ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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一〇話

買い出し組が戻るまで、モンタナや晴風は動けない。そこでモンタナでは色々と仕事をしていた。

甲板では取り付けられたバスケットゴールを使って試合をしていたり、溜まった洗濯物を一斉に洗って干している者。

船内でゲームをする者や寝ている者までいた。

艦長のサクラは誰もいない第二艦橋で瞑想をしていた。

 

 

 

先ほど、船医のシアから受けた報告を聞いて考え事していたのだ。

 

『あの鼠もどきから未知のウイルスが検出された』

 

シアの報告を受けて思わずギョッとなってしまった。幸いにも船内は消毒はしていたので問題ないと判断されたが、落ち着かなかった。

 

「(はぁ……せっかくの休みだと言うのに……)」

 

サクラはこのウイルスが今回の一連の事件の原因では無いかと直感的に感じた。確証はないが、何となくそんな感じなするのだ。

聞くと、その鼠もどきは体の生体電流から電磁波を出すことができ、レーダーや通信を切断することが可能らしい。

シュペーの観測をしていた時に通信が著しく悪かったのはこいつのせいだろう。

 

色々と謎が解けていく中、シアは結果を見せながら言った。

 

「こいつは人体にも感染する可能性が高い。暫くは乗員に手洗いうがいを徹底させてくれ。こっちは対処法を探してみる」

 

ということでシアは現在医務室にこもって調査をしていた。

 

 

 

 


 

 

 

 

オーシャンモールで買い物をする明乃達。ショッピングモールのフードコートでお昼を食べた。

 

「それじゃあ、私は卵と生クリームと苺を買ってきます!!……文句はないよね?媛萌ちゃん?」

 

伊良子が()()笑みを浮かべながら和住に訊ねる。

 

「はい……どうぞ、思う存分買い物を楽しんでください」

 

伊良子の買い物に承諾する和住。

 

「すっかり頭が上がらなくなっているね」

「仕方なかろう。余計な事をする時間はないと言いながら、当人がホームセンターコーナーで一時間も費やしたのだから」

 

美波がそう言うと思わず堪えていたケイリー達が少し噴き出す。と言うのも、買い物途中、ホームセンターを見つけた和住は吸い寄せられるように中に入り、工具を見ていた。今回は予算がないので買うことはなかったが、工具を見てスッカリ夢中になった和住はそこから一切動かずにしていた。

『余計なものは買わない』『すぐ帰る』と轟々していたのに、来てみればこれである。和住はぐうの音も出なかった。

 

「好きなもの見ていると時間忘れちゃうよね」

 

明乃が和住を弁護するように言った。その気持ちは共感できるから、ケイリー達も何も言わなかった。

 

「さて、それじゃあ行こう。これ以上時間は無駄に出来ないし」

 

そう言うと明乃達はフードコートを後にしていた。

 

 

 

 

 

オーシャンモールで買い物をしている明乃達。前を歩く明乃達に対して最後尾を歩く二人は小さく話す。

 

「……誰かな?つけて来ているのは?」

「見た感じ……ブルーマーメイドね」

 

ショーウィンドウ越しに後ろを歩く三人組を見て二人は正体を確認する。

 

「さて、どうします?」

「うーん、相手の出方次第」

 

ケイリーはそう言うとネルが提案をする。

 

「こっちから接触してみるのは?」

「あー、それも良いかもね」

 

ケイリー達はそんなことを話しながら呑気に会話をしている明乃達を見ていた。

 

 

 

 

 

時刻を十分ほど戻す、明乃達が買い物をしているとき、オーシャンモール内を歩いていたらブルーマーメイドの一人が言う。

 

「東舞校の戦闘や発見報告から考えると、この近くに晴風がいるはず…」

「ここら辺一帯に哨戒艇を出しますか」

「えぇ、そうね」

 

部下の一人がそう言って賛同した時だった。

 

「あれは……!!」

 

人混みの中に映る、高校生くらいの集団が見えた。

 

「如何しましたか?平賀監察官?」

「今、晴風の乗員と思わしき人物を発見したわ!」

「え!?本当ですか。」

「えぇ、急いで追いかけましょう」

 

