ダンジョンで蒼炎の勇者を目指すのは間違っているだろうか?   作:かい

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子供ではあるが小人ではない

 うむ、世界からGOサインが出てしまったのなら仕方が無い。

 これは俺がアイクになるしか無いようだな。

 しかし、【蒼勇夢想】って、まんまアイクじゃねぇか。読みもアイクだし。

 これはもう本当に、アイクになる以外の選択肢が無いのではなかろうか。

 いや、それ以外の選択肢があっても選ぶつもりはないんだが。

 

「どうだ! とんでもないスキルだったろう!」

「ああ、これは良いスキルだ」

「やっぱり、君も勇者に憧れているのかい!?」

「……まぁ、そうだな。そんなところだ」

 

 今の発言から推測するに、どうやらスキルと言うのは、本人の意思が少なからず関係してくるらしい。

 

「うむ! じゃあ、君もそんな勇者になれるように、早速ダンジョンへ……と言うのはまだ難しいだろう!! まずは君の装備を整えようか!!」

「ああ、異論は無い」

 

 装備というものは、戦いの場面においては必要不可欠だ。

 FEで無くとも、色々なゲームをプレイしていれば、自ずとその事実に気付く。

 攻撃、防御、戦いにおけるどの要素を取っても、装備の性能が多かれ少なかれ絡んでくる。

 装備一つで勝敗が決することも、珍しいことでは無い。

 俺はこの体で負けるわけにはいかないし、装備は整えておくべきだ。

 

「では、早速バベルへ行こうか! 着いて来てくれ!」

 

 アグニ神に腕を引かれ、外に出る。

 するとそこに広がっていたのは、明らかに日本とは異なる、ヨーロッパのような雰囲気の街並みと、天を突くように聳える巨塔。恐らく、あれがバベルなのだろう。

 

「さ、こっちだ!」

 

 アグニ神に着いて行くと、何やら開けた所に出た。

 所謂、大通りと言うやつか。

 人通りは溢れ、道端には露店や屋台が立ち並んでいる。

 ただ、明らかにエルフやら獣人やらと言った種族が平然と居ることと、どこか人々の顔が暗いことが気になるが。

 

「……アレは……エルフか」

 

 エルフの一人を指で差して、アグニ神に聞いてみる。

 

「む! エルフは初めてか! っと、あれはアストレアのところの眷属だな! 良い機会だ! 話してみよう!」

「何?」

「おーい! アリーゼちゃーん!」

 

 あまりにも突然すぎるアグニ神の行動に、つい思考が止まってしまう。

 しかし、アグニ神は呆然とする俺の腕を引っ張ると、エルフ方へ歩いて行ってしまう。

 俺はたたらを踏みながらも、何とか転ばないようにしながら着いて行く。

 

「あら、アグニ様じゃない! そっちの小人族(パルゥム)の子は!? もしかして眷属!?」

「む! そうだ! 俺の初めての眷属だ!!」

 

 エルフの近くにいた赤髪の女性が、素敵な笑顔でこちらに手を振ってくれる。

 どうやら、アグニ神は前々から彼女らと面識があったらしい。

 確か、アストレアの眷属と言っていたか。

 …………しかし、パルゥムとは?

 

「へぇ、同胞ねぇ」

「あらあら、随分と可愛らしゅうございますねぇ……どこかの性悪とは違って」

「おい」

「おんやぁ? 誰も貴女がそうだなんて、言うておりませんが?」

「ほぼ言ってるようなもんだろうが!」

 

 そして、何故か向こうでは和服の黒髪美女とピンク髪の少女が言い争ってる。

 まぁ、仲が良いんだろうな、うん。

 あまり関わらないでおいて方が良さそうだ。

 

「……神アグニ。何の用です?」

「む! いや何! コイツがエルフを見た事が無いって言うモンでな! 折角だから直接話させてやろうと思ったんだ!」

「あら! そうなの!? いいじゃない! ほら、リオン!」

「え、しかし、アリーゼ……」

「いいからいいから!」

 

 リオンという名前らしいエルフを、アリーゼとやらが俺の方へ押して来る。

 ……いや、別に無理してまで話す必要は無いと思う。

 まぁ、確かに話せるに越した事はないのだが……あ、どうやら、俺と会話することに決めたらしい。

 若干オドオドとしながら、リオンさんがこちらに自分から歩み寄って来る。

 

「…………初めまして」

「ああ、初めましてだ。俺は」

「エルフは初めてですか?」

「まぁ、そうだが」

「冒険者にはなるつもりですか?」

「今からバベルとやらに行って、装備をととの」

「武器は何を使いますか?」

 

 ……いや、会話下手過ぎん?

 俺が二の句を継ごうとする度に、流れがぶった切られるぞ。

 ってか、まず俺の目を見て話せ。そっちに俺は居ない。

 ……この人アレか? 滅茶苦茶な人見知りな感じか?

