チビトランクスに憑依したのでパパ超えを目指す 作:リーグロード
他にも執筆している作品もあるため、どうしても投稿頻度は遅くなってしまうが、これからも応援をよろしく。
スーパーサイヤ人に変身出来るようになった日から更に時は流れた。
大人達は未だ俺達がスーパーサイヤ人に変身出来る事を知らない。
だって、俺達はまだ誰にも変身できたことを教えていないからだ。
理由は単純に、ここぞという場面で変身してみせて大人達を驚かせたいからだ。前世の記憶を持っている自分でもビックリだが、どうやら俺の精神は子供トランクスの肉体に引っ張られて結構なクソガキになっているようだ。
まあ、そこまで悪い影響でもないし、こうして楽しむことができているのなら別に大丈夫かと放置している。
「ねえ、トランクス君。今日はどうする?」
「ふっふっふっ、実は今日はとっておきの場所に行こうと考えてるんだ!」
実は先日ママのお誕生日会が開かれた。作中でもブルマは結構な宴好きでちょくちょくパーティーを開いて交友のある人間を誘っている。
その中にはZ戦士であるクリリンさんやヤムチャさんなども多く出席しており、俺はよく昔の武勇伝なんかを語り聞かせて貰っていた。
これは原作と違う点がないかの確認と、ただ単純に俺がドラゴンボールのファンでリアルな目線からの話を聞きたかったからだ。
その結果、俺はクリリンさんからカリン塔の存在を聞いたので実際に悟天と一緒に行きたいと思っていたのだ。
早速俺は悟天を連れてカリン塔へ飛んで行った。
場所はあらかじめクリリンさんに聞いていたので、その方向に向かって飛んでいると雲を突き抜ける程の長い塔が視界に入った。
「おっ!見えてきたぞ悟天!!」
「うわー!本当にデッカイや~!!」
このまま舞空術でてっぺんまで行けばすぐ到着するのだろうが、それはあまりにもズルいし、なにより味気がないというものだ。
だから俺と悟天は一度地面に降りてカリン塔に近づく。
「すっげぇな……!こんな大して太くもない塔が倒れずに建ってるなんてな……」
「ねぇ、早く登ろうよ、トランクス君!」
「うっし、そうだな!」
軽くストレッチをしてから、俺達はカリン塔を登ろうと手をかけた。
しかし、その時後ろから何者かが近づいてきた。
「お前たち、そこで何をしている!?」
「うん?誰だ兄ちゃん?」
「どうしたの?トランクス君?」
振り向くとそこには民族衣装を纏って槍を持った青年が立っていた。
その衣装を見て俺は思い出した。確か聖地カリンにはアドベンチャー編で登場したウパとその父親であるボラが代々守り続けていたのだ。
そう、この青年は成長したウパなのだ。
「っ、悟空さん!?」
悟天の姿を見てウパは驚いた顔で悟天に近づく。
「ううん、違うよ。悟空は僕のお父さんの名前で、僕は孫悟天っていいます」
ペコリと丁寧にお辞儀をして自己紹介をする悟天につられてウパも慌ててお辞儀を返して名前を名乗る。
「えっ、あ……どうも、俺はウパといいます。それにしても君、悟空さんの息子さんなんだね。どうりでそっくりな筈だ。てっきり、あの頃のままの悟空さんが現れたかと勘違いしてしまったよ。それで、そちらの君は?」
「俺は悟天の親友のトランクスっていいます」
「そうか、トランクス君だね。ところで、君たちがここに来たってことは目的はこのカリン塔を登ることかな?」
「「はい!」」
元気良く返事をした俺たちに対してウパはやっぱりといった顔で見つめた。
「普通の人なら命を無駄にするなと止めるところだが、悟空さんの息子である君なら問題は無いだろう。トランクス君も同じくらい強いのかな?」
「チッチッチッ!俺は悟天より1年歳上だからな、俺の方が悟天よりも強いんだぜ!」
ドヤって胸を張るトランクスにウパもそうなのか!?と驚きながらもながらも、カリン塔へ登ることを認めてくれた。
「よし!なら、悟天。どっちが先に頂上に辿り着くか競争しようぜ!!」
「いいね、それ!」
「本気か……?」
この雲すら超えて遥か彼方の天に届かんとするカリン塔を目の前にしながら、まるで公園で遊ぶような気楽さで挑もうとする2人にウパは呆気にとられる。
「よしゃ、ならスタートの合図はウパのにいちゃんにしてもらおうぜ!」
「お、俺が……!?」
