DxD TAIL   作:min-can

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最終決戦、始まります!!

「随分と遅かったですね...あれほどの魔力を放っているのですから、ガジルさん程度なら瞬殺なのではと思っていましたが、少々期待外れでしたかね?」

 

 俺がジョゼの居る場所に辿り着くと、軽い口調でそんな事を言ってきた。

 目の前には、ボロボロにやられているグレイ、エルフマン、エルザさん...そして外傷こそ大きくないものの倒れ伏すミラさんが居た。

 

「お前....まだ...まだ、足りないってのか...!!」

 

「足りない...?あぁ、彼らの事ですか?あなたを待つ間、少しだけ私の憂さ晴らしに付き合ってもらっていたのですよ。ついでにあなたがたのギルドも破壊してしまいました...ここの窓からよぉく見えるでしょう?いい景色だ...」

 

 そちらを見ると完全に崩壊してしまっているギルドが見えた。

 

「ドライグ...今なら、どんだけ倍加しても大丈夫なのか?」

 

『...あぁ。存分に怒れ相棒。その感情を全て己の力に変えるがいい』

 

「すぅ....」

 

 俺は目を瞑り大きく息を吸い込んだ...

 

「っっっ...!!ぶっ殺す!!!」

 

「クク...こちらのセリフですよ。塵芥にしてやりましょう!!」

 

「あ゛あ゛ぁあぁああ!!!」

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Booooooost!!!』

 

 俺は背中のブースターを全力で噴かせて接近する。

 

「....っっっ!!!」

 

 ジョゼが魔力の光線を放つ。俺は咄嗟に腕をクロスしてそれを受け止めたが、魔力の奔流に押し流らされる...

 

「ぐっ....が、らぁぁぁぁあ!!!」

 

 俺はオーラを増大させて無理矢理それを打ち消す。

 

「クク...凄まじいパワーですね。私とて、まともに食らえばひとたまりもないかもしれません」

 

「すぐにその顔面、ぐちゃぐちゃにしてやるよ...」

 

「クハハ!やってみろクソガキっっ!!デットウェイブ!!!!」

 

 地面を亡霊のような魔力が伝ってくる...!!

 

「....っっ!!」

 

 俺は辛うじて横に飛んで避けた。

 

「はっはぁぁっ!!」

 

 ジョゼが地面に手を着く。俺の下から同じような魔力が噴き出して来る。避けきれない!!

 

「ぐ、がぁぁぁ!!!っっゲホ!!!」

 

 俺は天井まで吹き飛ばされた。

 ...鎧を貫通してはいないが内部にまでダメージが響く...!!

 

 俺はそのまま天井を蹴ってジョゼに突進した。

 

「少しは考えて接近したらどうかね」

 

 視界がジョゼの魔力波で包まれる。

 

「おぉぉぉぉおおお!!!」

 

 俺はそれを無理矢理突破して接近する。

 

「ほう!」

 

 ジョゼの目前に着地し、確実に殺すつもりで殴り掛かる...が、全てひらひらと避けられる。

 

「ククク...いくら強大な力を持っていようと、使い手が弱いとこの様ですか」

 

「くそっ...!!」

 

 俺は顔面を掴まれてしまう。

 

「話にならんな...!!!」

 

「づっ、....ぐ!!!」

 

 地面に叩きつけられ、ゼロ距離で魔力の波動を食らってしまう。

 

「あああぁぁぁが!!!!」

 

 顔面が無くなってしまうのではないかとほどの衝撃を受けるが...なんとか俺の装甲は持ちこたえてくれる...

 

「づっっっ...がまえだ...!!!」

 

 俺は俺の顔を掴んでいるジョゼの右腕をがっしりと掴む。

 

「貴様...!!!」

 

 右足でジョゼの腹に向かって蹴りを入れる...!!

 

「ごっっっっ...!!!!ぐぶ...!!」

 

 浮き上がって吹き飛びそうなジョゼを無理矢理掴んだ腕で引っ張り、そのまま体の向きを反転させて地面に叩きつけた...!!

 

「ごはっっ...!!ぐぉつ!!!」

 

 ジョゼが二度、三度と地面をバウンドしながら吹き飛んでいく...

