俺とルーシィが魔動四輪車から降りると、エルザがナツをぶっ叩いていた。
「馬鹿者!!
「そんな話初めて聞いたぞ...」
「あんた気絶させられてたもんね...」
「もういい。さっきの列車に乗っているのだな?すぐに追うぞ...何か特徴はあったか?」
「あんまり特徴無かったけど...強いて言うなら三つ目のドクロっぽい笛を持ってた」
「なんだそりゃ...趣味悪いやつだな」
「ちょっと待って...三つ目のドクロの笛...まさか...?」
「どうしたんだルーシィ?」
「もしも、その笛が呪歌だとしたら、ララバイ、眠り、死...やっぱりその笛がララバイだ!!呪歌、死の魔法!!」
「なんだと!!?」
「呪殺は黒魔法として禁止されてるでしょう...?でも、ララバイはもっと恐ろしいの...笛の音を聴いた者全てを呪殺する集団呪殺魔法...!!」
「そんなものがエリゴールの手に渡ったら...!!今すぐに追うぞ!!!」
エルザがプラグを自分の腕にはめて魔動四輪のエンジンをかけた。
「行くぞ...!!」
────────────────────────────
「「死ぬ...」」
俺とナツはエルザが中などお構いなしで車を走らせるのですさまじい勢いで酔っていた。
「ルーシィ...膝枕してくれ...」
「い、や!なんでそんな事しなきゃならないのよ!」
「いや...さっきやってくれたじゃん...」
「あんたみたいなドエロ男知らないわよ!勝手に気持ち悪くなってなさい」
「うぅ...ルーシィが虐める...」
「ふん!」
「お前ら...うるせぇ...頭に響く...」
「あ...?なんだあれ...」
ふと視線を上げると大きな駅から煙が上がっていた。
「おそらくあそこが
ひときわ大きくエンジンが吹かれて、これ以上ないくらいに最悪の揺れが提供される。
「はぁ...はぁ...うぷ!!...これ、俺とナツもうリタイアかもしれない...」
「うっさい。あんたはフラフラでも働きなさい」
「なぁルーシィ!なんでそんなにきついんだよ...!」
今度は無視か...ちくしょう!なんてひどいんだ!!
ちょっとおっぱい褒めただけじゃねぇか!!良いじゃねぇか!最高なの持ってるんだから逆に自慢するくらいでも良いくらいだろ!!
それからすぐに、駅に到着した。
『みなさん、お下がりください。ただいま列車の脱線事故により駅には入れません。内部の安全が保障されるまで駅は封鎖します!!』
そんなアナウンスが聞こえる中、俺達は人込みを無理矢理掻き分けて駅へと進んでいった。
「中の様子は!?」
エルザが駅員に尋ねる。
「な、なんだ君は...」「ふん!」
エルザが駅員を頭突きで気絶させる。
「中の様子は?」「は?」ドゴン!
「中の様子は?」「ひぃ!!」ドゴン!!
「そ、即答できる人しか要らないのね...」
「これがエルザだ...もう分かって来ただろ?」
ルーシィはナツを背負っていた。
うぅ...俺だって同じくらい気持ち悪いのに...
