僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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俺は家計を語った

 家計簿アプリ、というジャンルがある。

 昔は紙で管理していた家計簿を、アプリで管理できるようにしたものだ。

 その中には、家族で使えるプランを備えた、シンプルながらも便利な家計簿アプリもある。

 

 場所は高瀬家のリビング。俺は隣り合って座りながら、義母(かあ)さんに、LINEはもう入れてあるので、次は家計簿アプリをインストールしてもらった。

 

「で、これが今まで付けてきた高瀬家の家計簿、1年6ヶ月分ね」

 

「こ……これを一人で!?」

 

「うん。慣れれば簡単だよ。

 機能を説明すると、大きく4つあって……。

 ホームタブは、今月の出費、外食の回数、給料日までの残日数とかが見れるね。

 残高タブの口座残高は、この目のマークのボタンで隠せるから、基本的には隠しておくといいよ。

 履歴タブはレシートを見ながら入力するか、レシートをカメラ撮影して自動分類機能に任せる。

 分析タブにすると、毎月の収入と支出が見れるよ。円グラフをタップすると収支が切り替わる」

 

 しばらくアプリを操作していた義母(かあ)さん。

 

「……使い方は分かったわ」

 

「で、あくまでウチの場合だけど、口座は給料が振り込まれるメイン口座と、各種引き落としが行われるサブ口座の2つがある。

 ときどきメイン口座からサブ口座に振込みして補充しているけど、差し引きゼロだからグラフとかには出てこない。

 俺専用の口座もあるにはあるけど、まだ中学生だから大金は振り込んでない。

 まあ、アプリには全部合算した結果が表示されるから、便利だよね」

 

「……信じられない」

 

「ああ。言いたいことは分かるよ?

 親父、このへん無関心で全部俺に丸投げしてきたから、最初はちょっと困ったな……。

 でも家計簿つけなきゃダメだってことだけは分かってたから、簿記3級を覚えて、並行して評判が良さそうな家計簿アプリを比較して一番使いやすいのを選んで……って感じ。

 有料プランだと銀行口座とクレカとAmazonが全部自動連携されるから、その点の漏れを心配しなくていいのがありがたいね」

 

「……でも、これはっ!! こんな仕事は……中学一年生のひとり息子に任せることじゃないでしょっ!!」

 

 あ、やっぱりキレた。優しい人ほどキレると怖いっていうよね。

 

 親父、ビンタくらいで済めばいいな……。

 

「で、まだ話は終わってなくて、ね」

 

「……え?」

 

「ウチのお金の使い方は、

 投資――未来の利益につながる支出(教育、書籍、健康管理、節約につながる買い物)

 消費――生活に必要な支出(家賃、食費、交通費、通信費、水道光熱費、衣服)

 浪費――価値はあるが、割に合わない支出(高級食品、贅沢品、ほとんど使わないもの)

 空費――精神的な満足度を得るための支出(旅行、趣味、ゲーム、娯楽)

 の4種類に分類されてて、無理のない範囲で浪費を抑えて投資に回すのが基本的な方針。パソコンとかは投資ってことで買ってて、ゲーム機は空費扱いで揃えてて……」

 

「え、ええ……?」

 

「家計とお小遣いも財布からして明確に分けてあって、たとえば急な外食とかで家計が足りなくなってもお小遣いで補填するのは禁止。逆も同じく禁止。

 家計が足りないときはちゃんとATMから引き落として対処するのがルール」

 

「ちょ、ちょっと待って……?」

 

「あと、行政への相談も定期的に行ったほうがよくて……色々な制度の有無や支援を受けられるかどうかってやっぱり窓口の人に具体例出して相談しないと分からないこともあるから……」

 

 その後も、俺はとりあえず基本的なことだけを義母(かあ)さんにテンポよく伝えていく。

 

 するとだんだん義母(かあ)さんがクラクラし始めたので、途中で切り上げる。まあ、冬休みは始まったばかり。まだまだ時間はあるからな。

 

 ぶっちゃけて言うと、簿記の有資格者でもピンと来ない概念があるくらいだから、「家計を預かる」というのはかなーーーり難しいのである。

 

 え? 投資? 流石に転生スーパー中学生の俺でも、投資で勝つのは無理です……日々の買い出しとかでニュース見てる暇すら無いし……暴落コワイ……。

 

「まあ、今日はもう年末に近いし、来年から家事と家計を分担していく形になると思うから、このくらいで話は終わっとくよ」

 

 あまりの情報の洪水に、呆然とする義母(かあ)さん。それを見て、俺は苦笑する。

 

 大人よ、頑張れ。

 

 高瀬家の未来は、俺たちの双肩にかかっているのだから。




父や義母の名前が出てこないのは不仲だからではなく、特に公開する必要が無いためです。
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