 

「はぁ...はぁ...」

 

 足をフラフラとさせながらもなんとか立ち上がる...

 

「ぐぉぉぉっ...き、さま...このケモノが...!!」

 

 ジョゼも同じように立ち上がる。鼻と口からは血が垂れていた...へっ、ざまぁねぇぜ。

 

「今のが私に触れられる最後の機会だったぞ...それを無為にした事を...地獄の底で後悔するがいい...!!!」

 

 ジョゼが魔力を解放する...瞬間、大気中全てが死の魔力に包まれる...!!

 

「これが...聖十大魔道の魔力...!!」

 

 くそ...恐怖で足が崩れそうになる...

 

「上等だ...」

 

 俺も魔力やオーラを混ぜ込んだエネルギー弾を生成する....

 

『Transfer!!!』

 

 膨大なエネルギーが譲渡によって更に爆発的なエネルギーを発した。

 

「それが貴様の最大火力という訳か...いいだろう!!正面から飲み込んでくれるわ!!」

 

 ジョゼも同じように魔力を1つの塊に集束させていく...!!

 

「ドラゴン....ショット!!!!」

 

「デッドエンド!!!」

 

 凄まじい威力の二つのエネルギーが混ざり合い、世界から音が消失する。

 次の瞬間、尋常じゃない勢いで暴圧が吹き荒れた...

 

「ぐ...がぁぁぁぁああ!!!」

 

 余波だけで吹き飛びそうになる。

 あらゆる感覚が飲み込まれ、何も感じる事が出来ない...

 

 それが収まった時...俺の目の前にはジョゼが居た。

 

「.......っ!!!」

 

「ぬるい」

 

「ごぶっっ!!!」

 

 ジョゼが俺の腹に手を当てると、光線が俺の横腹を貫通していく。

 

「ごはっ...!!」

 

 魔力の波に薙ぎ払われて壁に叩きつけられた。

 

「...貴様は強い。それは認めてやろう人の皮を被ったケモノよ...だが、私もただの人間に非ず。本物のバケモノだ...!!思いあがったな赤龍帝...所詮貴様は龍の成り損ないだ。本物の怪物に勝てるはずもなかろう...!!!」

 

 ジョゼの魔力に捉えられ、全身が凄まじい勢いで死の魔力に侵されていく...!!

 

「がぁぁぁああああ!!!」

 

 拘束を解こうと、魔力を解放するが余計に拘束が強まるばかりだ。

 

「無駄だ!!貴様は必ずこの手で消し去ってくれる...!!汚らわしいトカゲモドキがっっ...!!」

 

「ぐうぅぅぅう...!!!づっっっ...、あ゛ぁ゛、あぁぁぁ!!!」

 

 視界が黒く染まっていき、意識が飛びそうになる...その瞬間、一筋の白銀が見えた。

 

「....あ゛?」

 

 先程までの拘束が消えて、地面に落ちる。

 ボロボロの体を引きずって顔を上げると、白銀の鎧を纏った龍が立っていた。

 

「アルビオンが赤龍帝が目覚めたと言うから飛んで来てみれば...こんな雑魚にやられてるなんて、話にならない程弱いじゃないか」

 

『だから言っただろう。目覚めただけだと...勝手にここに来たのはお前だ』

 

「それはそうだけどさ...はは、まいったな。これが俺のライバルか」

 

 白銀の鎧を纏った男はそんな事を言いながら俺の方に振り向く。

 

「...まぁ、腐っても因縁の再会だ。自己紹介は必要かな?」

 

「誰、だ...」

 

『....白龍皇だ。久しいな白いの』

 

 白龍皇...!?つまり、こいつがドライグのライバル、俺と対になる存在だってのか!!?

 別に力を高めている様子もないけど、凄まじい魔力量だ...!!さっきのジョゼなんて目じゃない!!

