僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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僕らは林間学校に行った その1

 林の中の宿泊施設に到着した後、入所式とクラスごとの写真撮影が行われた。

 

 その後の施設周辺の散策では、普通はあまり見ない樹木や昆虫、野鳥の写真を撮ったりするミッションが発令された。

 

「カナブン見つけた! カナブン!」

 

 昆虫好きの小林が子犬のようにおおはしゃぎしているのを、女子の仲良しグループが見守っているほほえましい光景。

 

「カブトムシかクワガタ見つけんぞ!」

 

 と足立をはじめとする男子グループは息巻いているが、カブトムシやクワガタは夜行性なので成果は期待できないだろう。と、若干冷めた感じで樹木を観察していると、カマキリが居た。

 

「カマキリがいた!」

 

 グループに報告し、さっそく写真に撮る。なかなか良い成果だ。

 

 昼食は自衛隊のレーションみたいなものを食べた。「これ何の肉?」「あんまりおいしくねーな」などと皆が好き勝手言うが、僕はこの味は好きだ。コンパクトにまとまっている栄養素という感じがする。毎日食べたいとは思わないが……。

 

 その後、オリエンテーリング(山歩き)という、グループごとに地図を持って時間差で出発し、チェックポイントを回りながら目的地に到着するという、RPGゲームのクエストのようなイベントをこなしたりした。

 

 いつもは自信満々な高瀬が実はかなりの方向音痴だということが判明し、看板もない獣道に入っていこうとするのを慌てて止めて軌道修正したり、慣れない山歩きで少し足を痛めた足立のバッグを代わりに持ってやったりして、オリエンテーリングはなんとか無事に終了した。

 

 夕食はカレー作り。

 

 山田はモデル業をやっている都合で包丁やピーラーを持たせてもらえないので、野菜を洗ったりするのを任されているようだった。僕はしおりの「カレーライスを作ろう」のページを見ながら、飯盒でごはんを炊くことを担当した。

 

 高瀬は野菜の皮剥きと鶏肉の処理を担当して、皆に尊敬の目を向けられていた。野菜を一口大の大きさに切るのは足立の担当だ。それが終わったら、鍋に油を入れて肉を炒め、計量カップで計った水を入れ、野菜を追加して煮込む。ある程度火が通ったところでルーを入れる。

 

 高瀬曰く、カレーのルーは無理に早く溶かそうとしてもダメで、単純に5分くらい放置すると勝手に溶けるらしい。実際、根気よく5分ほど待っていると、ルーは完全に溶けたようだった。他のグループが色々試している中、何もせずにいた僕らのグループが一番うまくカレールーを溶かしていたのが印象的だった。「果報は寝て待て」ということか。

 

 飯盒のごはんをむらし終え、蓋を開ける。うまくごはんができていた。皿にごはんをよそい、カレーをかける。カレーライスの完成だ。

 

「うひょー、うまそう!!」

 

 足立のテンションが上がっている。

 

 時間になり、夕食が始まる。自分たちで作ったカレーライスを、樹木に囲まれた広場で食べる。それだけで、いつもの4倍くらいおいしく感じられるから不思議だ。おかわりしたいが、そんなに大量に余っているわけではないので全員が一口ぶんくらいずつおかわりしておしまいになった。

 

 後片付けが済んだら、キャンプファイヤーだ。先生たちの指示で組んだ木材に火をつけ、皆でそれを眺める。このときはグループ行動ではなく、自由行動だ。男子と女子が少し入り混じる。

 

「市川! カレーライスうまくできた?」

 

 山田が知らないうちに距離を詰め、声をかけてくる。

 

「かなりうまくできたと思う。山田のほうは?」

 

「ちょっと野菜がごろっとしてたけど、なんとか火が通って食べられた! おいしかったよ!」

 

 気が利いた言葉を言えればいいのだが、キャンプファイヤーを見ていると、ついつい無言になってしまう。

 

「ねえ……市川って、漫画読む?」

 

「一応読むが……?」

 

「い、今私がハマってる、『君色オクターブ』っていう漫画があるんだけど……興味ある?」

 

 山田の好きな漫画か……。相手の思考を知るのが大事って、犯罪心理学の本に書いてあったな。プロファイリング捜査とかいうやつだったか……。

 

「山田が読んでいる本、興味ある」

 

「本当!? じゃあ、林間学校が終わったら貸してあげるね!!」

 

 山田はなぜかとても嬉しそうにしている。その横顔が、キャンプファイヤーに照らされて。

 

「奇麗だな……」

 

「えっ……市川!?」

 

「い、いや、キャンプファイヤーがな?」

 

「あ、そうだよね!……じゃ、じゃあ、またね!」

 

 たったったと走って仲良し女子グループに戻っていく山田。一体何がしたかったんだ?

 

 その後、宿泊施設で入浴し、布団を敷き、男子たちで雑談を楽しんだ。消灯時間になると電気が消えたので、僕らはよく眠った。




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