僕ヤバ世界のヤバイやつ   作:クラゲ大好き侍

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僕は帰省した その3

 何事もなく秋田での3日目が過ぎ、4日目。東京に帰る前に、おみやげを買うことになった。

 特産品の旗が立つパーキングエリアで、僕はおみやげを見繕(みつくろ)う。

 

 そういえば、山田は犬(わん太郎)を飼っていて、LINEのアイコンにしてるんだよな……。秋田犬のキーホルダー的なものを渡したら喜ぶだろうか。

 よし、首輪の色違いで2個買おう。1個は渡して、1個は……予備としてしまっておく。これは決しておそろにしようとかそういう意図は無く……。

 

 レジに持っていき、支払いを済ませる。一個600円のキーホルダー2つは、もうすぐお年玉がもらえるとはいえ中学生にとっては大金だ。紙袋に入ったキーホルダーを慎重にバッグに詰める。

 

「ん? 京ちゃん何か買ったの?」

 

 (おねえ)に弄られるのだけは回避したい。

 

「そっちこそ何か買ったのか?」

 

「大学の友達向けにお菓子買ったよ」

 

 お菓子……そういう手もあったか。よく考えたらおみやげに物って重いのでは? 買った後に気付いても、もう後の祭り……。

 

 車に戻り、父さんの運転で再び走り出す。姉がめっちゃ喋る。

 

「それでねー、おばあちゃんに近況報告してたら、京ちゃんのところに山田さんから突然ビデオ通話が掛かってきてね。内容がなんと、『初詣いく?』的な感じだったんだよ。これは私は脈があると見たね!」

 

「う、うざい……」

 

「どうやって仲良くなったの?」

 

「さ……さあ……どうだったかな……」

 

 図書館でおにぎりを食っているのを見かけたとか、高瀬ん家でのゲームに何故か呼ばれたとか、理科の発表のやつを手伝ったとか、数え上げればキリが無いが……姉には絶対に教えたくない……。でも強いて言えば……。

 

「べ、勉強を教えたりしたかな……」

 

「はぁーん!? そんなんで仲良くなれるなら今頃私にも死ぬ程 彼氏できとるわい!!」

 

 めちゃくちゃ自分のことを喋りはじめるおねえは無視して、僕は山田とのLINEを何度も見返す。

 

  「今日帰る」

 

  「明日会える?」

 

「うん」

 

「じゃあ」

 

「10時に公園で!」

 

  「りょ」

 

 今この瞬間も、山田のことが、頭から離れない。

 

 それはおそらく、好きという感情で、僕はいま恋をしていて。だからこんなにも、退屈な帰省も、やることのない冬休みも、待ち遠しくて、楽しく思えている。

 

 そんな時ふと、高瀬が言っていた言葉を思い出す。

 

 ――俗説だが『恋は求めるもの、愛は与えるもの』という言葉がある。

 

 うん……。たとえ重いと思われても、山田にキーホルダーを渡そう。僕は、求めるだけじゃなくて、山田に何かを与える存在になりたい。それが恋愛(?)というものな気がする。

 

 正直「君オク」を9巻まで読んでも恋愛についてはまだよくわからんが……。

 

 自分の行動は、間違ってはいない。なぜだかそう思えた。

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