DxD TAIL   作:min-can

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向かいます、おいしいクエスト!

 マカオの救出からしばらく、俺はギルドでナツと飯を食べていた。

 

「なぁ...ほんとにあのクエスト行くのか?」

 

「当たり前だろ。あんな簡単なクエストで20万Jだぞ?行かねぇ理由がねぇだろ」

 

「なーんか怪しいし堅実に盗賊退治とかがいい気もするけどなぁ」

 

「大丈夫だって!それに俺には秘策があるからな」

 

「秘策?」

 

「おぅ!そんでその為にはルーシィが必要なんだけど、ルーシィは...今日はもう帰ったか」

 

「まだ宿暮らししてんのかな、そろそろお金もきつくないか?」

 

「あら、ルーシィならこの前部屋が決まったって言ってたわよ」

 

「え、そうなんですかミラさん!」

 

 俺らにはなんも言ってねぇぞルーシィ...信用ないのな。

 

「えぇ、場所は教えてあげるから、用事があるなら引っ越し祝いついでに遊びに行ってきたら?」

 

「よぉし!行くぞハッピー!イッセー!」

 

「普通に迷惑じゃないか...?」

 

 俺達には言ってないって事は来てほしくないかもしれないし...

 それでなくても引っ越したてなら荷物が片付いて無かったりとか...あぁでもルーシィの...女の子の部屋に行けるってのはロマン溢れるなぁ...!

 

 3秒迷ってやっぱりミラさんから場所を教えてもらって早速向かうことにした。

 あわよくば下着とかお目にかかれるかもしれないしな!

 

「そんじゃあ近くに商店街あるし、俺お菓子とか飲み物買ってくるわ」

 

「そうか、いってらー」

 

「いってらー」

 

「お金をちょっとは払おうとか、せめて一緒に選ぼうとか、そういう配慮はねぇのか?...ってもう居ねぇし。はぁ...行くか」

 

 ルーシィの部屋に初めて足を踏み入れる男がナツってのは若干業腹だが、急に押しかけるのだ。せめて最低限の礼は尽くさねばなるまい...

 

「ルーシィに嫌われたくないしな。まぁ既に半分呆れられてはいるかもしれないけど」

 

 俺は商店街でお菓子と飲み物、ついでに引っ越し祝いの入浴剤セットを買っておいた。

 あんまり迷う時間も無かったけど、まぁナマ物じゃないし嵩張りもしないから最悪放置か捨てるか出来るだろ。

 

 いよいよ出費が痛くて例のクエストに行かざるを得ないが仕方あるまい。秘策ってのが何かは知らないがあぁ見えてナツは結構頭が回る方だ。きっと何かいい作戦があるんだろう。

 

 そんなこんな考えながらあっという間にルーシィの住むアパートに辿り着いた。

 えっと確かここだったよな...

 

 近づくにつれて誰かが大声で騒いでいる声が聞こえてくる...というか間違いなくルーシィだな。

 やっぱあれか、ナツとハッピーが色々好き勝手やってんだろうな。

 

 俺はチャイムを鳴らす。

 

「誰か来たみたいだから行くけど!!絶対勝手に物触るんじゃないわよ!!」

 

「わーってるよ」「あい!」

 

「ほんと身勝手にも程があるわね...」

 

 だなんて声が聴こえてくる。

 

「はぁ~いどなたですかー?」

 

「俺だよ、イッセー!遊びに来たぞ!」

 

「あんたまで来たの!?...ってなにその荷物」

 

「え、いや...こっちがルーシィの新居祝いで、こっちはルーシィ越してきたばっかで用意無いだろうから迷惑料込みでお菓子とか飲み物とか...」

 

「うそ...ありがとう!あんたがこんなに常識的な人間だったなんて...!」

 

「俺の事なんだと思ってたんだよ...」

 

「ドスケベ男....うそうそ、でもほんとにありがとうね、すっごく嬉しい!」

 

「お...おう!」

 

 ニッコリ微笑まれると思わず惚れてしまいそうになる。

 

「へぇ...センスも悪くないじゃない!あんたほんとにイッセー?」

 

