ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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一六話

アスシオン島沖

 

武蔵と激しいドンパチをしたモンタナでは現在、復旧作業が行われていた。

 

「艦長、復旧作業の状況を報告に来ました」

「読み上げて」

「はい」

 

そう言い、ネルはタブレットに送られてくる通信をまとめ、報告を上げていた。

 

「現在、船体に発見された傷は全部で一六箇所。40mm機関砲の修理は六割が完了。20mm機関砲は予備パーツを全て使い切り修理完了。用弾装置修理完了。推進軸も修理完了しました」

「後どのくらいで修理が完了する?」

「大体六時間くらいですかね……」

 

ネルの報告を聞き、サクラは今後の予定を考えていた。

 

 

 

 

 

同時刻 晴風艦橋

 

重い空気が漂う中、艦橋に通信員の八木が上がってきて報告をした。

 

「あの、艦長、ちょっといいですか?」

「どうしたの?」

 

すると明乃が聞く。

 

「さっきから全然通信がなくてその代わり変な電波が続いているんだけど……」

 

すると明乃と真白は思わず目を向かい合わせる。

 

「どっかの機械が故障したのか?」

 

そう真白は聞くが、他からも報告が上がった。

 

「実は言うと私のタブレットも今使えないんですよね〜」

 

そう言って納沙が砂嵐になっている画面を見せた。すると電探や聴音も真っ白になったと報告が上がってきた。

 

「なんか、電子系が全部ダメみたいです」

「どうしてだろう、調べてみようか」

「私もついていきます」

 

と言って八木と一緒に不明電波の原因を探りだした。

 

 

 

 

 

「それでお分かりになりますの?」

 

万里小路が八木の持っているダウジングを興味深そうに見る。

 

「無理でしょう。そんなので電波が拾えたら‥‥」

 

宇田はダウジングに対して懐疑的に思っている。すると…

 

「あ、こっち!」

「「「えっ?」」」

 

八木が持っていたダウジングが反応を示した。そしてダウジングが反応を示したのは……

 

「此処?」

「うん」

 

反応があったのは医務室の中だった。明乃が恐る恐る医務室の扉を開け、五人は医務室の中を見る。するとそこには……

 

 

 

バットに置かれた鼠もどきを見ながらメスを片手に持った美波がいた。

 

 

 

「うわぁぁあああ!!」

 

その狂気さから驚愕する宇田。

 

「あらお化けですわ」

「いや、あれは美波さんだから……」

 

万里子路の呟きに明乃が答える。すると、明乃が何をしようとしていたのか聞こうとした時。五人の足元からバットの上にいる鼠もどきと同じ生物が出てきた。

 

「むっ……」

 

それに気づいた美波は思わず鼠もどきを睨む。すると、立石の腕の中にいた五十六が飛び出した。

 

「「「うわぁぁあああ!!」」」

 

そして鼠もどきを捕まえようと艦内で五十六が大暴れし、艦内の明かりが灯される。

そして少しした頃、五十六は艦橋に捕まえた鼠もどきを置いていた。

 

「ちび可愛」

「五十六すごいね!鼠捕まえたんだ!!」

 

マウスを捕獲した五十六を明乃と立石は褒める。

 

「あれ?でも、この鼠……」

 

明乃は五十六が捕まえたマウスに手を伸ばそうとした時。

 

「触るな」

 

美波がそこで静止させる。

 

「そいつがウイルスの元凶だろう」

 

そう言って鼠を箱に入れると通信関係のところから報告が上がった。

 

『電探室復旧!』

『ソナーよく聞こえますわ』

『通信戻りました』

「まさかこいつが……」

 

真白が鼠もどきを見ながら言う。

 

「ああ、通信障害の原因だ」

「これ何なの?」

 

明乃は美波にこのマウスの正体を訊ねる。

 

「遺伝子構造が鼠とは僅かに異なっていて。更に変なウィルスに感染している……そのウィルスは先日採取した砲術長の血液からも検出された」

「う、ウィルス……」

「うぃ……」

 

