あの病院の看護師ってことはアクアとルビーのこと知っててもおかしくないよね。
アクアとMAMちょの会話はゴローと看護師さんの関係性を想像して書いた。
きっと看護師さんはゴローの反応が楽しくてつい弄っちゃうんだろうと思った。
追記
ゴロー=雨宮君と最初から分かってるのは不自然なのでちょっと会話を追加。
自然にバレる展開考えるの難しいです。
いつものように今ガチ収録後にMEMのおごりで焼き肉を食べ、今日はもうお開き。俺とMEMは家が近いこともあって、いつも一緒に帰っている。
「今お母さんが東京に来てて、今日は迎えに来てくれるんだ。」
「そうなのか。そういえばMEMは一人暮らしだったな。MEMはどこの出身なんだ?」
「宮崎だよ。お母さんが看護師として勤めてた病院で生まれたの。」
「へえ、俺も生まれは宮崎なんだよ。奇遇だな。」
奇遇なことに俺とMEMは同郷らしかった。
それにしても宮崎の病院の看護師か。どこかで聞いたような話だな。まるでかつて付き合っていた彼女と同じだ。
「あ、ライン来た。そろそろくるみたい。」
「あ、いたいた。MEM、久しぶりね。あら、そっちの彼は星野アクア君?」
駆け寄ってくる人影が誰か分かったとき、俺は自分の目を疑った。目の前でMEMと親しげに話すこの女性は、かつての交際相手であり同僚であったMAMその人だったから。
(ちょいちょいちょいちょい!?!)
(えっ、本物!?)
(MAMのそっくりさん!?いや元彼で元同僚の俺が見間違えるハズがない!!)
「あ、はい。星野アクアと申します。」
「そう。もう遅いし、娘と一緒にあなたも家の近くまで送るわよ。」
「いや、さすがにそこまでしていただかなくても、」
「ほら、タクシー来たから。アクア君も乗りなさい。」
流れでタクシーに乗せられてしまった。
そしてMEMを家に送り届け、タクシーには俺とMAMだけになる。なんと気まずいことか。
しばらく無言の時間が続いた後、先に口を開いたのはかつての同僚だった。
「久しぶりね。16年ぶりかしら。」
「えっと・・・何のことです?以前お会いしたことありましたっけ?」
俺が雨宮吾郎の生まれ変わりだとバレている?
いや、そんなはずはない・・・。前世のことは俺とルビーだけの秘密だ。いくら雨宮吾郎の知り合いだからって、今の俺は星野アクアとしか認識できないはず。
「覚えてないのも無理ないわ、当時は赤ん坊だったから。私はあなたが生まれた病院に勤めていたの。生まれたばかりのあなたのお世話をしていたのよ。」
「な、なるほど。」
そうか、あの病院の看護師であれば星野アクアをしっていてもおかしくはなかった。
要するに前世の記憶があることはバレていないわけだ。
そうだ。分かるはずがないんだ。それこそ雨宮吾郎にしか知りえない情報を話しでもしない限り特定のしようがない。久しぶりなんて言われたときはどうしようかと思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
「MEMを生んだのもあの病院なの。しかも父親はあなたのお母さんを担当していた雨宮先生なのよ。」
「MEMさんは高校生ですよ。もしあなたとの子供だとしたら今頃25歳くらいに・・・あっ」
やってしまった。完全にやってしまった。これはアウトだ。
気づかないことを祈りたいが、聡明な彼女のことだ。少し考えれば真実にたどり着いてしまうだろう。
車内は再び沈黙。MAMは何を考えているだろうか。恐ろしくて顔を見ることが出来ない。
しばらく無言の時間が続いた後、またしても先に口を開いたのはかつての同僚だった。
「なんであなたがそのことを知っているのかしら?」
「いや、その。」
「急にいなくなったと思ったらこんな所にいたのね。父親が見つかって娘のMEMも喜ぶわ。」
「・・・・・・」
「さて、まだ時間もあるのだし、もう一軒行きましょうか。積もる話もあるでしょう?」
「・・・はい。分かりました。」
もはや彼女に逆らうことは出来なかった。
場所は変わり、近所の居酒屋。
「まさか俺が生まれ変わっていることがバレるなんてな。」
「あなたがMEMの年齢の話なんかするからでしょ。こっちが驚いたわ。言われてみれば雨宮君がいなくなったのとあなたが生まれたタイミングは同じだったわね。」
「そうか。」
「それにしても、随分美少年に育ったものね。やっぱり遺伝子ってすごいわ。」
「そういえば俺がアイの息子だってことも知ってるんだったな。」
「ええ、知ってるわ。だってあなた達兄妹を取り上げたのは私なんだから。」
「はぁ?」
驚く俺。それを見た彼女はしたり顔だ。
そんな衝撃の事実をさらっと明かさないでくれ、心臓に悪い。いったいどういう冗談だ。俺は元交際相手で同僚でもある女性に取り上げられてこの世に生を受けたというのか・・・。
「まあそんなことはどうでもいいじゃない。それより、ちょっと頼みがあるのだけど。」
「なんだ?今更よりを戻そうなんて言わないよな?」
「それも悪くないわね。」
「おい、まさか本当に。」
「ふふ、冗談よ。今更恋愛だなんて年でもないし、子供はみんなあなたより年上なのよ?」
「じゃあ何が望みなんだ?」
「それはね・・・」
MAMの雰囲気が変わる。今までの会話は俺をからかって楽しむためのものだ。そして少し間をおいてから急に真剣な顔になる。その顔は何度も見てきたから分かる。彼女が本題を切り出す合図だ。
さて、彼女の目的は何なのか。
「貴方に私の娘を託したいの。」
「MEMを、俺に?」
「ええ。」
「時間を、考える時間をくれ。情報が多すぎる。」
あまりの衝撃発言に思わず顔を伏せる。
今日一日だけで何回驚けばいいのだろうか。MEMの母親が前世の元カノであり元同僚の女性で、俺とルビーを取り上げた助産師で、俺とルビーがアイの子供であると知っていて、MEMを俺に託すと言っている?
もう、訳が分からない。