「あのなぁ...!」

 

「フフ、さ、上がって上がって!お土産を用意してきちんとチャイムを鳴らして玄関から来てくれたあんたはちゃんと歓迎するわよ!」

 

「ナツとハッピーはどっから上がり込んだんだ...?おじゃましまーす!!」

 

 部屋に入ると、家具などはあまりなくスッキリしていたが、暖炉やらなんやらかなりおしゃれな部屋だった。

 

「へぇ...!いい部屋だなぁ!」

 

「でしょ?その分やっぱり家賃もお高いけど、それに見合った部屋だと思わない?」

 

「遅かったなイッセー!」「あい!」

 

 ナツとハッピーは自宅なのかというくらいにだらけてルーシィの家をエンジョイしていた。

 

「知ってたけどお前らもうちょっと遠慮ってもんをだな...」

 

「そうよ!ちょっとはイッセーの爪の垢を煎じて飲んでほしいものね!さっさと出ていきなさいよ!!」

 

「なんだよ、薄情な奴だな...」

 

「あんたたちを歓迎しなきゃなんないくらいなら薄情で結構よ!」

 

「まぁまぁ...実は新居祝いももちろんあるんだけど、俺達ルーシィと一緒に行きたいクエストがあってさ!今日はそれのお誘いにも来たんだ」

 

「クエスト...?」

 

「あぁ!これなんだけど!」

 

「何々...エバルー公爵って人の屋敷から一冊本を取って来るだけで20万J!!?なによこのクエスト!内容の割にめちゃくちゃ報酬良いじゃない!」

 

「なんかナツが言うにはこのクエストを達成する為にはルーシィの力が必要らしくてさ」

 

「おう、だから一緒に来てくれルーシィ!」

 

「ふ、ふぅん...ちょっとは私の実力も買ってくれてる訳ね...ま、まぁ?あんた達がどうしてもって言うなら行ってあげなくも無いけど?」

 

「頼むルーシィ一緒に来てくれ!!俺はもうナツとハッピーだけのむさい旅は懲り懲りなんだ...!」

 

「おう、頼むルーシィ!お前が頼りだ!」

 

「へ、へぇ...まぁ?そこまで言うなら仕方ないわね」

 

「よぉし!」

 

 ナツがルーシィから依頼書をさっと奪った。なんだ?

 

「ふふ...で?いつ出発すんの?」

 

「早速明日だ!」

 

「急な話ね...」

 

「依頼主の気が変わったら困るからなー」

 

「なるほど...じゃ、四人での初クエストの前の決起集会よ!早速イッセーのお土産広げましょ!」

 

「「「おー!」」」

 

 その日は夜遅くまで皆で騒いで、ルーシィの星霊との契約なども見せてもらった楽しい夜だった...が結局ルーシィの下着を拝む機会は訪れなかった。

 ちくしょう。

 

 ────────────────────────────────────────────────

 

「「はぁ!!?」」

 

 俺とルーシィは馬車の中で驚愕の声をあげる。

 今日出発したクエストの内容を改めて見ていると衝撃の情報が書いてあったのだ。

 

 エバルー公爵:とにかく女好きでスケベで変態!ただいま金髪のメイド募集中!!

 

「ナツ...お前まさかルーシィを誘ったのって...」

 

「あぁ...ルーシィ金髪だし、メイドとして屋敷に入れば一発だろ...?」

 

「...信じらんない!!騙された──!!!」

 

 まじか...まさか秘策がこんなものだとは...

