星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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一〇七話

呉の孤児院に帰郷して横須賀に帰ってきたサクラ。特別休暇の後、彼女達は新しい訓練がカリキュラムに導入されていた。

 

「武器の手入れは怠るな!」

 

その日、サクラは船内で叫ぶと自分の自動小銃(M16A3)の整備を行う。

今回はブルーマーメイドとの訓練でもあるため、突出した戦力は必要とされない。なので自前の武器を持ち込むことはしなかった。

そして明日からの訓練に備えて乗組員全員が武器の確認を行う。

 

「明日から訓練?」

「強制執行課だよ。ほら、この前もプラントの制圧をやったっていう」

「ええ、なんか怖いな…」

「怖気付くんじゃないよ」

 

そこで全員がM16A3やベレッタM9を装備し、そこにオプションで散弾銃(M26 MASS)擲弾発射器(M203)を装備していく。

入念に清掃を行い組み立てていくと、自分の命を守る矛となる自動小銃のチャージングハンドルを操作して動きを確認する。

 

「明日からの訓練はブルーマーメイドの使用するフロートを用いた訓練施設だ。内容は人質救出作戦」

 

そして武器の整備を終え、食堂で投影される施設図。

 

「最終日に行われる予定の我々のみで行う訓練の侵入ルートはこの三つ。なお作戦は緊急性のあるものとし、予行演習は三度のみ行われる」

 

サクラは説明を行うと、当日はここにいる全員が完全武装の後に人質救出任務を行うと言う。

 

「人質の数は三名。敵の数は事前情報によれば十三名となっている」

「しかし確実な情報ではないとし、最低十三名と見て構いません」

 

そこでネルが説明を行うと、次に事前情報として与えられたその十三名が事前の調査で判明しており、見張の交代時間は不明であると言った細かい情報が与えられ、全員が頭にその情報を叩き込んでいく。

 

「敵役はブルマーメイドの強制執行課。まあ噂に聞く恐ろしい部隊だ」

 

サクラは言うと、彼女達の脳裏にはあの巨大なプラント船を一人の犠牲者も出さずに制圧せしめた精鋭揃いの強制執行課が思い起こされる。

 

「故に、我々はアメリカ式で攻撃を行う」

 

そこでサクラは自分たちの立案した作戦を説明すると、聞いた全員が苦笑、驚愕、唖然と言った反応を見せていた。

 

「え?まじ…?」

「後で怒られませんか?」

「いや、でもこれなら…」

 

彼女達は説明を聞いて口々に反応を見せるが、確かにこれであれば対処できるかもしれないという漠然的な目算が彼女達の背中を押した。

 

「作戦は以上。訓練は明日の明朝より行われる」

「「「「了解!」」」」

 

そこで全員が敬礼を行うと、彼女達は明日に備えて全員がベッドインした。

 

 

 

同時刻、強制執行課でも作戦が説明されていた。

 

「明日からの訓練はそれぞれ攻守を分けて三回行われる」

 

真冬はそこで隊員達に説明を行なっていく。

 

「第一分隊は半数をモンタナ生徒と混成で部隊を組み、人質救出訓練を行う。

第二分隊は攻撃側として人質救出作戦を行う。

第三分隊はテロリスト役となって生徒を迎撃する」

 

一日に三回行われる強制執行課との訓練は一週間かけて行われる。場所はブルーマーメイドが屋内制圧訓練で使用する施設を備えた小型フロート。

慣れによる不利有利にならないよう、あえて強制執行課も初めて使用する施設が使用されることとなっていた。

 

「今回の訓練はヘリコプターを用いた空中強襲(ヘリボーン)の実地訓練も兼ねている。が、まだこちらのパイロットが揃っていないので、ヘリコプターはモンタナ生徒を借りる。腕前は誇っても良いそうだ」

 

真冬は今回の訓練内容の意図を説明すると、聞いていた数名の隊員が思い出していた。

 

「プラント船の時は助かりましたしね…」

「便利だったわね。あれは」

 

プラント船制圧の際、十分に敵の攻撃を引きつけた上に甲板の敵を制圧せしめた攻撃ヘリコプターを思い出した。あの事件以来、積極的に強制執行課はヘリコプター導入を訴え、最初に届くヘリコプターは強制執行課に配属されることなども決まっていた。

 

「艦長、こちらの装備は?」

「いつもと変わらない。ただし安全のためにテイザー銃ではなく、ペイント弾を装填した拳銃と、必要であれば小銃を使用する」

「了解しました」

 

専用のペイント弾を用いた訓練であることを理解すると、彼女達は次々と細かい情報を収集していくとメモ帳に情報を書き写していく。

 

「施設は二階建てのコンクリート構造。中は吹き抜けの階段が一つと、一階に部屋は八つ。二階は部屋が六つある」

 

真冬は施設の構造と説明を隊員達に行なっていく。

先の事件では真霜の指揮下にあると思っていたなどと言った勘違いを起こしていたりしたが、今回の訓練は自分たちが指揮を取るため、全ての情報を入手していた。

 

「人質は三名。こちらは部屋も見張も自由に交代させて良いとお達しだ。ただし、人質役の交換は禁止」

 

真冬は隊員達に必要と思われる情報のみを最初に説明していくと、聞いていた隊員達は最初はテロリスト役として向こうの出方を伺う予定のため、自分たちがどうすれば良いのかを脳内で想定していく。

 

「何の任務も気を抜くな!学生相手だからって容赦はしないぞ!」

「「「「「押忍!!」」」」」

 

