ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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一七話

行方不明となった艦艇の捜索を行なっているモンタナと晴風。

晴風の海図室ではサクラや明乃達晴風艦橋メンバーが海図を見ながら報告の共有をしていた。

 

「これが、今まで報告があった学生艦の報告地点です」

「かなり発見されているな……」

「一体どこに向かっているんだろう……?」

「陸地を目指しているんじゃないか?」

「学校からは行方不明の学生艦を見つけろと命令されているんでしょう?」

「はい、捜索のために他校にも救援を要請したみたいです」

 

そう言い、報告を纏めているとある報告が入った。

 

『艦長!シャワーが止まりました……!!』

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あちゃー、これ蒸留装置壊れてんな」

 

同時刻、モンタナの船内で水が止まったと大騒ぎとなって緊急で総点検が行われていた。そしてそこで蒸留装置が故障したのが発覚。修理しようとしたが……

 

「しまったな……この前の大修理で部品がないぞ」

 

この前の武蔵との戦闘で艦内倉庫にあるほとんどの部品を使ってしまったのだ。

 

「誰か〜靴紐と新聞紙な〜い?」

「何に使うの?」

「水漏れを抑えるんだよ」

 

そう言うと持って来た新聞紙を詰め、紐で縛っていた。

 

「よし残った水はこれでいいとして……」

「節水か?」

「そうだね」

 

エリーがそう答えると全員がゲンナリしていた。

 

「うわぁ……昨日洗濯しときゃよかった……」

「どうしよう……今日私シャワーなのに……」

 

半ば絶望しているとエリーに無線から通信が入る。

 

「あー、こちらエリー。なんでしょうか?」

 

無線の相手はサクラからだった。

 

『あー、私なんだけどさ。ちょっと晴風の蒸留装置が壊れたんだって。だから水の供給できる?』

「えっと……艦長、言いにくいのですが……」

 

するとエリーはモンタナの蒸留装置が壊れた事を伝えた。するとサクラは非常に困った声色で答える。

 

『じゃあ、うちも節水か……』

「そうなります……」

 

こうして、次の補給が来るまで、地獄のような節水生活が始まるのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

節水生活が始まり、晴風医務室では……

 

「あぁ~喉渇いた~」

 

勝田が医務室のベッドで横になりながら愚痴る。

 

「ラムネを飲めばよかろう」

「もぉ~飽きたぞな~!」

「そうか」

「太るしね~」

 

部屋にいた美波はパソコンを打ち、宇田も答える。ラムネの飲み過ぎで太るなんて恥ずかしすぎて誰もが同じような結論に至っていた。

 

 

 

 

 

「お水を使わないメニューって何かあったかな~?」

 

教室では、伊良子、杵崎姉妹、和住、青木の五人が節水を呼び掛けるポスターを制作していた。その中で炊事委員の三人は水をあまり使用しない献立を考えていた。

 

「トイレ、どうするっす~?」

「えぇ、嘘!?トイレ禁止なの!?」

「トイレを流すのは海水を使うから大丈夫だよ」

「ああ、そっか~」

 

しかし、彼女らは忘れていた。トイレを海水にした時に起こる悲劇を……

 

 

 

 

 

『ヒイィィィー!!誰だ!塩水使ったのは!出てこい!!』

 

節水のためにトイレに海水を使ったことを知らなかった黒木は、そのままウォシュレットを使ってしまった。ウォシュレットからは真水ではなく海水が飛び出て来て、それが合わずに驚愕して思わず怒鳴り散らしていた。

 

「「うわぁ……」」

 

そこで青木と和住はトイレを海水にした時の悲劇を思い知った。

 

 

 

 

 

「クロちゃんの話聞いた?」

「うぃ」

 

甲板で西崎と立石が両手に風呂に入る為の一式の装備を持ちながら話す。そして入った浴室の扉には、『本日より浴槽とシャワー、海水を使用』と書かれた貼り紙が貼られていた。

 

「あっちゃ~」

「うぅぅ~……」

「三日ぶりなのに……洗うべきか!?それとも洗わざるべきか……!?」

 

二人は悩む。男がいる訳ではないので匂いとかは気にしなくてもいいのだが、汗などで体がベタつくのは嫌だった。

しかし、海水で頭を洗うと髪は確実に爆発する。そして悩んだ末、二人は……

 

 

 

 

 

「なんじゃ?その頭は?」

 

入浴を終えた二人は、食堂で納沙、ミーナと共にラムネを飲んでいた。二人の頭は見事に爆発し、髪の毛がボサボサの状態だった。

ミーナは、二人の頭について訝しむような表情で訊ねた。

 

「見事に爆発しちゃったね」

「うん……」

 

二人はゲンナリとしていた。少なくともこの状態で男の前には出たくないと思っていると……

 

「髪は女の子の命ですのに‥‥」

 

と言って万里小路が通り過ぎる。彼女も二人と一緒に海水風呂に入ったにもかかわらず、万里小路の髪は全く痛んでおらず、いつも通りサラサラしていた。

 

「キラキラ……」

「あれ?なんで?」

「知るか!」

 

とても同じ風呂に入ったとは思えない髪質に西崎達は疑問に思っていた。

 

 

 

 

 

節水が始まり、食堂から出てくるメニューも変わっていた。

 

「鯖の水煮にトマトの水煮~」

「ミックスベジタブルに乾パン……」

「見事な缶詰料理だな~、おい」

「贅沢言わない」

「まっ、しょうがないよ。食べよ」

「一雨降らねぇかな~」

 

そんな事を言いながら機関科のメンバーは食事を摂る。内容が完全に非常食のそれで、水を使わない生活に段々と不満が募り始めていた。

 

