ダンジョンで蒼炎の勇者を目指すのは間違っているだろうか?   作:かい

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幾ら何でも理不尽過ぎん?

 辺りの景色を忘れないよう目に焼き付けながら、道なりに走る。

 この街、どの建物も大体同じような造りをしているので、しっかりと特徴的な部分を見つけないとすぐに忘れてしまいそうになってしまう。

 まぁ、忘れてしまったとしても、バベルが見える場所に行けば大体の位置は把握できそうなので、そこまで大惨事にはならないだろうが。

 しかし、覚えておくに越したことはないだろう。

 こう言ったことの積み重ねは、後々になって思わぬ利益になったりするものだからな。

 

 ……しかし、こうやって街を見ていくと、何故ああも通行人達の顔が暗いのか分かって来た。

 恐らくこの街は今、武力ないし暴力による脅威に晒されている。

 走っている中で、確実に人為的な破壊の跡が幾つも見られた。

 それも、解体工事のような計画的な物ではなく、単純に破壊する事自体を目的とした破壊活動による物だ。

 そうでもなければ、跡形もなく建物を破壊した上で火を放つ、なんて事はしないし、瓦礫は放っておいたままにはならない。

 

 そして極め付けは、恐らく大量虐殺が起こったであろう現場だ。

 真っ赤に染まった石畳、壁に幾つも付けられた大小様々な血の手形、人の気配が無い家々。

 凄惨ここに極まれりと言った風だった。まぁ、俺はその上を駆け抜けたわけだが。

 

 しかしそうなると、念の為に剣を持って来ておいて良かった。

 殺人鬼と出会した時に、丸腰だと流石にキツいからな。

 これがあればある程度なら抵抗できる。

 いや、殺人鬼がリオンさん以上の実力者とかだったら、普通に無理なんだろうが……まぁ、出来る限りはやるつもりだ。

 諦めたらそこで試合終了、と言うのはまさにその通りだからな。

 最後の最後まで諦めずにいれば、もしかしたら生きて帰れる可能性も────

 

「────チッ、ンなとこにいやがったのかこのクソ小人族(パルゥム)が。手間取らせやがって」

 

 目の前に黒い影が落ちてくるのを見て、咄嗟にブレーキをかける。

 その影をよく見てみると、どうやら黒い毛並みの猫耳人間だったようだ。ラグズで言うところの獣牙族だな。

 まぁ、爪と牙で戦う向こうとは違って、こちらは銀の槍を担いでいるが。

 

 ……しかし、出るにしても早速過ぎるだろう。

 いや、俺の認識が甘かったと言えばまぁ、その通りなのだが。

 どうにも、日本人の悪いところが出てしまったと言ったところか。

 まぁ、だが、出会ってしまったものは仕方がない。どうにかするしか無いだろう。

 剣を抜き、構えを取りつつ、隙をついて逃げ出す準備をする。

 

「チッ、オイ、そこのクソ小人族(パルゥム)。精々あの方の御好意に感謝して────くたばりやがれッ!」

 

 猛烈に嫌な予感が背中を駆け抜け、瞬時に剣を縦に構え、防御姿勢を取る。

 しかし、その前に凄まじい衝撃が俺の腹を襲い、そのまま体を吹き飛ばした。

 

「ォアッ!?」

 

 腹が丸ごと無くなったかのような感覚と共に、血が俺の口から噴き出る。

 目を腹にやってみれば、一部分がグロテスクなまでに凹み、その奥には恐らく背骨であろう凸が見えた。

 ……これは……流石に死んだか?

