DxD TAIL   作:min-can

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リアル忙しかったのと色々やりたい事あったのでかなり時間かかっちゃいました。
申し訳ない...


星霊の王

 ロキと合流して、呑み屋に入った。

 確かにめちゃくちゃ雰囲気良いところだな...流石ロキ。

 

「らっしゃい...こちらどうぞ」

 

 異様に頭の長い板前さんが俺たちに着席を促す。それに従って俺とルーシィは座ったが...そこから何席も開けてロキが座った。

 

「いや、隣座れよ」

 

「はは、ごめん...」

 

「......」

 

 ルーシィは黙ってじろりと睨んでいる。

 

「そんじゃ、どれにしようかなー...折角だし高いやつを...をー...雰囲気重くないか?」

 

「しょうがないじゃない。誰かさんが露骨に距離開けるから」

 

「........」

 

 ルーシィのトゲのある言葉にもロキは困ったように微笑むだけだった。

 

「あー...んじゃこれ3つお願いします!...ほら、一応俺の故郷の国の酒だぜ?つっても行ったことも見たことも無いんだけどな!アハハ...はは...はぁ」

 

 俺が言葉を発する度に余計に空気が重くなっているように感じる。

 

「...ほんとはもうちょっと雰囲気出来てからにしようかと思ったけど、単刀直入にさ...なんでルーシィをそんなに避けるんだ?」

 

「だから言ってるだろう?僕は星霊魔導士が苦手なんだよ」

 

「その理由を教えてくれって言ってるんだが?」

 

「...昔、色々あってね」

 

「...言いたくないと。はぁ...」

 

「....」

 

 ルーシィがバンとカウンターを叩いて立ち上がった。

 

「この際だから言わしてもらうけどね、あたしはあたしなの!あんたが昔星霊魔導士に何されたかは知んないけど、同じギルドの仲間としてその態度はどうなわけ?」

 

「...ごめん。そうだよね...分かってはいるんだ。君は関係ない。でも...ごめん」

 

「.....あっそ!」

 

 荒々しく座りなおすとルーシィはそっぽ向いてしまった。

 

「あー...はぁ...」

 

 俺はがっくりと項垂れてカウンターを見る。

 すると小さなコップが俺の鼻先に現れる。見上げれば板前さんが俺と同じく冷汗かきながら首を横に振っていた。

 

「すみません、ありがとうございます...」

 

 そこからしばらく沈黙が流れる...

 

「あたし帰る」

 

 ルーシィは突然そう言うと立ち上がってしまった。

 

「おい、ルーシィ...!」

 

「何よ。もう話は終わりでしょ?お金、ここに置いとくから代わりにそのお酒飲んどいて」

 

 ルーシィはそれだけ言うとさっさと出ていってしまった。

 俺も立ち上がって追いかけようかと思ったが、ロキの事もどうしても気にかかって動けずにいた。

 

「...追いかけなくていいのかい?」

 

「....あんなに怒ってるルーシィになんて声掛けたらいいか分かんねぇよ」

 

「ハハ...悪い事したね」

 

「......俺の中じゃさ、ロキ。お前はこれくらいの事器用にどうとでも出来るイメージだったんだよ」

 

「どういう事だい?」

 

「お前がルーシィの事を嫌っていたとしてもだ、普通に接して自然に近づかないようにすればいいはずなんだ。それくらいあんだけ女の子にモテてるお前に出来ない訳がない」

 

「そんな事ないよ。僕はこんなもんさ...それに、ルーシィの事を嫌ってなんか...」

 

「じゃあなんであんなに露骨に避けるんだよ。あんなのされたら誰だって傷つくに決まってんだろ」

 

「そうだね...でもね、ダメなんだ」

 

「お前なぁ!!」

 

 俺はロキの胸倉を掴む。

 

「ダメなんだよ...彼女と、星霊達を見てればわかるんだ...ダメなんだ。このままじゃ、僕はルーシィに縋ってしまいそうになる...」

 

「あ...?」

 

 俺は掴んでいた手を離す。

 

「縋るってなんだよ」

 

「っ...ごめん。忘れてくれ、余計な事を口走った...とにかく、ルーシィには君の方から言ってくれ。酷い態度をとってごめん、もう君の前には現れないから許してほしいってさ」

 

「おい、どういう意味だ...」

 

「ごめん」

 

