ダンジョンで蒼炎の勇者を目指すのは間違っているだろうか?   作:かい

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これぞ『圧』

 痛む肩と胸を庇いながら、多少のモンスターと戦いつつギルドまで戻り、換金所へと向かう。

 まだ昼を多少過ぎた頃と言う事もあってか、並んでいる同業者の数は少ない。

 一番空いている所を選んで並ぶと、すぐに俺の番が回って来た。

 

「これの換金をお願いしたい」

 

 ギルドにある換金所のカウンターに、ドンと魔石とドロップアイテムの入った袋を置く。

 

「はい、承りました」

 

 受付の人の手によって、袋が奥の方へと吸い込まれてゆく。

 カウンターの奥の方は身長的な問題で身長的な問題で見えないが、今頃この奥ではいろいろな作業が行われているのだろう。

 そろそろ出血量が気になって来たので、出来れば早めに終えて欲しいところだ。

 

「はい、ではこちら、72000ヴァリスになります」

 

 数分程度経ったかと言う頃。

 ジャラリと言う金属音と共に、空になった俺の袋と、中身のぎっしり詰まった袋が置かれる。

 手を伸ばして持ってみれば、ずしりと重い。

 

「ああ、確かに受け取った……ところで、この辺でポーションを売っているのは何処だろうか」

「ポーションをお求めなら、【ディアンケヒト・ファミリア】か【ミアハ・ファミリア】を勧めます。【ディアンケヒト・ファミリア】はバベルを出てすぐのところに、【ミアハ・ファミリア】はそちらの大通りを少々行ったところにありますよ」

「成程、感謝する」

 

 袋を腰に括り付けてから列を外れ、バベルを出る。

 さて、では先程出た二つのどちらかに行くわけだが、まぁ、今の場合ならば【ディアンケヒト・ファミリア】一択だろう。

 えーと……それっぽいのは……ああ、あれか。

 

 少し遠くの所に、デカデカと【ディアンケヒト・ファミリア】の文字が記されている看板があった。

 うん、分かりやすくて実に良いと思う。

 

「……失礼する」

「おや、いらっしゃいま────は?」

 

 扉を開け、店内に入ると、まず目に飛び込んで来るのは棚を埋め尽くす薬品の数々。

 よく見ると何だか赤かったり、緑色だったり、紫色に発光していたりしているものもあるが、まぁ、その辺はファンタジーな効果があるのだろう。

 さて、この前アリーゼさんが使っていたような奴は……おお、あったあった。

 取り敢えず、これを────

 

「そこ!! 動かないでください!!」

「うッ!?」

 

 突然、後ろから叫ばれる。

 咄嗟に振り向くと、見えたのは凄まじい勢いでカウンターを飛び越える少女。

 そして、何が何だかわからないうちに、凄まじい速度でその場に寝かされる。

 

「……え?」

「喋らないでください!!」

 

 鬼気迫る表情で叫ばれる。

 普通に怖い。元が可愛らしい顔だとわかる分、なお怖い。

 俺、何かやらかしたのだろうか。

 

「傷は胸と……肩。それと裂傷や打撲が無数……」

「な、何が」

「喋らないでください!!」

 

 アッハイ。黙ってます。

 うぐ……ど、同年代くらいの筈なのに、凄まじい圧だ……

 

「まずはポーション……しかし、それだと切断された骨が……いえ、この切り口なら……すみません! 失礼します!!」

 

 少女は立ち上がると俺の体を跨ぎ、棚から幾つかのポーションを取り出す。

 そしてそれをノータイムで俺にぶち撒ける。

 

「うぶっ!?……ごっ!?」

「飲んでください!!」

「…………ッ、ゲフッ! ゴフッ!?」

 

 俺が突然の水責めに混乱していると、今度は口にポーションを突っ込まれる。

 言われるがままに喉を動かし、中身を飲むが、どうやら気管に入ったらしく、派手に咽せる。

 

「ちょっ、グホッ、待っ」

「飲んでください!!」

 

 俺はタイムを要求するが、そんな事はお構いなしに少女は俺の口にポーションを捩じ込み続ける。

 どうやら、俺はこれを飲み続ける他に生きる道は無いらしい。

 必死な思いでゴクゴクとポーションを飲んでゆく。

 そして、やっとの思いで5本ほど飲み終わった後、漸く俺はその地獄から解放された。

 

