魔術廻戦   作:Comet08

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書き殴りです。英語の台詞はかなり適当ですのでご了承ください。
※バスィドニア共和国は存在しない架空の南米に位置する国です。


3話 行方不明

「えなんか突然現れなかった...?!」

救急車の担架を運び入れる、普通車でいうトランク部分の段差に腰掛ける形で身を寄せ合っていたうちの1人が体を包んでいた毛布から手を出すと指を刺して隣の子に話しかけた。

 

「何が?」

 

「あの3人だよ...!」

 

「あっそう?私は別に見てないけど」

 

「渦を巻く様に出てきたの見なかった?」

 

「アンタ爆発で頭やられたんじゃないの?」

 

「恵美ってこんな時なのに相変わらずの毒舌だね...絶対、瞬間移動だよ」

 

「そりゃすごいわね。この状態で毒吐いてないとやってられないわよ」

 

「でもついさっきまであの3人と近い色の制服着た女の子が」

(よく分かんないけど治療してくれたじゃん。そういえば見当たらないね?)と言葉を続ける前にその3人組がかなり焦った様子で近付いてきたので何か不味いことでも言ってしまったかと身構えたがどうやらその話題に出した女の子を探している様だった。

 

その問いにさっきまでこの辺で救助というか治療?をして回ってたよと答えた。と同時に一瞬、ボーッとして思考がはっきりした時には爆発してからの記憶が途絶えており、それは隣の親友も同じで

 

「誰かここにきて質問されなかった?」

 

「誰が?」

 

「さぁ...?」

 

「何の?」

 

「さぁ?分かんない」

 

さっきまで目の前に居た3人組の事は全く覚えておらず、すっぱり忘れていた。

 

*  *  *

 

「ヤガセンには報告の留守電だけ入れたよ」

 

「硝子の呪力が目に映らない。残穢も含めてだ。クソッ!」

五条はサングラスを持ったままの手を拳に壁に叩きつけた。外壁に僅かな亀裂が走る。

 

「目撃者が居ない。検索に適した呪霊の収穫も無しだ」

何人かに聞き込みをしてもさっきまで居た、もしくはそもそも見てないかのどっちかで手掛かりゼロ。

 

「逆に不自然だ。ここまで人が居たんだ。誰も見ていないなんてあり得ない」

杖で痕跡を探すも空振りに終わった倉内は最悪を想定した。

 

「痕跡を消された?だとしたら幻術や忘却術に長けた呪詛師が

 

「それじゃ硝子は...」

 

「何者かによって拉致された可能性が高い...!」倉内の杖を握る力が強くなる。杖先から怒りに呼応するかの様に火花が散る。

 

「まさかこの爆発が俺たちと硝子を引き離す為だったとかじゃないよな」

 

「それは分からない。六眼は何か捉えたか」

 

「この辺も何も無しだ。いやちょっと待て...こっちだ!」

 

五条の目が捉えた痕跡を追って3人は爆発現場から徐々に離れて行った。路地をジグザク曲がって先に進んでいく。やや治安の悪そうな裏通りを曲がってすぐの行き止まりで3人は翁の能面を被った不審人物と会敵した。

 

「民間人でない無いな」

 

「ハロウィンはとっくに過ぎてんだ。こんな悪趣味なコスプレもあってたまるかよ」

 

「呪詛師だな?投降しろ。仮面を取って跪け」

倉内は杖を男に向けると二歩三歩と足を動かした。能面の男は黙ったまま首を捻って両手で印を結んだ。直後に霧のような靄と一緒に同じ姿をした男2人が出現。

 

倉内はそれにお構いなしで間合いを詰めんと歩みを早めた。同時に五条は術式順転“蒼”を発動。3人となった男は姿勢を崩す形でそれに引っ張られた。引き寄せられる途中で分身の2人は呪力が霧散して消滅し、本体はなす術なく倉内のゼロ距離で放たれた魔法によって今度は反対方向に吹き飛ばされた。地面を転がされた男は立ち上がる前に夏油の呪霊によって拘束された。

 

「硝子は何処だ...!」

 

「ゲホッ、しょう...あぁ名前か。あの女の仲間か。随分とお怒りのようだな少年」

 

「黙れ、質問にのみ答えろ。硝子を何処にやった?」

「さっさと答えろオッサン。それとも死にたいか」

 

「おぉ怖いねぇ。だが知らないな。俺はあの女を拘束した時点でその場を離脱した。お前らみたいな仲間が居たらこうやって時間稼ぎをする為にな。まぁ逃げに徹しなかったのは判断ミスだったよ」

 

「チッ」

 

「お前さては五条家のガキだな?運が悪かったが子供とはいえ六眼持ちを騙せたんだ。俺の幻術も捨てたもんじゃ無いな」

 

「アァン!?」

 

「待て悟。おい潜伏先に心当たりぐらいあるだろ」

 

「悪いがそれも知らんな。今日初めて奴らと行動を共にした。アジトも何の情報も記憶も持ち合わせていない」

 

「何だと」

 

「お前が使えるなら開心術でも使うといい。無駄骨だろうがな」

 

「お前らの目的は」

 

「俺はいわば雇われの現地協力員だ。南米の連中が考えてることなんて知ったこっちゃ無いね。あの女がどんな目に合うか想像するだけで心が痛むよ」

 

「そうかそうか。じゃあもう貴様は用済みだ。ここで死んでもらおう」

倉内はそう言いながら杖をしまうと男に手を向けて拳を握るように指を細めた。

 