 それだけ言うとロキが指輪に手を当てた。瞬間、視界を閃光が覆い尽くした。

 

「ぐっ...おい、ロキ!!」

 

 俺は手探りでロキを掴もうとしたが空を切り、引き戸が開く音が鳴り響いた。

 

「くそっ...目がチカチカする...すみません、お代これで!!おつりは結構です!!」

 

 俺はお金を渡して外に飛び出した。

 ...すでにロキは見えなくなってしまっている。

 

「俺は...俺は絶対言わないぞ!!自分の口でルーシィに謝れバカ野郎!!!」

 

 俺は聞こえると信じて大声で叫ぶ。

 

「さっさと出て来い!!キザ野郎!!!」

 

 俺は周辺を走りながら叫ぶ。通り過ぎる人にぎょっとした目や迷惑そうな目で見られるが関係ない。

 あいつ...まるでこれから消えるみたいな事言いやがって...!!

 そんなの絶対許さない。ルーシィの目の前できちんと全部白状して謝るまで、絶対許さねぇ...!!

 

 そんな決意も虚しく、一晩中探し回ったがロキが見つかる事はなかった。

 

 ────────────────────────────ー

 

「...あんたどこ行ってたわけ?」

 

 空も白んで来た頃、旅館に戻るとルーシィが出迎えてくれた。

 

「いや...ちょっとな」

 

「ちょっとって、もう朝なんだけど」

 

「ごめん...もしかして起きててくれたのか?」

 

「だって...せっかくああして機会を設けてくれたのに、ついかっとなって無駄にしちゃったし、一応謝らなきゃって...」

 

「そっか。ごめん...謝らなくてもいいよ。ちょっとだけだけど、あの後話も聞けたしな」

 

「...そうなんだ。で、なんで朝帰りな訳?ロキと楽しく夜遊びでもしてたの?」

 

「違うって...あいつもルーシィみたいに逃げ出したから、ずっと探してたんだ」

 

「ずっと...一晩中!?」

 

「あいつ、おかしな事言ってたんだ...ルーシィに縋りそうになるだの、星霊との関係を見てればわかるだの、もう顔は見せないから許してくれだの...」

 

「縋る...星霊...顔は見せない...?って、え!?どういう事...?」

 

「だから、どういう意味か聞きたくて探し回ったんだけど...完全に撒かれた」

 

「...っ、一旦ギルドに戻りましょう!何かわかるかもしれないし...!!」

 

「あぁ。あいつの顔を見る限り冗談には聞こえなかった。ルーシィの前に現れないってのは、多分ギルドを

 辞めるって意味なんじゃないかと思う。だとしたらギルドに少なくとも後一度は顔を出すに違いない」

 

「行きましょう!!」

 

 俺達は他の四人を叩き起こしてギルドに向かう事にした...ナツやグレイにぐちぐち言われそうになったが、事情を説明すればすぐに戻ると言ってくれた。

 

 ..............

 

「よくわからないな。ルーシィ...というより星霊魔導士か、星霊魔導士を嫌っていのかと思っていたが、そういう訳でも無さそうで...あげく消えるなどとふざけた事を言い出す始末か」

 

 列車の中でエルザさんが呟く。

 

「あぁ...はぁはぁ、色々と意味が分からないんだ...あの言い方だと星霊魔導士の存在というよりも星霊の存在が気になっている様子だった...ルーシィと星霊の関係は別に良好だし、縋るって言い方もなんか引っかかる...あいつと星霊の間になんの関係があるってんだか...うぷ!!」

 

「はいはい...ただでさえ徹夜してるんだから無理しないの。今は寝てなさい...ひとまずギルドに着かないと何も分からないわよ」

 

「そう...だな」

 

 眠れそうには無かったけど、俺は少しでも体を休める為に目を瞑る事にした。

 

「それにしても、本当になんなのよあいつ...全然意味わかんない」

 

「まぁ...ルーシィの事を抜きにしても最近はちょっと様子がおかしかったからな、女連れ歩いてる所も滅多に見なかったし」

 

「あのロキが!?」

 

「ありえん...と言いたい所だが、そういえばしばらく見ていないな」

 

「....ねぇ。顔を見せないってのは....本当にギルドを辞めるって事なのかな」

 

「あ?どういう事だ?」

 

「ギルドを辞めるだけならわざわざ女の子と疎遠になる必要は無いわよね。それに、みんなから見ても明らかに様子がおかしかった...そういえばかなり体調が悪そうにも見えた気がする...うーん、何かが頭の中に引っかかるのよね」