 

「イッセーあんたもこのこと知ってたの!!?」

 

 俺は必死で頭を振る。

 

「知ってたらやるかどうかくらいは聞いてたって...!流石に説明なしで出発は...はぁはぁ」

 

「折角ちょっとは魔導士として認めてもらったのかなって思ったのに酷い!!」

 

「ナツ...これはちょっとどうかと思うぞ...」

 

「良いじゃねぇか...20万Jだぞ?...四人で山分けしたって5万Jはもらえんだ...しかもめちゃくちゃ簡単に」

 

「そ...そう言われると...ってか!そんなのだったら取り分7:1:1:1にするからね!!」

 

「ルーシィが1?」

 

「あたしが7よバカ猫!!あんた達何にもする事ないんだから当然でしょ!!?それでも多いくらいなんだから!」

 

「あれ...案外乗り気なのか...?」

 

「そ、そりゃまぁ...お金は欲しいし?私にも出来そうなクエストだし?...まぁ、自分で言うのもあれだけど、私色気には自信あるし...?」

 

「そりゃルーシィは...エロ可愛いけど...見るからにド変態そうだぞ...?」

 

「我慢するわよ。ドスケベにジロジロ見られるのはアンタで慣れて来たし」

 

「ぐっ...!」

 

 言い返せない!!

 

「ちょっと待て...俺達にもやる事はある...」

 

「何よ」

 

「捕まったら助けてやる...」

 

「そんなヘマしません」

 

「大丈夫...!ルーシィが危なくなったら絶対...助けに行くから...!」

 

「気持ちは嬉しいけどどうやってピンチを伝えるのよ」

 

「それはまぁ...気合で?」

 

「はいはいそれじゃあ気合で頑張ってねー」

 

「うぷ...!」

 

「まずは乗り物酔いの克服からね」

 

「それが出来たら苦労しねぇ...」

 

 そうこうしている内に目的地に到着した。

 

 ──────────────────────────ー

 

「腹減った!まずは飯だ!」

 

「ねぇ荷物は?先にホテル行こうよ」

 

「ルーシィちょっとそこいら散策しようぜ!」

 

「あんたら見事にバラバラね...あたしちょっと用事あるから先にご飯行ってきなさいよ。イッセー、着いてきちゃ駄目だからね!」

 

「そんなぁ...!」

 

 俺はがっくしと肩を下げる。

 ルーシィはさっさと何処かへ行ってしまった。

 折角ルーシィも来てくれたのに結局いつもの面子に逆戻りか...

 

「とりあえずホテルに荷物置いて飯食いに行くか」

 

 ナツとハッピーを引き連れてホテルにチェックインし、荷物を預ける。

 その後ホテルのすぐ側にある飲食店へと入った。

 

 男3人で虚しく飯を食っていると誰かが近づいてきた。

 

「お食事はもうお済みですか?ご主人様」

 

 声の方を向くと、そこにはメイド服を着たルーシィがいた。

 

「うぉ...うぉおおお!!」

 

 めちゃくちゃ可愛い!!

 

「結局あたしって何着ても似合っちゃうのよねぇ」

 

「めちゃくちゃ似合ってる!!!まじで可愛い!!」

 

「ありがと!あんた達はなんか無いわけ?」

 

「どうする?ルーシィメイド作戦を完全に本気にしちゃってるよ!!」

 

「今更半分冗談だったなんて言えないよな...!!」

 

「ちょっと聞こえてるんですけど!!?」

 

「バカ!折角ルーシィがメイド服着てくれたんだから萎えさせるような事言うな!!」

 

「はぁ...でもまぁ良いわ。半分冗談でも成功すれば一番簡単にクエストクリア出来るのは間違いないし」

 

 うぉお!ルーシィのメイド服姿破壊力が高けぇ...!

 でもこんなに可愛いメイドさんが来たらあのエバルー公爵とかいう変態絶対手を出そうとするよな...!くそっ!そんなの許せねぇ!!今からでも...!いやでも作戦を変更したらルーシィがメイド服着てくれねぇし...うわぁ!!どっちが正解だ!!?

 

「何ブツブツ言ってんだ?」

 

「どうせ碌でもない話でしょ?戻ってくるまでほっときゃ良いのよ」

 

「よし!ルーシィはメイド服のままで、エバルー公爵を俺がぶっ倒せば万事解決だな!」

 

「何も解決してないけど!?あのねぇエバルー公爵は一般人なのよ?盗賊退治なんかとは訳が違うわ。軍隊呼ばれるわよ?」

 

「軍はやべぇな...」

 

「わかったら私の潜入作戦の成功を祈ってなさい。ほんのちょっぴりくらいは分前あげるから」

 

「よし...そんじゃ依頼主の所に行こうぜ」

 

「えぇ!」

 

「はぁい...」

 

 くそぉ!こうなったら俺もメイド服で変装して...!いや流石にばれるか。

 後自分で言うのもなんだけど俺の女装は気持ち悪すぎるな...