 

『あぁ。久しいな赤いの』

 

『...せっかくの再会だが、ここは引いてやってくれないか?俺の宿主はついさっき禁手化(バランス・ブレイク)に至ったばかりのとんでもない未熟者でな』

 

『さてな、それは私が決める事じゃない...どうするんだ?』

 

「うーん、そうだな。今戦っても全く面白くないか...しばらく放置してればちょっとはマシになるかもしれないし」

 

 白龍皇を名乗る奴が顎に手をやりながらわざとらしく考える振りをする。

 後ろから、ジョゼが立ち上がっているのが見えた。

 

「おい...!後ろ!!」

 

「ん?...あぁ、まだ立てたのか。存外やるじゃないか」

 

「貴様...げほっ!!何者だ...!!この私を雑魚呼ばわりとは!!!言ってくれる!!!!」

 

 ジョゼが魔力を高めて放つ。

 

「別に、事実を言っただけなんだけどな」

 

『Divide!』

 

 凄まじい魔力の波は、白龍皇に手を向けられると同時に急速に縮小し...軽く右手で振り払われた。

 

「君には全く興味がない。さっさと消えてくれるか?」

 

 白龍皇は瞬間移動したようにジョゼの後ろに現れる。首根っこを掴んで地面に叩きつけた。

 

「ごはっっ!!」

 

『Divide!Divide!Divide!Divide!Divide!Divide!』

 

「な...なんだ...あれは...!!」

 

 ジョゼの体から急速に魔力が...生命力が失われていく。

 

『言っただろう。奴の能力は半減と吸収...あの男の能力が何分の一にも縮小させられていっているのだ。もはや息をするのもままならんだろうな』

 

 嘘だろ...あんなに強い、じいさんと同等の魔導士だっていうジョゼを、一瞬で...

 白龍皇が手を離すと、ジョゼはピクリピクリと動く事しか出来なくなっていた。

 

「ふぅ。興も冷めたし帰るか?」

 

「待て...お前、何しに来たんだ...!」

 

 俺は限界の体を引きずって立ち上がる。

 

「何って、だから言っただろ?君を見に来たのさ...二天龍の片割れ、赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)を。まぁ実態はライバルとして期待外れどころじゃない有様だったけど」

 

 そりゃあ悪かったな...あんなもん見せられると抵抗する気概も出てこない。

 ドライグの言うとおりだった。圧倒的に隔絶した力の差を感じる。

 

「まぁ、これでも因縁の宿敵だ。自己紹介くらいはしておくか...俺の名はヴァ―リ。次に会う時にはせめてこの程度の雑魚なら倒せるくらいにはなっておいてくれよ?」

 

 そう言いながらヴァ―リは鎧のマスクを解除した....その顔は、あまりにも見覚えがありすぎる物だった。

 

「あ...お、前....」

 

「それじゃあまた会おう、宿敵君」

 

「...待て!!」

 

 俺は立ち去ろうとするヴァ―リの肩を掴む。

 

「お前...その碧眼に銀髪、顔立ち...白銀の翼...!!」

 

「なんだ?」

 

「おい...神器(セイクリッド・ギア)研究所を知ってるか...!!」

 

神器(セイクリッド・ギア)研究所?」

 

「俺やお前みたいな、魔法とは少し違う...特殊な能力を持つ神器(セイクリッド・ギア)ってのを生まれ持った人間を集めて研究してた施設だ...!!」

 

「あぁ!名前が違うから分からなかったよ。10年前くらいに俺が誘われた団体か。あまりにくだらない研究をしているものだから、つい解体してしまったよ」

 

「そうか...それじゃあ、槍を持った老人を覚えているか?」

 

「もちろん。彼は素晴らしい力を持っていたからね」

 

「そうか...そうか....!!」

 

 俺は拳を握りしめる...

 ヴァ―リを突き放した。

 

「お...前、かぁぁぁあああ!!!!」

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

「どうかしたのか?」

 

「その老人は...師匠は...!!!俺に生きる意味をくれた!!!あの場所で唯一の俺の光だった...!!そして...俺を逃がすために庇ってくれた!!お前からなぁああ!!!」

 

『Welsh Dragon Over Booster!!!!!!』

 

「...ははっ、見ろアルビオン。何かは分からないがどうやら俺は逆鱗に触れていたらしい!桁違いに力が上がったぞ」

 

『ドラゴンの力はより純粋な想いこそを力の糧にする。お前への怒りが奴の限界を打ち壊しているのだろうな』

 

「しかし、彼が師匠...か。フハハッ!!これは良い!俺達の間にこんな因縁があったなんて...!!やはり二天龍は争う運命にあるという事か!!」

 

「意味わかんねぇ事言ってんじゃねぇよ...!!お前だけは絶対に許さねぇ!!!!」

 

「いいぞ...来い!!」

 

 俺はヴァ―リに向かって突進する...!!