 

「どのみち捕まえて白状させれば済む話だ。今は情報が足りん、考察などしても仕方なかろう」

 

「そうなんだけど...何か大事な事を見落としてる気がして...」

 

 俺はそこまで聞いて、ふと思いついたことがあったので話に口を挟んだ。

 

「そうだ...ロキはルーシィに縋りそうになるって言ってた。つまり、ルーシィならロキの様子がおかしくなった原因を取り除けるって事だよな...はぁはぁ」

 

「星霊...星霊魔導士...待って。まさか、そういう事なの...?いや、でも...」

 

「どうした、何かに気付いたのか?」

 

「うん。一応全部の辻褄は合うと思う...けど、到底信じられない。あり得ないはずなのよ...」

 

「どういう事?」

 

「ねぇ、ロキが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ってからどれくらいになる?」

 

「うーん、少なくとも2年以上は経ってるよ」

 

「2年!?うそ...いや、でも...」

 

「なんだ、間違っていても構わん。言ってみてくれないか?」

 

「う、うん...多分だけど、ロキは...星霊なの」

 

「「「は...はぁ!!?」」」「星...霊?」

 

「前のオーナーと何かトラブルがあったりして星霊界に戻れなくなっちゃったんじゃないかな...それならあたしと星霊の関係を見て何かを感じたって事にも説明がつくし、あたしに頼ってオーナーの鞍替えが出来れば星霊界に戻れるかもと思えば縋ってしまうって部分にも説明がつく」

 

「でもよ...星霊ってのは何年も人間界に居られるもんなのか...?」

 

「まず無理よ。星霊魔導士の魔力がそもそも持たないし...仮に星霊が自分の魔力で(ゲート)を開いたとしても、星霊の生命力は人間界で少しづつ削られていく。一週間でもかなりの苦痛が伴うはずなのに、2年を超すだなんて信じられない...けど、もしそれが出来てしまったとして、その限界が今来てしまったんだったら」

 

「女と疎遠なのも、体調悪そうなのも、俺達の前から消えようってのも全部説明がつく...!!」

 

「うん...あんまりこういうのは良くないんだけど、ロキのオーナーが誰なのか調べてみましょうか」

 

「そんな事出来るのか!?」

 

「うん。開け、南十字座の扉...クルックス!!」

 

 ルーシィが門を開く。

 現れたのはふわふわと浮かぶ十字の頭を持った爺さんだった。なんか妙に頭が特徴的な奴と縁があるな今日は。

 

「クル爺、早速で悪いけど調べて欲しい事があるの...あたしのギルドの仲間にロキっていう名前の男の子が居るんだけど、そいつは多分星霊なの。だから、ロキの今のオーナーが誰なのか教えてくれない?このままじゃあいつ消えちゃうかもしれない...オーナーの人を説得出来たら助けられるかも!!」

 

「ほマ...ほマ...ぐー、ぐー...ぐぅ──」

 

「寝...寝てやがる..」

 

「ううん。今は検索中よ。クル爺は星霊学のスペシャリストで、人間界と星霊界をつなぐ(ゲート)の情報を全て持ってるの...過去にどんな星霊魔導士が何の星霊を呼び出したかまでわかるんだから」

 

「ぐー.....ティアァ──オッ!!!!」

 

「うぉ...!!」

 

 突然クル爺が叫んだ。あまりの声量に驚きの声をあげてしまう。びっくりして眠気も消え去った。

 

「クル爺、何かわかった!!?」

 

「ほマ...個人情報保護法が星霊界にも適応されてますのであまり詳しくは申せませんが、ロキ様のオーナーたる星霊魔導士は、カレン・リリカ様でございます」

 

「カレン・リリカ!!?うそ...週刊ソーサラーでグラビアもやってた、すっごく有名な星霊魔導士よ?でも、数年前に仕事中の事故で死んじゃったって...じゃあ、どうしてロキは契約解除されずに人間界に残ってるの!!?」

 

「ほマ...これ以上は申し上げられません」

 

「ちょっと...!!そこをどうにか!命がかかってるかもしれないのよ!!?」

 

「ほマ...申し訳ありません...ロキ様の名誉の為にも、お答えする訳にはいきませぬ...ぐー、ぐー...」

 

