人生二周目の転生者として、俺が負けるわけにはいかないのが中間試験・期末試験系イベントだ。目黒区の区立中学校は二学期制を採用しているため、今回は一学期の期末試験がそれに該当する。
いくら家事を毎日こなしているとはいえ、部活のある水曜日以外は事実上帰宅部。余った時間で期末試験の対策を進めていくことに何ら問題はない。
「まず主要五教科、国語・数学・理科・社会・英語の範囲を確認して、教科書とノートを見直して、教科書と副読本に完全対応したドリルをやって、ここまでで500点、と」
「次に副教科である音楽・美術・保健体育・技術家庭の四教科の範囲を確認して、教科書とノートを見直して、ここまでで900点、と」
ふう。教科書は暗記してるから、あとはケアレスミスをどこまで減らすことができるかの勝負になるな。国語では「作者の気持ちになって答えましょう」系の質問にちゃんと模範解答する必要があるし、数学は計算過程を省いてしまうと「計算過程をきちんと書きましょう」「まだ習っていない証明を使わないように」とか言われるし、色々やっかいなのは中間試験で学習済みだ。
「市川の声も聞いてみるか」
LINEで『きょう』にメッセージを送る。
「今ヒマか?」
「今は君色オクターブ読んでるから、まあ暇だ」
俺は市川が舐めプをしていることに気付く。
「ほう」
「君オクを読みながら俺に期末試験で勝つつもりか」
「高瀬は家事全般やってるんだし、互角の勝負だろ」
「それに、なんか少女漫画って斬新で、いい息抜きになってる」
「ふむ」
「それならいい」
「好きなシーン訊かれたら、ちゃんと答えられるようにしておけよ」
「ああ」
「貸してもらった以上、感想の交換は大事だよな」
「それもあるが」
「?」
「その漫画は山田の恋愛観を構築している」
「かもしれん」
「プロファイリング捜査……というわけか」
「君オクは良く知らんが、そういうことだな」
「そういえば、高瀬には俺が山田と夏祭りに行った話はしたっけ?」
「聞いてないが」
「仲良し女子グループに囲まれて公開処刑されるのかと思ったら、山田がナンパされてて、俺が助けたんだけど」
「ほう。山田ポイント+20だな」
「そのあとかき氷を奢った。軍資金が役に立った」
「山田ポイント+10だな」
「あと、期末試験の日程と被ってるんだが、もうすぐ山田の誕生日があるから、ミルクティーでもあげようかな、と」
ここで俺は、原作イベントが回収されそうになっていることに気付く。
「市川は、紅茶花伝の由来については知っているか?」
「知らん」
「詳しくは検索してもらうとして、紅茶花伝のうしろ2文字である花伝には『花伝書』という元ネタがある」
「花伝書にはこうある」
「秘すれば花なり、秘せずは花なるべからず」
「有名な一節だ。意味については、自分で調べてみてくれ」
「世の中、色んなものに意味があるんだな」
「そりゃそうだ。かの夏目漱石曰く」
「『I LOVE YOU』を『我、君を愛す』と訳すのは直訳がすぎる。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ」
「だそうだ」
「日本語は奥が深い」
「ふーん」
「おっと、話し過ぎた。勉強に戻る」
「りょ」
推しの市川との会話で気力を回復させた俺は、再び試験勉強を再開する。たかが中学生レベルと侮るなかれ。満点を取ろうとすると、たとえ転生者でもそれなりに対策は必要なのだ。
そしてテスト期間は終了し、結果が貼り出される。
俺は892点という高得点で、市川の886点に完全勝利し、学年1位の高瀬、学年2位の市川という評価は不動のものになっていくのだった。
俺はLINEする。
「勝った」
「負けた」
「それで、紅茶花伝の件はどうなった?」
「ちゃんとあげた」
「山田ポイント+100だな」
「なんで+100!?」
「さてなんででしょう?」
「分からん」
市川には分からないか。モデル業をしながら女優を目指す
まあ市川が自分の恋愛感情がバレてないと思っているなら、それはそれでいいか。そのほうが面白いしな!!
UAが4300を超えました! 二次創作 初投稿にしてはよくやったよ(自己肯定していくスタイル)
まだ書くネタはあるので続きますが、少し書き貯めの期間をいただきます。
話に一区切りついたので、高評価・感想などをいただけると!!嬉しい!!です!!