DxD TAIL   作:min-can

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マカオ、救います!

 いつも通り各々がどんちゃん騒ぎをしている中で、ルーシィがミラさんに妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドメンバーである証拠のマークを右手に入れてもらっていた。

 

「これで私も正式に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士...!夢じゃないわよね!」

 

「おう、おめでとう」

 

「ありがと!...そうだ、正式にギルドに参加できたらまたご飯でもって言ってたし、ナツとハッピーも誘ってどっか食べに行かない?ここら辺でおいしいご飯屋さんも知りたいし」

 

「あー...ナツはもう食ってるな」

 

「え?...って、何あれ...全部燃えてるんですけど」

 

「あれはナツ専用の特別メニューよ。ファイアーチキンにファイアーパスタ、ファイアードリンクね...火傷しちゃうかもだけどルーシィも食べる?」

 

「あんなの火傷じゃすみませんよ...」

 

「じゃ...じゃあさ!ナツとハッピーはしょうがないとして今日は俺と二人で飯でも...!」

 

「えー?変な事しないでしょうね...」

 

「しないってば!」

 

「大丈夫よルーシィ。イッセーは女の子大好きだけど、肝心な所で何もできないから」

 

「ど、どういう意味ですかミラさん!!」

 

 俺はミラさんに抗議する!

 

「じゃあ女の子とキスした事は?」

 

「ありません!」

 

「女の子と付き合った事は?」

 

「...ありません」

 

「女の子に告白した事は?」

 

「......あるけど成功した事ありません」

 

「自分から女の子を食事に誘った事は?」

 

「..........あるけど成功した事ありません」

 

「ね?」

 

「あんた全然ダメね」

 

「う、うるせぇ...!俺はこれからなんだよ...!」

 

「折角すごい魔法も持ってるし、顔もそんなには悪くはないのに...やっぱ下心が見え見えなのが良くないのね。私はある程度慣れてるからいいけど普通の女の子だったら引いちゃうかもだし」

 

「はぁ...そんなに俺はダメか...」

 

 普通にダメ出しを食らってしまってショックだ...でも仕方ないじゃないか!

 女の子は大好きだし、おっぱいは大好きだし、おっぱいはいくらでも見たいし触りたいし揉みたいし挟みたいだろうが!!!

 

「そんなに落ち込まなくてもきっとイッセーの事を分かってくれる女の子がいつか現れてくれるわよ」

 

「ミラさぁーん...!」

 

「ま、あんたはせめてもうちょっと女の子慣れしなさいよ。ほら、私も手伝ってあげるからさ」

 

「ルーシィ...!ほんとか!!?」

 

「えぇ。でもま、その代わりちょっとはその分の報酬も頂いちゃおうかな」

 

「報酬ってお、お金とかですか...?俺そんなに持ち合わせ...」

 

「違うわよ!!ちょっとクエストとか手伝って欲しなーってくらいよ!!普通に友達と仲良くするのにそんな薄情な事言う訳ないじゃない」

 

「友達...」

 

「そうよ!何か不満でも?」

 

「全くありません...!ありがとうございますルーシィ様...!ご指導の程、何卒...!!」

 

「はいはい...」

 

「ふふ、出会ってすぐなのにすっかり仲良しさんね」

 

「...ま、分かりやすくて扱いやすそうってのはありますけどねー」

 

「どういう意味だよ...」

 

「だって私がお願いしたら何でもしそうだし」

 

「そんな事...!いくら俺でも何でもはしねぇって」

 

「どうだか...ねぇイッセー、実は今ちょっと懐が寂しくてね...ちょーっとだけお金、貸してくれない?もちろんお礼はするから...ね♡」

 

 ルーシィが俺のそばに寄ってきてボディタッチをしてくる。少し視線をずらせば腕で寄せられたおっぱいが...おっぱいが...!!

 俺の頭の中はおっぱいでいっぱいになっておっぱいおっぱい....!

