ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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#4

「…分かりました」

 

そこで聴取を行ったブルーマーメイドはそこでペンを置いた。

 

「聴取は以上です。ありがとうございました」

「はい、分かりました」

 

制服に身を包んだ明乃は、そこで聴取を行ったブルーマーメイド隊員に一礼をすると部屋を出る。

 

「昨日は大丈夫だった?」

 

そして部屋の外ではもえかが待っており、聴取を終えた明乃と共にブルーマーメイドの施設を歩く。

中では多くの職員が走り回っており、混乱した状況が続いていた。

 

「うん。特に大きな怪我とかはなかったしね」

「なら良いんだけど…」

 

もえかもそこで、ブルーマーメイドでお騒ぎとなっている昨日の事件を振り返る。

 

突如として二発の魚雷攻撃を受けた第七横浜商業フロートは、最終的に二度の傾斜をしたまま洋上に浮かぶことが出来ていた。

人的被害について死者はゼロ、負傷者が数名出ただけだった。

 

「昨日のフロートの攻撃、宗谷さん達が潜水艦を見ていたって…」

「そうみたいなんだよね…」

 

魚雷攻撃の際、水面に反射した潜望鏡を視認していた真白は自分よりも長い聴取を受けており、今も部屋から出てきていなかった。

 

「せっかくみんなで集まれたのになぁ…」

「また今度埋め合わせとかは出来ないの?」

「みんな予定がバラバラだからさぁ…」

 

二人はそこで施設の休憩室に入ると、そこで自販機でコーヒーを購入する。

 

「もかちゃんは?どうなって居るの?」

「こっちも大忙しよ」

 

海洋大学を出ている彼女はこの施設で書類仕事に追われており、徹夜をしたので髪の毛も少しボサボサになっていた。

 

「フロートの攻撃でしょう?ほら、国土保全委員会から状況説明をせっつかれれててね」

「あー、なるほど…」

 

そこで明乃は何があったかを察することが出来た。

かつて横女にいた頃は、教官であった古庄からの推薦も断るほどには学力の面では問題なかった。おまけにもえかから仕事の愚痴でそう言う将官達のやりとりも聞いていたので、清廉潔白なことはないと言うのも勉強していた。

 

「だから逃げてきたの?」

「まあそう言うこと」

 

誰かに見つかって缶詰になる前に彼女は逃げ出してきたと言うのを理解すると、仕事用の携帯から電話がかかってきた。

 

『艦長!ご無事ですか!?』

 

そして電話に出た直後に大声で聞かれ、一瞬耳がキーンとなりつつも無事であることを伝えると、同じ船の乗組員達は安堵していた様子で確認を終えると電話を切った。

 

「相変わらずだね」

「お陰様ですよ〜」

 

明乃は信頼されていることを少し誇らしげにしていると、もえかは今まで微笑んでいたのを一転。すこし表情を鋭くして明乃の隣に座る。

 

「ちょっと良い?ミケちゃん」

「ん?」

 

その表情を見て明乃は、いつもの表情をしつつも少し警戒しながら話を聞く。

 

「ちょっと、小耳に挟んだ情報なんだけど…」

 

もえかはそこで、あの攻撃されたフロートについて上の人が話していた事を伝える。

 

「どうもあのフロートで上層部の会議が行われてたって言う噂があってね…」

「え?そうなんだ…」

 

明乃はよくある上層部の会議ではないことはもえかの口調から分かっていた。

 

「ほら、最近汚職があってから色々と危なくなってきたでしょう?だから多分その対策会議なんだけど…」

「なら、そんなに気にしなくても…」

「それがどうも、会議の内容と議事録が違う可能性があるのよ」

「え?何でもかちゃんがそれ知って居るの?」

 

明乃はそんな話を持ち込んできたもえかに疑問を覚えて居ると、彼女は言う。

 

「ほら、今混乱しているでしょう?だからうっかり室長の部屋の扉が開いてたからこっそりね」

「うわぁ…」

 

我ながら幼馴染の恐ろしたさを感じながら明乃はもえかがその情報を聞いた理由に震える。

 

「じゃあヘリコプターが早く到着したのって…」

「その上層部を回収する必要があったからかもね」

 

そう言い、昨日フロートに着陸した多用途ヘリコプター(UH-2)を思い出す。

アメリカ製のヘリコプターを日本が独自に改良して生産を始めた最新鋭機だが、ブルーマーメイドの運用機体はまだ少ないはずだ。

上層部のあれこれを知っているとはいえ、明乃としては守る市民を放り捨ててヘリコプターに乗ったであろう上層部の人間に眉を顰めた。

 

「じゃああれも夢じゃないのかなぁ…」

「…何かあったの?」

「そう…だね」

 

そこで明乃は昨日、フロートを去る際に見たと言う武装集団のことを話した。

するとその話を聞いたもえかは少し考えると、

 

「みけちゃん。その事、誰にも言っていない?」

「え?うん…一瞬の出来事だったから」

 

明乃はそう言って答えると、もえかは立ち上がる。

 

「ごめんみけちゃん。ちょっと調べることが出来ちゃった」

「あっ、うん。分かった…気をつけてね」

「ええ」

 

もえかはそのまま休憩室を後にすると、残った明乃は昨日のフロートの攻撃で死者が出なかったことにとりあえず安堵していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「くそっ」

 

ある場所で、海上安全整備局の上層部が毒吐いた。

 

「リヴァイアサンの攻撃か?」

「それ以外考えられん」

 

