なんか思った以上に話が進まない。
細かいところ書きすぎか。
「恋リアかぁ。リスク高いなぁ。」
恋愛リアリティーショー。見てる分にはドキドキして面白いけど、出演にはリスクが高い。恋愛リアリティーショーが原因で炎上する子を何人も見てきたし、その中には最悪の結末を迎えた例もあった。
しかし、恋愛か。思い返せばまともに恋愛なんてしたことがない。
アイドルを目指して恋や遊びに目もくれなかった中学高校時代。働きづめで恋なんてする余裕がなかったバイト時代。インフルエンサーとして炎上の予防に気を遣う現在。そして気づけばもう25歳。私はこのまま人並みの青春の思い出もなしに余生を送るのだろうか。
私が望みさえすれば、ほんの少しの間だが高校生に戻れる。放課後に友達とお喋りしたり、遊んだりできる。誰かを好きになって、仲良くなって、カップルになって・・・。一度は捨てたそんな夢が、叶うかもしれない。
「もしもし、鏑木さん。お世話になってますMEMちょです。今ガチの件なんですけど・・・出演する方向で考えてます。よろしければお願いします。」
私は出演を決めた。
・・・
「初めまして。MEMちょでーす。Youtuberやってまーす。」
初日は学校の教室で顔合わせだ。緊張した面持ちで一人ずつ教室に入ってくる。
メンバーは私を含めて6人。男3女3という構成だ。恋愛リアリティーショーに呼ばれるだけあってみんな顔がイイ。ドキドキしちゃうな。
机にはすでに5人が座っており、次の男の子が最後だ。確か役者をやっている星野アクア君、だったはず。
「めっちゃ緊張するわー。皆よろしくね!」
「ええーかっこいいーっ。役者さんってあこがれるぅ。」
「MEMちょも可愛いね。めっちゃ照れる・・・。」
おお、爽やかイケメン。かっこいいなぁ。照れた顔も初々しくて可愛い。
しかしみんな若いなー。一番年下の鷲見ゆきちゃんなんて私の10コ下だ。ババ臭いとか言われないといいけど・・・。
さて、誰と絡むべきか。やっぱりアクア君かな。一年生ということもあってか緊張した様子だったし、年長者の私が彼のフォローをした方が良い。
私は彼をベンチに呼び出した。
相手はほんの数か月前までは中学生だった男の子だ。彼くらいの年頃の会話をイメージして・・・
「でぇ、うちの犬ぅ」
「うんうん。」
「ほらかわいくてぇ、みてみてぇ」
「うんうん、かわいいね。」
「でぇ、猫がぁ」
だるぅ。若者特有の共感しあうだけの会話キツぅ。
というかアクア君もちょっとだるそうじゃない?もしかしてやりすぎた?
「・・・ちょっと聞きたいんだけどさ、もうちょっと落ち着いた感じの方が良かったりする?」
「ぜひ頼む。」
「分かった。これからは気を付けるよぉ。」
「いいよ。僕に気を使ってくれたってことでしょ。MEMちょは年のわりに随分落ち着いた雰囲気なんだね。僕としてはすごく助かるよ。」
「君もすごいねぇ。私より年下なのに、まるで親くらいの年齢の人の雰囲気出てるよ。」
「やっぱりそう?子役やってた時も監督によく早熟って言われたんだよね。」
うん、やっぱりこの子いいな。
年のわりに大人びていて、すごく楽に話せる。
「ねえ、アクア君。これからはキミのこと、アクたんって呼んでいい?」
「ああ、構わないよ。」
若い子に合わせられるか心配だったけど、アクたんのおかげで楽しい収録になりそうだ。