思わず立石が明乃の影に隠れる。すると明乃は五十六を見ながら褒める。

 

「そんな怖い鼠を捕まえるなんて、五十六凄いね!!今日から提督って呼ぼう!!」

「大!!」

「大提督」

 

五十六は晴風の中で一番の上位階級となった。

 

「勝手に提督とか付けたら不味くないですか?」

「それよりも学校に報告が先だろ!!」

 

真白がそう突っ込むと、美波が言う。

 

「この鼠もどきに関してはモンタナの船医がすでに報告している。抗体も試作段階だができた」

「もうそこまで……」

 

すると晴風に野間から報告が上がった。

 

『前方に機雷発見!!』

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌朝 モンタナ 船内CIC

 

「ーーよって現在この海域に存在する機雷の種類は系止機雷、沈殿機雷、浮遊機雷、短止系機雷です」

 

モンタナでソナーを担当しているカルミア・リリカがサクラに報告を入れる。

 

「どうやら、日本との関係が一時的に悪化した際に敷設されたものかと思われます」

「分かった……報告ありがとう」

 

機雷の報告を聞き、サクラ達はその対応策を考えていた。

 

「艦長、ブルーマーメイドの掃海艇を呼びました。しかし、到着は明日になると……」

「それまで待っていられんな……」

 

何せ、今のモンタナは修理中で、尚且つ周りを機雷原に囲まれていて動けない。何か急な命令があった時に動けないのは非常にまずい。そこでモンタナでは機雷掃海の為の作戦と準備が行われていた。

 

 

 

 

 

同時刻 晴風甲板

 

「うわぁ~奇麗!!」

「まるで雲の上見たい~!!」

「凄いね~」

「でも、周りに機雷が有るんだよね~」

 

外では霧が発生しており、幻像的な風景が広がっていた。その下に機雷がなければ恐らくここにいる全員が写真を撮っていただろう。

 

「突っついて、大丈夫なの?」

 

あかねが竹棒で機雷に突っつきながら大丈夫なのか伊良子に訊ねる。

 

「近くにあるのは、古い触発機雷だから、突起を押さなければ問題ないよ」

 

伊良子は機雷を突っついても機雷の突起物を押さなければ大丈夫だと言って、晴風に近づいてきた機雷を遠ざけた。

 

「全部爆破すれば良いんじゃない?」

 

ほまれが一気に全部爆破すれば良いんじゃないかと提案するが、伊良子は説明をする。

 

「霧が晴れないと周辺にどれだけ在るか分からないし。一つ爆発させて、それが連鎖したら怖いから……」

「「大変だねぇ〜」」

 

そう双子は話していた。

 

 

 

 

 

数時間後、霧が晴れてから掃海が行われた。掃海手段をモンタナと晴風で共有し、掃海具を積んだスキッパーとMk5特殊任務艇が発進する。

浮かび上がってきた機雷をモンタナや晴風の20mm機関砲や、ブルーグレー色のMk5特殊任務艇に搭載された12.7mm重機関銃が撃ち抜く。

 

「ヒャッハー!!」

「ヒーハー……ドーン!」

 

晴風では合法的に銃を撃てるからと興奮している西崎と立石。20mm機関砲が発射され、一発ずつ破壊されていく中。モンタナから野太い音が聞こえる。

 

ドドドドォォォン‼︎

 

モンタナの副砲である5インチ連装砲が砲撃を行い、浮いてきた機雷を纏めて吹き飛ばしていた。

 

「うほ〜、派手だねぇ〜」

 

その様子を見て西崎は興奮していた。

 

 

 

 

 

掃海作業中、Mk5特殊任務艇に乗っていたエマは……

 

「……ん?」

 

海上を恐ろしい速度で疾走するスキッパーを見ていた。

 

「おい!晴風スキッパー、速度出し過ぎだ!!」

『え?何て?』

「だから!速度を落として……《ドゴォォオン!!》っ!?」

 

