黒き刀士の旅日記   作:獅子座と黒月

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や、やっと書けた・・・(;´Д`)

クロウ「まさか3ヶ月も掛かるとは」

時間が確保できなかったのもあるけど、なかなか納得のいくできに書き上がらなかったのよなぁ。

クロウ「しかも、1万字超えてるし」

どこかで区切ろうと思ったんだけど、区切りの良い場所が見つからなくて・・・しかも、最後の方はかなり端折っちゃってかなりグダグダですし。

クロウ「やれやれ、まあ、いつも通りダメ筆者の駄文だけど楽しんで貰えたら嬉しいぜ」

こんな駄文ですが、チョイチョイ読みに来てくれた方々には感謝しかないです。

てな訳で待っていてくれた方々や読みに来てくれた方々に感謝を込めて。

「「本編ドゾー」」


試験の筈が無双ゲーになってた件

仕度金が出てある程度の買い物を終えてから2日程経った頃、生態系調査機関の拠点(予定地)が確保されたとの情報がクロウの元に来る。

 

早くないか?とも思ったが、それもその筈、城の近くの物置同然に使われていた場所を取り急ぎ片付けただけの物だったから。

 

だが、内部は見た目より広く部屋もそれなりの数が有った為、拠点としては充分すぎるぐらいだ、すぐさま部屋割りを決め直ぐにでも活動できる状態にし、フィールドワーク開始する。

 

・・・ハズだったのだが。

 

クロウ(えぇ~・・・武器と(ジョブ)は予め決めとかないとダメなん・・・)

 

そう、問題は人里から離れて活動する場合、と武器の携帯は勿論の事、この世界における騎士や傭兵などに使われている(ジョブ)を届け出ていないと単独では活動できないのだ。

 

クロウ(別に騎士団の預かりなんだしイイじゃんか・・・その気になれば無手でも戦えるし俺・・・)

 

とは言え、騎士団の預かりある以上、国の取り決めには従わざるえない、ヘタな事すれば即機関の凍結又は解体なんて事態にも為りかねない、そんな事になったら、今日まで─まだ5日しか経ってません─何の為に頑張ったのか分からなくなる。

 

とりあえずは直ぐにでも卸せそうなレシピを見繕いこの前行った鍛治場で何か造って貰おう、本格的な装備は後でもいい。

 

ミュセル「おぉ~ここがこれからクロが働く場所か~」

 

とか思っていたら、最近よく聴く声が入って来た。

 

クロウ(また円卓騎士か・・・ホントコイツら暇なのか?いや、だったらこの間、マーニエミが仕事をほっぽり出されて燃え尽きる事はなかったか・・・)

 

やっぱり円卓騎士って暇なのでは?と思いかけるも、シグネの不幸を思い出し、思い直す。

 

というか、ミュセル(コイツ)は何所からこちらの周りの情報を仕入れているのだろうか?場合によっては情報漏洩が恐すぎるのだが・・・

 

しかし、聞きたい事ができたから今回はとりあえず置いておこう。

 

クロウ「なあ、野外活動の際の武器とか職って決めたらそれっきりなのか?」

ミュセル「基本的にはね、でも、更新の手続きをすれば変える事はできるよ」

 

クロウ「(ーー;)」ウゲェ

 

詳細を聞いて辟易する、武器を変える度に手続きを行うとなると悲惨だ、とても仕事になんてならない。

 

ミュセル「露骨にイヤそうな顔するね・・・そんなに嫌?」

クロウ「当時は必要に応じて武器を変えていたから、その都度、更新手続きなんてしていたら仕事になりゃしねーよ・・・」

 

ミュセル「そんなにしょっちゅう変えてたの?」

クロウ「変えていたと言うより決まった武器を持たなかったが正解だな、俺は無手でも困らないし、その所為か、かつての仲間達からは『器用貧乏の擬人化w』だの『器用貧乏が服着てるw』だの言われてたし・・・」

 

実際、依頼の内容によっては装備を変えたりする事はよくある事で、一貫して同じ装備を使い続けているのは少数である。

 

さらに言うなら、クロウは武器の破損や欠損、四肢へのダメージ等による戦闘力低下を嫌っており、武器を失おうが、腕が拘束されていようが、脚が折れようが常にパフォーマンスを維持できるように己を鍛え技を磨いていた。

 

