年明け早々に餅を食べて生きています。モチ…ウマ…
ブルーマーメイド艦隊が武蔵によって蹂躙されている頃。真白の部屋では、明乃と真白が話していた。
「武蔵は止めなきゃいけない……
ブルーマーメイドも助けたい……
武蔵に乗っているみんなも助けたい……
でもそれで、もし晴風のみんなを……みんなに何かあったらって思うと……」
すると明乃はロケットを持っていた手を振るわせながら叫んだ。
「怖いの……凄く怖いの!!」
『平賀隊、あと一隻です!』
真霜の通達を聞き、真雪は決断をした。
「……学校艦に、総員退艦命令を」
「承知しました」
そう言い、秘書が部屋を出ようとすると、真雪はさらに言う。
「それと、国土保全委員会にホットラインを繋いでください」
武蔵が関東圏に接近しているのを聞き、長野にある国土保全委員会庁舎では……
「避難状況は?」
「東京湾全域に警報を発令しましたが。間に合うかどうか……」
国家非常事態宣言を発令し、首都圏全域で避難が始まっていた。
する全員が国家存亡の危機に冷や汗を掻いていると報告が上がった。
『横須賀女子海洋学校から、ホットラインです!!』
「何!?」
すると電話越しに真雪は報告した。
『校長の宗谷真雪です。報告します。海上保安法第一二条に基づき、横須賀女子海洋学校に
「「ーーーっ!!」」
その宣言に完了は響めく。
『私はこれより艦橋に上がりますので。失礼します』
そう言い、通信が切れた。
「と〜りか〜じ!」
みくらは武蔵の砲撃を避けながら果敢に反撃する。しかし、焼け石に水であった。
『艦長!ブルマーから通信が入っています!!そのまま流します!!』
蹂躙される姿を見ながら晴風では八木が艦内に広がるよう通信を行なった。
『コチラが武蔵の砲撃を引きつける。その間に晴風は退避を!!繰り返す!晴風は退避を!!』
福内の声がそこで途絶える。それだけで切羽詰まっているのが理解できた。
『通信…終了しました』
音声が途切れ、思わず西崎は拳を強く握っていた。その間、みくらでは機雷敷設の用意がされていた。
「私達……何も出来ないの?」
西崎がその歯痒さゆえに思わず呟く。
「このまま武蔵を…浦賀水道に行かせちゃうの?」
そんな西崎の呟きに真っ先に答えたのは小笠原だった。
『主砲、いつでも撃てるけど?』
『艦橋、速力このままで良いの?』
『艦長!おにぎり出来ています!』
『『艦長!』』
すると黒木と伊良子やクラスメイトが次々と答える。
その間に、みくらは猛攻を喰らい、ダメージが蓄積されていた。
「艦長……本艦の行動方針を…けっ…けっ……」
真白は何も出来ずにうずくまっている明乃を見て思わず言葉が詰まる。すると今までずっと部屋の外で話を聞いていた柳原が扉を蹴破って入ってきた。
「けつけつ言ってんじゃねぇよ!!」
「違う!決断をと、言いたいんだ……!!」
すると明乃が涙ぐみながら答えた。
「決断なんて……出来ないよ!!だって!今まで助かってきたのだって、サクラお姐ちゃんやモンタナがいてくれたからで、私のお陰じゃないもん!!みんなは大切な家族だから……だから、失いたくないの……」
明乃が嗚咽声を溢しながら叫ぶと、柳原は後ろにいた若狭に言う。
「そこまででい!艦長を艦橋に連れて行け」
そう言い、若狭は明乃を艦橋に連れて行く間。柳原は真白を機関室に案内した。
機関室の伝声管を布で詰めて会話が漏れないようにする。
「こんな事に何の意味が……」
「まぁ、これでも飲め」
そう言い、真白に湯呑みを渡すと柳原は自らの信念を語る。好きなものを例えに語る柳原の話に、黒木が説明を入れる。
「つまり、私と機関長は全然違うけど。違うものが合わさってこそ、独特で良い感じになるってことよ。
足りないものを補い合うのが、仲間になるって事。……宗谷さん、艦長を助けられるのは貴方しかいない」
「!!」
その時、真白はモンタナと別れる際にサクラが言っていた言葉を思い出す。
『ミケちゃんをしっかり支えてね!!それは、貴女にしか出来ないから!』
あれはこの事を言っていたのかと理解した。
「……ありがとう」
真白は柳原にそう言うと機関室を慌てて出て行く。それを見た柳原は……
「一件落着〜!」
と言って歌舞伎の真似事をして広田に突っ込まれていた。
ブルーマーメイド艦隊が壊滅し、武蔵の砲火は晴風に向けられていた。
『主砲弾三!コチラに向かいます!!』
「回避して!」
「はい!!」
すると近くに武蔵の砲弾が着弾する。それとほぼ同時に真白は艦橋に飛び込んできた。
「副長!!」
すると真白は艦橋で項垂れていた明乃の肩を掴みながら叫んだ。
「私は!艦長の支えになりたい!」
「「!?」」
真白の突然の告白に全員が驚く。
「艦長は今まで通り。決断して、行動して、運を引き寄せて……
他のことは私が……いや、晴風のみんなが何とかする!!