 いや、やるだけやると言った手前、諦めるわけにはいかない。

 最悪、某吸血鬼のように、吹っ飛ばされる力を利用して逃げれば────

 

「ラァッ!!」

 

 などと考えつつ吹っ飛ばされていた俺の眼前に、突然拳が出現する。

 凄まじ過ぎるスピードだ。この速度で吹っ飛ばされる俺について来たのか。

 いや、感心などしている暇ではない。頭を下げ、なんとか額当てで拳を受ける。

 ガァン、と金属音が鳴り、俺は後頭部から地面に叩きつけられ────

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あら、起きたかしら?」

「……は?」

 

 どこだここ。いや、マジでどこだここ。

 何が起きた? 俺はあの拳を受けて……気絶でもしたのか?

 

 キョロキョロと辺りを見渡してみる。

 巨大な本棚と、超美人の痴女と、一面ガラス張りの壁と、扉の前に筋肉モリモリマッチョマン。

 とりあえず、あの痴女が神だと言う事はわかる。アグニ神と同じオーラだ……しかし、状況が全くもってわけわからん。一体何がどうなっている?

 

「ふふ、混乱しているのね。仕方ないわ、突然のことだったもの」

 

 そんな風に混乱している俺を見て、痴女神が笑う。

 ……今の言動と状況証拠から考えるに、コイツが今回の件の主犯のようだ。

 しかし、もうちょっとまともな服は無かったのだろうか。いくら似合っているとは言え、その服では流石に痴女の誹りは免れんぞ。

 

「……何が目的だ?」

 

 ギシギシと痛む体に鞭を打ち、立ち上がる。

 ……拘束されていなかったのは少し意外だな。

 まぁ、拘束しようがしまいが、あまり関係ないと言うことなのだろうが。

 あのスピードであれば、逃げた俺を捕らえることなぞ容易だろう。

 

「もう大丈夫なの? やっぱり良いわね、貴方。じゃあ、早速だけれど────」

 

 痴女神は俺の方へと歩いて来ると、蠱惑的な笑みを浮かべて俺の顎に指を当て、囁く。

 

「貴方、私の眷属にならない?」

「いや、断るが」

「!?」

 

 ノータイムで痴女神の提案を拒否する。

 すると、痴女神はひどく驚いた様子で後退りし、信じられないものを見るかのような目でこちらを見る。

 ……いや、だって、意味がわからないだろう。なぜそんな事をする必要がある。

 そもそも俺はアグニ神の眷属だぞ。今更変えられるわけがないだろうに。

 と言うか、たとえ変えられるとしても、まだ俺はアグニ神に恩を返し切れていないのだ。

 俺がアイクを目指していようが目指していまいが、恩を仇で返すような真似をする恥知らずに成り下がるつもりなど無いぞ。

 あと単純にお前が怪しい。

 

「…………そう、それは残念ね。……オッタル」

「はっ」

「彼を帰してあげて。くれぐれも丁重に、ね」

「かしこまりました」

 

 突然、真後ろから声がした。

 咄嗟に振り向けば、そこにあったのは大岩の如き巨体。

 扉の前に居たオッタルとやらが、一瞬でここまで移動して来たのだ。

 オッタルが拳を振り上げる。

 俺は咄嗟にそれをガードしようとするが、オッタルの拳は俺のガードを簡単に貫き───

 

 

 

 

 

 

 

 気が付いたら、俺は中央広場(セントラルパーク)のベンチに座っていた。

 それも、なんかよく分からん本を握りしめて。

 ………………いや、意味がわからん。最初から最後まで理不尽が過ぎる。

 一体何がしたかったんだあの連中は。

 

 というか、この本は何だ?

 えーと……『脳筋でも完全理解! 超わかりやすい現代魔法』……いや、なんだこれ。

 まぁ、多分というかほぼ確実に魔法に関する何かが書かれているんだろうな。

 魔法に関しては俺も知りたかったところだし、くれるなら、まぁ、貰っておくが……

 ……はぁ、帰るか。





 Q:なんでフレイヤの魅了効かなかったん?

 A:主人公にデフォルトで美人耐性があったから。


 そんなわけで、評価と感想、くれ!!
 それと学校の課題研究でアンケート取ることになったから、暇な人は協力してプリーズ。
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