それ故に、あらゆる流派の技や技術を修得した結果、武器を選ばない戦い方がデフォルトとなっていた。

 

クロウ「特例とまでは言わないけどさぁ、そこんとこどうにかならない?」

ミュセル「う~ん・・・でも、基本の職とその武器で決めた方が良いと思うけどなぁ・・・」

 

クロウ「そうは言ってもなぁ・・・」

ミュセル「あっ!じゃあ騎士団の訓練に参加しない?そこでクロに合った職と武器を決めよう、ねっ!」

 

さて、どうしたものか、この世界の基本的な武器を試せるのは良いが、根本的な解決にはなっていない。

 

だが、この世界の基本的な武器の感触をつかんでおけるのは、ありがたくはあるのは間違いないが。

 

クロウ(しかし・・・)

ミュセル「まだ、むずかしい顔してる、じゃあこうしよ、訓練でそれぞれの武器をどこまで使いこなせているか見て、それで納得がいったらその特例を認めて貰えるように他の円卓騎士達に頼んであげる!」

クロウ「良いのか?」

 

それが通るのならば、願ったり叶ったりだ、その提案に乗らない手はない。

 

ミュセル「ふっふ~ん、でも各武器の使い手が厳しくチェックするからね、特例を認める以上そう簡単にはいかないからね!」

クロウ「そうなると、大変かもな・・・俺の技量はせいぜい常人以上、達人以下だからなぁ・・・だが、今後の為にもやってやるさ!」

 

ミュセル「そうと決まれば早速行こう!善は急げって言うからね!ほらほらっ!!」

クロウ「えっ!?ちょ!?待て!引っぱるな!!?」

 

こういう事は普通、事前準備とか日時を決めてからやるものではないのだろうか?

だが、ミュセルの勢いに抗う事ができぬまま、公国騎士達が使う訓練場へと連れて行かれるクロウであった。

 

─訓練場─

 

クロウ(うわぁ・・・みんなメッチャこっち見てるよ・・・)

 

ミュセルに引きずられるままに訓練場へと連れて来られたクロウは、訓練中の騎士達の視線を一身に受けウンザリしていた。

そりゃ訓練中にいきなり場違いの人物が入って来たら、こうもなる。

 

実際、クロウが予想した通りいきなり入って来た人物に訝しげに見る騎士達は居るが、ごく僅かであり。

 

ほとんどの者は円卓騎士であるミュセルが連れて来た人物への興味の視線である。

 

残りは、ミュセルが未だにクロウの手を握っている事への嫉妬の視線だが、当のミュセルはまるで気付いておらず、気配に鋭いクロウは『ああ、なんか地味に敵意を感じるわ・・・』とは感じていたが、変に反応すると却ってややこしくなりそうなので、さっさと本題に入る事にする。

 

クロウ「で、どうやって実力を見るんだ?」

ミュセル「う~ん・・・どうしよっか?」

クロウ(ノープランかよ・・・)

 

まさかのノープラン発言に呆れを覚え頭を抱えたくなるクロウ、せめて、訓練場に来た意義を見出さなければ本当にタダの無駄足である。

 

「おお、貴殿はいつぞやの時の」

クロウ「アンタは・・・?」

 

「ふふ、こうして話すのは初めてですからな、いや、あの時は貴方のおかげで助かった」

クロウ「・・・もしかして、あの時、平原にいた・・・?」

 

「はい、後方部隊で指揮を執っていましたクレマンと申します、今日はこちらで何を?」

 

どうしたものかと、考えていた所に声を掛けて来たのは、クロウがミステリオに墜ち、レヴェラーを撃退した時の後方部隊の隊長クレマンであった。

用を聞かれたので、これ幸いと訓練場に来た経緯を説明する。

 

クロウ「という訳だ」

クレマン「なるほど、しかし、貴方の実力は存じてはおりますが、証明するとなると、なかなか・・・」

シグネ「それぞれの武器での実力をはっきりと示し、認めてもらう事が最も早いだろうな」

 

クレマン「シグネ様・・・!」

クロウ「相変わらず気配を隠すのが上手いな」

シグネ「この前は世話になったな、それはそれとして、どうだろう、各武器で模擬戦してみるというのは?」

 

スッと現れたシグネに驚くクレマンだったが、クロウは気にせず軽く挨拶し、シグネの提案を思案する。

 