 

「っ...っだぁらぁぁ!!」

 

 全身全霊で殴り掛かる。ヴァ―リはそれを片手で受け止めやがった!

 

「っ...悪くない!!いいパワーだ!!」

 

 そう言うと俺の腹に向けて蹴りを放ってきた...!!

 

『Divide!!』

 

「ごはっ....あぐっ!!!」

 

 バゴンと音を立てて、壁を何枚もぶち破る。

 

「そら、早く立て直さないと死んでしまうぞ?」

 

 ヴァ―リが吹き飛んでいる俺に追いついて、顔面に追撃してきた。

 

『Divide!!』

 

「ごっっっ...っは!!」

 

 先程とは比べ物にならない威力の拳を受ける!!

 

「げほっ...!!なんで...!!」

 

『言っただろう!奴はお前の能力を半減させている。すぐに倍加させなければ一瞬で消し飛ばされるぞ』

 

「そういう事か...」

 

『Boost!Boost!』

 

「そうだ。君が力を高め、俺がそれを奪って己の糧とする...これこそが俺達の戦いだ!!まだ少し物足りないが様にはなってるじゃないか!!」

 

 ヴァ―リが魔力弾を放つ。無数の弾丸が俺の体中を打ち付ける。

 

「ぐぅぅぅぅ!!!!」

 

『まともに受け続けていたら即座に力尽きるぞ!!ただでさえ奴の能力のせいで消耗が加速しているんだ!!』

 

「....ぉぉぉおお!!」

 

 俺は一歩ずつ、前に歩く...少しづつ、魔力弾に逆らって...一歩、また一歩...

 

『Boost!』

 

 まだだ...まだ足りない!!

 

『Boost!!』

 

 亀のような進行は、やがて少しづつ加速していく...!!

 

『Boost!』

 

 もう一度!!

 

『Boooooost!!』

 

 俺は魔力弾に体をぶち抜かれながらもブースターを噴かせてヴァ―リに近づいていく。

 体中に重い衝撃を受けながらも、その痛みは全て無視して急接近する。

 

「突進一辺倒...君はもう少し知恵を磨くべきだな。それじゃあドライグの力を使いこなせない!!」

 

「そうかよ...でもなぁ!!バカも...貫き通せば....!!!」

 

 俺は魔力の弾幕を突き抜けて、ヴァ―リの目の前に飛び出る。

 

「お前を殴れる!!!」

 

「...っ!!」

 

 最後に特大の魔力の波動を食らったが、それも乗り越えて拳を振り下ろす。

 最後の最後、ヴァ―リは魔力の盾を生成したが、それすら打ち破りバキリと音を立ててヴァ―リの兜にヒビが入った。

 

 ふらりと頭を揺らして一歩後退したヴァ―リの顎に向けて逆の拳でアッパー...!!

 ヴァ―リの顎がカチ上がり、少し浮き上がる...

 

「これでっ...!!!」

 

 俺はがら空きになった胴に向けて最後に正拳突きを放とうとしたが、ヴァ―リはダメージなどなかったかのようにこちらを見ていた。

 翼が輝いて目の前から消え去り、俺の拳は空を貫く...背後に回っていたヴァ―リは俺の背中に向けて特大の魔力の砲撃を放った。

 

「ごはっっっ!!!!」

 

 地面に叩きつけられ蹲る俺の腹部に、更に蹴りが加えられた。

 

「おごっっ!!」

 

 胴の鎧が砕け散って俺の生身が丸見えになっている...