 

 

 

 

一方洗濯室では、航海科のクラスメイトたちが自分たちの洗濯物をジッと見ていた。

 

「どうしよう……」

 

「パンツが潮の香りって嫌だよねぇ~」

 

「なんかねぇ~……」

 

飲み水以外の生活水全てが今は海水を使用している。当然、洗濯に使用する水も海水だ。当然、磯の香りもするので非経済だが、洗剤を大量に使用して匂いをかき消していた。

この為特に下着に関しては洗濯するのを躊躇する人が大半だった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

モンタナ艦橋

 

「うわぁ……サクラ、頭やばいね」

「仕方ないでしょう……」

 

艦橋では西崎達と同様、見事に髪が爆発したサクラがいた。昨夜海水シャワーを浴びた後、ちゃんと水気を取って乾かしたのにこれである。

 

「ケイリー、髪梳かして〜」

「はいよ〜……ちょっと待っててね……」

「?」

 

何かガサゴソするケイリーに疑問を思っているとケイリーはサクラの髪を触った。サクラはケイリーが髪を梳かしているのかと思ってジッとしていると。

 

「ほい、出来た」

 

と言って手を離した。その瞬間、艦橋に爆笑が起こった。

何があったのかと鏡を見るとサクラの爆発した髪の毛に、ケイリーが桜の髪留めを複数挿していた。

 

「桜の木の完成〜」

 

そんなサクラを見ながらケイリーが笑いながら言う。

 

「コラァァアアア!!ケイリー!!」

「わー、逃げろ〜!」

 

咄嗟に、ケイリーに飛び掛かるとケイリーは艦橋から逃げ出した。すると髪留めを挿されたサクラを見てネルが面白そうにサクラの髪を触った。

 

「せっかくだしオマケオマケ」

「あ、じゃあ私も」

「わぁ、馬鹿!や、やめ、やめろ〜!!」

 

そう言い、ルイーザも悪ノリしてサクラの髪を触る。そしてサクラの髪に花水木の髪留めも追加され、髪の毛が花畑見たくなっていた。

 

「本当に木みたいになってんじゃん」

「結構似合ってますよ」

「これのどこがだ!!」

 

サクラはボッサボサの髪の毛を触りながら聞き返すと報告が入った。

 

「艦長、前方に濃霧!」

 

報告を聞いて艦橋では待ちに待った雨かと思い、意識をそちらに向けていた。

 

「航海長、針路そのまま。晴風と共に霧の中に突入。操艦には慎重に」

「了解」

 

雨水を求め、モンタナと晴風は濃霧の中に入た。

 

「航海灯と探照灯を点灯」

 

濃霧で他船との衝突を防ぐために明かりを点け自艦の存在をアピールする。同じく晴風も明乃の指示で勝田が探照灯で辺りを照す。

 

「霧笛を鳴らして」

 

ボォォォ……

 

不気味な野太い汽笛が辺りを鳴らす。真っ白な空間を進んでいると……

 

ポタ……ポタ……

 

少しずつ空から水が降って来た。

 

「艦長!雨です!!」

「よし、手が空いてる子に水が入るならなんでも持って来させて!!」

「おっしゃー!!三日ぶりのシャワーだ!!」

 

そう言い、甲板に水着姿で飛び出し、片手に洗面器やら器を甲板に置くとそのまま全員が天然のシャワーを浴びた。

 

 

 

 

爆発していたサクラの髪も天然のシャワーで洗い直し。雨水を溜めていると次第に雨は激しくなり、嵐になった。

 

「そのまま低気圧帯に突入したか……」

「艦長、上甲板の通行を禁止しました」

「了解」

「それと、主計科から貯水タンクの殆どが埋まったと報告がありました」

「そう……ありがとう」

 

報告をしたネルはフゥと一息ついていた。

 

「これで補給がくるまで持ちますね」

「そうね……」

 

そう思いながらサクラは艦橋から甲板を見ていた。晴風では海水が甲板にかぶるほどの大波が襲いかかっていた。

 

「ミケちゃん……雷怖いの治ったかな……?」

 

ふとそんな事を思いながらサクラは晴風を見ていた。

 

 

 

 

 

同じ頃、晴風では……

 

「凄い……」

 

鈴が舵を握りながら、外の荒天を見て呟く。一方、鈴とは裏腹に彼女と共に当直に当たっていた明乃の方が顔色が悪い。

 

「岬さんどうかしたの?具合でも悪いの?」

 

双眼鏡を持つ手がカタカタと小さく震えており、明乃は何かに怯えている様子だった。心配になった鈴が明乃に声をかける。

 

「う、うん、ちょっと……」

 

ピシャァァアア!!

 

「いやぁぁあああ!!」

 

その直後に雷が落ち、思わず明乃はかがみ込む。

 

「み、岬さん?」

 

明乃のこれまで見たことのないぐらいの怯え方に鈴は戸惑う。

 

「ご、ごめん、私…と…当直代わってもらってくる!!」

「えっ!?ちょっ、岬さん!?」

 

明乃は逃げるように艦橋から出て行ってしまった。

艦橋から飛び出し、階段を降りる。その間も雷の音がするたびに悲鳴を上げて転びそうになる。

 

「わぁあああ!!」

 

雷が鳴り、思わず明乃は歯磨きをして寝る準備をしていた野間に抱きつく。

 

「ふぁ、ふぁんちょう!?」

「ああぁ~!!私のマッチがぁ~!おのれ~!!そこに直れ〜!!」

 

突然のことに等松が明乃を引き剥がそうとしたが、横にいた伊良子に押さえ込まれていた。

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