ヘリボーンを用いた強制執行課との訓練は、様々な状況を想定して行われた。
初めは教導も兼ねてブルーマーメイド隊員と生徒を半分に分けて制圧訓練が行われ、結果は突入側が勝利した。双方同じ時間が設定され、片方は人質救出作戦、もう片方は人質脱出作戦として互いに本気でぶつかる事となった。
「(撃て)」
スネークカメラを使ってドアの隙間から敵の数と位置を確認すると、そこでポイントマンが防弾盾を使ってドアを突き破ると、その真後ろから小銃の引き金を引いてペイント弾が部屋に飛び交う。
「Get down!Get down!」
銃口を向けながら彼女達は部屋に突入を行うと、その直後に部屋の中にいた数名のテロリスト役の生徒やブルーマーメイド隊員を拘束していく。
「へぇ、いい具合じゃねえか」
「間違っても艦長は出ないでくださいよ」
「ちぇ〜」
そこで全部ちゃぶ台ひっくり返して訓練にならないからと最終日以外の訓練まで出禁を食らっていた真冬は副官に言われてつまらならそうに口を尖らせていた。
確かに彼女の高い身体能力なら並大抵の海賊相手に負けたことはない。それどころか強制執行課でも最高戦力に数えられる戦闘力を有している。
先のプラント船の制圧を見ていても、艦長が最前線を突っ切って突撃を敢行するという、どこぞの漫画や英雄伝でしかなさそうな立ち回りを行なっているのが宗谷真冬である。
しかし今回は訓練。しかも相手はまだまだ新米で経験不足な海洋学校の生徒達。そこで真冬を出そうものなら、彼女達にとって良い経験にはならないだろう。そう判断されての待機であった。
「最終日には艦長も出られますから。それまでの辛抱です」
「うーん、だって他の連中はやったことあるのによお〜」
「だからこそです!」
副官は彼女を諌めるのにとても苦労していた。
「あぁぁああああっ!!!」
「きぃぃいあぁぁああああっ!!」
その頃、別所では両腕を抱えられてモンタナ生徒はテイザー銃を撃ち込まれて悲鳴を上げていた。これは実際にテイザー銃を撃つ時に相手にどれだけの威力を与えるのかを身をもって理解させ、撃つタイミングを見間違えさせないようにするための訓練であるという。
「うう…」
サクラはもテイザー銃の電撃を受けて動けなくなって倒れる。完全に筋肉が痙攣を起こしていた。
「艦長には効果覿面だな…」
「元々身体能力がアホ高いですからね、艦長は」
そう言い、痺れて動けなくなっているサクラを乗組員達は笑いながら見ていた。ちなみに、こういう時にちょっかいを出すと後でどんな目にあったかわかったものではないので悪戯をする者は誰もいなかった。
「大丈夫?」
「な、何とか…」
そこでケイリーに介抱してもらいながら彼女は立ち上がると、とても疲れた様子で去って行った。
そして迎えた訓練最終日。
「
早朝より始まる訓練を前にサクラ達モンタナの生徒はヘリコプターに乗り込む。
「
そして朝日が昇る中、サクラは乗り込む隊員達を見ながら言うと整備員の一人が喇叭を持ち出して吹いてヘリコプターは離陸を行う。
離陸した三機は洋上で編隊を組むと洋上を飛行し始める。
「目標地点に接近。方位2-7-0、全機攻撃態勢を取れ」
「了解しました。全機、攻撃態勢!」
離陸した三機のヘリコプターでサクラは無線で追従する僚機に無線で呼びかけると、応答を確認した。
「Hey」
そこで彼女はロートに話しかける。
「
「
そこで彼女はふと離陸前に機体に装備した大音量のスピーカーを思い出す。何のために積んだかと訝しんだが、なるほどこの為であったかと理解する。
「
サクラはニヤリと言った様子で笑みを浮かべると、ロートは無線でスピーカーの前に座っていたアシュリアに聞いた。
「
そこで彼女は頷くと、サクラが渡して来たCDを音量マックスにしていつでも流せられるように準備をする。するとサクラは無線で言う。
「
彼女は言うと、無線で示し合わせてアシュリアはスピーカーの電源を入れると、爆音で『ワルキューレの騎行』が流れ始める。他にも同期した僚機のスピーカーからも流れると、乗っていたモンタナ生徒は苦笑半分、緊張半分でその爆音を聞きながら機体から足を出してフラフラとさせていた。
「OK?」
「Yes sir’s!」
「Ha Haa!」
そして機内でサクラは気分良くM16A3を抱えて整備を行うと、三〇発のペイント弾入りの弾倉を装填する。
「…」
