曲がりくねった通路には、まばらに化け物が出てきた。
いずれも斧や剣を持った個体で、今更手こずるような相手でもなかった。
しかし、その先の通路はそう簡単には進めなさそうだった。
というのも、通路の途中で床から真っ白な蒸気が音を立てて噴き出していたのだ。
「これは・・・」
確認のため手を近づけたが、すぐに「熱っ!」と手を引っ込めた。
この蒸気は、高温の水蒸気のようだ。
「水蒸気か・・・うーん」
あおいはしばらくそれを見つめ、「このくらいならいける」と言って、手に鉄板を作り出した。
そしてそれを蒸気の上から床にかぶせ、蒸気を見事に止めた。
「これでオーケーね」
しかし、少し進んだ先ですぐにまた同じような仕掛けが出てきた。
しかも、今度のは前のより広く、強い蒸気が壁や床、天井のあちこちから噴き出している。
「あおいさん・・・これも全部止められる?」
「いや、これはさすがに無理ね。1個ふさぐ間にも、後ろからジュッてやられる」
「そっか・・・となると、別の道を探したほうが良さそうね」
とはいえ、別の道などそう簡単に見つかるものでもない。ここに来るまでに分岐点らしきポイントはなかった。
せめてマップでもあればな、とあおいがぼやき始めたころ、凛はいいものを見つけた。
「あおいさん、あれ・・・使えないかしら」
凛が指差したのは、妙に新しい感じのダクト。
複数あるが、どれも入り口はそれなりに広く、一人くらいならなんとか入れそうな大きさだ。
「いいもの見つけてくれたわね、凛さん。あれを使っていけば、安全に進めるかもしれない!」
とはいえ、ダクトの入り口は複数ある。
この中のどれを進めば、先にいけるのか。
こういう時こそ出番だとばかりに、凛は術を唱える。
「霊術 [
空中に現れた白い光に向かって、凛は言う。
「この辺りのダクトの中で、私たちが入るべきはどれか示して」
光はほわほわとただよい、凛から見て左上のダクト・・・下向きになったあと、すぐに横向きに伸びているダクトの前で止まった。
「まさか、あそこに入れってこと?」
「導魂が間違ってなければ、そういうことになるわ」
二人はダクトの下まで来てみたが、ダクトは下向き。
つまり浮遊して近づき、頭から入る必要があるのだ。
「まあ、一番近道のルートなんてこんなもんよね」
あおいはそう言い、体を魔力で覆って浮遊してダクトに頭を入れる。
反応からすると、案外通れそうなようだ。
「あたしが先にいくわ。凛さんは、後からきて」
「わかった。でも、気をつけてね」
「ええ」
そうして、凛はあおいに遅れる形でダクトに入った。
確かに、辛うじて通れそうではある・・・言うまでもなく、かなり狭いが。
また、このダクトの中はツルツルしていて滑りそうだ。
だが、それでも何とか入っていかねばならない。
あおいさんにも入れたんだ、私にも・・・と思いながら体を引き上げ、どうにかダクトに侵入成功した。
「凛さん、入った?」
奥からあおいの声が聞こえる。
彼女は、あえて少しだけ進んだ先で止まって凛を待っていたようだ。
「ええ、入れたわ」
「よかった。それじゃ、このままこの中を進んで行きましょう」
ダクト内をしばらく進んでいると、突然怒号と肉を切り裂くような音が飛んできた。
その途中ど数人の男の声が聞こえ、中には康介らしき人物の声もあった。
「何かしら・・・」
「たぶん、この下でドンパチやってるのよ。・・・いい囮役になってくれてるわ」
あおいはそう言いつつ、先へ進んでいく。
凛は、ダクトの中に空いていた穴から外を見た。
康介は元より、その仲間である
あの三人、いつの間に・・・と思った。
康介はまだしも、他の二人も来ていたとは。
というか、どうやってこの塔に入ってきたのだろうか。
気になることは山積みだったが、今は進むしかない・・・そう思った。