僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

44 / 61
久しぶりなので初投稿です。久しぶりすぎて文字数が少ない。リハビリが必要だ。


僕は助けた

 11月に入り、冬の制服でも寒くなってくる季節。その朝。

 

 僕は自転車を押しての登校中、でかい山田が誰かと一緒に歩いているのを発見する。

 上級生……2年生か? チャラそう……あ、でも文化祭で会ったような気もする……。

 

 僕はそれを見て一瞬「彼氏か?」と思うも、どうも様子がおかしい。

 

「――いつもは友達と何で連絡取ってるの?」

 

「テレパシーで……」

 

「山田さんって面白いね。ねぇ、LINE教えてよ」

 

 そこには山田の腕を掴み、しつこくLINEを聞き出そうとするナンパ先輩、略してナンパイがいた。

 

 僕は自転車をその場に止め、二人に駆け寄る。

 

「ちょっとナンパはやめてもらっていいですか」

 

「君は……学年2位の市川くんか」

 

 僕はナンパイに名前を知られていることに驚く。

 

「俺、好きな女性を口説いているだけなんだけど。何か問題でも?」

 

 ストレートに言われ、僕は迷った。どう切り返せばいい? どうすれば山田は助かる? 頭がフルスピードで回転する。

 山田のほうを一瞬、見る。

 

「これは一般論ですが、好きな女性を泣かせるのは良くないです」

 

「……ッ!」

 

 痛いところを突かれ、山田を見るナンパイ。確かに目元には涙が浮かんでいる。

 

「山田を泣かせる権利なんて誰にも無いですよ」

 

「……そうだね。その通りだ。ごめんね山田さん」

 

 カバンを背負い直し、学校のほうへ一人歩き去っていくナンパイ。せ、先輩との言い合いに勝った……。

 

「あー!山田!どうした!泣きそうな(つら)して!」

 

 遅れて現れた小林が、僕らに声を掛けてくる。

 

「あ、いや、これは違くて!」

 

 僕が釈明しようとすると、その言葉を引き継ぐように、

 

「2年生にナンパされてるところを、市川に助けられたんだよ」

 

 山田がエッヘンと胸を張ってフォローした。

 

「そうなのか……やるじゃん市川くん!」

 

「えぇ……まぁ……」

 

「やっぱりなんか、ふにゃふにゃしてんなー」

 

 小林が僕をクラゲか何かのように言う。一応、その自覚はあるんだが、陰キャムーブはそう簡単には直らないんだよ……。

 

 山田は僕に、小さく声を掛けた。

 

「市川には助けられてばっかりだね……」

 

「ま、まだ二度目だろ」

 

 小声で話していても、小林には筒抜けだったようで。

 

「二度目って、前にもこんなことあったのか?」

 

「えっと、夏祭りの時にナンパされ「言うな!」」

 

 小林のツッコミに答えようとする山田に、僕は声を被せる。

 

 いま思い返すと、あのときは我ながら恥ずかしい台詞を言った気がする……「山田は俺のだ!」って何様だよ……山田から借りてる少女漫画じゃないんだぞ! 赤面した僕は、前を向いて、学校までの道を自転車を押しながら歩くのだった。

 

 その後、情報処理部の部活中に高瀬にこの話をすると「自転車は無事だったのか!?」と意味不明なリアクションをされた。自転車は関係ないだろ……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。