命の危険はないみたいだ...
「さぁ!やろうぜ!!」
「黙れ...」
俺はルーシィの方に駆け寄ってルーシィの拘束を外していく。
「ごめんなルーシィ。守ってやるって言ってるのに、いっつもいっつも...頼りなくてさ...いっつも肝心な時にルーシィをカッコよく守れるくらいの力が無くてさ...」
「そんな事良いから!!あいつが来てる!!」
「よそ見とはヨユーじゃねぇか!」
「ダメぇ!!!」
ガジルが俺に鉄の拳を放つ...俺はそれを後頭部で受け止めたが、無視してそのままルーシィを自由の身にする。
「...あ?なんだそりゃ...」
「ごめん...本当はさ、ルーシィの事守りに来たってカッコよく言いたいんだけど...やっぱだめだ。俺、こいつらが許せない。絶対に許さない...こいつらはギルドを壊した。レビィちゃんとドロイとジェットを傷つけた。じいさんを傷つけた。皆を傷つけた。ミラさんを傷つけた。ルーシィを傷つけた...他にもみんなみんな...!!!」
「イッセー...」
「だからっ!!ここで全員ぶっ壊す!!!」
『Welsh Dragon Over Booster!!!』
俺の感情に呼応するように、際限なく俺の力が高まっていく...
「すごい...これが...赤龍帝の本当の力...!!」
「な...んだ、そりゃ...ぎひっ!意味わかんねぇ!!面白くなってきたぜ!!」
「そうか?こっから先、お前にとって面白い事はひとつも無いぞ...!!」
「赤龍帝ぇぇぇぇぇ!!!」
「ガジルゥゥゥゥ!!!」
俺はガジルに接近して、拳を顔面で受け止めて無視し、逆に顔面を掴んでそのまま床に叩きつけた。
「っっっっっ!!!!!?!?」
「砕け散れ...!!!ガジル!!!」
俺は寝ているガジルの顔面に向かって思いっきり拳を振り下ろす!!
「ぐっ!!!」
寸前で避けられた。床がバキバキに砕けて一つしたの階に落ちていく。
「て、めぇ...!」
「おらぁぁぁぁああ!!!」
空中でガジルの足を掴んで振り回し、壁にぶん投げる。
「ごはっ...!!!」
「逃がすか...!!」
壁を貫通して空中に放り出されたガジルにブースターで追いつき、突進しながら再び壁を突き破って室内に入った。
「ごおぉぉぉ!!!」
「次は逃がさねぇ!!!」
俺はガジルの太ももを思いっきり踏みつけて地面に固定し、狙いを定めて拳を放つ...!!
ガジルは全身を鋼鉄の鱗で覆って防御するが...
「砕け散れっっ!!!」
ガジルのガードの右腕ごとへし折って腹を殴りつけた。
「ごはっっっっ!!!!」
ガジルの口から血が溢れる。致命的な一撃が入ったはずだ...!!
「...もう終わりな訳ないよな...お前には少なくとも後3発は入れてやらねぇと収まらねぇ...」
「が...ごぼ...!クソがっ!!」
ガジルが苦し紛れに放った鉄の拳が俺の顔面に向かってきて...そのまま鎧を砕いて俺は顔面をぶち抜かれた。
「がっ...!!!」
ルーシィの居る階まで吹き飛んでしまった。
「え、イッセー!?さっきの鎧はどうしたの...!?」
「な...んだ...?」
『やはり俺の声が聞こえていなかったか...怒りに我を忘れて力を高めすぎるからこうなる...お前は代償を超えて力を使ってしまった。だから強制的に鎧が解除されたのだ』
「嘘だろ...」
「そんな...!!」
「げほっ...げほっ...やってくれやがって...赤龍帝がぁ!!」
俺はガジルの鉄の足を腹に受けて壁に叩きつけられる。
「ごはっっっ!!」
ガジルが鉄を食べながら俺に近づいてくる...
「ギヒッ!!なるほど、あの力は時間制限ありだったって訳だ...はぁ、はぁ...げほっ、げほっ...!そりゃそうだ...あんなバケモノみてぇな力無制限に使えるならお前はとっくに人間じゃねぇよ」
ガジルが俺の襟首をつかむ。
「右腕のお礼だ...たっぷりと味わって逝けや、赤龍帝...!!」
ガジルに壁に叩きつけられる。
「ごはっ...!!」
「おっと...今のお前はカスみてぇな状態だったな。気を付けねぇと楽しむ前に殺しちまいそうだぜ...ギヒッ!」
「や...やめて!!」
ルーシィが俺の前に立つ。
「あ?」
足が震えてる...
「や、めろ...ルーシィ...!」
「ギヒッッ!!いいぜ、二人とも仲良くじわじわと嬲り殺しにしてやるよ...」
「ひっ...!んんっ!!」
ガジルがルーシィの方に手を伸ばす...もうすぐ届きそうだ。このままだと、またルーシィが...これ以上は!!絶対に...!!