 

「おっぱ!...全財産です!!!」

 

 俺は財布の金を全て抜きとった。

 

「はぁ...ほんとに渡してどうすんのよ...」

 

 露骨にがっかりされながらルーシィに手渡したはずの金がそのまま帰って来る。

 

「この調子じゃあんた女の子に都合よく使われそうね...ダメよ?ちゃんと心に決めた子以外には身持ちを固くしてないと、全然安心できないもん」

 

「なるほど...」

 

 俺はメモ帳にルーシィ先生の金言を書き記す。

 

「ふふ、まぁこの通りフラフラ危なっかしい子だからよろしくねルーシィ」

 

「よろしくお願いします...!」

 

「まぁ、出来る範囲だけですけど...」

 

 そうしてしばらく雑談しているとナツがこちらにやって来た。俺の首根っこを掴んで引っ張ってくる。

 急に引っ張られたので椅子ごと倒れてしまった。

 

「行くぞイッセー」

 

「ちょ...!痛、急になんだよ!説明くらい...」

 

「いいから」

 

「.......はいはい分かったよ、着いていきますよ」

 

 ナツの腕を払って立ち上がり、椅子を直しに行く。

 

「ごめんルーシィ、ちょっと用事出来たから行ってくる」

 

「どうしたのあいつ?」

 

「知らね...けどまぁ、ああいう顔してる時は下らない話じゃないのは間違いないからなぁ」

 

「そっか...」

 

「そんじゃミラさん、俺行ってきます!」

 

「行ってらっしゃいイッセー」

 

「ルーシィもまた...」

 

 また明日と言おうと思ったがルーシィが難しい顔をしていた。

 

「...どうしたんだ?」

 

「.....ねぇ、私もついて行っていい?」

 

「そりゃ来てくれたら俺は嬉しいけど...良いのか?十中八九楽しい事にはならないと思うけど」

 

「折角私の妖精の尻尾(フェアリーテイル)生活記念すべき初日だっていうのに、ナツとイッセーが居ないんじゃ楽しくないもん。さっさと用事とやらを解決して、皆でご飯食べに行きましょ?」

 

 なんて健気な子なんだ...!ルーシィは天使だったのか!!?

 

「ルーシィ...!よし、行くか!」

 

「うん...!」

 

「あらあら...それじゃあ行ってらっしゃい、二人共!」

 

「「行ってきます!」」

 

 俺はルーシィと一緒にナツを追いかけた。

 

 ──────────────────────────ー

 

「なんで馬車...」

 

 俺とナツは今、馬車の中で悶えている。列車なんかはなまじスピードがあるからまだマシだけど、馬車とか一番無理。しかも山道登ってるせいで揺れが酷すぎて二倍無理。

 

「しょうがねぇだろ...馬車でしか行けねぇ場所なんだから...ハァハァ...」

 

「ねぇ、ほんとに山の上なんかにマカオさんは居るの?」

 

「あぁ...ここのクエストに行ったって聞いた」

 

「あー駄目だ気持ち悪い...ハッピー俺を乗せて飛んでくれよ...」

 

「やだよ疲れるし」

 

「魚...5匹...」

 

「....ダメだね」

 

「じゃあ7匹!」

 

「あい!」

 

「頼んだ...!」

 

 俺はハッピー掴まれて馬車の中で浮く。

 

「あー、生き返る...!!」

 

「...馬車も列車も駄目でハッピーは大丈夫なの?」

 

「そういやなんでだろ」

 

 考えた事も無かった。

 揺れてるのはハッピーも乗り物も変わらないのになぁ。

 

「ハッピーは仲間だ...乗り物じゃねぇ...全然ちげぇよ...」

 

「そういう問題でもない気がするんだけど」

 

「まぁいいよ...そういやさ、マカオはどんな任務に行ったんだ?」

 

 マカオを助けに行くとは聞いてるけど内容を全然聞けていなかった。

 

「あい、凶悪モンスター“バルカン”の討伐だよ」

 

「ちょ...ちょっと何よそれ...!そんな危険なクエストなんて聞いてない!!」

 

「じゃあ帰れよ...」

 

「無理に決まってんでしょ!!もう引き返せない所まで登っちゃってるもん!」

 

「大丈夫だってルーシィ!俺が絶対守ってみせるから!!ナツもいるしさ」

 

「う...そ、そうよね!竜を倒す魔法を使える魔導士が二人も居るんだもん...!大丈夫大丈夫...」

 

「いや...そんなに怖いんだったら本当に戻るか?ハッピーか俺が付いて行くからさ」

 

「...いいわよ!折角ここまで来たんだし、最後までやらないと寝ざめが悪いじゃない!」

 

「よぉし...そんじゃあ、気合入れてやるか...!」

 

「あ、そろそろ疲れてきたから降ろすね」

 

「え、ちょ、ちょっと待ってくれハッピー」

 

 座席に降ろされた。短い天国だった...

