ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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二七話

予想とは違い、日本沖合に出現した武蔵。

その武蔵を捕捉する為に接近していた晴風はブルーマーメイド艦隊から撤退命令を受けていた。

晴風の安全を確認し、艦隊指揮官を務める福内は通信を行う。

 

「本艦隊はこれより、右舷前方の武蔵に対し強制停船オペレーションを実施します。突入チームは相手が学生であることに留意し、極力格闘は控えるように』

 

と言い、インディペンデンス級の格納庫にいる突入チームの持っている防水箱の中には抗体とテーザー銃が入っていた。

 

「オペレーション開始」

「オペレーション開始します」

 

すると一斉に四隻のインディペンデンス級は武蔵に近づいた。ブルーマーメイド艦隊に接近に気づいた武蔵は砲塔を回転させ、ブルーマーメイド艦隊に向け砲弾を放った。

 

「艦隊、左九〇度一斉回頭。と〜りか〜じ!」

 

しかし、ブルマー艦隊は武蔵の砲弾を華麗に避けていた。

 

「あんなに綺麗な艦隊行動をするなんて……」

 

その光景を見て、知床はブルーマーメイドの操艦技術に舌を巻いていた。

 

「二番艦、四番艦。噴進魚雷、発射始め」

「噴進魚雷、発射始め!」

 

そして、武蔵にお返しと言わんばかりに噴進魚雷が撃ち返される。

武蔵では艦隊を狙い、残った副砲や主砲が発射される。その間、噴進魚雷が着弾し、武蔵に水柱が上がる。

 

「すごっ!全部当たっているよ!!」

 

その様子を見て晴風では西崎を筆頭に興奮していた。

 

「あれなら武蔵の足を止め「艦長、ちょっと」っ?」

 

すると真白は明乃の手を引っ張って艦橋を出て行く。

 

「暫くここを頼む」

「えぇぇ!?」

 

突然の行動に納紗達は驚いていた。

 

 

 

 

 

「武蔵の様子は?」

「砲撃は止まったけど損傷は不明。速力も変わらないわね」

「……」

 

福内は平賀の報告を聞き、艦隊に命令を出す。

 

「一番艦、三番艦。右九〇度、一斉回頭。突撃せよ!」

 

と言って二隻のインディペンデンス級が武蔵に近づいた。

 

「一、三番艦。主砲、発射始め!」

「撃ち〜方はじめ!」

 

と言いインディペンデンスのMk.110 57mm速射砲から砲弾が放たれ、そのうちの一つが三番副砲に着弾して破壊した。

 

「目標、右舷副砲を破壊しました!」

 

そして二度目の噴進魚雷の発射をした。

 

「二番艦、四番艦。噴進魚雷、発射はじめ!」

「噴進魚雷、発射始め」

 

しかし発射された噴進魚雷は武蔵に近いせいか電磁波の影響を受け、はちゃめちゃな方向に飛んでいった

 

「なんですって!」

「動作不良!?」

「ゆ、誘導システムにエラー発生!」

 

武蔵の上を発射された噴進魚雷が通過していった。

 

 

 

 

 

同時刻

晴風の真白の部屋では、真白が明乃をベットに座らせて聞いていた。

 

「一体どうしたんだ、艦長?ブルーマーメイドが来てくれたなら。私達は私達の役割を……」

 

その問いかけに、明乃はゆっくりと口を開いて答える。

 

「分からない……どうすれば良いのか……分からないの……」

 

その内容は真白の部屋の伝声管を通して艦内全部に伝えられる。

内容を聞き、機関室では

 

「…ちょっと此処頼む」

「「「え!?」」」

 

柳原が機関室から飛び出して行った。その行動に、長年付き合ってきた黒木は何をするのか理解して言った。

 

「レオもついて行って!!」

「了解!」

「此処は四人で持たせるわよ!!」

「「「はいっ!」」」

 