突然の指名に戸惑いながらも、心優しいウパはその役を引き受けるのだった。
「それじゃ2人共、準備はいいか?位置について、よーい……ドン!」
「「それぇ──!!!」」
その合図と同時にロケットばりのスタートダッシュを決めた2人はあっという間に雲を突き抜け、目では見えない程に高いとこまで登っていってしまった。
「ははは、流石は悟空さんの息子さんだ」
もう姿も見えなくなった2人の背中を見送ると、背後から父であるボラの声がかけられる。
「ウパ、誰か来ていたのか?」
「あっ、父上!実はですね……」
先程訪れたかつての英雄である男の息子が来たことを嬉しそうに語る。
「「うおおおぉぉぉ!!!!」」
速度を一切落とすことなく、諸突猛進という言葉が相応しい勢いで駆け上がっていく2人。
現状はトランクスの方が頭1つ分先を行っているが、悟天も負けず劣らずの勢いで猛追している。
塔を登り始めて数十分、2人の視界にカリン塔のてっぺんである居住区にあたる横長の楕円形のような建物が目に入った。
「見えた!」
そこがてっぺんであるとあらかじめ知っているトランクスがブーストをかけて更にスピードアップし、悟天を置いてカリン塔の頂上に到着する。
「やったー!俺の勝ち!!!」
「あ〜、負けちゃった……」
後から追いついた悟天が悔しそうに地団駄を踏みながら敗けを認める。
そうして俺達が下で騒がしくしてると、上の階から階段を使って誰かがこっちに向かって降りてくる。
「なんじゃい、騒がしいと思ったらお前さんらかい!?」
太っちょな体型に山賊っぽい服装で腰に刀を差した男。このカリン塔の住人となっているヤジロベーが現れた。
「あっ、ヤジロベーさんじゃん!」
ヤジロベーとはブルマ主催のパーティーにちょくちょく顔を出すので何度か顔合わせした事があるからトランクスも悟天も面識はある。
「それにしても、おみゃらその歳でよくもまあ、このカリン塔を登ってこりゃたな、流石は悟空とベジータの息子なだけはあるわ」
若干呆れが混じった言葉ながらも、大人からの賞賛は子供にしてみれば嬉しいものだ。
トランクスも悟天もニッ!と笑って喜んでいる。
「まあ、こんなとこで立ち話もなんだぎゃ、カリンの奴に会わせてやるきゃら、こっちきんさい」
そうして招かれた先はカリン塔で悟空が修業した超聖水が置かれた場所だった。
その空間の中央に設置されている壺を見て1つのイタズラを思いついた。
「おい、悟天。知ってるか?あそこに置かれた水差しがあるだろ。アレを飲めばメチャクチャ強くなれんだぜ!」
「ええ、本当!?」
純粋な悟天は俺の言葉に目を輝かせて超聖水が置かれている台座へ走り寄って行く。
それを俺が笑いを堪えながら眺めているのをヤジロベーが目撃して「おみゃさん、カリンみてなイタズラすんな」と呟いていた。
「これを飲めばトランクス君よりも強くなれるかな?」
台座によじ登って鎮座されている超聖水に手を伸ばしかけた悟天の頭上に影が落ちる。
「ふぎゃぁっ!」
「ほい!っと」
突如として現れた仙猫であるカリンに踏まれ超聖水を奪われる。
「あっはっはっは!悟天の奴、あっさり超聖水奪われてやんの!!」
「ああ!さてはトランクス君、知ってたなぁ!!」
腹を抱えて笑う俺を見て、ようやく自分が騙されていた事に気が付いた悟天が怒りだす。
そんな状況に置いてけぼりを食らったカリンはゴホン!と2人の注目を集める為に大きく咳払いをしてこっちに振り向かせる。
「やれやれ、とんだやんちゃ坊主共じゃい、まったく……。それにしても、お前さんらよくもまあこの短時間でカリン塔を登ってこれたのう」
「わー!おっきいネコさんだぁ!!」
カリンの姿を見た瞬間、さっきまでの怒りを忘れてしまったのか嬉しそうな声を上げて抱きつく悟天。
その様子を見たヤジロベーも大口を開いて笑みを浮かべる。
「だっひゃっひゃ、カリン。仙猫のオメェさんも、そこの坊主の手にかかっちゃただのネコだってのう!!」
「こら!笑うでないわ、ヤジロベー!!」
大笑いするヤジロベーに怒りの声を出すカリン。茶番はそこまでにしてカリンは2人が何の用でカリン塔にやって来たのかを問う。
「ま、まさか、暇つぶしの遊び場としてカリン塔を自力で登ってくるとはのう。そんな奴はお前さんらが初めてじゃ……」