 

「あぁ...気持ち悪いぃ...苦しいぃ...」

 

「頼りになるのか心底不安になって来たわね...」

 

「そんなこと...うえっ!」

 

「ちょっと!こんな狭い馬車の中で吐かないでよね!!」

 

「ガ...ガンバリマス...」

 

 ──────────────────────────────────────────────

 

 しばらく地獄のような揺れに耐えていると、馬車が立ち止まった。

 

「す、すんません...これ以上は馬車じゃ進めませんわ」

 

 御者の声を聞き外に出ると猛吹雪が吹き荒れていた。

 

「何これ!いくら山の方とはいえ今は夏季でしょ!?こんな吹雪おかしいわ!!」

 

「さっさささぶぶぶぶ....!」

 

 体がガチガチになって動けない...!!

 

「ちょっと寒すぎなんですけど!!」

 

「そんな薄着してっからだろ」

 

「あんたも似たようなもんじゃない!!」

 

「ナツは全身炎みたいなもんだからな...すまん、寒すぎるから炎纏ってくれ」

 

「あ?しょうがねぇな...」

 

 ナツが俺に荷物を預けてから炎を出す。

 

「あぁ...あったかいけど吹雪が強すぎて焼け石に水感が...」

 

 近すぎると火傷するし遠すぎると熱が手に入らない...ないよりは百倍ありがたいけど心許ねぇ...

 

「...動きずれぇ」

 

「我慢してくれ...!こんだけ寒いとまじで動けねぇ!!多少涼しいくらいにしか思ってなかったから薄着なんだって!!」

 

「そっ、そそその毛布貸して...!」

 

 ルーシィが俺の背負っているナツのリュックサックから毛布を奪う。

 

「うぅ...寒すぎるわよぉ!」

 

「か、変わらないかもだけど俺の上着使うか...?」

 

 ぺらっぺらの薄手の物だけどないよりはましかもしれないしそうでもないかもしれない。

 

「も、もらっとく...」

 

「そんじゃ探すか...マカオ―!!居るか──!!バルカンにやられちまったのか──!!?」

 

 ナツが大声で叫ぶ。耳がキーンってなるけど離れると寒いので離れられない...

 

「マカオ──!!」

 

「マッマママカオさ──ん!」

 

 しばらく叫びながら歩いている時だった。上にある崖から何かの動いた音が聞こえる。

 

「マカオか!?」

 

「ちげぇ!」

 

 現れた影は良く見えないが間違いなく人間ではない。

 そのまま上空からこちらに落下してくる。

 

『Boost!』

 

「ルーシィ!」

 

「きゃあ!」

 

 俺は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を起動してルーシィを抱えて飛んだ。

 ナツはナツでハッピーを掴みながら回避していた。

 

「大丈夫か!?」

 

「う、うん...って、手の位置が際どい!!」

 

 ぐいっとおでこを押された。

 ちくしょう...どさくさに紛れてちょっとずつ手を近づけておっぱいタッチ大作戦が...!

 

「ウホッ!!」

 

「バルカンだ!!!ぐおっ!!」

 

 バルカンの振り払いに足元が積雪で覚束ないナツは吹き飛ばされた。そのまま雪崩が起こってゴロゴロと下に転がっていく。

 

「おいおい...!ハッピー!ナツを助けに行ってくれ!!」

 

「あい!!」

 

『Boost!!』

 

 一応最低限動けるレベルの倍加は終わったけど、バルカンのホームグラウンドで戦うにはまだ心許ねぇってのに!!

 

 ルーシィを庇うように立ちふさがってバルカンの拳を受け止める。

 

「...ぐっ!!」

 

 雪で足が滑って踏ん張れない!!

 

「ぐあっ!」

 

 そのまま地面に叩きつけられる。

 

「ちょっと!!大丈夫なの!!?」

 

 ルーシィが叫ぶとバルカンはそちらの方を向きいやらしい顔をする。

 

「人間の女だ♡」

 

「え、ちょ...!私!!?」

 

 バルカンがルーシィの方に走り出す...くっそ!こいつめちゃくちゃ足が速い!!流石は雪山に住んでるだけある!!

 

「ルーシィに手ェ出してんじゃねぇ!!」

 

『Boost!』 

 

「ドラゴンショット...!!」

 

 俺は魔力弾をバルカンの顔面目掛けて飛ばす。

 顔面で炸裂してバルカンは体勢を大きく崩し倒れる。

 

「ルーシィ!逃げろ!!」

 

「こんな雪山でまともに逃げれる訳ないじゃない...!それに、私だって魔導士なんだから!!」

 

 ルーシィが鍵を取り出す...まさか!ここで星霊が見れるってのか!?