こうしてブルーマーメイドの尾行が始まっていた。

 

 

 

 

 

ケーキの材料などを売っている店に入った明乃達を見届け、二人は近くのソファーに座る。おそらく店の中で伊良子が持ち前の技術で材料を吟味していることだろう。出てくるまで警戒して待っている事10分、店から明乃達が出て来た。

 

「材料買えた?」

「うん、それでねぇ……」

 

すると伊良子ある物をポケットから出す。

 

「じゃ~ん!一枚だけだけど抽選券貰っちゃった!!」

 

ケーキの材料を買ったついでにレジで伊良子は抽選券を貰った。

 

「これで一回福引ができるんだって」

 

ちょうとこのショッピングモールでは福引をしているようだった。

 

「何が当たるんだ?」

「それは分からないけど、商品券とか当たったら。フルーツとかも買って豪華なケーキになるね!」

 

何が当たるのか、分からなかったが、もし当たるとすれば、商品券で追加のケーキの食材などを買いたいと伊良子は願うが……

 

「いや其処は、トイレットペーパーに使うでしょう」

 

和住は現実的な意見を言う。実際問題、今回の買い物の目的はトイレットペーパーの調達。数が多すぎても問題無いくらいなのだ。

その後も抽選券に夢見るような話をしていたが、ケイリー達はそもそもやっても当たらんだろうと思っていた。

 

「んで、どうすんの?あとはトイレットペーパー買うだけだけど」

 

ネルが聞くと明乃は抽選券を見ながら言う。

 

「う〜ん、せっかくだしやって行こうかな」

 

そう言い、彼女らは抽選をやりに行く事になった。ここでブルーマーメイドのことを伝えてもいいが、相手に気づかれて大事になるのも愚策かと思ってあえて伝えなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ケイリー達がブルーマーメイドの尾行に気づいた頃。洋上では…

 

「……」

 

モンタナの後部甲板。ヘリコプターの駐機場に訪れたサクラは係留されているHー2を見る。他のみんなは食堂に飛んで行ってアイスを食べているはずだ。なので今、甲板にはサクラしかいなかった。サクラはHー2を見て次にモンタナを見る。モンタナの後部艦橋下の一段高くなったところに並んでいる長方形の箱のような物を見て呟く。

 

「……いずれはアレを使うことになるのかしら」

 

一種の未来予測のような物をするも、直ぐに思っていた事をかき消した。今考えるのは野暮だから……

そしてそのまま甲板をフラフラと歩いているとエリーが片手にアイスを持ってやって来た。

 

「艦長、カミラがアイスを取りに来てってさ」

「ええ、分かった。すぐに行く」

 

そう言うとサクラは甲板を後にして行った。

 

 

 

 

 

同じ頃、ケイリー達はオーシャンモールで福引きをする為に会場にやって来た。

 

「あ!見て見て!一等はトイレットペーパー一年分だって!」

「なんか微妙な一等だな……」

「でも今のうちらには一番欲しいものだよ?」

 

そう言い、ケイリー達はどうせ当たらないだろうと思いながら抽選会場に入る明乃を見る。

 

「大丈夫。私、結構一等当てたりしてるし」

 

そう言い、自分の幸運体質を言う。するとネルがケイリーに耳打ちをする。

 

「ねぇ、この後どうする?結構ブルーマーメイドの人近づいてるけど……」

「最悪こっちでなんとかするしか無いでしょ。それか、先にこっちから当たるか……」

 

すると、カランカランと金の音が鳴り、男性が叫んだ。

 

「トイレットペーパー、一年分おめでとうございま~す!!」

 

明乃の幸運体質が発揮され、一等を当ててしまった。

 

「「えぇ!!うっそぉ…!!」」

 

これには流石にケイリー達も驚いてしまった。

 

「何て運の良い…抽選券一枚しか貰えなかったのに……」

 

明乃から聞いてはいたがこうして改めて彼女の幸運体質を見ると百聞は一見にしかず、やはり驚かった。

 

「良かったね。トイレットペーパーまだ買わなくて」

「でも一年分なんて如何やって持って帰るんだ?」

 