 

「これはひでぇ」

「酷い事は分かりきってましたが、まさか予想の下を行くとは思いませんでした」

「ダメよ輝夜! リオンだって頑張ってるのよ!」

「そうだ! リューちゃんはそこが良いんだ!」

 

 そんでもって、そっちは少し静かにしていてくれ。

 リューさんの顔が真っ赤になっている。

 ただでさえ会話下手だって言うのに、このままだと話すことすらできなくなるぞ。

 

「……ええと……その……小人族(パルゥム)と言う事は……やはり……勇者(ブレイバー)を?」

 

 リオンさんが顔を真っ赤に染めたまま、会話を再開させようとする。

 ……しかし、また出て来たな、パルゥム。

 多分、何かの種族を指す言葉なんだろうが……変に推測して間違っていたら嫌だしな。

 

「……なぁ、一つ、聞きたいんだが」

「……な、何でしょうか」

「パルゥムとは何だ」

「え?」「は!?」「あぁ!?」「むぅ!?」

 

 俺がその質問を投げかけた次の瞬間。

 まるでこの辺り一帯の時間が止まってしまったのかの様な感覚に襲われる。

 ……ふむ、成程。やらかしたか。

 

「……なぁ、お前、今何歳だ?」

 

 黒髪の和服美人……確か、輝夜とか言ったか?

 輝夜さんが真っ先に再起動し、そんなことを聞いて来る。

 ……なんか口調が違う気がするが、まぁ、些細な事だろう。

 

「8か9だが」

「「「「はぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!?」」」」

 

 答えた瞬間、爆音が上がった。

 暗い顔で俯いていた通行人たちが、突然の大音量に驚いてこちらを向く。

 

「ちょっと! どう言うことなのよアグニ様! 小人族(パルゥム)じゃなくて子供じゃない!!」

「むむむむむ!!? ここに来る前にふらっと寄った廃村でゴブリン達相手に大立ち回りしてたし、ついさっき初めて起きた時の反応も大人な感じしたから、子供じゃないと思ったんだ!!」

「だとしても!……いや、アタシも同胞と勘違いしたし、何とも言えないんだけどさ……」

 

 うむ、喧々轟々。

 しかし、別にそんなに驚く事だろうか。

 安全にさえ配慮すれば、普通に子供でも大丈夫だろうに。

 

「ねぇ、君!」

 

 む、こっちに流れ弾が。

 いや、話の中心は俺だから、流れ弾と言うわけでも無いのか。

 

「本当に! ほんとーに冒険者になりたいの!? この神様に無理矢理とかじゃないわよね!? お姉さんに正直に言ってみなさい!」

「いや、俺が自分から言った」

「……迷宮は、お前が思っている程優しくは無い。お前みたいな餓鬼が足を踏み入れれば、碌に何もできずに死ぬぞ。悪い事は言わん、やめておけ」

「むしろ好都合だ。俺が英雄(アイク)になる為には、そのくらいが丁度いい」

「「「ッ!!」」」

 

 ……ん? なんか効いたか?

 若干、彼女達がのけぞったような気がする。

 

「……そう、わかったわ」

「アリーゼ!?」

「いいの、リオン。ここまで覚悟があるんだもの、止める方が無粋ってものよ」

「しかし、アリーゼ!」

「黙れ、リオン」

「ッ、輝夜!!」

 

 リオンさんが鬼気迫った顔で──と言っても覆面であまり見えないが──輝夜さんに詰め寄る。

 しかし、輝夜さんも負けじと険しい顔で、リューさんを睨みつけながら口を開く。

 

「団長がこう言っているんだ。お前はそれに従え」

「だが! 彼は子供だ! 救える命をみすみす見逃すなど!」

「……だったら、お前が面倒を見てやったらどうだ?」

「ッ!?」

 

 ん? おや?

 なんか話の流れ変わったね。

 

「な、何を馬鹿な!?」

「お前は救える命を見逃すのが嫌なんだろう? だったら、お前がダンジョンに着いて行ってやれば良いじゃないか」

 

 いや、別に要らないが。

 

「私達には、都市の平和を守ると言う使命がある! それを分かった上で言っているのか!」

「あら、別に大丈夫よ!」

 

 いや、要らないって。

 

「なっ、アリーゼ!?」

「アストレア様には私が話をつけておくし、私達だって、いつも地上に居るってわけじゃないでしょ? それに、ダンジョン内のパトロールも兼ねれば問題ないわ!」

「……………………ッ!!」

 

 いや、そんなに葛藤するくらいならマジで大丈夫だから。

 放っておいてくれて良いから。別に一人でも全然平気だから。

 

「よろしく……ッ、お願い……しますッ……!!」

「ああ! よろしく頼む!!」

 

 いや、勝手によろしくしないで?

 俺の意見を尊重して?

 





 評価と感想くれ!

 ちなみにリューさんはヒロインにはならん!
 でも要望が多ければするかも!
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