まさかの理由に呆れ果てるカリンだが、逆に言えばそんな理由で登りきれるほどの実力をこの歳で既に有している証拠。
内心で末恐ろしい小僧共じゃ、と戦慄しながらも、その高い実力に見合っていない2人の無駄な動きを残念に思っている。
「せっかくじゃ、ワシと勝負をせんか?勿論、勝負方法はワシからこの超聖水を奪い取ることじゃ!」
「あー!それ僕が取ろうとした超聖水!?」
「なんだよ、悟天。今更気が付いたのかよ……」
さっきから視界に入っていた超聖水の存在にようやく気が付いた悟天の鈍感さに俺は思わずため息を吐く。
「それで、最初はどっちがワシの相手をしてくれるんじゃ?」
「じゃあ、僕が先がいい!」
「え~、それはずっこいだろ、ここは公平にジャンケンで勝負しようぜ!」
「ズルくないもん!それにトランクス君。僕が超聖水取ろうとして邪魔が入ること知ってたでしょ……」
「ギクッ!」
ジーっと疑いの眼差しを向けてくる悟天にぴゅ~ぴゅ~♪と誤魔化すが、それで騙されるほど
「あ~も~!わかったわかった。先に挑むのは悟天でいいよ!」
「やったー!」
悟天からの無言の圧力に折れた俺は先手を悟天に譲って大人しくヤジロベーさんの隣に立つ。
「へっへっへ、ああいう頑固っぽいところは悟空譲りだぎゃな。それにしてもお前さん結構待つかもしれんぞ。仮にもカリンの奴は仙猫やし、そう簡単には捕まらんさかいな」
「へへ~ん、俺らを見くびるなよ。いっちょ俺らの凄いところ見せてやるぜ!」
とは言ったものの…………
「ほっ、とりゃ、待て待て!」
「こっちこっち、おっ、そりゃ!」
動き自体は悟天の方が速いにも関わらず、カリンは常に先手を取って回避に専念しているため一向に捕まる気配がない。
このままでは時間だけが過ぎていくだけに終わるだろう。
「おーい!そろそろ交代しようか?」
「え~、まだ早いよ!それにあともうちょっとで何か掴めそうなんだ!」
いつまでも同じような追いかけっこの状況に退屈したトランクスが交代を提案するが即座に却下された。
どうやら、悟天は本当にもう少しでカリンを取っ捕まえる何かを掴めそうな気がしているのだ。
しょうがないからそのままやらせてやることにした。
どうせ、悟天のことだ。無理矢理変わろうとしてもダダをこねて結局交代しないからな。
「ほぉ、ワシのからこの超聖水を取れる自信があるようじゃのう」
「うん!いっくよー!!」
よーい、ドン!の合図と共に悟天がカリンに突っこんでいく。
そんなさっきとまるで同じ光景だが、俺は悟天が何か面白いことをやらかしてくれると信じて見守る。
「うっ、ぬおっ!?」
「こんにゃろぉ!!」
先程よりも逃げるカリンを追い詰めている。このままいけば本当に捕まえられるのではないか?と思ったその時だった。
「そこだぁ!!」
「ぬわっち!?」
カリンの逃げる先を先読みした悟天が飛びついてカリンをキャッチしてみせた。
だが、悟天が喜んだのも束の間、捕まえた筈のカリンが蜃気楼のように消えてしまった。
「あれ?消えちゃった??」
「それは残像、本物はこっちじゃ!」
突如として消えたカリンに惚けていると、背後から姿を現したカリンが悟天の後頭部目掛けて蹴りを繰り出す。
しかし、そのカリンが攻撃した悟天もまた同じように霞んで消えてしまう。
「なぬっ!?」
「へへ~ん、こっちだもんね♪」
横から今度こそ本物のカリンを捕まえる悟天。しかも逃げられないようにしっかりと抱きついている。
「むぅ~、まさか残像拳を使えるとは……。その技、悟飯にでも教わったのか?」
「ん?さっきのやつのこと。違うよ、さっきカリン様が変な動きしたから真似してみただけ」
こ……こやつ、ワシの残像拳を初見で見抜いていたというのか!?しかも、ただ見ただけで瞬時に模倣し使いこなすとは……。
悟空の息子とはいえ、これ程までの才を有しておるとは……。
「ねえ、これもう飲んでいい?」
「あっ、待てよ、悟天。俺も飲むから一緒に飲もうぜ!お前よりも速くカリン様捕まえるから、あんま待たなくてもいいしさ!!」
「ほぉ、このワシを前にそこまで大口を叩くとは……。よかろう、こうなれば全力で逃げさせてもらうかの!!」