そう言い、残った四人は計器を注意深く見ていた。

 

 

 

 

 

「まさか、電子機器に影響があるって聞いていたけど……」

 

インディペンデンスの中で平賀が冷や汗を垂らしながら言う。すると福内は……

 

「魚雷発射管、発射用意。無誘導に設定」

「無誘導!?」

 

福内は電子機器を一切使わない無誘導での攻撃に移っていた。

 

 

 

砲声を確認し、武蔵艦橋では武蔵の乗組員が残弾の確認をしていた。

 

「残弾各砲塔、およそ七〇〜八〇」

「進路変わらず。以前として浦賀水道に向かっています」

 

報告を聞き、艦橋ではもえかはブルーマーメイド艦隊に砲撃する自分の艦を見ていた。

砲声が轟く中、一人の生徒が涙をこぼす。

 

「うちらの船が……ブルーマーメイドを……」

 

本来、ブルーマーメイドになりたいと思って海洋学校に入ったのに、その目標であるブルーマーメイドに向かって砲火を向けていたのだ。心苦しくなり、涙を流していると横でもえかがハンカチを差し出しながら言う。

 

「状況把握に努めよう。船を止めるチャンスを見つけるの」

「……はい」

 

そう言い、もえかは武蔵の異変が起こった一ヶ月前のことを思い出していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

四月六日 二〇:〇〇

西之島新島沖

 

横須賀を出港し、目的地である西之島新島に向かっていた武蔵では当直でもえかが艦橋に上がっていた。

 

「明日は、他のクラスと合流ですね」

 

そう言うともえかも嬉しそうに答える。そして、艦橋外を見ながらもえかが言った。

 

「航海艦橋に連絡。左六〇度、一万に貨物船。注意して」

「了解しました」

 

そう言い、艦内電話を利用して相手が出るのを待っていた。

 

「……もしもし?」

 

すると通話が開かないことに疑問を持った。

 

「どうしたの?」

「向こうと、繋がりません」

 

その時、武蔵の一番主砲が旋回して、狙いを貨物船に向けていた。

 

「!?」

 

ドドドォォン!!

 

次の瞬間。砲声が轟き、貨物船の周りに砲弾が着水する。

 

「射撃指揮所!応答して!」

『………』

 

しかし、聞こえたのは砲塔が旋回する時の音だった。

 

「艦長!?」

「ちょっと見てくる!」

「私も行きます!」

 

そう言い、もえか達は艦橋を降りて行った。その時、武蔵の方位盤が大きく予定航路からずれ始めていた。

 

 

 

艦橋を降りて船内に入ったもえかは走って逃げてくる一人の乗員を見た。

 

「艦長!!」

 

そう言い、クラスメイトがもえかに飛び込んだ。

 

「落ち着いて、何があったの?」

「みんな……みんなが!!」

「みんな?」

 

するともえかに付いてきた一人が通史を奥を指差した。

 

「艦長、あれ……」

 

その方を見ると、目が赤く。明らかに異常な雰囲気を持ったクラスメイトがコチラを見ていた。

 

「きゃぁあ!!」

「あなた達……一体……!!」

 

もえかはそこでクラスメイトが叛乱を起こしたのかと思ったが、否定した。すると、一人の生徒がコチラに一歩踏み出し、異常を感じて思わず生徒の手を取って元来た道を走り出した。

 

「っ!!走って!!」

「え!?」

「こっち!」

 

そう言い、もえか達は艦橋に戻って行った。

 

 

 

 

 

四月八日

 

武蔵の異変から二日後、艦橋の扉の前にバリケードを築いて籠城を決めたもえか達は、ようやく現状を把握した。

 

「まずまずかな……艦長!糧食と水は確保しました!」

 

そう言い、今までダクトなどを通って集めた缶詰や水の報告をする。

 

「射撃管制、機関、操舵…全て占拠されています……」

「一体何が……まるで、何かに操られていたみたいです……」

 