そんな様子と世話になったとの発言にミュセルは面白くない顔をする・・・が、そんな時、クロウに向かってダガーが飛んで来るのが見えた。

 

あっ!と思うも、声を上げるよりも早くダガーはクロウに到達する。

 

・・・が、クロウはダガーの方を視ることなく、スッと指で刃を挟み、指でクルクルとダガーを2、3回程回し、逆手に持ち直して、ようやくダガーが飛んで来た方を見る。

 

それに釣られるようにミュセルは勿論の事、シグネとクレマンもそちらを見ると、訓練に参加していたであろう騎士達が3人程、にやつきながらクロウを見ていた。

 

ミュセル「ちょっと!!いきなりダガーを投げるなんてどういうつもり!?」

騎士A「へへっ、いや、こちらの方でも話を聞いていまして、ならまずはこれを使ったらどうかと思いましてね」

 

シグネ「ならば、その話を直接すればいいだろう・・・!」

騎士B「実力を示すのなら、この程度、対応できなければ論外でしょう?」

騎士C「そうそう、なんなら私達が相手を務めてもいいですよ」

 

ミュセルとシグネは3人に抗議するが、まるで反省の色が無い3人はどこ吹く風だ。

 

だが、そんな様子も無視してクロウは、キャッチしたダガーを手で弄んだり、感触を確かめるように、軽く振ってみたりしていた。

 

そんな様子をクレマンは、仕掛けてきた相手に抗議しないのもだが、感触を確かめる動きに無駄が無いことに内心驚愕していた。

 

騎士A「それに、円卓騎士の皆様や剣聖と渡り合ったと言うのも怪しいものですし」

騎士B「本当に強いんですかぁ?保護の際、角が立たないようにする為のカバーストーリーじゃないんですか?」

ミュセル「・・・!!アンタ達いい加減にっ「良いよ、やろうか」・・・クロ?」

クロウ「お相手して頂けるんでしょう?このダガーの感触にも大体慣れたし、やりましょう」

 

なおも態度を改めない騎士達に我慢できないと声を上げようとするミュセルだったが、不意に聞こえたクロウの言葉に冷静さを取り戻す。

 

しかし、その言葉の意味を理解すると、今度は別の心配が首をもたげる。

 

ミュセル「クロ、でも、それは・・・」

クロウ「実力を確認するんだろ?だったら相手してくれるならちょうど良い」

 

シグネ「しかし彼等は・・・!」

クロウ「こういうのは言葉で言うより、体感してもらった方が早いよ、俺も似たような経験あるし・・・」

 

どこか遠くを見ながら言うクロウに、何があったか気になりつつも、とりあえず相手方の要求に思うところはあるものの、応じる事にする。

 

シグネ「では、最初の武器は・・・」

クロウ「これでいい」つダガー

ミュセル「えっ!?でも、それは・・・」

 

先程、彼等から投擲されたダガーを見せるクロウに2人は不安を覚える。

 

クレマン「よろしいのですか?1回の攻撃力は最も低いですが?」

クロウ「それを技で補えなきゃ、使い手とは言えんさ、それに訓練用の割には良い武器だよこれ」

シグネ「わかった、では、私が審判を務めよう」

 

話は纏まり、訓練に参加している騎士達の中、試合を始める事となった。

 

クロウ「まずはアンタか?」

騎士A「ええ、まずは私がお相手してやるよ、何か言い残す事があれば聞いてやるぜ!」

 

クロウ「う~ん・・・なら、なるべく保たせろよ、じゃないとすぐ終わっちまうぜ」

騎士A(コイツ・・・!すぐにその化けの皮を剥いでやるよ!)

 

クロウの挑発とも取れる発言にイラつきながらも、騎士は構え試合開始の合図を待つ。

 

シグネ「では双方、用意は良いな?構えっ!」

クロウ「あっ!ゴメン、いざ尋常にの方でお願いして良い?」

 

一同「」ズルッ!!