 

 ────────────────────────

 

「へぇ立派な屋敷ねぇ...本一冊に20万Jも出す人だもん、やっぱりお金持ちよね」

 

「くそ...金持ちならメイド服のルーシィを見ちまったら、うちで言い値で雇うぜグヘヘ!とか言ったりしないだろうな...!!」

 

「あんたじゃあるまいしそんな事そうそう無いわよ」

 

「ぐ...でも!もしそんな事になったら絶対守るから!!」

 

「はいはい、ありがとありがと」

 

「相手にされてねぇ...」

 

 そうこうしているうちにナツが玄関をトントンと叩く。

 

「どちら様で?」

 

「魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)の...」

 

「しっ!静かに!!...すみません裏口から入っていただけますか?」

 

「なんだ?」

 

 よそ者が入ると暴れだす番犬でも飼ってんのか...?折角立派な玄関なのに勿体ない。

 裏口に回ると依頼主が奥さんと一緒に俺達を出迎えてくれた。

 

 良かった、奥さんと一緒なら俺が危惧したような事にならないだろうし、依頼主そのものも滅茶苦茶温厚そうな人だ。

 

「先ほどはとんだ失礼を...私が依頼主のカービィ・メロンです。こっちは私の妻」

 

「うまそうな名前だな!」「メロン!」

 

「ちょっと!失礼でしょ!!」

 

「あはは!よく言われるんですよ...まさか噂に名高い妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士さんがこの仕事を引き受けてくれるとは...」

 

「そっか?こんなうめぇ仕事良く今まで残ってたなぁって思うけどな」

 

「しかもこんなにお若いのに、さぞ有名な魔導士さんなんでしょうな」

 

「ナツは火竜(サラマンダー)って呼ばれてるんだ」

 

「おお!その字なら耳にした事が...!ところでそちらの方は?」

 

「あたしも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士です!!」

 

「その服装は趣味か何かで?...いえいえ、良いんですがね」

 

「ちょっと帰りたくなってきた」

 

「気にしなくて良いルーシィ!俺はずっとその服でも良いと思うぞ!!」

 

「あんたがメイド服好きなのは分かったから...全くもう」

 

「はは...それじゃあ仕事の話をしましょうか。私の依頼はただ一つ、エバルー公爵の持つこの世に一冊しかない本、日の出(デイ・ブレイク)の破棄又は焼失です」

 

「盗んでくる訳じゃないんすか?」

 

「まぁ、勝手に器物損壊をするのですから取るのとそう変わりは無いんですけどね...とにかくあの本がこの世から消えて無くなりさえすればそれで良いのです」

 

「そこまで...その本は一体何なんですか?」

 

「良いじゃねぇか20万だぞ20万!」

 

「いいえ、200万Jお支払い致します。先日成功報酬を上げさせていただきました」

 

「にっ!!」「ひゃ!!!」「くぅっ!!」「まん~~~~!!?!?」

 

「200万!!?ちょっとまて計算できねぇ!!」

 

「ルーシィが140万、俺達がそれぞれ20万だ...メイド作戦が成功すれば」

 

「ルーシィの言い値でも元の報酬丸々と一緒じゃねぇか!!どうせルーシィは失敗するし実際にはもっと貰うからえぇっと!?」

 

「ちょっとどういう事よ!!」

 

「うぉおお!!燃えて来たぁ!!行くぞルーシィ、イッセー!!」

 

「ちょっと待ってよ!!」

 

「あぁもう...失礼します!!おい待てナツ!!」

 

 俺達は...というかナツが今すぐにでもといった様子で駆け出してしまった。

 本一冊に200万、いくらなんでもやりすぎだ...でもまぁ、メロンさんも何か事情がありそうだったし、やるだけやってみるか!

 

 

 

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