爆発音を聞き、すぐに報告が上がる。

 

「スキッパーが機雷と衝突!!」

「直ぐに救助に行くよ!」

 

晴風のスキッパーが機雷と衝突し、爆発。

その衝撃でスキッパーに乗っていた松永と姫路は海上に投げ出された。幸い、二人は救命器具を着けていたので、海面を漂っていた。

その時、また明乃が飛び出そうとしたがすぐにモンタナの内火艇に収容され、飛び出す事はなかった。

事故はあったものの、進路分の掃海は数時間後に終了。残りはブルーマーメイドやホワイトドルフィンの掃海艇に任せる事になった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数時間後 モンタナ船内 会議室

 

掃海を終え、機雷原を突破したモンタナでは会議が行われていた。

 

「現在、我々の主目的は武蔵の追跡である」

 

サクラが会議の趣旨を伝えると、ルイーゼが答える。

 

「まぁ、武蔵と殴り合えるのがウチらしかないからね……」

 

数日前の戦闘で武蔵と実際に撃ち合い、引き分けという結果だった。その際に直撃弾を何発も受けたのにも関わらず戦闘を続行したのだ。それにこちらは武蔵の副砲を三基破壊。主砲も故障まで持って行った。するとネルがスクリーンに映像を映しながら説明をする。

 

「現状、最も火力のある我々は、次の補給時に先の戦闘で損傷した兵装の換装及び、装甲ボックスランチャーのシステム調整を行い対艦戦闘能力向上のための改装を行うこととなりました。それにともないMk.112は撤去。ハープーン対艦ミサイルを発射可能なMk.11に換装されます」

 

改装内容を聞き、納得する面々。するとサクラが口を開いた。

 

「いずれ行われる武蔵奪還作戦。現在、通信可能な艦艇の中で最も火力が有るのが我々だ……それまでに我々はできる事をしよう」

「「「はいっ!」」」

 

こうして、各所の報告を聞いたサクラは会議室に残るとそこにシアがやってくる。

 

「艦長、報告があります」

「何?」

「例のウイルスの抗体に関してです」

「……詳しく聞かせて」

 

サクラはそこでシアから抗体に関する報告を聞いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

時は戻り、機雷原を掃海している頃。モンタナ医務室にやって来ていた美波は片手に注射器を持ってシアを見ていた。

 

「……始めるぞ」

「「ひぃぃ……」」

 

その後ろでは海水の入ったバケツ片手に怯えた様子の和住と青木がいた。

シアは片手に生きた鼠もどきを持つとわざと噛ませて自ら感染していた。少し時間が経ち、時計を見たシアは言う。

 

「……そろそろよ」

「よし、二人ともシアを抑えろ」

「は、はい!」

「了解っす!!」

 

そう言い、二人はシアを抑え始め。右腕に美波は注射針を刺す。

 

「どう……?」

「行けたっすか?」

「まだ分からん」

 

するとシアはパチッと目を開ける。思わずギョッとなって思い切り押さえつけると悲鳴が上がった。

 

「いてててて!!痛い痛い!!」

 

悲鳴が上がった事。暴れていない事から美波は持っていたバケツを床に置く。

 

「二人とも、離れろ。安全だ」

 

そう言い、二人は離れると美波はシアに向かって言う。

 

「無事だな、変態」

「医大時代からだけどさ……私を変態呼びすんなよ…」

 

美波から変態と言われ、不満げに言うシア。青木達はあの美波から変態と言われているシアを見て化け物を見るような目をしていた。

その後、結果をまとめてシアは報告書を持って会議室に来ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ーーーちょっと聞いてもいい?」

 

報告書を読んだサクラはシアに聞く。

 

「この実験は誰が?」

「ーーーあまり詳しく聞かないでくれると助かります」

「……」

 

確実にシアが実験台になる方法でやったのだとサクラは確信したのだった……

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