 

いざ試合開始という所でクロウからのトンチキな要望にその場に居た全員が出鼻を挫かれる、完全に拍子抜けであった。

 

シグネ「クロウ・・・!!」

クロウ「ゴメン、そっちの方で慣れちゃってたから・・・」

 

まったく、と少々呆れつつも気を取り直し、改めて試合開始の合図を出す。

 

シグネ「では改めて、いざ尋常に・・・・・・始めっ!」

 

シグネの合図で試合は始まる。

 

・・・が、試合は開始とほぼ同時に終わる。

 

開始の合図と同時にクロウがその場で素早く体を深く屈めたと思ったら一瞬で姿が掻き消え、次に姿を捉えた時には、騎士の背後を取り、逆手に持ったダガーの柄を、騎士の脇腹辺りに突き付けていた。

 

クロウ「鎧越しとはいえ、実戦なら死・・・にはしないだろうが致命傷だぞ」

 

トントンとダガーの柄で鎧を軽く叩き、構えを解く。

だが、相手をした騎士は納得はできないようだ。

 

騎士A「き、貴様!ふざけるな!何だ今のは!!」

クロウ「何って、チョッ早で後ろを獲っただけだが?」

 

騎士A「そういう事を聞いているのではない!」

クロウ「ダガーは盗賊(ローグ)とか、暗殺者(アサシン)とかの基本装備だろ?これ位、普通じゃねーの?」

 

騎士A「だが、それは!」

シグネ「見苦しいぞ、勝敗は誰が見ても明らかだ」

クロウ「なら、3本先取って形にするか?今のだけじゃ、実力は分かっても、技術は分からんだろ、ついでに先手も譲ってやるよ」

 

クロウの提案にケチを付けてきた騎士達は憤りを覚えるが、クロウとしては今の1戦では、何も伝わらないと感じ、提案したにすぎない。

 

加えて、先手を譲るのも、より実力を感じてもらう為で、別にハンデとは考えていない。

 

もっとも、先手を譲った程度ではハンデにすら、なっていないのだが。

 

クロウ「で、どうする、選手交代するなら、それも構わないが」

騎士B「なら、今度は俺がやってやる!」

 

シグネ「(やれやれ・・・)・・・では双方、いざ尋常に・・・・・・始めっ!」

騎士B「うおぉぉぉ!!」

 

開始の合図と同時にランスを構え一気に突進、クロウめがけ、ランスを突き出す。

 

クロウは軽く横に避け、追撃の横払いを後ろに軽く跳び間合いを取る。

 

騎士B「ふん、さっきの勢いはどうした、今さら臆病風にでも吹かれたか?」

クロウ(いや、先手を譲ってるのにすぐに仕掛けたら、またケチを付けるだろうに・・・)

 

さっきの試合を見て、何故そこまで強気に出られるのだろうか?先手を譲る以上、一手目で仕掛けるのを避け、二手目以降に仕掛ければいいや、ぐらいの程度だっただけの事だが。

 

クロウ(まぁ、いいや、そこまで言うなら、試させてもらおうか)

騎士B「行くぜ!」

 

先程と同じように突進しランスを突き出す。

 

だが、今度はクロウは避けようとはせず、ランスがクロウの腹部を貫く。

 

・・・いや、貫いたハズだった。

 

ランスで貫いた騎士は驚愕しかない、確かに腹のど真ん中を捉えたハズなのに手応えが無い、それどころかクロウの姿が煙の様に消えてしまった。

 

試合を見ていた他の騎士達は勿論ミュセル達も驚きを隠せない、訓練場はかなり広いが遮蔽物は用意しなければ存在しない為、隠れられる場所は無い、にもかかわらずクロウの姿は何所にも無い。

 

騎士B「く、くそっ何所へ行った!」

クロウ『どうした?この程度でお手上げか?』

騎士B「・・・・・・っ!」

 

すぐ後ろから響いてきたクロウの声に、ランスを振るい攻撃するも、やはりクロウの姿は無く振るわれたランスが宙を斬るだけだった。

 

騎士B「くっ・・・正面から堂々と戦えないのか!姿を見せろ、この卑怯者!」

クロウ『ローグやアサシンにとっては(我々の業界では)誉め言葉ですw』

 

小馬鹿にする様に響いてくるクロウの声に、苛立ちを隠せない騎士は、がむしゃらにランスを振り回す、だが、クロウを捉える事はできない。

 

クロウ『やれやれ、この程度でよくもここまで強気に出れたものだ、アイツの言葉を借りるなら、お前達と私とでは(くぐ)ってきた修羅場の質が違う、といったところだな』

騎士B「・・・っ!貴様ぁ!」

 