最後に彼女は隊員達に喝を入れると、彼女達はドスのきいた重い声で頷いて返した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌朝 早朝

猿島フロート ヘリポート

 

宗谷真雪の提案でカリキュラムに組み込まれた強制執行課との合同訓練。

 

「今日はよろしくお願いします」

「おう!大船に乗った気でいてくれ!」

 

そこでサクラ達モンタナ乗組員は頭を下げると、反対で真冬達強制執行課の隊員達も整然と立ち並んで一礼をする。

これからモンタナがアメリカに帰還する直前にこのような機会が与えられると言うのはとても嬉しい限りであった。そのためここにいる全員が絶妙な興奮の中にあった。

 

「(向こうは経験十分。だからまともに正面で戦っても勝てない…)」

 

お互いに礼をし、それぞれ準備を行う中でサクラは反芻する。

向こうに経験があるとしら、こちらは未知の戦術(ヘリボーン)がある。もし経験十分なブルーマーメイド隊員に勝利するにはこの方法以外で勝てる算段は無いだろうと踏んでいた。

 

「装備着用できた?」

「ええ、ご覧の通りですよ」

 

移動用のヘリコプターに乗り込む前、色々とやりたいと思った装備品などを拵えてヘリコプターや他の乗組員を見ると、彼女達は全員がプロテクターやマガジンポーチを装備していた。眼球保護のために軍用ゴーグルも装備し、自動小銃も握っていた。

 

「総員、傾注!」

 

そこで最後の確認を行なっていた彼女達にケイリーが声を張ると、全員がサクラを見た。

 

「諸君、今日から一週間の訓練だ。相手は数多の海賊より恐れられる部隊だ」

 

彼女はそう言い、訓練を行うフロートに移動する真冬達を思い出す。

 

「今回は先輩方の胸を借りるつもりで、その技術を習得していこう」

「「「「おぉーっ!!」」」」

 

彼女の音頭に全員が武器を片手に掲げて声を上げた。

 

 

 

その後、審判役の隊員からの連絡を受けて彼女達はヘリコプター(UH-2C/HH-2C/SH-2G)に乗り込んでいく。

 

「今日はよろしく頼むわね」

「はい。よろしくお願いします」

 

そこで一礼をして強制執行課の隊員共にヘリコプターに乗り込んでいく。

一回目の訓練は半数のモンタナ生徒と強制執行課の隊員を交換して訓練を行い、明日はこの編成が逆になって行われる予定だ。たっぷり一週間も予定を組んでみっちり訓練をしてくれるのだが、先ほども言った通りにヘリコプターを用いた機動訓練も兼ねている為、今後ヘリコプターが導入される部隊に対しても行われる訓練であった。その為、別日には他の課から訓練を行いにくる部隊との訓練も予定されていた。

 

「全員乗り込んだ?!」

「はい!乗り忘れはいません!」

 

そこでローター音をけたたましく奏でながら機内でサクラは確認を取ると、その直後にアリスの肩を叩く。

 

「出して」

「了解」

 

確認を終えると、ドアを開けたままヘリコプターは離陸を行っていく。

 

「足出して大丈夫なの?」

「この方がすぐ飛び降りれるんです」

「着陸した瞬間がヘリは一番無防備ですからね。なるべく止まる時間は短い方がいいんです」

 

カミラなどの給糧員まで動員して行われる訓練。彼女達は皆一様に支給されたM16A3を握っていた。

 

「(なるほど…)」

 

事前に飛行船などで度々強襲をかけてきたことはあったが、自分たちよりも長くこのヘリコプターに乗っているモンタナ生徒の意見というのは、重要な要素として強制執行課の隊員は聞いていた。すると繋いでいた無線から連絡が入る。

 

『間も無く、予定訓練地域です』

「了解」

 

そこで連絡を受けて彼女達は僚機として近くを飛行する二機のヘリコプターを確認する。

 

「僚機に通達」

 

そこで今回の部隊長を率いる強制執行課の隊員は無線を繋いで連絡する。

 

「再度、空中強襲のマニュアルを読み、作戦に備えよ」

 

飛行船で何度か訓練を行ったが、実機を使った訓練は彼女達も初めてであった。

 

「目標到着!」

「状況開始せよ」

 

そして朝焼けの中、視界に目標の小型フロートが見えると、三機のヘリコプター編隊はフロートの桟橋にタッチダウンを敢行する。

 

「Go!Go!Go!」

 

そして着陸と同時に飛び出す生徒達。彼女達は銃口を施設に向けて降り立つ。

 

「All right!」

「OK.Good luck」

 

手早く隊員は全員降りると、すぐにタッチダウンを行ったヘリコプター編隊は去っていく。そして海面スレスレを飛行すると、見ていたブルーマーメイド隊員らの舌を巻かせた。

 

「よし、これより作戦を開始する。第一小隊と第二小隊は第一進入路を、第三小隊は第二進入路に」

「「「「了解」」」」「「「「Roger」」」」

 

英語で彼女達はハンドサインを送りながら事前の作戦通りに行動を行う。

自動小銃を握りながら彼女達は桟橋を走ってフロートの階段を駆け上がっていく。

 

「…」クイックイッ

 

そこで隊員は予めの想定状況でフロートの制御権は奪取されていない事を前提としているのを思い出しながらスネークカメラを用いて立証していた隊員を確認してから、合図を送って三人が飛び出した。

 

「「「っ!!」」」

 

立証していた三人は驚くと、直後に小銃の引き金を引いて三発のペイント弾が彼女達を青く染めた。

 

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