部屋にいた他の数名も同様に何かしらの悪態をついていた。

 

「犯行予告は?」

「あるわけ無かろう。奴らはテロリスト認定を受けてない」

「そもそもリーダーがいるかどうかも分かっていない」

 

幹部達は口々に言うと、ある人物が言った。

 

「だが確実なのは、漏らしたのは内部の犯行だろう」

 

それには他の面々も頷く。

 

「違いない」

「でなければあのフロートをピンポイントで襲撃できるはずがない」

「何人やられた?」

「五名程やられました」

 

そこである報告官が資料を読むと、聞いていた面々は頭を抱えた。

 

「攻撃して来たのは彼らで間違い無いのだろう。忌々しいが、連中の目的はハッキリしている」

 

そこでその人は机の上に資料を並べる。

 

「既に二四件の被害だ。これでは被害は拡大するばかりだ」

「いずれ隠蔽も難しくなるぞ」

 

その資料には数々の爆破テロや襲撃事件が記されており、世間では火事や事故として報道されていることも記されてあった。

 

「どうする?このまま手をこまねいているわけにもいくまい」

「対策チームの編成は?」

「一人、優秀な奴がいる。安全監査室の人間だ、彼女も編成に組み込もう」

「良いだろう。彼女は素行面でも問題ない。連絡を取ってくれ」

 

そこでその上層部は頷くと、ある場所に連絡を取った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「…」

 

その時、あるオフィスで仕事に取り掛かっていたそのブルーマーメイド隊員は携帯がバイブレーションし、それに気がついてすぐに携帯を手に取った。

 

「Hello?」

 

すると彼女は電話の相手に少し驚いた。

 

「久しぶりー、元気にしてた?」

 

片手にキーボードを打ちながら彼女は答えると、そこで日本語で話していた。

 

「時差?あぁ大丈夫。こっちももうすぐ仕事終わるし」

 

そう言って最後にデータの保存を行なってから一旦キーボードを打つ手を止める。

 

「うん、今は安全監査室の情報管理室。…そう、この前上がやらかしやがった所」

 

面倒な後処理の対応に追われててんやわんやだったとその時の愚痴を連ねる。

 

「まあね、こっちも大忙しだったけど…そっちこそ、フロートに二発撃たれたって聞いたよ?大丈夫だった?」

 

そこで彼女は日本で起こった事件について聞くと、そこで驚いた話を聞いた。

 

「え?!ミケちゃんが?そりゃあ大変だったね。無事?…そう、なら良かったわ」

 

そこで彼女はパソコンの画面に映る、少し傾斜したフロートの写真を見る。

 

「うん…あぁ、その時にあった上層部の会議?ちょっと調べてみるわね」

 

そこで彼女は軽く予定表を検索すると、電話の相手が聞いて来た情報が載っていた。

 

「ん?昨日はどこも会議するなんて話はないわね。何かあったの?」

 

そこで電話の相手から話を聞くと、彼女の目線は鋭くなった。

 

「…ええ、分かったわ。その謎の武装組織についてね?こっちでもちょっと調べてみる。攻撃をして来た潜水艦についても、ソナーの情報とか集めて送るわ」

 

そこでマウスを操作して組織のパソコンからデータを収集する。

 

「ええ、また何かあったら連絡する。あっ、番号はこっちで良い?…分かった。じゃあね」

 

そこで私用の電話が切れると、今度は内線電話が鳴った。

 

「はいはい、こちら情報管理室副室長のサクラ二等監督官です」

 

受話器をとった彼女は答えると、

 

『ファーゴ二等保安監督官』

「…はい、何でしょうか?」

 

電話の相手に少し表情を変える。

 

『命令が決まった。君にリヴァイアサンに関する事件を担当してもらうこととなった』

 

電話の相手にサクラは少し間を開けてから答える。

 

「…分かりました。しかし監督監、私からも一つ」

『…何かね?』

 

幹部の問いにサクラは先ほどの電話の話をする。

 

「例のリヴァイアサンについてですが、フロート襲撃の際に、非番の隊員に姿を見られて居る可能性があります」

 

彼女の報告を聞き、幹部は暫し間を置く。

 

『…承知した。それからチーム編成についても君に一任する事となった』

「分かりました」

 

随分と上層部にしては大盤振る舞いだな、と感じながらサクラは話を聞く。

 

『なるべく隠密に済ませたい。反ブルーマーメイドを掲げる彼等の存在を明るみに出してはならない』

『分かっていますよ。…まあ副室長にならせてもらったので、その分の仕事はするつもりですから」

 

彼女はハワイ王国にあるブルーマーメイド・ホワイトドルフィンを統括する海上安全整備機構に所属するエリート隊員であった。

この組織は日本の横須賀にも大規模な支部を置いているが、数年前のRATt事件以降、複数の支部に同様の組織を置く細分化が為されていた。

 

「リヴァイアサンはブルーマーメイドを抜け出した脱走隊員の集まりです。資金源さえ割れればすぐに潰せるのでは?」

 

情報管理室に所属している彼女は海上安全機構の多くの情報を管理し、他国では情報部と呼ばれる組織とも深い繋がりを有していた。

 

『かの組織は世界的に展開している。海賊との癒着もない組織だ、情報調査室からも裏付けが取れている』

「…分かりました。取り敢えず命令は受諾しました。これからヘリコプターに乗って日本に向かいます」

 

そこで内線電話が切れると、サクラはパソコンの電源を落として席を後にした。

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