ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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一二話

モンタナでサクラの凶変があってから一夜明けた頃。サクラが目を覚まし、全員が集まった所でシアから話を聞かされた。

 

「私が剥製にするために皆んなが捕まえたあの生物に未知のウイルスがあった。そのウイルスは人間のみに感染し、神経系を麻痺させる作用がある事が確認できた」

 

シアの報告を聞き、全員の顔が青ざめる。もしかすると自分達もそのウイルスに感染している可能性があるからだ。全員が驚愕する中、クラスメイトの一人が質問をする。

 

「どうして海水シャワーを浴びるように指示をしたの?」

 

その問いにシアは答える。

 

「そのウイルスは一定以上のマグネシウムに反応して消滅し、その量はちょうど海水とほぼ同じだからだ。つまり、今我々は感染しているわけではない」

 

船医から直接言われ、安心できた彼女らは胸を撫で下ろしていた。そんな中、ネルがサクラを見て言った。

 

「……取り敢えず。今後の艦の運営を鑑みて、艦長にはこのまま指揮をとってもらっても良いですか?」

「ええ、体調に問題無いし、シアのお墨付きがあるから。良いわよ」

 

そう言い、サクラは病み上がりだがモンタナの指揮を取る事になった。昨日の非常ベルに関しては誤作動という事で丸く納める事にした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

モンタナでごたついていた頃、晴風の倉庫では……

 

「ごめんね、疑いが晴れるまで少しの間ここに居て貰う事になるけど…」

 

明乃は申し訳なく思いながら立石に言う。昨日機関砲を乱射した立石は疑いが晴れるまでこの倉庫で軟禁する事になっていた。明乃としても心苦しい判断だったりもしれないが、周りの目というのとあるのでこうするのが今の所一番の得策だった。

 

「うぃ……」

 

力なく答える立石を見て西崎が手を上げて申請する。

 

「あのっ!艦長。私も一緒に……」

「メイちゃん……」

「何を言っている?意味もなく拘束する訳には……」

 

真白は、西崎の我儘に反対するが…

 

「じゃあ、メイちゃんは監視役としてタマちゃんの傍に居てくれる?」

 

明乃は西崎の気持ちを察し、立石の監視役として一緒に居る事を許可する。

 

「了解!」

「まぁ、そう言う事なら……」

 

西崎が監視役として居るならと、真白も許可した。

 

「お願いね」

「取りあえず!やる事ないのも辛いだろうからトイレットペーパーを箱にでも詰めておけ!」

 

真白は、軟禁されている間、立石と西崎に補給したトイレットペーパーを箱に補充するよう命じた。

 

「ほいほーい」

「緊張感に欠ける……」

 

西崎の返事に真白は思わずため息を吐くとそのまま倉庫を後にした。

明乃と真白が倉庫を出て晴風の教室に向かうと、そこではサクラと平賀が二人を待っていた。

サクラはモンタナの艦橋の窓ガラスを交換する羽目になった立石の機関砲発射について詳しく聞くために来ていた。

 

「こちら海上安全整備局、安全監督室情報調査隊の平賀二等監察官」

 

明乃が平賀のことを紹介するや否や真白が頭を下げた。

 

「この度は誠に申し訳ありませんでした」

 

あの時、一番地位が高かったのが真白だ。立石の行動を押さえられなかったことに謝罪をしていた。

 

「あ、あの…姉さんの…いえ、宗谷真霜が居る部署の方ですか?」

「ええ。私は、宗谷一等監督官の命令であなた方に接触したんです」

「シロちゃんのお姉さんって!!ブルーマーメイドだったんだ!?」

「あ、ああ……」

 

真白の姉がブルーマーメイドだという事を知り、驚き興奮する明乃。

 

「海上安全整備局は、さるしまの報告を鵜呑みに晴風が反乱したという情報を流しています。ですが、我々安全監督室の展開は、異なっています」

「えっ!?」

 

平賀の発言に明乃は驚いていた。

 

「宗谷校長も、宗谷一等監察官も晴風は、自衛のためにやもえず交戦したと推測していますが、間違いはありませんか?」

「はい、間違いありません」

「そうですか……それで、今回発砲した生徒は?」

「取りあえず、身柄は拘束しています」

 

そう言い、立石の現状を報告する。

 

「そう……」

「すみません、普段は大人しくて、あんな攻撃する子じゃないんだけど……」

「また戦闘になると思って気が動転したのかもしれないわね」

 

二人の会話を聞き、サクラは考える。

 

「(動転……ねぇ……)」

 

何となく、自分が気を失っていた時の現象と同じような気がするサクラだった。

 

「しっかし、さっきの採血は痛かったな〜……」

 

そう呟き、サクラはいまだに少し痛い左腕を少し触っていた。

 

 

 

 

 

そして、機関砲を放った立石は……

 

「しばらく拘束されるのは仕方ないよね〜……まぁ、私も付き合うからさ〜」

「うん……」

 

倉庫で補給された荷物を片付けていた。当の本人は自分の行為でクラスに迷惑をかけたと思い、酷く落ち込んでいた。

 

「いやぁ〜いい撃ちっぷりだったよ〜タマ。引っ込み事案な砲術長だなぁ〜って思ったけど見直しちゃった!」

 

そんな落ち込んでいる立石に西崎は元気付けようと励ました。

 

「でも……何で…あんな事したんだろう?」

 

立石も発砲した瞬間の事をあまり覚えていなかった。

 

「心に撃て撃て魂があるんだよ!!」

「?」

 

西崎の言葉に疑問を持っていると倉庫の扉が開いて杵崎姉妹が入って来た。

 

