僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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50話という一区切りを超えた51話目。つまり初投稿です。


僕は訪問した その3

 僕らは、山田の部屋でもう少し君オクを語り合った。

 

 具体的には、君オクはアニメ版、実写映画版など、様々なメディアミックスが行われていること。

 声優さんや俳優さんには、その時々の若手声優・若手俳優(女子高生の役に入り込みやすいためらしい)が起用されていること。

 まだ実写ドラマ化はされていないが、そのうちされるんじゃないか等々、芸能界的な意見を色々聞いたりした。

 そんなこんなで、あっという間に時間は過ぎていき、13時を回る。

 

「じゃあ、お鍋食べよう!」

 

 キッチンでの昼食が「一人鍋」(僕もいるから厳密には二人鍋か?)という信じられない事実を飲み込み、なんとか調理を手伝って煮えた具材をパクついていると。

 

「あ! ママから、これから帰るってLINEが来てる!」

 

「えっ!」

 

「どうしよう。今日は市川が来るって言ってないんだよ」

 

「なぜ言わない!?」

 

「パパもママもお仕事があるって言ってたから、仕事休んでまで家に居てもらうのが悪い気がして……」

 

「じゃ、じゃあ今からでも良いから連絡してくれ。何も言わずに男子を家に入れたというのは色々と不味い」

 

「どのくらい不味いの?」

 

 うん、山田は事の深刻さをよく分かってないな。箱には入ってないけど箱入り娘タイプか……。

 

「最悪、俺が山田家を出禁になるかも……」

 

「そ、それはダメ!」

 

 慌てて、スマホを操作する山田。

 

『ママへ。連絡忘れててごめんなさい。今日は市川を家に呼んで君オクの話をしていました。

 市川にも言われたけど、親が居ない時に男子を家に呼んだことは反省しています。本当にごめんなさい』

 

「送信!」

 

 さあ、どうなる? さすがにブラックリスト入りか?

 

 ピロン♪ とすぐにLINEの返信音が鳴る。

 

『後で詳しく話は聞くけど、連絡入れてくれたのは安心した。市川くんにも一言謝っておいてね』

 

「こ、これは、ギリギリセーフ……か?」

 

 なんとか首の皮一枚繋がったのか? そう思って、山田のほうを見る。

 

「ごめん市川……」

 

 ぽろっ、と山田の目から涙がこぼれる。

 その瞬間、僕は息をのんだ。

 

「私、男子を家に呼んだこと無くて、親への連絡のこととか、市川とどう接すればいいかとか、ぜんぜん分かってなくて……」

 

 声が震えている。

 怒られるかもしれない不安、僕に迷惑をかけたことへの罪悪感、そして、自分がうまくやれなかったという悔しさ。

 いろんな感情が絡まって、涙になったのだろう。

 

 ああ、前に高瀬が言ってたな。山田もまだ中学一年生。大人びて見えるけど、やっぱりまだまだ子供でもあるんだ。

 だから、僕は。山田の頭の上に手を伸ばす。

 

「泣くな。最初から上手く出来るやつばかりじゃない。今度は……ご両親がいるときに、堂々と遊びに来るから」

 

「……本当?」

 

 物事に絶対なんて無い。でも。山田が泣くのを止めるためなら。

 

「絶対。約束する」

 

 僕、市川京太郎は、山田杏奈と、山田家への再訪を約束した。

 

 

 

 

「ただいま。杏奈ちゃん、大丈夫だった?」

 

「うん……ごめんねママ……ちゃんと事前に連絡できなくて……」

 

「市川くんは?」

 

「君オク7、8、9巻を借りて帰ったよ。『今度はちゃんとご両親がいるときに遊びに来ます』って言ってた」

 

「そう……」

 

「ママ、私ね……」

 

 一拍を、置いて。

 

「市川京太郎が……好きです」




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