「はぁ...はぁ...」
俺は泣きそうになりながら皆を追って走った。
結局有益な情報が得られなかったエルザはそのまま中に突入する。
しばらく進んだ場所では軍の連中が軒並み気絶か死亡していた。
「相手は一つのギルドの魔導士全員...軍の小隊では話にならんか...」
俺達が軍の倒れている場所を乗り越えてホームまで進むと、大勢の人間が待ち構えていた。
「...やはり来たな
「貴様がエリゴールだな。お前たちの目的はなんだ?返答次第ではただでは済まさんぞ」
「遊びてぇんだよ。仕事もねぇし暇なもんでな...そんで遊びついてにここでクイズだ...駅には何があると思う?」
エリゴールが風の魔法で空を飛んでスピーカーをこつんと叩いた。
「貴様...!ララバイを放送するつもりか!!?」
「ふはははは!!これは粛清さ....権利を奪われた者の存在を知らずに、権利を掲げる愚か者どもへのな...不公平な世界をのうのうと生きるその罪に、死神が罰を与えに来たのさ...!」
「そんな事したって権利は戻ってこないわよ!!」
「権利...?違うな、俺達が欲するのは権力だ。権力さえあれば全ての過去も未来も自由に支配する事ができる」
「残念だったなハエ共!!闇の時代を見る事なく死んでいけ!!」
突然喋りだした男の影が伸びてルーシィに襲い掛かる。
「...んのっ!!!」
「きゃあ!」
俺はルーシィに飛び掛かって押し飛ばす。
「ぐはっ!!!」
影の手に地面へと叩きつけられた。
「痛って...!」
「ちょっと、イッセー!?」
「悪い...吹き飛ばしちまった」
「私は大丈夫だけどあんたが...!」
「...テメェ、ルーシィを狙いやがって...!おまけにイッセーを!今度は地上戦だ!!正々堂々俺と勝負しやがれ!!」
ナツが俺を抑えつける影を炎で殴り飛ばしてくれた。
「ナツ...!!」
「わり、助かった...」
「気持ちわりぃなら寝てろイッセー。俺が全部ぶっ飛ばしといてやる」
「....いや、俺も戦える」
俺はふらりと立ち上がってパンと頬を叩いた。
「来い、
『Boost!!』
両陣営各々臨戦態勢に入る。
「後は任せたぞ。身の程知らずのハエ共に
エリゴールは俺達の戦いに関与しないとばかりに逃げていった。
「まずい!!奴は笛を吹くつもりだ!!ナツ、グレイ...二人で奴を追うんだ!!」
「あ?」「は?」
「お前たち二人が力を合わせればエリゴールにも負けるはずがない...ここは私とルーシィ、イッセーでなんとかする...聞いているのか!?早く行け!!」
「「あ、あいあいさー!」」
メンチ切って喧嘩しそうだった二人は肩を組んで去って行った。
「あいつらエリゴールさんを追うつもりだ、俺が仕留めて来る!」
「こっちも!あの桜頭だけは許せねぇ!!」
さっきの影の魔法の男ともう一人が去って行った。
「こいつらを片付けたら私達もすぐに追うぞ」
「へへっ、女二人と雑魚男だけで何ができるやら...それにしても二人ともいい女だなぁ!」「殺すにはおしいぜ!」「とっつかまえて売っちまおう」「待て待て、妖精の脱衣ショー見てからだ!!」
ひゃはははと男たちがあざ笑う。
「ちょっと...待ちやがれ...」
俺はふらふらしながら一歩ずつ前に出ていく。
「ちょ、ちょっとイッセー!?やっぱりあんたは寝てた方が良いんじゃ!!?」
「そんな訳にいくか...!!こいつら、脱衣ショーとか言ってやがった...!!エルザさんはまぁ大丈夫にしても、ルーシィに何するか分かんねぇ...!!許せねぇよ!!」
「イッセー...」
「ルーシィをひん剥こうだなんて絶対に許さねぇ!!!お前ら全員ぶっ倒してやる!!!」
『Boost!!!』
俺は魔力とオーラを迸らせた。普段よりもずっと力が溢れて来る...!!!
「ルーシィのおっぱいは俺のもんだぁぁ!!!!」
「あんたの物でもないけど!!?!?」
俺は連中の元へ突撃して、全力で最前線の敵をぶん殴った。吹き飛んだ勢いで更に何人も吹き飛んでいく...!