訓練とはいえ、真冬のあの悲惨な海賊の一部始終をヘリコプターのガンカメラから見ていた面々は口にガムを噛んで緊張した表情でこの一週間で叩き込まれた手解きを思い出す。
「しかしあっちぃな」
「飛んでて涼しくなるわよ」
ドアを全開にして飛行していた編隊は、音をなるべく気づかせないためにスレスレを飛行していた。
洋上をシートベルトもあってないような状態で乗り込んでいた彼女達は、爆音のクラシックを聞きながらチャージングハンドルを引いて薬室に弾薬を装填し、ヘルメットで弾倉を叩いて弾を整えてから装填していく。
ある生徒は銃をひっくり返し、装填した弾倉が抜けないように二回強く叩いて押し込む。
「〜♪」
爆音のクラシックを聴いて些か上機嫌な様子のサクラ。
その爆音のクラシックを奏でながら水面をスレスレを飛行するヘリコプターの編隊は、付近を航行していた船舶からは驚きと困惑の様子で眺めていた。事前に訓練が行われることは通達されており、SNS上でも少し話題を呼んでいた。
「ん?」
当然、訓練施設のある小型フロートでもそのワルキューレの爆音は薄らと聞こえていた。
「ねえ、なんか聞こえない?」
「?さぁ…」
そこで立哨をしていた隊員達は首を傾げると、無線で連絡が入った。
『敵接近中!方位0ー9ー0!』
「「えっ…!?」」
警戒を促す無線が聞くと、隊員達は慌てて聞こえてきたローター音に合わせて彼女達は銃を持ったまま警戒態勢で走っていく。
「どう言うこと!?」
「正面から突っ込んでくるなんて…!!」
彼女達は大慌てで攻撃を行ってくるヘリコプター編隊を見ると、三機で接近してくる編隊を見る。
「しかも全機で!?」
「嘘でしょ…」
爆音でクラシックを奏でなから接近してくる編隊に、彼女達は愕然としているとサクラは無線で指示を出した。
『Makes fire』
そしてサビに合わせるように飛行していたヘリコプターの機首の
流石に危険だと言われてロケット弾ポッドは装備していなかったが、本音としては持ち込みたいとサクラは思っていた。
「っ!!」
そしてドアガンとして装備した
「
無数に飛んでいく銃弾の雨は容赦なく強制執行課の隊員達を薙ぎ払っていく。
「「「「ぎゃぁああ!!」」」」
あっという間に外に出ていた隊員達はペンキ塗れになると、死亡判定確実なのに追撃を加えられて視界が敵役の青いペンキで塗りつぶされる。
『Fire!Fire!』
「Shoot!Shoot!」
そして爆音で頭上を通過しながら編隊は尚もクラシックを奏でていく。
「撃て撃て!」
そこでヘリコプターに乗り込んでいた生徒達も持っていた
ポン
そこで軽い音と激しい反動によって射出された四〇mm擲弾は簡単に施設の窓ガラスを突き破って中で迎撃を行っていた隊員達を丸裸にしていく。
「
「
そこで展開した三機のヘリコプターから次々と報告が上がる。
「
『
そこで彼女達は無差別に攻撃を行うと、ゴムバンドで繋げていた機関銃を真下に向けて乱射するケイトを見る。
「
攻撃を行い、上空から敵を滅多撃ちにしていく彼女達は興奮気味に見ていた。
「
そこで青塗れの隊員達が腕を上げて怒号を飛ばしているのを見た。
そんな様子にサクラも満足げに指示を出すと、次に目標上空を旋回していたクラウの操縦する機体から報告が入る。
「
機体はフロートを囲むように旋回し、そこで慌てて制圧施設から走り出そうとする乗用車を確認する。
「
その無線の後、地上側から隊員達が持っていた自動小銃を使って対空射撃を行い、一部は機関銃による攻撃も行ってきていた。しかしそれらはまとめて薙ぎ払われた。
「
その様子を見て撃った機体を褒めるサクラ。
「
そして機銃掃射を指示してひたすらに施設全体をまとめて破壊する勢いで攻撃を続行する。
「
「
彼女はそこでニヤリと笑うと、走り出す前の車に向かって機体から照準を合わせて引き金を引いて命中させた。
「
そこで意外な腕前にケイリーが褒めると、直後に機体に眩い閃光と煙が飛び込んできた。
「
「Fuck!!」
隊員の誰かが打ち上げたであろう照明弾が命中したことに悪態を吐きながら彼女達は次々とフロートに強めにタッチダウンを行うと、生徒達が次々と降りていく。その際、建物から攻撃が飛んでくるが
「アウチ!」
その際、着陸の衝撃で数名の生徒が外に放り出されて強制的に降車する。
「
そして次々と着陸する三機のヘリコプターから飛び出していくと、生徒達は