「寝...ちゃった...もう!閉じろ、南十字座の扉!」

 

 ルーシィがクル爺を強制閉門する。

 

「これ以上は直接会って聞くしかない...か」

 

「少なくとも、貴重な情報は得る事が出来た。流石だなルーシィ」

 

「うん...むこうに着いたらすぐに探し出さないと。本当に、もうとっくに死んじゃってもおかしくない状態のはずなんだから」

 

 俺達はなかなかマグノリアに着いてくれない列車に焦れながらも、その時をただ静かに待った。

 

 ──────────────────────────

 

 ギルドに戻ると、ミラさんがたくさんの女の人達に囲まれていた。全員ロキの彼女で、昨日の夜中突然ロキが訪ねて来て、別れを一方的に告げられたそうだった。

 

「やっぱり...自分の最後を悟ったんじゃ....」

 

「まずいな今すぐにみつけないと取り返しのつかねぇことになんぞ」

 

「ざけんな!!ぜってぇロキを見つけて引きずってでも連れ戻すぞ!!」

 

「あい!」

 

 俺達はギルドの皆に事情を説明して、一緒にロキを探してもらう事にした。

 ...が、どこを探してもなかなか見つからない。

 

「イッセー!!...見つかった?」

 

 息を切らしたルーシィが尋ねて来たので俺は黙って首を横に振った。

 

「そっか...これだけ探して居ないとなると...後あいつが居そうなのは、あそこしか無いわね」

 

「あそこ?」

 

「カレンのお墓...多分、ロキはそこに居るんじゃないかな」

 

「なるほど...よし、行くか!!」

 

「えぇ!」

 

 俺はルーシィと一緒に駆けだした。

 

 ..............

 

 カレンは有名人だったので、お墓の場所は調べればすぐに分かった。

 山道を抜けて、滝が小さな崖を覆うっている場所に出た。

 そして、ぽつりと立つ墓標の傍に一つの人影があった...

 

「よかった...やっと見つけた。探したわよロキ...!ううん。本当の名前は獅子宮のレオ...かしら?」

 

「やっぱり気付かれちゃったか...まさか君に隙を見せてしまう事になるとはね、イッセー。頑張って避けてたのが無駄になってしまったよ」

 

「女の子ばっかり追いかけてるからだろ。ちょっとは男にも意識向けとくんだったな」

 

「ハハ、君に言われると世話無いな...」

 

「んだとこの野郎...まぁ、今はいい。そんじゃ、いい加減に聞かせてもらうぜロキ!!一体お前の身に何があったのか...ルーシィをなんで避けてたのかを!!」

 

「うん...もう君達は薄々気付いてるんだと思うけど、僕は星霊界に帰れなくなってしまった身だ。星霊が人間界に長く居続けると死んでしまう...僕はその事を受け入れているけど、やっぱり死ぬのは少し怖いからね。決意がぶれてしまわないよう、ルーシィには...星霊魔導士には近づかないようにしようって決めてたんだ」

 

「受け入れるって何よ...なんでそんな風に言っちゃうのよ!!頼ればいいじゃない...あたしたち仲間なんだから!!星霊界への(ゲート)ならあたしが開けてみせる...!もしあたし一人の力じゃ足りなくたって、イッセーも居る。イッセーと力を合わせればどんな無茶だってきっと...!!」

 

「おう...!!どんな無茶でも通してやるぜ!」

 

『Count down 2 minutes!』

 

「....ありがとう。でも、助けはいらないよ」

 

「あんたこの期に及んでまだ!!」

 

「帰れない理由は単純なんだ。オーナーと星霊との間の禁則事項を破ってしまったんだ。結果、僕は星霊界を永久追放となった」

 

「永久追放...?」

 

「これは僕の罪だ。だから、この死は受け入れられる...受け入れなきゃならない」

 

「ちょっと約束破ったからってなにも死ぬことは...」

 

「ううん、イッセー。星霊にとって契約は何よりも重要だよ。それに、僕の罪はそんな生易しい物じゃない...僕は裏切り者の星霊なんだ。オーナーであるカレンをこの手で殺した」

 

「殺し...た...?」

 

「あぁ。オーナーを殺した星霊は星霊界には戻れない。このまま僕は消えていくんだ」

 

「そんな...」

 

「少し、昔話をしようか...」

 

 ロキはポツリポツリとカレンと自分との間にあった出来事を語り始めた。

 