「っ、はぁ……はぁ……ゲフッ、ゲフッ」

「……これで、治療は出来たはずですが……どうですか?」

 

 胸と肩の傷を見てみると、多少の痕こそ残っているものの、ほぼ完璧にその傷は塞がっている。

 立ち上がり、軽く飛び跳ねてみても、どこも痛く無くない。

 ……なんだか釈然としないが、どうやら治ったらしい。

 今度怪我したらこの療法で治そう。

 

「…………ああ、治った」

「それならば重畳です……が、あの切り傷、ウォーシャドウのものですね?」

「……まぁ、そうだが」

「冒険者を始めてから、どれほど経っていますか?」

「2日だが」

「分かりました。そこに直って下さい」

「え」

「直って下さい」

「いやその」

「直って下さい」

 

 アッハイ。

 圧に押され、その場の床に正座する。

 そして、少女は俺の前に仁王立ちで立つと……

 

「何をやっているのですか貴方はあああああああああああああッッ!!?」

 

 とんでもない勢いで雷を落とされた。

 アグニ神以上の声量だ。マジで耳が痛い。どっから声出してるのマジで。

 

「冒険者を始めて!? 2日!? 2日で六層に行ったんですか!? 何ですか!? 馬鹿なんですか!!? 自殺志望なんですか!!?」

「べ、別にそう言うわけでは……」

「いいえ自殺志望者です!! 冒険者を始めて2日の!! 単独(ソロ)の!! 小人族(パルゥム)が!! 六層!!? 頭おかしいんじゃないですか!!?」

「い、いや、俺は……」

「黙りなさい!! いいですか!? まず──────────」

 

 そこから始まったのは名前も知らない少女による説教だ。

 説教は続いた。体感的には1時間くらいずっと続いた。

 途中、何度か客も来訪していたし、ファミリアの団員であろう人も来たのだが、皆扉をそっ閉じして戻って行ったので、一切中断される事なく、ノンストップで説教が続いた。もうかなり足が痛い。

 

 ちなみに、説教の内容としては全て『無茶をするな』という言葉に集約されるものだった。

 恐らく、ポーションも持たずにダンジョンに潜ってしまったのがいけなかったのだろう。

 確かに、俺もそれは少々拙いのではないかと思ってはいた。

 まぁ、feでも傷薬やら特効薬やらの常備は常識だからな。

 これからは、きちんとポーションを持ち込むことにする。

 

「はぁ……はぁ……どうです? 分かりましたか?」

「大体わかった。無茶をしなければ(ポーションを持って行けば)良いんだな?」

「…………理解しているか少々不安が残りますが。まぁ、はい、概ねその通りです」

「では、5本ほどポーションを見繕って欲しい。金はある」

「はぁ……まぁ、良い心がけではあります。ではポーション5本と……先程の治療費含めて、7700ヴァリスですね」

 

 金貨の詰まった袋を開け、7700ヴァリスを……7700ヴァリスってどのくらいなんだこれ……

 金貨の大きさがどれも均一なんだけど、どれがどのくらいの価値なんだ……?

 この……ええと……ん?

 もう良いや。一枚あたり1000ヴァリスとして8枚渡そう。

 

「……これで良いか」

「はい、大丈夫です。では、ポーションと……お釣りが300ヴァリスですね」

 

 少女からポーションと、支払った金貨よりも一回り小さい金貨を3枚渡される。

 ……うん、勘が当たっていたようで良かった。

 しかし、このサイズが1000で、このサイズが100か。これはしっかりと覚えておこう。

 これで詐欺られるなど、たまったものではないからな。

 

「確かに受け取った。では、失礼する」

「ええ。くれぐれも、くれぐれも無茶だけはしないようにして下さいね」

 

 まぁ、ポーションは買ったからな。そこは問題ない。

 ……よし、じゃあ一旦家に帰って、ステータスを更新してもらおう。

 どれくらい伸びているのだろうか。非常に楽しみだ。

 





 Q:大天空使う?
 
 A:使う予定はあるっちゃある。

 Q2:リヴェリアさんは主人公を小人族(パルゥム)だと思ってる?

 A:はい。


 この作品内での天空の扱いどうしよっかなって考えてたら割としっくり来るのが思いついたけど、普通に強すぎてどのタイミングで使えるようにすれば良いのか分からなくなったぞ!!
 それはそれとして感想と評価、くれ!!
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