そして、修理した無線機をもえかの前に置いた。

 

「これで…届くの?」

「問題ないはず。ただ…電源がバッテリーしかないから、持つのは数分だと……」

 

そう言い、もえかは無線を受け取るとマイクに向かって叫んだ。

 

「コチラ武蔵、コチラ武蔵!現在アスンシュン島北西一〇マイルを航行中。現在、アスンシュン島北西。アスンシュン島北西。至急救援を、至急救援を!!」

 

明乃や、サクラが聞いた通信はこれだった。武蔵艦内でRatsを媒介としたウイルスが感染し、武蔵の生徒達は半ば無意識の状態で目の前に現れるもの全てを攻撃対象として無作為に砲撃を行っていた。

 

 

 

 

 

そしてサクラの予想通り、武蔵は最終発見地点から北上し。現在、東京湾に来ていた。

 

「艦長、ちょっと来てください」

「何?」

「うちの学校の船です」

「え?」

 

そう言われ、双眼鏡を見たもえかが水平線上ギリギリに見える一隻の陽炎型を見る。番号はY467。横須賀所属の赤いラインが引かれていた、

 

「晴風……ミケちゃん!!」

 

もえかは確認した駆逐艦を見て驚いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「魚雷、無誘導に設定!!」

 

先の噴進魚雷攻撃で、電子機器を使わない原始的な戦法にブルーマーメイド艦隊は切り替えていた。

 

「第一戦速!面舵、零度宜候〜!」

「全艦、魚雷。攻撃はじめ!」

 

そして魚雷が一本ずつ放たれた、その間も武蔵は砲撃を続け。そのうちの一つが最後尾の艦に当たり煙を上げた。

 

『四番艦被弾!』

 

野間の報告に晴風艦橋にいた全員がブルーマー艦隊を見た。

 

「ブルマーが!」

『四番艦、速力低下!!』

 

西崎は被弾した艦艇を見て驚いていた。

 

 

 

 

 

「一、二、三、四。魚雷全弾命中!」

 

水柱の本数を見て報告をする。

 

「四番艦艦尾に直撃弾!」

 

すると、四番艦から続報が入る。

 

「四番艦より報告!我航行不能!戦闘の続行は不可能!」

「通常魚雷残弾ありません!」

 

そんな中、福内は指示を出す。

 

「艦隊は武蔵の右艦尾に回り込み突入要員を乗り移らせる!各艦無人機準備出来次第、発艦せよ!」

 

そして三隻の船から、三つの飛行船が空に上がった。

 

「武蔵の様子は?」

「砲を無人機に向けています、警戒している模様」

「右一八〇度、一斉回頭と同時に無人機を接近させる!」

「宜候」

 

と言って武蔵の注意を引いて無人機を武蔵の射撃指揮所に近づけた。

 

「艦長!無人機が」

 

武蔵の艦橋にいたもえかはブルマー艦隊の無人機を見た。目隠しをするのだと気づき、他の面々は舌を巻いていた。

 

「全艦射撃開始!」

 

射撃指揮所が混乱している間に射撃を行うも、武蔵についている速射砲が目隠しをしている無人機に向けて発射し、飛行船を叩き落とした。

 

「速射砲!?」

「面舵いっぱ〜い!全速退避!」

 

速射砲を使い、接近しているのがバレた艦隊は逃げようとするが、前方を砲弾で塞がれ一隻に命中した。

 

「このままじゃ……」

「知床さん!もう少し距離を取りましょう!」

「は、はい!」

 

晴風は蹂躙されて行くブルーマーメイド艦隊を安全なところから見ていた。

 

「ブルマー……一隻だけになっちゃった」

 

西崎は四隻いたブルマー艦隊が残り一隻になったことに驚きを隠せなかった。

 

「艦長も副長も、早く戻ってきてよ……!!」

 

現状、何もできない西崎は二人が戻ってくるのを今か今かと待っていた。

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