僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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俺たちはデートした その2

 市川はゲーセンで2000円ほど溶かしたが、なんとか目的のぬいぐるみをゲットして山田にプレゼントしていた。

 

 慣れないクレーンゲーム……奮闘する市川……絶対取れない位置に移動したぬいぐるみと絶望……。

 そして店員さんへの声掛けという(陰キャにとっては死を意味する)高度なアクション……。

 奇跡的にゲットしたぬいぐるみ……「や、やる」という一言で、山田に渡されるぬいぐるみ……真っ赤になる山田……。

 うん。いろいろあった。

 やっぱり僕ヤバはてぇてぇな。

 

「市川と山田さん、ゲーセンの後は別行動にしようか。俺は小林とバスケショップ行きたいし」

 

「えっ!?」

 

 まだ別行動する覚悟が出来ていなかったと見える市川が変な声を出すが、俺はぐっとサムズアップして別行動を開始する。

 

「市川! わ、私、行きたいパンケーキ屋さんがあるんだけど……」

 

「!?」

 

 市川がさっきクレープを食ったばかりの山田が、パンケーキを食べに行こうとすることに驚愕している。そこは山田の変なところだが、早めに慣れておいたほうがいいぞ!

 

 

 

 

 渋谷の道をばやしこと歩きながら、市川と山田について、意見を交わす。

 

「市川くん、山田の前ではフツーに喋ってんな。いつもは女子の前ではふにゃふにゃしてんのに……」

 

「市川は情報処理部で俺とも普通に話してるぞ」

 

「え? どんな話してんの?」

 

「それは秘密」

 

「えー、なんだよ気になるじゃんー」

 

 許せばやしこ。ここでクソ真面目に「恋バナしている」とか言ったら女子たちが食いつくであろうことは分かっているんだ。ゆえに情報の拡散は一瞬。市川と山田が築いてきた関係とかを押し流す感じで、あることないこと噂が始まってしまう。それだけは避けねば……。

 

 麦わら帽子白ワンピばやしこのほうをちらっと見ると、腕組みして考えている。

 

「まあ、それはそれとして、山田、楽しそうだったな」

 

「そうだね」

 

「山田はさー、知らない人と居る時は警戒モードになるんだ。でも市川くんと居る時はなってない……ということは、つまり……」

 

「仲がいいんじゃないかな」

 

「そうか……?」

 

 よくわからない顔をしているばやしこ。

 

「ま、いっか。バスケショップ到着ー。女子バスケ部ってさー、けっこう備品の消耗が激しくて困るんだよねー」

 

「俺も男子バスケ部だったからそのへんは分かるよ。下手に安いやつを買って使って、身体壊したら元も子もないもんね」

 

 タオルやら靴下やら、色々とカゴに入れていくばやしこ。

 

「うーん。話題は変わるんだけどさー。さっき映画館で、手、握ってくれたじゃん」

 

「あ、うん」

 

「も、もう一回握ってほしいかな……なんて」

 

 俺は原作8巻時点ではあまりフォーカスされていないばやしこの内面に触れた気がして、少し嬉しくなる。

 

「もちろんいいよ」

 

 俺はばやしこの手を握る。

 今この時だけは、自分が原作知識持ちの転生者であることを忘れることにした。

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