 

「開け、金牛宮の扉...タウロス!!!」

 

「MO──ー!!!」

 

 現れたのは牛だった。とにかくムキムキの牛だった。すごく萎えた。

 牛って聞こえた時には牛柄ビキニのお姉さんがもう俺の中で確定してしまっていたのに、出てきたのが牛だったのだ。

 

「ルーシィさん!相変わらずいい乳してますなぁ!MO-素敵です!」

 

「そうだ、こいつもエロかった...」

 

「“も”ってなんだよ!!」

 

「...あんたさっきどさくさに紛れて胸触れば良かったとか思ってたでしょ!」

 

「おっ...!!おもっ...!」

 

「全部顔に書いてたわよこのドスケベ!!」

 

「うぐっ!!」

 

 恥ずかしいけどドスケベって言われるのちょっと興奮するかもしれない...

 

「MO──!!?なんですと!!?ルーシィさんの乳に触れようなどと!!言語道断ですな!!」

 

 牛の星霊がバルカンをフル無視して俺の方に走って来る。

 

「ちょっ!ちょっと!!先にこいつ倒してよ!!」

 

「一応俺は味方だぞ牛!!」

 

『Boost!!』

 

「くそっ...邪魔ぁ!!」

 

 俺は牛の懐に潜り込んでそのまま牛の走る勢いを利用して後方に投げ飛ばした。

 

「MOおおおぉぉぉぉぉ!!」

 

「えぇ...弱ぁ!!」

 

 もう充分に倍加は溜まった!

 

「行くぞ猿野郎!!」

 

「ウホ!男要らん!!女!!」

 

「ルーシィは渡さねぇぞエロ猿!!」

 

 俺は一気にバルカンに近づいて腹に拳を一撃入れる。

 

「ぶほっ!!」

 

 バルカンは少し後退したようだがそんなに効いている様子が無い。踏ん張れないから威力がかなり削がれてしまっている。

 

「ルーシィ!こいつの狙いはお前だ!!俺の後ろから離れるなよ!!」

 

「う..うん...!」

 

 バルカンが俺を挟むように両手を叩きつけて来る。

 

「ぐ...!!」

 

 受け止めて蹴りをかます。

 くそ...!地面が不安定すぎてさっきから全然力が入らねぇ!!

 

「ウホォ―!!!」

 

 猿が怒った様子で俺に殴り掛かる。雪で滑ってかなり吹き飛ばされる。

 

「くそっ!!めんどくせぇ!!」

 

『Boost!!』

 

「MOォォォォ!!!」

 

 俺が吹き飛ばした牛がこっちに走ってきた。これなら...!

 

「おい牛...!踏み台になれ!!ルーシィ守るぞ!!!」

 

「...仕方ありませんなぁ!!」

 

 俺はバルカンを飛び越えて牛の目の前に飛ぶ。牛がレシーブの体勢に入って俺をバルカンの方向へ吹き飛ばす。

 勢いは充分!空中なら踏ん張りも糞もない!!

 

 邪魔者が居なくなってルーシィ一直線のバルカンには俺が見えてない...!

 

「いい加減...!!寝てろエロ猿!!!」

 

 後頭部を思いっきり拳で殴って地面に叩きつけてやる。いくら下が雪とはいえこれだけの威力なら意識は残っていまい...!

 

 バルカンは白目を向いて倒れていた。

 

「よし...やっと倒せたか...」

 

「すごい...!やったわねイッセー!」

 

「ルーシィの牛のおかげだよ」

 

「MOー、ナイスコンビネーションでしたな!」

 

「おう!」

 

「...あ?なんか化物増えてんじゃねぇか!!」

 

 ふとナツの声が聞こえた。

 

「あっぶなぶへ!!」

 

 ナツが牛に襲い掛かったので俺は牛を庇って蹴りを胸で受け止める。痛すぎて心臓止まるかと思った...

 

「MOぉ...!何ゆえに!」

 

「同じおっぱいに...魅せられた男同士、だからだ...!」

 

「MOぉぉぉぉ!!感激ですぞぉぉ!イッセー殿!!」

 

 俺は牛と固い握手をする。

 

「はいはい一生やってなさい変態共...はぁ、私ってなんでこう変なのに好かれるんだろ...」

 

「すまん、イッセー!!その牛味方だったんか」

 

「おう、ルーシィの星霊だ」

 

「へぇ、旨そうだな」

 

「食べちゃだめよ!!」

 

「なんだよケチだな。そういやバルカンは...っと倒してるか。流石イッセーだ!」

 

 ナツがバルカンの角を持って頬をバシバシ叩いて意識の有無を確認している時、バルカンの体が光始めた。

 

「な...何だ!!?俺なんもやってねぇぞ!?」

 

 光が収まると、そこにはボロボロの男一人...マカオが居た。

 