「ふ...ざ、けんなぁ!!」
『Wel...O...t...』
俺の籠手が誤作動を起こしたように少し鳴る。
少しだけ漏れてきた力を使ってガジルにタックルする...
「っ...っと、八!今のはちょっと驚いたぜ...まだそんな力が残ってやがったか」
俺はガジルに顔面を掴まれて地面に叩きつけられた。
「ギヒッ!!ざまぁねぇぜ。何が全員破壊するだ...」
「....っ、はぁーっ、はぁーっ!」
俺は息も絶え絶えになりながらガジルを睨みつける。
「あ?なんだその目は...まだ死なねぇのか?いいぜ...二度とそんな目ができねぇように徹底的に....ごはっ!!!」
目の前からガジルが消えて、変わりに膨大な熱が俺の顔面を撫でた。
「イッセーに何してやがる...!!」
「ナツ...!!」
「ごはっ...テメェ!!」
「あぁ?...良く見りゃずいぶんとイッセーにやられたみてぇだな!もうとっくにボロボロじゃねぇか!」
「
「こいやガジルぅ...!次は俺が相手だ!!!」
ガジルが拳を鉄に変えて殴り掛かる。ナツもそれに合わせて殴り掛かった...!!
バキン!とおよそ拳がぶつかったとは思えない音が鳴り響き、互いに一歩引いた。
「っっっ痛ってぇ...!」「ぐぉっ...!」
互いに拳が砕けてしまったらしい。
「ご...互角...」
「イッセー!!大丈夫なの!?」
ルーシィが俺の肩を揺らす。
「大丈夫大丈夫...これくらい...なんてこと...」
「そんな訳ないでしょ...!あんなにやられたのに!」
「はは、結局これだもんな...カッコわりぃ」
「ううん...そんな事ない!さっきのイッセーは本当にかっこよかったもん!」
「なんで泣いてるんだよルーシィ」
「私、あいつに捕まって...たった一人で、本当に心細かったの...でも、すごい魔力の人が現れて、それがイッセーだって分かって、ガジルの事あっという間に私の前から吹き飛ばしてくれて...かっこよかった。すごく安心したのよ?あぁ、やっぱりイッセーは私を助けに来てくれたんだって」
「そっ...か...じゃあ、まだ、頑張らないと...な」
俺は震える足を叩いて無理矢理立ち上がる。
「だめ!!もう充分に頑張ったでしょ!?これ以上頑張るなんて...それに、そんな事したら次はどんな代償があるのか...!」
『そうだぞ...相棒はもう全ての力を絞り尽くしている。これ以上など存在しない...いい加減もう休め』
「ダメだ...まだ、ジョゼが残ってる...あいつを倒さないと俺達の勝ちにならない」
「それはそうだけど...マスターと同じ力を持ってる人に勝てる魔導士なんてもうどこにも...」
「俺が居る...」
『何を言っているのだ相棒。
「違うんだ...そんな事、俺が一番分かってる」
「え...?」
「俺が弱い事なんて俺が一番分かってるんだ...俺じゃ勝てない事も俺が一番分かってる...でも、それでも...今、この場所でルーシィを!ギルドの皆を守れるのは俺だけなんだ...!赤龍帝の力だけなんだ...!!」
「イッセー...」
「ドライグ...次は左手か?目か?内臓か...?なんだって良い...俺に最後の力をよこしてくれ...!」
『ダメだ。どんな代償を貰った所で、もはやお前の中に戦えるだけの力は残っていない』
「.....くそっ、畜生...!」
今日一日で俺は何度自分の弱さを見せつけられた。俺は今日一日で何度自分の言葉を裏切った。俺は今日一日で何度皆の期待を裏切った...!!
何も守れてない。辛うじて出来るのは最悪を回避できるようにすることだけだ。最高の結末には全く追いつけない...
『.....いや、一つだけ。地獄に垂れる蜘蛛の糸よりもか細いが可能性は残っている』
「なんだ!!?それは一体...!!」
『本当の
「性...質...?」
『あぁ。滅竜魔法の特徴として、己の属性と合致する自然のエネルギーや魔力を吸収し己の糧とするものがあるな』
「あぁ...」
『それを見つけ出せ。俺の力とこの籠手は滅竜魔法とは全く異なるものだが、奇しくも似たような性質を持ってしまった。恐らく、お前にもあるはずなのだ...何かが』
「何か...」
『それはきっと
「俺にとって一番重要なもの...それは...」
そんなもの決まっている。俺は十数年間、それだけを追い求めてきた...それだけを信じ続けてきた...その為だけに生きてきたと言っても過言じゃない...!
「ルーシィ、ドライグ...俺、わかったよ。いや、最初から分かってたんだ。だって、それは俺にとっても一番なんだから」
「それは...?」
『なんなのだ...?』
「決まってる...ルーシィ、君にしか頼めない事がある」
「何!?なんでも言って...!イッセーの為ならなんでもするから!!!」
「S級クエストの報酬...おっぱい...今、貰っても良いか?」
『「は...はぁぁぁぁ!!?!?!」』