ケイリー達が居るとはいえ、トイレットペーパー一年分はあまりにも数が多すぎる。

 

「ご自宅までお送りしますよ」

 

どうやってトイレットペーパーを艦まで持ち帰るか考えていると、店員が宅配も可能だと言いった。

 

「「え?」」

 

店員の話を聞き、明乃達は円陣を組んで相談する。

 

「如何しよう?……船まで送って貰えないし……」

「持てるだけ持って帰る?」

「あっ!今持てるだけ持って、あとはモンタナの方に送って貰おうよ」

 

和住の提案に明乃は乗った。現在、横須賀に向かっているが、モンタナは何も問題を起こしていない。それに元々この抽選券をもらった時に買ったケーキの材料はモンタナから出たもの。少しばかりのお返しと思えば……と言うことで話は決まった。

 

結果、持てるだけ持ったあと。残りはケイリー達モンタナの寮のある場所に送ってもらう事にした。

しかし後に、このトイレットペーパーでちょっとした騒動が起こるのだった。

 

 

オーシャンモールを歩いていると突如目の前にブルーマーメイドの制服を着た人達が現れる。

 

「貴方達、晴風の生徒ね?」

「ふぇっ!?」

 

突然、現れたブルーマーメイドに驚愕する明乃達。

 

「て、撤退〜!!」

 

咄嗟に荷物を置いて逃げ出す明乃達。

 

「待ちなさい!!」

 

そしてそれを追いかけるブルーマーメイド職員。

 

「ま、待って!」

 

一足遅れて逃げる明乃だったが、走っていると思わず足がもつれて転けてしまった。その瞬間を逃さずに明乃に二人のブルーマーメイドが飛びかかる。

 

「艦長!!」

「チッ…」

 

咄嗟にケイリーが拳銃を取り出す。中に入っているのはゴム弾だ。

 

タンタンッ!!「うっ!」「あっ!」

 

二発のゴム弾が当たり、相手が怯んだところで明乃の腕を引っ張ってこちらに手繰り寄せる。そしてブルーマーメイドの指揮官と思しき人がこちらに護身用のテーザー銃を向けてきた。

 

「投降しなさい」

 

そう言うと、ケイリーは次の一手を出した。

 

「おっと、近づかない方がいいと思いますよ」

 

そう言い、懐から取り出したのは円筒形の形をしたMK3手榴弾だった。まぁ、本当は手榴弾の色に塗った発煙弾なのだが……

 

「っ!!貴方!!」

「それ以上近づいたら……分かりますね?」

 

ピンに指をかけた状態でそう言う。馬鹿なことはやめろと言いたいが、下手に動いて自爆でもされれば非常にまずい。するとケイリーはピンに指を掛けたままブルーマーメイドに聞く。

 

「この子達を捕らえに来たのですか?目的を聞かせて下さい」

 

そう問いかけるとブルーマーメイドの職員は答える。

 

「……上司の…宗谷真霜一等監察官より命令を受けての行動です」

 

そう答えるとケイリーはやや怪訝そうに答える。

 

「宗谷真霜一等監察官……それはつまり、ブルーマーメイド日本支部安全監督室の行動で合っていますか?」

「っ!詳しいんですね……」

「ウチの艦長は情報通なんでね」

 

そう言うとケイリーはさらに聞く。

 

「では、その命令が本当か。我々も知りたいので、一等監察官に連絡は出来ますか?」

「えぇ……」

 

そう言うと平賀と名乗ったブルーマーメイド職員が直接電話をする。そこでようやくちゃんと正規の命令であると確認したケイリーは手榴弾をしまった。

 

「ふぅ……申し訳ありません。我々は少し海上安全整備局に懐疑的でしたから……」

「いえ、そう思うのも不思議では無いと思います」

 

そう言うとネルが明乃達に言う。

 

「大丈夫、この人達は信頼できる」

 

そう言うと明乃達は心底ホッとした様子で胸を撫で下ろしていた。

 

「ここで話すのも何だから、艦に案内してもらえる?」

 

そう言うと明乃達は平賀達を案内していた。




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