「ちょ、ちょっと...今のイッセー流石におかしくない?」
「あい。エルザの洗脳が解けたら普段より割増しでイッセーはドスケベだからね」
「抑圧されていた欲求が解放されるのね...」
「ふむ...矯正はまぁこの件が終わってからにするとして、これほどのパワーとは頼もしい限りだ。私も負けてられないな」
「野郎ども!!やっちまえ...!!」
「どきやがれ...!!」
俺は魔力弾を放つ。ゴウと放たれたそれは着弾と同時に広範囲を弾き飛ばした。
「くそ...!なんだこいつら!!男も鎧女も滅茶苦茶強えぇじゃねぇか!!!」
『Boost!!』
「ルーシィに手ぇ出してみろ!!!全身ぐちゃぐちゃにしてやるからな!!!」
俺が全力で暴れていると、横で凄まじい音が鳴っていた。
ちらりと見るとエルザさんが鎧を換装して、
「まだまだ足りねぇぞ...!!!」
「ひぃっ!!なんだこいつ...!時間が経つごとにどんどん強くなってやがる...!!」
少し暴れていると、あっという間に周囲の敵は全滅していた。
『Reset』
「ふぅ...」
倍加が解除された俺は手をぐっと握る...うん。ドライグの言った通りいつもより力が馴染んでいる感じがする。
「あいつ...エリゴールの所に向かうかもしれん。ルーシィ、イッセー。追ってくれ」
ふと見ると太った男が駅構内へと逃げていた。
「えぇ!?イッセーだけで良いんじゃ...」
「良いから頼む!!二人ともだ!!」
「はいぃぃ!!....ちょっとイッセーさっさと行くわよ!」
「え、お、おう...!」
俺はルーシィに引っ張られながら後を追う。
ちらりと後ろを向くとエルザさんが汗をかいて少し疲れていそうな顔をしていた。
そりゃそうか...魔動四輪車をずっと全速力で動かし続けて、なおかつこの人数相手の大立ち回り...一度は休憩を入れないと厳しいだろう。
俺は少し後ろ髪を引かれながらもルーシィについて行く。
.......................
「...完全に見失っちゃった」
「あいつ、そんなに足が速いわけじゃない癖に急に消えたからな」
「エバルー公爵みたいな魔法の持ち主の可能性もあったけど、ここら辺にはなんの痕跡も無かったし...これだけ時間を使っちゃったらもう近くには居ないわね」
「俺はナツみたいに鼻が良い訳じゃないから、一旦手詰まりだな...」
「はぁ...しょうがない。しらみつぶしに探すしかないわ」
「よし。それじゃあ別行動するか...さっさと見つけないとエルザさんに殺されそうだし。ハッピーはルーシィを頼む」
「あいさー」
俺はルーシィに手を振って別れる為に背を向ける。
ほんとはもっと一緒に居たいけど、なんか今かなり機嫌悪くて俺に辛辣だし、早く見つないといけないのは事実だし...大体の敵はさっき俺とエルザさんと俺でぶっ倒したからきっと大丈夫だ。最悪ハッピーもついてるしルーシィには星霊魔法もある。
駆けだそうとした所で右腕を掴まれた。
「ちょ、ちょっと待ってよ...こんな所で私を一人にする気?」
ルーシィが困ったように眉を顰めながらこっちを見つめて来る。
「いや、ハッピーもいるし...」
「こんな闇ギルドのおっかない奴らがいる場所に...私を一人で置いて行くの?守ってくれるっていっつも言ってるくせに」
ぎゅっと掴まれた腕が更に強く掴まれる...
「え...いや...でもルーシィ怒ってるし、今はあんまり俺と居たくないんじゃないかなって」
「...わよ」
「え?」
「そんな事ないわよ!!あんたのドスケベにはほとほと呆れてるけど!それでもあんたの事はそれなりに信頼してるし、頼りにしてるの!!悪い!?」
う...そんな嬉しい事言われたら別行動なんか出来ないじゃないか...
「え、あ、いや...分かった。じゃあ一緒に探すか...」
「....うん。お願い」
「....おいらも居るんだけど」
「分かってるわよ!でもあんた戦力外じゃない!今頼れるのはイッセーしかいないんだもん!」
「そんじゃ急いで探すか...!」
「うん!」「あいさー!」
俺達は駆け出した。