僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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俺は授業した

 前回までのあらすじ。僕ヤバ世界に転生してきた俺こと高瀬ライトは、学年1位の優等生。しかし前世知識と原作知識とお金があれば何でも解決できると思ったら大間違い。この僕ヤバ世界の主人公である市川京太郎の劣等感の克服(レベルアップ)無くして、物語(ラブコメ)が先に進むことはない。

 え? 山田が市川の家に行った? そうか……訂正しよう。ほっといても進むときは進むんだな……。

 

 水曜日の放課後、俺は情報処理部の部室で机を挟んで椅子に座り、市川と話していた。

 

「市川。このあとどんな学校行事があるか全部把握してるか?」

 

「あ、あんまり把握してない」

 

「実は俺もだ。10月の文化祭が終わったあと、三者面談があることくらいしか知らん……。11月に後期中間テストがあって主要5教科の成績が出る感じだが、12月はクリスマスと正月までイベントが無い」

 

「あー、一年生の間はイベントより中学校に慣れることを優先している、とか?」

 

「まあ、そういうことだな。つまり――」

 

 俺は顔の前で手を組み、きわめて深刻そうな表情をする。

 

「つまり?」

 

「自分たちで積極的に動かない限り、恋愛に進展は無い。関係はよくて同程度、あるいは後退もありえるということだ」

 

「恋愛に進展って……いや、それより……後退!?」

 

 新たな概念を知り、驚愕する市川京太郎。

 

「山田がお菓子を食うために市川のテリトリーである図書室に入り浸っているのは知っている。ばやしこが言っていたからな」

 

「うぐ!?」

 

「とはいえ今はそこには目をつむろう。問題はその先があるかないかという話だ」

 

「その先……とは?」

 

「今から中学1年生にはかなり危険な話をする。覚悟はいいか?」

 

「あ、ああ……」

 

「もし2年生になったとき、山田が別のクラスになり、一瞬でそのクラスの男子女子と仲良くなり、別クラスで孤立する市川とは疎遠になる……ありえない話か?」

 

「っ!!!!」

 

 言葉のジャブに、市川の脳が揺さぶられる。

 

「しかも山田には別の男が近づいてきて……おっと、中学1年生には危険すぎたな。これ以上言葉が必要か?」

 

「い、嫌だ!!!! そんな未来は絶対に嫌だ!!!!」

 

 市川はおそらく過去いち大きな声を出す。ここが職員室から離れていてよかったな。

 

「少し授業をしよう。市川も『恋愛』という単語の意味は知っていると思う。じゃあ、『恋』と『愛』の違いは? 俗説だが『恋は求めるもの、愛は与えるもの』という言葉がある。『初恋は実らない』と言われる理由もそれだ。恋だけでは求めることしかできない。愛、つまり与えるものを伴わないと長続きしないというわけだ」

 

「た、高瀬は……恋愛に詳しいんだな」

 

「ばやしこを好きになった後、たくさん辞書を引いたからな……」

 

 嘘である。これは前世知識だ。さすがに中学1年生に「恋」と「愛」を理路整然と区別する能力は無いと思われる。

 そんな奴が居たらキモイ。

 あ、そうなると今の俺はキモイのか? まあ……うん。そこは前世でいろいろとあったから……。

 

「積極的に動く……とはいえ、俺たちはまだ中学生だ。できることは限られている。お互いのことをよく知ったり、プレゼントを贈ったり、一緒にゲームをしたり、映画を観たり……」

 

「高瀬……ちょ、ちょっと待て……ノートにメモるから……」

 

「勉強熱心なのはいいことだな」

 

 俺は市川がいつも自分の殺戮衝動をぶつけていたであろう極秘ノートに、恋愛についての記述が増えていくのを見て満足する。

 やはり、こういう小さな進歩でしか得られない栄養素がある。だから僕ヤバファンはやめられねえんだ……。

 

「家の方向が同じなら、チャリ使わないで一緒に帰るとかもアリだと思うぞ」

 

「か、書いた……。そ、そういう高瀬は小林とはどうなんだ?」

 

「俺? ばやしことはLINEで連絡をとって、たまにデートしたり、家でゲームしたり……あ、トンボのキーホルダーあげたらめちゃくちゃ喜んでたな。トンボの幼虫はヤゴっていうんだよ~。でもヤゴのキーホルダーって見かけないよね~かわいいのにさ~。って熱弁してた」

 

 え? もし俺とばやしこが別のクラスになったら? たぶん先生を殴りにいくと思います。わりとガチで。




僕ヤバアニメ2期……良い……。

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