僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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俺たちはデートした その1

「市川! 今週末、映画を見に行かないか?」

 

 水曜日の情報処理部。俺こと高瀬ライトはいい笑顔でそう言った。

 

「え、映画くらいならいいが……?」

 

 よし、乗ってきたな。

 

「じゃあ俺は小林を誘うから、市川は山田さん誘ってね」

 

「……ちょ、ちょっと待て!? 俺が山田を誘うなんて無理だろ。できるわけが……」

 

 顔面蒼白になった市川が、口をパクパクさせている。

 

「安心しろ。関根さんと吉田さんには当日バックレるように話を通しておいた」

 

「……よ、用意周到だな」

 

 俺は学年一位の高瀬ライト。転生して精神年齢が30才の男の謀略を舐めないでいただきたい。

 

「一般にこれはダブルデートと呼ばれるものだ。だが気にするな。たぶんどうせ俺と小林は別行動になるから、実質、市川と山田さんとのデートだ」

 

「げほごほげほ」飲んでいたパックジュースが気管に入ってむせる市川。

 

「じゃあ、週末の日曜日にしようか」

 

 そして、そういうことになった。

 

 

 

 

 日曜日。渋谷のハチ公前に向かった俺たちに、関根さんと吉田さんから「悪い。急用が出来て行けなくなった」というLINEが届く。

 

「うーん、風邪とかじゃないといいけど……」

 

 友達の心配をするばやしこ。リクエストしておいた麦わら帽子と白ワンピースの姿が可愛い。

 

「じゃあ今日は高瀬と私と、市川くんと山田で映画かぁ……」

 

 改めて確認するばやしこが、ハッと何かに気付く。

 

「あれ? これってダブルデートじゃないか?」

 

 ばやしこ、ついにお気づきになられましたか……てっきり最後まで気付かないものかと……。

 

「とりあえず市川と山田さんとも合流できたし、あとは映画館に向かうか」

 

 強引に話題を変えて、映画館の中に足を踏み入れる。

 

「我はポップコーンマン!」

 

 山田が変な行動をしているが、市川は食べ物で遊ぶな。というか容器デカすぎないか? などと正論をかましている。

 

 

 

 

 席に座り、映画が始まる。観たのは、幽体離脱が出来る少女が、奇妙な殺人事件に巻き込まれていく、というオカルトミステリーだった。

 

 俺は小林の手に手を重ねて、ぎゅっと握る。小林も握り返す。

 

 市川はどうだろうか。山田の手を握ったりしているのだろうか。それとも、山田が市川の手を握っている可能性もあるな。はぁ~尊い。僕ヤバ世界に転生してきてよかったぜ。

 

 映画のほうも、最後に全部の伏線が回収されていくのは圧巻で、なかなか面白かったな。

 

「じゃあ目的の映画は見終わったし、映画館周辺にあるクレープ屋で食べたりとか、ゲーセンで遊ぶとかするか」

 

 俺が言うと、市川が山田に話しかける。

 

「クレープ代は俺が出す。たぶん一番高いやつでも、軍資金があるから大丈夫」

 

「軍資金?」

 

「あー、高瀬の家でバイトして溜めたお金だ。いざという時に使う用だから、持ってきた」

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……イチゴとチョコソースのアイス載せクレープが食べたいな」

 

 山田といちゃいちゃしている市川。尊すぎる……死因は尊死。

 

「私にはおごってくれないのか?」

 

 ばやしこがちょっとスネたような口調で上目遣いで言うので、

 

「もちろん小林の分はおごるよ。皆で食べよう」

 

 俺たちはベンチに座り、皆でクレープを食べるのだった。

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