 カレンはその美貌で大量の男を引き連れていて、色々な物を貢がせていたらしい。ただ、何人もの男を相手するのは面倒に思い、白羊宮の星霊であるアリエスに無理矢理相手させていたのだ。

 他にもおつかいだったり、掃除だったり...挙句には相手の魔法を受ける為の盾としてまで利用する始末。日常的に暴力も振るっており、星霊魔導士として最低の部類だったらしい。

 

 特にアリエスにきつく当たっていたカレンはついに、一線を越えた暴力を振るおうとする。それに耐えかねたロキは無理矢理入れ替わる事でアリエスを救出、自身の魔力で(ゲート)を超えたロキはカレンの強制閉門も受け入れずに人間界に居座る事を決めた。星霊魔導士はそれに耐えうる強大な魔力を保有していなければ二体同時に星霊を呼び出すことは出来ない...そしてカレンはできない側の魔導士だった。

 アリエスとロキの契約解除を条件にロキは脅迫をかける事となったのだ。

 

 そこからはひたすらに根気比べだった。日々生命力を失っていくロキと、一切魔法が使えないカレン...どちらが根をあげるかの勝負だったが、次第にカレンもロキを訪ねようとはしなくなる。放置して生命力を失わせるのが一番手っ取り早いと考えたのだろう...しかし、その判断が命を落とす原因となる。

 

 星霊無しでクエストに向かったカレンはそのまま魔導士の攻撃を受けて死んでしまった。その事実をロキが知ったのは根気比べを始めてから3か月目の事だった。

 

 そこまで話した所でロキが倒れてしまう。

 

「そろそろ...かな」

 

「ロキ...!!」

 

「カレンは僕のせいで他の星霊を呼び出せなかった...僕が殺したのと変わらない。その日から星霊界に帰れなくなったんだ。星霊界も主人の命令に背いた星霊を拒否してる」

 

「そんなの...あんたのせいじゃ...」

 

「ふふ...最後に出会えた星霊魔導士が、君のような素晴らしい人で本当に良かった。ありがとうルーシィ...それにイッセー、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆にも感謝を...こんな罪深い僕を受け入れてくれてありがとう」

 

「...ざけんな...ふざけるな!!」

 

『Welsh Dragon Barance Breaker!!!!!』

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

「そんなの...こんな最後認めるわけねぇだろ!!!」

 

「...そうよ!!絶対助けてみせるから...!!勝手に諦めないでよ!!」

 

 ルーシィがロキを抱きしめる。

 

「...開けっ!!獅子宮の扉...!!!ロキを星霊界に帰して!!!」

 

「開いて...っ!!」

 

「もういいんだ。やめてくれ...」

 

「良くない!!目の前で消えていく仲間を放って置けるわけないでしょ!?ぁぁあああ!!」

 

「ダメだ...!!一度にそんな魔力を使ったら...!!」

 

「ルーシィ...!!」

 

『Transfer!!!』

 

 俺は後ろからルーシィとロキを抱きしめて力を譲渡する...!!

 

「す...ごい....これが...これなら...!!」

 

「やめろ...!!そんなに魔力を昂らせたら...ダメだ!星霊と同化し始めてるじゃないか!!このままじゃ君まで一緒に消えてしまう!!」

 

「させねぇよ...俺が絶対にルーシィを...お前を!!消したりなんかさせねぇ!!死んでもこの手で掴み続ける...!!!勝手に消えれると思ってんじゃねぇよ!!」

 

「そうよ...!!こんな最後絶対に間違ってる...!!これが星霊界のルールだって言うなら、あたしがそんなもの変えてやるんだから──ー!!」

 

 ルーシィが限界を超えて力を高めると、周囲に凄まじいほどの魔力とオーラが満ちていく...滝の水が上へと落ちていき、星空が目の前まで墜ちて来る....