「猿がマカオになった!!?」

 

「バルカンに接収(テイクオーバー)されてたんだ!」

 

「何それ!」

 

「体を乗っ取る魔法だよ!!」

 

「って、そんな事言ってる場合じゃねぇ!!傷がやべぇぞ!!」

 

 俺はナツのリュックに入れていた応急キットを取り出す。

 

「ルーシィ、寒いだろうけど毛布を下に敷いてくれ!」

 

「う、うん!」

 

「ルーシィとハッピーで治療の準備!俺とナツは雪で吹雪避けを作るぞ!」

 

「おう!」

 

 せっせとみんなで治療の準備をしていく。

 

接収(テイクオーバー)される前に相当激しく戦ったみたいだね...」

 

「おいマカオ!!しっかりしろ!!」

 

「脇腹の傷が深すぎる...持ってきた応急キットじゃどうにも...!」

 

 ルーシィがそういった所でナツが覚悟を決めた顔をする。

 炎を手に纏い、傷口に当てた。

 じゅぅぅうっと肉が焼ける音がして焦げ臭いにおいが鼻に突き刺さる。

 

「今はこれしかしてやれねぇ!!我慢しろよマカオ!!イッセー!マカオを抑えろ!!」

 

「おう...!」

 

 傷口が焼ければとりあえず失血死は防げるが...いや、俺にも出来る事があるか?

 

「来い、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!!」

 

『Boost!』

 

「おい、ドライグ...!生命力みたいなもんをピンポイントで強化する事は出来るか...!?」

 

『.....』

 

「今はそれどころじゃねぇんだよ!!答えてくれドライグ!!」

 

『...ふん、随分と偉そうな口を叩くじゃないか相棒』

 

「後で謝るから!!どうなんだ!!?」

 

『譲渡の力は物体にも非実体にも影響する事が出来る。当然、やってやれない事はないだろうさ』

 

「そうか...!俺じゃ勝手がわからねぇ!頼めるか!!?」

 

『...良いだろう』

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!!!」

 

『Transfer!!』

 

 俺の体から倍加で加算した力が失われて代わりにマカオの生命力がその分強化される。

 少しだが顔色が良くなったように感じる。

 

「よし...!この調子で...!」

 

「死ぬんじゃねぇぞ!!ロメオが待ってんだ!!」

 

「がぁっ!くそ...情けねぇ...19匹は倒し...たんだ...20匹目に接収(テイクオーバー)されて...ぐはっ!」

 

「分かったからもう喋んな!!キズ口が開くだろ!!」

 

「ムカつくぜ...ちくしょう...!これじゃ、ロメオに会わす顔が...ねぇ!」

 

「黙れっての!!殴るぞ!!」

 

『Transfer!!』

 

 本来ならもっと力を高めてから使いたいが、今回必要なのは効果が低くても持続的な強化だ。

 それに、あんまり倍加をしすぎると俺の魔力が底を突く。

 

「はぁ...はぁ...」

 

 くそ、ただでさえそんなに魔力も多くねぇのに、譲渡の力は余計に力を使いやがる...それでもやるしかねぇ!!

 

 俺達皆の必死の治療の甲斐もあって、なんとかマカオは一命を取り留めた。

 

 ──────────────────────────────────────

 

 俺とナツでマカオに肩を貸して妖精の尻尾(フェアリーテイル)の方へ歩いていく。その途中、ロメオが座って待っていた。すぐにこちらに気付いて駆けてきた。

 

「父ちゃん、ごめん...俺...」

 

 ロメオが目尻に頬を貯める。マカオはロメオを抱きしめた。

 

「心配かけたな、スマネェ」

 

「いいんだ...俺は魔導士の息子だから...」

 

「いいか、今度クソガキ共に絡まれたら行ってやれ。テメェの親父は怪物19匹倒せんのか!?ってよ」

 

「...うん!!」

 

 そこまで見届けて俺達は立ち去る事にした。後ろから声が聞こえる。

 

「ナツ兄──ー!!!イッセ──―!!ハッピ──―!!!ありがとぉー!!」

 

「おー」「あい」「俺は呼び捨てかよ...」

 

「それと...ルーシィ姉もありがとぉ!!!」

 

 俺達はロメオに手を振る。

 今回もまたナツに振り回される羽目になった訳だけど...ま、こんな笑顔が見れるなら悪くないよな。

 

「そんじゃ!ルーシィのギルド加入祝いに、飯食いに行こうぜ!!今日は俺の奢りだ!!」

 

「よっしゃー!!」「あい!」「おー!」

 

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