怒りに任せてランスを横薙ぎに大きく振り抜いた時、ガンッと衝撃が走った。

 

もっとも、ランスからではなく、自身の腹部からだが。

 

シグネ「それまでっ!」

 

試合をしていた騎士には分からなかったが、見ていた側からは、勝者がどちらかは一目瞭然だった。

 

騎士がランスを振る直前に姿を現し、ランスを躱し騎士の懐に飛び込み、ダガーの柄を騎士腹部へと叩き込んだ事によりクロウの勝利となった。

 

クロウ「ほい、これで2本目もこっちの勝ちな」

騎士B「・・・・・・っ!」グヌヌ

 

クロウ「で、次は誰がやるんだ?」

「「「「えっ・・・?」」」」

 

クロウ「ん・・・?3本先取(・・)っつったろ、こっちが先に2本取っても、その後3本取られたらこっちの負けになるんだから、3本目まではちゃんとやらないと」

騎士B「なら、先程のように姿を消すのはやめてもらおうか!」

騎士A「そうだ!あの様な勝利、恥を知れ!」

 

クロウ「さっきも言ったけど、卑怯、卑劣はあの職には誉め言葉だって、それにさっきのは背弄拳って言うれっきとした技だし、お前達実戦でも相手に難癖付けるつもりか?実戦で相手や状況は選べないぞ」

騎士A&B「「・・・・・・」」グヌヌ

 

クロウ「まあ良いさ、どのみち3本目は姿を消す事無くに戦うつもりだったしな」

 

先の2人は納得していない様だが、クロウとしては腕に覚えがありそうだから、相応の対応をし、それに付いてこれる様なら、さらに上の技術で対応するつもりだったが。

 

付いてこれないどころか、予想を遥かに下回っていた為、ランクを下げざる得なかっただけの事である。

 

ましてや、相手の戦い方に文句を付ける様では、正面から叩きのめさないと、認める事は無いだろう。

 

ミュセル「ところで、ハイロウケンって?」

シグネ「後門の狼の拳というところか?」

クロウ「いや、背弄拳は背後を弄ぶ拳と書くんだ、正確には相生拳法背弄拳だ、背後を取る技術としては最高クラス・・・だと思うタブン」

 

シグネ「背後を弄ぶ・・・か、それでずっと背後を取り続けていた訳か」

クロウ「そういう事、あとこの技は公国に連れて来てもらった時に話した『不禁ず(きんじえず)』の人の技だよ、聞いた話じゃ元忍だったらしい」

ミュセル「ああ、あのイヤな感じの人・・・って元忍者なの!?」

 

クロウ「ああ、今は騎士・・・と言うより護衛兼執事みたいな感じだがな」

ミュセル「そ、そうなんだ」

 

円卓騎士達が興味を持ったので、背弄拳とそれを使っていた男の説明を軽くしておく。

 

クロウは説明の途中、当時その男が意味も無くやたらと背後を取ってきた事を思い出し、内心地味にイラッとしていた。

 

だが、何度も背後を取られているうちに対抗できるようになり、今では自身も使える事を考えるとかなり複雑だった。

 

クロウ「まあ、それはそれとして3本目は誰がやるんだ?」

騎士C「ならば、私がお相手しましょう、今度こそ正面から叩き潰して差し上げましょう」

 

クロウ「はーいはい」

騎士C「むぅ」イラッ

 

挑発に対し、投げやりな反応を示すクロウにイラッとしつつも、先の2戦、姿が殆ど見えなかったとはいえ、手玉に取っていた事を思い油断を振り払い、盾を前に剣を腰の辺りで水平になる典型的な剣士の構えを取る。

 

クロウもまた、やや腰を落とし左腕を腰に回し、右手に持ったダガーを騎士Cに向ける形で構える。

 

互いに構えた事を確認し、シグネは3回目の試合開始の合図を出す。

 

騎士C「はああぁっ!」

 

開幕一番、気合と共にクロウへと斬りかかる。

 

一撃目、二撃目を最小限の動きで避けたクロウは三撃目をダガーで受け流し、攻めに転じる。

 

盾で防がれながらも、素早く斬りつけ反撃が来たら即座に防御に転じてを繰り返し前後のフットワークを活かし翻弄していく。

 

騎士C(クッ・・・!この・・・っ!)