ピューン!と音が出るほどの高速移動で逃げ回るカリン。それに対して、トランクスは動くことなく、キョロキョロと視線だけ動かしてカリンを追う。
「どうしたの~、トランクス君?追いかけないの?」
「へへん、まあ見てろって……」
グッと両足を伸ばして軽めのストレッチをした後、大きく息を吸い込み、そして吐き出した。
「ふぅ~、行くぞ……!!」
ス──────ッとトランクスの姿が消えたと同時に、無数の分身したトランクスが周囲を埋め尽くした。
「なんとっ、多重残像拳か!?」
「うわー!トランクス君がいっぱいだぁ!?」
無数に増えたトランクスが縦横無尽にカリンを襲う。
それをカリンはなんとか避けていくが、そのどれもが残像でどれも本物ではなかった。
「へへ~ん、こっちこっち!!」
「こっちが本物だよ~!!」
「後ろがガラ空きじゃない?」
しかも残像に紛れて子供らしい挑発まで交えてくる。そんな挑発、仙猫であるカリンから一切効かないが、それでも自分のペースを乱されたようでイラっときた。
「ぬぬぬ……」
「それじゃ、そろそろ決めちゃおうかな……」
その言葉通り、残像拳で増えたトランクスが一斉にカリンを捕らえようと一斉に飛びかかる。
左右前後どころか、上も残像が埋め尽くしている。もはや逃げ場はないように思えるが、残像は所詮残像だ。
本物の居場所さえ探り当てられれば逃げ場はいくらでもある。
「しかし、これは……」
数が多ければそれだけ技に雑さが入り、虚実がハッキリ見える筈である。
だというのに、仙猫であるカリンの目から見てもトランクスの多重残像拳は完成されていた。
この狭いとはいえカリン塔の最上階の間を埋め尽くす程に分身を繰り出した時点で驚きだが、その上本物を見抜かせない技量の高さに、カリンは翻弄される。
(一体どれが本命なのだ……?)
本体が分からぬまま、四方八方から襲いかかってくるトランクスの動きをギリギリまで見極める。
っが、その瞬間、突如として全ての分身が掻き消え、同時に背後から陽気な子供らしい声が聞こえた。
「つっかま~えた♪」
「ぬわんとっ!?」
まさかの視覚外からの接近に虚を突かれたカリンは思わず驚愕の声を上げる。
完全に意表を突かれた形となり、カリンはそのまま首根っこを掴まれてしまった。
トランクスは勝ち誇ったように笑みを浮かべ、悟天はパチパチと拍手をする。
「まさか、本当にこうもあっさりとワシを捕まえるとはのう……」
「おみゃさんも歳ってことじゃねぇか?そろそろ引退でもしたらいいでねえか……?」
「アホ抜かせ!ワシは生涯現役じゃわい!!っと、ゴホン!!それにしても、おぬしら2人ともあの悟空とベジータの息子とはいえ、凄まじい力じゃわい……」
「だから言ったろ、俺達はとっても強いんだぜって!」
「そうそう!!」
胸を張って威張るトランクスとそれに便乗する悟天に、カリンは内心で「いくら力が強くとも未だ子供か……」と安堵すると同時に、そんな子供が強大な力を持っていることに危機感を覚える。
「それじゃ、悟天。とっとと超聖水飲もうぜ!」
「うん!」
悟天の持ってる超聖水を回し飲みしてゴクゴクと飲み干していく。
そして、壺の中に入っている水を全て飲むが、体に何の異変も変化もない事に首を傾げる悟天。
「ん?ねえ、これで僕達、本当に強くなったの?」
「残念じゃが、超聖水は飲んだだけで強くなれるような便利な水ではない」
カリンの告白に悟天が仰天し、騙したなと憤慨する。
っが、これもカリンからすれば慣れたもので、怒る悟天をなだめながら、カリンから超聖水を奪うという行為そのものが強くなる修業であるとタネ明かしすると、純粋で素直な悟天は強くなったのならいっかと、あっさりと怒るのを止めて許した。
「さて、騙したお詫びといってはなんだが、お主ら2人にはこれをやろう」
カリンはどこから取り出したのか、何の変哲もなさそうな鈴を2人に渡した。
それは原作で悟空が神様に会うことになった際、カリンが神様と出会うテストを受けてもよいと判断した者に渡す鈴だった。
それを知らない悟天と流石にアドベンチャー編の特に重要ではないアイテムの存在を忘れているトランクスが疑問に思ってこれが何かを尋ねる。
「これはのう、神様に会うのに必要な鈴じゃ……」