「え、は?」

男は体に巻き付いてる呪霊ごと空に持ち上げられ、首元に違和感が走った。その違和感はすぐに苦しみへと変わり、空気が喉を通らずどんどん息苦しさは増していく。まさかこの場で高専の生徒が自分を殺そうとしてくるのは男にとって流石に想定外だったらしく、慌てて弁解を述べようとしていたがそれもすぐにままならなくなっていった。

 

倉内は数刻、男が呻き声を漏らす様を睨みつけると手を緩めて何かを振り払うような乱暴な動きで腕を振り下ろした。

それによって男は息苦しさから解放されたが同時に頭から地面に叩きつけられてそのまま気絶する事になった。

 

「悪い。カッとなった」

倉内はそう言うと慣れた手付きで気を失った男の両腕を背中に回し、杖で鎖を出現させるとキツく縛って拘束し始めた。

 

五条は自分を諌めて冷静に尋問してた倉内が急にシスの暗黒卿のような真似をし始めたのでちょっとびっくりしており、「おっ、おう...」と返事をするだけだった。

 

夏油はシスの暗黒卿かよと思ったがそれを声に出せる雰囲気では全く無い上にそんな状況でも無かったので見なかった事にした。

すると携帯が鳴る。

夏油が着信画面を見ると相手は夜蛾先生だった。

 

「はい。夏油です」

 

『3人揃ってるか?出来たらスピーカーにしろ』

 

「分かりました」

 

『今何処だ』

 

「新宿西口近くの商店街の裏路地です。呪詛師と思われる不審人物を一名、拘束しました」

 

『分かった。一旦、高専に戻れ。既に補助監督を向かわせてる。家入の事は今は深追いするな』

 

「ですが!」

 

『分かっている!!俺だって今すぐ飛び出して探したいがアテもなく闇雲に探すのは逆効果だ。とにかく一旦戻れ。情報を精査し、作戦を立てる。いいな?』

 

「...........」

 

『返事は』

 

「「「はい。」」」

 

それから三者三様の悪態が路地で吐き出されているうちに補助監督の運転する車が到着した。

拘束された能面呪詛師野郎はかなり乱雑に車のトランクに押し込まれると発車した。

 

車内の空気感に耐えられなかったと言うより居たたまれなかった補助監督は堪らず、カーナビのテレビを付けた。

 

『ーー.......官....b、房長官が緊急で記者会見を開きました。たった今入った情報です』

アナウンサーがそう言うと映像が記者会見の様子に切り替わった。

『本日、正午過ぎに新宿駅前の北武新宿店A館周辺で大規模な爆発がありました。この爆発に関しましてテロ等のあらゆる可能性を視野に入れながら現在、対応にあたっています。このような事件が起きたのは極めて遺憾であり、仮にこの爆発が意図的に引き起こされたものであれば決して許されるものではありません。再発防止は勿論、治安の維持を徹底することを国民の皆様にはお約束致します』

そう締めくくって一礼した官房長官は壇上から降りる。同時に映像がアナウンサーに戻った。

『以上、会見の様子でした。繰り返します。本日の正午過ぎ新宿駅前のデパートで大きな爆発がありました。正確な被害はまだ判明していませんが既に17名が死亡、180名以上の重軽傷者が居るとの情報が入っており、大きな被害が出ています。また、来月に控えたバスィドニア共和国のサァーチィ大統領の来日への影響は避けられないとの見方g...』

 

誰も喋らず更に重くなった車内の空気に補助監督は判断を間違えたとテレビを消したが運転に集中して何とか気を紛らわした。

 

*  *  *

 

「ったく...何でこんなことに」ボソッ

家入はろくな拘束もされずに車内の後方で銃を向けられていた。車は高速道路を制限速度ガン無視でかっ飛ばしている。車内の様子からして家入が乗せられているのは救急車だった。

運転手も自身に銃を向けている男も焦り一色で何かの拍子で鉛玉が撃ち込まれるんじゃないかという不安定な状況に家入は思わず小声で毒づいていた。

 

「shut it!!don’t open your mouse in front of us ever. do you understand?!」

完全に神経質になっていた覆面男1は愚痴に気付くと口を閉じろと激昂していた。

 

家入は両手を上げてヘイヘイ分かりましたよと首を傾けながら銃口を向ける男の目を見た。

 

「Don’t kill her. we have to bring this girl to master.definitely need alive 」

男は平静を装って仲間を落ち着かせようとしたが自身も内心は恐怖で支配されていた。それもそのはず。この拉致は全く計画にもなければ予定に入っていなかったのだ。今日あるのはデパート最上階で行われる呪具の取り引き。それだけの筈だった。だが取り引きに向かった仲間は一向に戻らず、しまいには最上階は木っ端微塵になった。人員と取り引きが文字通りに吹っ飛んだのだ。その責任を負わされれば待っているのは見せしめの死。そんな時、偶然にも日本の裏では殊更、有名な術師を見つけた。未成年ながらも無条件で他者へのアウトプットが可能な反転術式の使い手。彼女を手土産にすれば両手を広げて迎えてくれるだろう。

 

「Yeah yeah…of course. ahh…by the way , Do you smoke this?」

 

「Huh?where did you get it」

 

「This woman had in pocket」

 

「What!?」

 

「ライターいるか...?」

家入が内ポケットからゆっくり取り出すと隣の男は無言でライターをひったくった。




誤字脱字は発見次第、修正して参ります。
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