クロウ(ほぅ・・・正攻法でなら言うだけ事はあるってか、でも、この程度ではまだまだ)

 

ダガー1本で、ある程度討ち合っていたが、ここで2本目のダガーを抜き攻撃の手を増やす。

 

前後のフットワークは元より、左右のフットワークも混じった事で、クロウの攻撃はさらに苛烈さを増して行く。

 

クロウ「疾風双刃!!」

騎士C「・・・・・・っ!」

 

文字通り双剣による疾風の如き連撃を叩き込み、ある程度連撃を叩き込んだ後、右側に回り込む動作を見せ、それに反応した騎士の攻撃を左側へと回り込みつつダガーで迎撃、剣を跳ね上げ、隙だらけの身体にダガーで攻撃

 

シグネ「それまでっ!!」

 

と、騎士の体に刃が到達するところで、シグネからの勝負ありの宣言が響き、ダガーを喉元に突きつける形で止まる。

 

クロウ(・・・ま、こんなモンだろ)

 

突きつけていたダガーを喉元から外し、開始地点まで戻ろうとする。

 

騎士C「クッ・・・」

騎士A「何故だっ!何故奴に勝てないっ!?」

騎士B「名家の出でも、高貴の血筋でも無い奴より、俺達の方が優れているハズ、なのに・・・っ!」

クロウ「・・・・・・くっだらな」

 

背後から聞こえてきた言葉にクロウは呆れ、くだらない、と斬り捨て、言葉を続ける。

 

クロウ「何が高貴なる血だよ、何がエリートだよ、そんなモンに拘っているから、お前等は弱いンだよ」

騎士達「「「・・・っ!!!」」」

 

クロウ「その肩書きが通用するのは、その肩書きに畏怖する相手だけだ、戦場ではそんな相手殆どいないし、モンスター相手だとそれこそ知ったことではないだろ・・・そんな肩書きが何の役に立つ?」

 

クロウ「仲間の存在を加味したとしても、最後に頼れるのは己の身体と技術だ。俺だって今の技術を身に付けるまでは・・・あぁ・・・・・・」

「「「「「「・・・・・・???」」」」」」

 

ミュセル「どうしたの?」

クロウ「いや、鍛錬とは言え、実戦と仮定すると死んだ回数がな・・・何度両断とか粉砕とかされたことか・・・ハハハ・・・」ハイライトオフ

(((((・・・っ!!?)))))ドヨッ

 

クロウの言葉に騎士達にどよめきが広がっていく、だが、それも仕方ないのだろう、あれだけの実力を見せ付けたクロウが何度も負けるなどと、想像ができない。

 

しかし、先の話や実力を見る限り、嘘ではないのだろう、・・・と言うより、光が消えた目で遠くを見ている時点で、疑うのに無理があった。

 

クロウ「っと、ともかく面子だプライドだのに拘ってる暇があるなら、己をしっかり鍛えろって事だ・・・で、次はどれで誰が相手してくれんだ?」

「「「「「「・・・・・・ッ!」」」」」」ズルッ

 

クロウ「え?だって、まだダガー・・・と言うかローグ職しかやってないし、他の職もやらないと、てかそれが本来の目的だろ」

 

それはそうなのだが、クロウの言葉に感銘を受けていた騎士達からすると、折角良い話してたのにと、いろいろと台無しだった。

 

だが、クロウからすれば、それがここに来た(連れて来られた)本来の目的なので、続きをしたいだけだ。

 

と、言うわけで、続きを始めるのだが、やはりと言うか予想を裏切らないと言うか、先の話で納得する騎士ばかりではなかったようで、クロウを下に見ていた騎士達同様、面子に拘る騎士達から、戦棍(クレリック職)での勝負、もとい試合を受ける。

 

面子云々の話に感銘を受けた側の騎士達は、またも前衛向きで無い装備での勝負に何人かは不満の声を上げようとしたが、声を上げる前にクロウがあっさり承諾。

 

加えて全ての職の技術の確認がそもそもの目的なうえに、クロウから順番の問題と言われてしまっては、文句など言えなかった。

 

で、始まったのだが・・・

 

─1本目─

 

クロウ「甘いな!」

「うああぁ!」

 

戦棍を鉄扇に見立てた、合気鉄扇柔術であっさり捻じ伏せたり。

 

─2本目─

 

クロウ「幻空鐘!」

「ギャアアアァァァ!?」

 