 吹き飛びながら、空中で痛みにより一瞬瞑ってしまった目を開くと、ヴァ―リがもう目の前にいた。兜を掴まれる。

 地面に抑えつけられ、そのまま地面を抉りながら何メートルも先まで飛翔する。

 

 最後に手を離されて、俺は勢いそのままに壁に叩きつけられた。

 

「んごはっっ!!」

 

『Burst!』

 

 壁をずり落ちながら蹲る...体が言うことを聞かなくてしゃがんだ状態から立ち上がれない。

 鎧も完全に解除されてしまった。

 

「さっきの連撃は悪くなかった...うん。実力差の割には楽しめたな。腐っても赤龍帝か」

 

 ヴァ―リがこちらにむけて歩を進める。

 

「お前だけは...」

 

 俺は動かない体に鞭打ってヴァ―リの方に手を伸ばす...

 それを無視して逆にヴァ―リが俺に向かって手を伸ばしてくる。俺にとどめを刺すのだろう...

 

 胸の辺りの装甲を掴まれて、片手で持ちあげられる。

 

「ちく...しょう...!」

 

 みんなの仇を奪われて、そいつは俺の仇で...そんな奴にこうして惨めに這いつくばらされて、嬲られて...

 

「ちくしょう...!!!」

 

 ヴァ―リが俺に掌を向ける。このまま魔力の波動で吹き飛ばすのだろう。

 

「そこまでじゃ」

 

 ヴァ―リの後ろから聞き覚えのある声が聞こえる...

 ヴァ―リは俺を手放して後ろを振り向く。

 

「わしの家族に、これ以上の狼藉はよしてもらおうか...白龍皇」

 

 尋常じゃない魔力を滾らせた...じいさんがそこには居た。

 

「じい...さん...」

 

「マスター・マカロフ...!!」

 

 ヴァ―リが嬉しそうな声をあげる。

 

「イッセー...良くやった。本当に良く戦った...誇れ!おぬしがどれだけの戦いを耐え抜いたのかを...じゃから、後は親に任せてゆっくり休むと良い」

 

「じいさん...でも、俺...!!」

 

「良い...凄まじい魔力だ!!そうか、赤龍帝は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に所属していたのか!!...ハハッ、これは良い!!さぁ、やろうか!!」

 

「まぁ落ち着きなさいよ...ここらにはわしの家族が何人も倒れとる。彼らを避難させるくらいの時間、待っておれんのか?」

 

「...あぁ、構わないさ!あなたと戦えるのならば!!」

 

 ヴァ―リは戦闘態勢を解いて、壁に寄りかかった。

 じいさんが俺や、エルザさん達を手を伸ばして優しく握りしめ、少し遠くに置いてくれる。

 更に、造形魔法でソリのような物を作ってくれた。

 

「イッセー。そんな体のお主に無茶を言って悪いが、皆を避難させてくれるか?」

 

「...わかった」

 

 俺はボロボロの体を引きずって、皆をソリに詰め込んで歩き出す。

 

「赤龍帝...!!君に良い事を教えてやろう!!」

 

「...なんだ」

 

「君の師匠...神槍の男は生きている!!」

 

「なっ...!!」

 

「彼は俺と共に行動している...会いたければもっと強くなれ!そうすればその力がいずれ再び君と俺を結びつける...その時は彼も君の前に現れるだろうさ!!」

 

「ま...待て!!!今すぐに!!」

 

「よせイッセー...今は引くんじゃ。もうおぬしの出る幕ではない」

 

「...っ、ぐっ!!」

 

 俺は紐を握りしめる。

 

「さて...もう充分じゃろう。さぁ、後はわしが全部受け止めてやる。存分にその戦意を発散するが良い、クソガキ!」

 

「...感謝しようマスター・マカロフ!!あなたになら俺ももっと力が解放できる!!」

 

 背後から、天変地異と見まがうような魔力の余波が巻き起こる。

 ...これが、ヴァ―リとじいさんの本気か。いや、これでもまだ小手調べなのかもしれない。

 

「なぁ...ドライグ。俺、弱っちいな」

 

『何度も言わせるな...だがまぁ、今日生き残れた事は誇っていい。お前は強くなれるぞ』

 

「....あ゛ぁ!」

 

 俺はフラフラと足を引きずりながら、一歩づつ前に歩みだした。

 その後ろに続く水滴の後には、気付かないふりをした。

 

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