僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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僕はバスで隣り合った

「おおーっ!!」

 

 各クラスでのコンペ形式の表紙案の募集(※)から数日後、土日を挟んだこともあり、たくさんの表紙案が応募された。

 

 ※あのあと、トップ4コンペ形式で問題ないか、学年の担当の先生たちの許可は取った

 

 僕は「スカル 陰鬱な木々とキャンプファイヤーを添えて」という感じで表紙案を描き、山田も「飯盒炊爨のカレーライスを食べる女子たち」をモチーフに表紙案を描いた。だが、やはり一番人気だったのは美術部員の描いた今時の漫画風の表紙案だった。

 

 遠近法を駆使してかっこいいポーズを決めるキャラと、太くて立体的な林間学校の文字。

 さすがにセンスと着眼点が違うので美術部員の大勝ちは仕方がないが、僕のクラスでは美術部員ではないクラスメイトの表紙案も4つ中2つ採用されたので、「俺はこれが好きー」「お前はどれにする?」などと皆は大盛り上がりだった。

 

 しおりの本体部分については、高瀬監修のもと内容を作成、原さんにイラストを担当してもらい、既に共通部分の大枠は完成していた。なので、あとは表紙を4パターン追加するだけだ。

 

 とはいえ、そこが一番難しいわけで。

 

 さすがにレイアウトと印刷まで全部やりきるのは少し厳しいか?? と思っていたら、高瀬が高機能な印刷ソフトの無料体験期間を駆使してしおりの表紙以外を一晩で仕上げてきた。

 ちなみに情報処理部に尊敬の視線が集まったが、言っとくけどアレは高瀬の超絶スキルであって情報処理部とはあんまり関係ないからな??

 

 ともあれ、あとは各々好きな表紙を選んでホチキスで止めることで(この簡単でスマートな解決策を考えつくのが高瀬の学年1位たる所以だ)しおりは完成。

 熱気は最高潮のまま、迎えた林間学校当日。

 

 

 

 

「な、なぜ……」

 

 一泊二日の林間学校の現地には、バスで向かう。

 

 1クラス1台の貸し切りバス。左に女子、右に男子という感じで席割が発表されたが、僕はなぜか中央通路側になっていた。

 それだけならまだしも、隣には高瀬と、通路を挟んで山田が居る。

 

 さて、陰キャを陽キャの間に挟むとどうなるか?

 

 答え。オセロではないので裏返らない。無慈悲な現実として、陰キャは死ぬ。

 

「か、勘弁してくれ……」

 

「小林の隣がよかったなー」

 

「高瀬、誰狙いなのかをさりげなくカミングアウトしてるんじゃない!」

 

「えー、市川はいいじゃん。山田さんと隣になれたんだしー」

 

 スネた上に開き直るな。

 

「高瀬、しおり本体を印刷してくれた恩はあるが、あんまり茶化すようなら……」

 

「はーい。市川の嫉妬はこわいなあ」

 

「嫉妬とかじゃない!!」

 

 言っているそばから男子に続いて女子がバスに入ってきて、座席に座り始める。

 

「市川、お隣だね!」

 

「あ、ああ……」

 

飯盒炊爨(はんごうすいさん)のごはんとカレーの組み合わせ、楽しみだなあ!」

 

「山田さんはいつもの山田さんだね」

 

 高瀬が言う感想を、

 

「いや、これでも山田はだいぶ緊張している。いつもなら真っ先に食うであろうお菓子の大袋を食ってないしな」

 

 僕が補足する。

 

「市川は山田さんのこと、良く分かってるね」

 

「ま、まあな」

 

「……な、なんでそんなに私のこと理解(わか)ってるの?」

 

「それは、いつも山田を見てるから……って何を言わせるんだ高瀬!!」

 

「えー、今の俺関係なくない??」

 

 ぎゃーぎゃー騒ぐうちに、最後に担任の先生がバスに乗り込んでくる。

 

「あー、ゴホン。全員いるか? 遅刻したやつが居ないか隣の座席を確認!」

 

「「「全員いますー」」」

 

「よーし、全員揃ったようだな。時間になったら出発するぞ!」

 

「「「はーい」」」

 

 時間になり、バスが出発する。これから2時間以上、僕は山田と隣り合う。

 

「あ、改めてよろしくね、市川。隣の席だし、いろいろ話していいからね」

 

「あ、ああ……」

 

 僕の殺戮のカウントダウンは……始まったばかり……。




2800UAに到達しました。いつも読んでいただきありがとうございます。今後もがんばります。
二泊三日→一泊二日に変更しました。
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