鐘を打ち鳴らす様に目の前の空間を叩き、生じた衝撃波でぶっ飛ばしたり。

 

─3本目─

 

クロウ「飛鷹蹴撃!・・・からの、鳳凰天舞脚!」

「おおおおあぁぁぁぁ!?」

 

獲物に襲い掛かる猛禽類の如き跳び蹴りから派生した、極悪空中コンボでボコボコにしたりと、双剣(ダガー)の時より強いのでは?と言うくらいあっさり決着した。

 

クロウ曰く、戦棍を使う時は無手の技術がかなり流用できるので、基礎となる体術を鍛えておけば言う程弱くはならない、との事。

 

最も騎士達からすれば、その領域に達するまで、どれほどの修行が必要なのかを考えると気が遠くなりそうだったが。

 

その後も、各職の技術の確認試合は続き。

 

─戦士職─

 

大剣、大斧、戦槌とそれぞれ行われたが、ダガーや戦棍よりは劣るが、大きな獲物を使っているとは思えない軽快な速度でぶん回し、それに慄いた相手が悉くギブ、終了となる。

 

クロウ曰く、大鎌を振るうイメージらしく、それを聞いた騎士達は、死神っぽいクロウを想像してしまい、さらに恐々としていた。

 

─重槍士─

 

ランス型、スピア型、円月刀型で行い、ランス型こそ典型的な重槍士の戦い方だったが、他2つは攻めに重きを置いた素早い動きで圧倒した。

 

─弓師─

 

剛射の一矢で全員沈黙しました・・・。

 

一応補足をすると、剣士の人に協力してもらい、演舞と言う提で、接近を許した際の立ち回りを披露した。

 

・・・が、クロウ曰くまだ技がある、との事だが、それ以上続けると弓師達が自信を無くすので、強引に次の職の確認に移ってもらった。

 

─剣士&刀士─

 

近接戦は勿論の事、反撃(カウンター)技どころか遠距離においても技があり、動きも相まってあっさりと実力を認められた。

 

因みにだが刀に関しては、刀の使い方が(流派的な意味で)邪道だと思う刀士が何人かいたが、先程の実戦で文句は付けるだけ無駄、と言う話があった為、納得はしきれていないが口には出さなかった。

 

─魔法士─

 

杖こそ装備してはいたが、魔法を使える事が知られると教国の魔法士保護法に引っ掛かりかねない上、それが適用されると動きが制限され、個人的にかなり不都合なので。

 

予め魔法が使えない提で、気功を用いた技の説明を行い、なんちゃって魔法士として試合を行った。

 

・・・結果として、かの世界のモンスターの子供達(成長期)の技だけで終了となった。

 

杖?スタッフは戦棍代わり、ロッドは棒術用の棒代わりに使ってましたが何か?

 

そんなこんなで、それぞれ技術の確認は終わった。

 

ミュセル「で、どう何をメインにするか決まった?」

クロウ「んー・・・いろいろと試したけど、とりあえず刀にするわ、対人対モンスター共に使える技が1番多いし、無手でメインに使う技術の大半も一応刀士の物だからな」

 

ミュセル「そっか、それじゃあ・・・」

ジーク「その申請なら、もうローズが通しに行ったから不要よ」

シグネ「ジーク・・・!」

 

ミュセル「何でここに?」

ジーク「いや、あれだけ派手にやってれば、すぐに話が広がるわよ・・・」

レイファン「むしろ気付いてなかったの?さっきまでチカも居たのに」

クロウ(俺は気付いてたけどな、でも、やっぱり円卓騎士って暇なのか?)

 

何やら円卓騎士達の方で盛り上がっているのを、少し離れた所で見守るクロウは『円卓騎士は暇』疑惑が再燃するのを感じながらも、これでようやく活動ができる事を思い気を引き締めていた。

 

Quest Clear

                ──Next to the quest




メッチャお待たせしちまいました。

イメージは簡単に出るんですが、それを文章に出力するのがド下手なんですよね・・・

しかも、良い感じに出力出来そうな時に限って仕事中とかで執筆できない事が多く、執筆できる頃には忘れているなんてザラなんでなかなか執筆が捗らないんですよな。

年内にもう1話上げられるよう頑張りますんで、気が向いた時にでも読みに来てくれたら幸いです。
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