 

「な...んだ、これ...」

 

「ま...まさか....!!?」

 

 異常現象が収まると、その中心には巨人が佇んでいた...今までに感じた事の無い凄まじいオーラ。あの白龍皇ですらこれの前では霞むかもしれない存在感。

 

『星霊王か...よもやこんな所で会うとはな』

 

「知ってんのかドライグ!!?」

 

『あぁ。昔色々とあってな』

 

「赤き龍か...むぅ、このような場で会うとはな。いや、そなたが居たからこそ余も導かれたか」

 

『かもしれんな。だが、わざわざ出てきたのはまさか俺と世間話する為でもないだろう?』

 

「無論。余は古き友の願いを聞きここに馳せ参じた...『古き友、人間との盟約において我ら、鍵を持つ者ヲ殺める事を禁ズル』...直接ではないにせよ、これを行ったレオ。貴様は星霊界に帰る事を禁ずる...これが古き友の願いへの答えだ」

 

「....それは、あんまりじゃないの?ずっと...何年も苦しんできたのよ!!?仲間の為に...アリエスの為に仕方なかった事じゃないの!!?」

 

 ルーシィが星霊王に叫ぶ。

 

「余も、古き友の願いには胸を痛めるが...この法だけは変えられぬ」

 

「っ...!!古い友達なんかじゃない!!今、目の前にいる友達の事を言ってんのよ!!ちゃんと聞きなさいひげ親父!!!これは不幸な事故でしょ...!?ロキに何の罪があるって言うのよ!!無罪以外は絶対認めないんだからっ...!!」

 

「もういい、ルーシィ...!!僕は誰かに許してもらいたいんじゃない!!罪を償いたいんだ!!このまま消えていきたいんだ!!」

 

「そんなのダメ....!!あぅ...っ!お願い、イッセー...力を貸して...!!」

 

「当たり前だ...!!いくらでも使ってくれっっ!!」

 

「っ...うん...!!」

 

 俺はルーシィの手に手を重ねる。

 

「「はぁぁぁああああ!!!」」

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boooooost!!!』

 

 俺が全力で高めた魔力とオーラが、ルーシィの放つ魔力と混ざり合っていく...

 そしてそれは、凄まじい勢いで放出された。

 

「仲間を想う気持ちが...この想いが罪な訳がない...!!そうでしょ皆!!!!」

 

 俺達の背後にルーシィの持つ全ての星霊が現れる。

 そして、皆がそれぞれルーシィの言葉に同意してくれる...!!

 

「はぁーっ...はぁーっ...!!」

 

「やめろ...!!こんなに同時に...!!死んでしまうぞ!!」

 

「死なっ...ないわよ...!!あたしには最高の仲間が付いてるの...!!こんなの...どうってことないんだか、ら...っ!!」

 

 星霊達がそれぞれにルーシィと一緒に星霊王へと声を投げかける。その訴えが、ついに星霊王の心に届いた。

 

「...古き友、と同胞の声、しかと届いた。そこまで言われてしまうのならば、間違っているのは法なのやもしれぬ...」

 

「はぁーっ...っっ...ぁう!!」

 

 ルーシィがついに魔力切れで倒れてしまう。同時に背後の星霊達も俺の鎧も消えていった...

 俺はルーシィを抱き留める。

 

「っ...あり、がと...」

 

「...よく頑張ったな、ルーシィ...」

 

「うん...」

 

 正直俺もすっからかんで倒れそうだが、まさかルーシィを投げ出す訳にもいかない。気合でなんとか立ち続ける。

 

「同胞の為に罪を犯したレオ、そのレオを救おうとする古き友...そして古き友とレオの為その力を振るう篤き赤龍帝。その美しき絆に免じこの件を例外とする。レオ....貴様に星霊界への帰還を許可する」

 

「...いいトコあるじゃない、ひげ親父!」

 

「免罪だ。星の導きと友の願いに感謝せよ」

 

 星霊王はニカっと笑ってロキに沙汰を下した。

 

「待ってください...僕は...」

 

「それでもまだ罪を償いたいと願うのならば、その友らの力となって生きる事を命ずる。それだけの価値がある友であろう...命をかけて守るが良い」

 

 それだけ言うと、星霊王がマントを翻し消え去った。星空は再び上空へと還り、滝の水が本来の行く先を思い出したかのように墜ちていく...

 

「だってさ!」

 

「あ...りがとう...ありがとう、二人とも...ごめん...ごめん...!!」

 

 ロキが泣きながら俺達に感謝の言葉を伝えて来る。

 背後に星霊界への門が開いた。

 

「今度は僕が君の...君たちの力になるよ...よろしく....!」

 

「うん...こちらこそ!」「ったく...こき使ってやるからなこの野郎」

 

「あぁ...楽しみにしてるよ...」

 

 それだけ言い残すと、ロキは黄金の鍵となった。

 そして、全力で魔力を絞り尽くした俺達はそのまま意識を失ってしまった。

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