「「差し入れで〜す」」

 

そう言い、立石の前にカレーを差し入れした。自分の好物を差し入れてくれた二人に立石は感謝の言葉をする。

 

「あ……と……」

「ありがとうって言っている」

 

横で西崎は立石が感謝している事を代弁していた。

 

 

 

 

 

同時刻、モンタナ医務室ではシアが心底悔しげな様子で頭を掻く。

 

「くっそ〜、あのウイルスのせいでせっかくの剥製作りが……」

 

あの新種は今の所一つしかなく、おまけにあのウイルスの影響でサンプルの為に冷凍保存する羽目になっていた。

 

「せめて二匹……後二匹いれば……」

 

シアは医務室で発狂しながらまたあの新種が出てこないかと願っていた。その様子を眺めていた主計科の一人が化け物を見たようの慌てて逃げるように医務室を後にしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

晴風で修理が行われている頃。モンタナの甲板では荷物の搬入が行われていた。

蓑巻きにされた新しい機体を見て、ケイリーが呟く。

 

「やれやれ、上の考えることは分からんねぇ……」

「本当よ、こっちの身も考えて欲しい物だわ」

 

横でエリーがそうぼやく。確かに、訓練してからまだ三ヶ月と経っていないのに新機種の導入である。どうやら、政府が本格的に売り込みをかけるヘリコプターはSHー2では無いのかもしれない。

 

「でも、送られてくる機体の方が拡張性はありますね」

「まあ、こんあものもついでに送られて来たらね……」

 

そう言いながらケイリーは横に置かれた大きな木箱と大量に積まれた大量の.50口径弾を見る。

この後、木箱の中身のGAU−19/Bを今回送られて来たヘリコプターUHー1Hに搭載する予定である。

試験運転も考えてのようだが、現場からしてみればありがた迷惑もいいところである。

 

「はぁ…また試験運転ですか……」

「ま、そこは頑張りましょう……いずれはどっちかがブルーマーメイドの正式装備になるかもしれないですし……」

 

そう言い、甲板に下されたヘリコプターを確認し、補給艦の人員も含めた総出で部品取り付けに入った。

 

 

 

 

 

同じ頃、晴風では……

 

「明石に長10cm砲のストックがあったんだって」

 

晴風は今回の改修によって従来の12.7cm砲から長10cm砲に換装する作業を受けていた。

火力は劣るも連射に優れ、最大射程・射高共に旧式の1.4倍に伸びていた。

主砲の交換に伴い。九四式方位盤照準装置も交換され、新たに九四式高射装置が取り付けられた。

 

「すごい!前の主砲よりも射程が伸びて初速も向上しています!!」

「もう戦闘にはならないと思うが…安心だな」

 

換装された主砲を見て砲術員を中心に、なぜか納紗が興奮気味で話していた。

 

「晴風艦長」

 

すると甲板で作業を見ていた明乃に明石艦長の杉本が声をかける。

 

「ここに長10cm砲のスペックデータ等が入っている。あとで目を通してくれ」

「はい。どうもありがとうございます」

 

杉本からUSBメモリを受け取った明乃は彼女に聞かれる。

 

「それで、ホントに教官艦が攻撃してきたの?」

「うん」

「我々は演習が終わった後に合流する予定だったから状況がよくわからなかったの」

 

補給艦二隻は鳥島で補給のために集まる予定だったので詳しい状況は知らなかった。

 

「じゃあ如何して、私たちに補給を?」

「校長先生の指示で……」

「お母さ…校長の?」

 

慌てて言い直した真白に平賀が話しかける。

 

「さっき連絡があって、猿島の艦長。古庄教官の意識がやっと戻ったみたいだから。これで、何が起こったのか解明できると思うわ」

 

そう言うと平賀は明石と間宮の艦長を見ながら言った。

 

「それじゃあ、私は立石さんの事情聴取をしてくるわ。…後は頼んだわね、二人共」

「「はい」」

 

そう言い、平賀が甲板を後にし。明乃と真白だけが残ると、

 

「……ありがとう」

 

と、明乃は真白に突然礼を言った。

 

「何故、私に?」

「だって、シロちゃんのお母さんが私たちを信じてくれたから」

「うちの母は、自分の信念を貫く人だから…」

「それでこそブルマーだよね!」

「ブルマー?」

 

聞きなれない単語に、真白が疑問符を浮かべると明乃が答えた。

 

「うん、皆ブルーマーメイドの事、こう呼んでいるよ」

「ブルーマーメイドを略すな!!」

 

思わず真白がツッコミを入れると、そこで彼女はある違和感に気づいた。

視線の先には、ポールの上で寝転がる五十六とその下に座るロシアンブルーと三毛猫の姿があった。

 

「わぁ〜!」

「な、なぜ猫が増えている!?」

 

真白が驚愕していると後ろから間宮の艦長がやって来て訳を話した。

 

「ああ、うちと明石の猫よ」

 

この突然増えたロシアンブルーと三毛猫は明石・間宮で飼育されている猫だった。

 

「そうなんだ」

「補給艦はネズミが発生しやすいので飼っているの」

 

すると二匹の猫はスッと立つとジリジリと真白に寄ってきた。

 

「く、くるな……く、くるなぁ~……!!」

 

思わず後退りすると真白がついに……

 

「うわぁぁあぁああ!!」

 

悲鳴を上げながら逃げて行った。

 

「シロちゃんって、猫に好かれて良いなぁ~」

 

猫に追いかけられる真白を見て、明乃は暢気にそんなことを言っていた。




サクラの顔を描きました。

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