MEMちょの父親が雨宮吾郎だったら   作:座右の銘

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MAMちょは看護師さんルート終わり。
まさかその14まで書くことになるとは。5、6話で終わるかなーとか思ってたんですけど。

カミキは私が始末しておきました。末永くお幸せに。


MAMちょは看護師さん その14

何度目の朝チュンだろうか。

 

MEMより少し早く目が覚めた俺は、まだ隣で寝ているMEMの姿を見ながら気持ちの良い朝を迎えていた。

 

やはり気分は良い。それどころか、性格まで少し明るくなったような気さえする。MEMとの行為には何かそういった不思議な効果があるのかもしれない。いや、さすがに無いか。

 

俺がチョロいってことだ。惚れた女を抱けばメンタルが回復する単純な男。

 

隣の布団がもぞもぞと動いている。MEMが起きたようだ。

 

「おはよう。パパ♡」

「お、おう。」

 

くそ、良い笑顔しやがって。

 

俺の前世が雨宮吾郎、つまりMEMの実の父親であることを知った彼女は、俺に助けを求めた。私はどうすれば良いのかと。

 

MEMが俺にかけてくれた言葉を思い出した。『その人を殺したら、アクたんは幸せになれる?』そう問いかけてきた彼女の真意は何だろうか。きっと、あなたに幸せになって欲しいと言いたかったんだろう。

 

俺も同じ気持ちだ。その結果出てきた言葉が、『MEM、お前は俺が好きか?』というわけだ。『違うよぉ』とか言われたら立ち直れなかった。危ない橋を渡ったなと思う。

 

しかしその甲斐あってMEMは持ち直した。少々やりすぎなくらいに持ち直した。MEMはどこまで行ってもMEMだった。

 

強制的にベッドインまでは、まぁ、予想の範囲内だった。落ち込んでいる彼女の気が晴れるなら望むところだ。しかしMEMは俺の予想をはるかに超えたメンタルの持ち主だった。

 

あろうことか俺のことを見てパパと言ってのけたのだ。それはもう得意げに、いたずらっ子のような素敵な笑顔で。それにドキッと来てしまった俺も俺なのだが、それはMEMが可愛すぎるので仕方がない。

 

MEMの一声で全部持っていかれた。昨日はあんなに父親が嫌いだと悩んでいたというのに、この変わりよう。ちょっと思い切りが良すぎやしないか。

 

「あのさ、パパ呼びはやめてくれない?なんか背徳感がすごい。」

「良いじゃんパパ♡。ちょっとした恋のスパイスだと思ってよ。」

「劇薬だ。」

 

結局MEMは疫病神にちょっと脅かされたくらいでビビるような奴じゃなかったってわけだ。いや、あまり深く考えていないというか、欲望に素直なだけなのかもしれない。そういや25歳にもなって高校生演じて恋リア出てるんだったな。さすがに肝が据わっている。

 

時刻は午前6時。俺はこの後すぐに自宅で着替え、学校へ行かなければならない。

 

「そういえばアクたん高校生だったねぇ。お勉強頑張ってー。」

「お前も番組では一応高校生ってことになってるんだがな。」

「もう何年も行ってないから忘れてたよぉ。」

 

本当に、よくこの年で高校生を名乗れたものだ。童顔で骨格も幼さがあり、肌も綺麗だし喋り方もうまい。この年齢詐称のレベルの高さには驚かされるばかりだ。

 

「ねーアクたん。学校サボってデートしようよー。」

「は?何言ってんだ。」

「良いでしょ?行こうよ。気になるお店見つけたんだよねぇ。」

「だから行かないって言ってるだろ。」

 

まったく。可愛い顔でゴリ押しすれば俺がうなずくとでも思ってるのか。そんなわけないだろう。

 

 

 

インスタ映え抜群のカラフルで巨大なパフェに圧倒される。

 

MEMが気になっているというだけあって、オシャレなお店だ。目玉商品のパフェはカラフルな盛り付けと味の良さが評判で女子高生を中心に人気を集めている。普段は混んでいてなかなか入りづらいが、平日の昼間なので客も少なく、並ばずに済んだ。

 

「結局来たね。」

「まあ、たまには息抜きも必要と思ってのことだ。俺は成績も良いし一日くらいサボったところで大きな問題はない。出席日数には大分余裕があるはずだしな。別に俺が行きたかったわけじゃねえし。MEMがどうしてもっていうから寛大な心で付き合ってやってるわけで、別にMEMに押されて折れたとかそういう事じゃないからな。」

「はいはあい、そういう事にしといてあげる。」

「絶対そういう風に思ってねぇだろ。」

「まぁまぁ。良いじゃないの。過ぎたことは気にせずデートを楽しんだ方が良いよぉ。」

「それもそう・・・なのか?」

 

学校をさぼるのはさすがに違う気がするけどな。

 

「そういえばニュース見た?また芸能関係者が殺されたねぇ。」

「ああ、カミキプロダクション社長の話か。正直、他人事とは思えないな。」

「もしかして、アクたんのお母さんも芸能人だったり?」

「黙秘する。さすがに言えない。」

「あらそう。」

 

まったく、物騒な世の中だ。前世は何者かに殺され、生まれ変わったら母親も殺され、友人はネットリンチにあって自殺未遂。世の中というより俺の人生が物騒なだけな気もするが、とにかくこんな世の中で生きていくには心を強く持つ必要がある。

 

パフェを頬張りつつ視界の端にMEMを見れば、いつも通りの笑顔で俺のことをじっと見つめている。昨日の出来事など意に介さずに、いや、それすら自分の糧にして人生を楽しむ度量を持っている。パパ呼びはちょっとアレだが。

 

MEMに出会ってから彼女に振り回されてばかりだ。信念も価値観も何もかもぶち壊され、彼女を追いかけることしか頭にないチョロいオスに俺はなり果てた。

 

何が正しくて、どういう生き方が正解かなんて結局のところ誰にも分からない。それこそ神様みたいなやつが決めたシナリオを妄信でもしない限り、誰も教えてはくれない。

 

でも、一つだけ確かなことがある。

 

今の俺は、MEMに出会う前より幸せだってことだ。

 

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