そう思っているのは、私だけじゃない!!」
真白はそう言うと、会話を聞いていた全員が頷く。
「そうだよ!私達ともっとやれるよ!」
「そうです……私だって、逃げてばかりじゃありません!!」
西崎と知床がそう言い、万理小路や宇田、鏑木も頷く。
「そうでしたわ…」
「できるできる」
「成せばなる」
そう言うと納紗が叫ぶ。
「副長の言う通りです!私も、艦長の支えになります!!」
「海の仲間に……超えられない嵐はないんでしょう?」
「シロちゃん…みんな……」
明乃は思わず涙が溢れそうになると、野間から報告が入った。
『武蔵より発光信号!読み上げます!』
そう言うと野間は艦橋から見える発光信号を読んだ。
『貴艦はそのまま距離を空けられたし。接近は危険。主砲弾未だ豊富』
「……もえか。モカちゃん!無事だったんだ!」
「だったら、尚更救助に行かないと!!」
すると足元で五十六が明乃の艦長帽を咥えて持ってきていた。
「五十六……ありがとう……」
そう言い、帽子を被ると。明乃は言った。
「武蔵に発光信号を」
「艦長!晴風から発光信号です!!」
武蔵艦橋で、もえかは驚く。
「読み上げて!」
すると、晴風から
「我、貴艦の救出に向かう。繰り返す!我、貴艦の救出に向かう!!」
「ミケちゃん……!!」
もえかはその発光信号に驚いていた。
五月六日 一一:四〇
静岡沖
武蔵の浦賀水道突入まで残り二〇分
平賀率いるブルーマーメイド艦隊を壊滅させ、浦賀水道に向かっている武蔵。
首都圏では緊急事態宣言が発令され、避難が進む中。猿島フロートの最も高い場所にある沿岸砲の艦橋では、真雪が武蔵迎撃の為の準備を進めていた。
『校長、晴風より通信です』
「え?」
予想外の場所からの通信に驚きつつも、真雪やブルーマーメイド本部にいる真霜は内容を聞く。
『晴風艦長、岬です。武蔵への作戦行動を、許可願います』
武蔵を見ながら明乃はそう言う。艦橋で納紗や知床も頷き、明乃は改めて確認を取った。
『クラス全員の同意は取れています。やらせて下さい』
そう言い、晴風はいつでも戦闘が出来ると確認を取ると真雪は艦橋に映る地図を確認した後、答えた。
「……武蔵への作戦行動を。横須賀女子海洋学校校長。宗谷真雪が許可します。
但し、攻撃は一回のみ。地上側でも武蔵への対応の準備は出来ているわ。
五分……いや、三分時間を稼いでくれれば十分よ」
『はい』
すると真雪の通信を聞き、思わず真霜が叫んだ。
『待って下さい宗谷校長!武蔵は既に、ブルーマーメイド艦三隻を航行不能にしています!晴風単独では余りにも……』
ただでさえ、普通よりも経験が多いとは言え、晴風はまだ一年生。それも航洋艦である。とてもじゃないが荷が重いと言えた。
『後二〇分で、武蔵は浦賀水道に入ります』
『……』
すると真白が通信に入り込んで、説得をした。
『姉さん……いえ、宗谷監督官。我々では武蔵止められないかもしれません。ですが、少しでも足を遅くして時間を稼ぐことはできます』
『それにもえかちゃん……いえ、武蔵艦長が艦橋に立て籠って奮戦中なんです』
『武蔵艦長と連絡ができるの!?』
真霜が驚くと、明乃は答えた。
『無線は通じませんが、発光信号での通信なら……』
明乃からの報告を聞き、非感染者がいたのかと驚いた。そして、まだ非感染者がいるのであれば救出をしなければならない。
『……岬艦長。武蔵への接近、および作戦行動を承認します。……頼むわね』
周辺海域の情報や、現状を鑑み。真霜は晴風の作戦を承認した。
「はい」
真霜と真雪、両名の承認を得た明乃は真白や他の艦橋メンバーを見る。
「行こう、岬さん」
「狙われるより、狙う方が強いんです!!」
「その通り!」
「うぃうぃ!」
知床や納紗、西崎や立石がそう言うと真白が明乃に聞いた。
「艦長、指示を」
真白が明乃にそう言うと、明乃は指示を出す。
「三〇度、宜候!」「三〇度、宜候!」
「前進一杯!」『前進一杯でぃ!!』
明乃の指示に知床と柳奈が復唱する。
速度を上げ、晴風は武蔵救出の為の作戦行動を開始した。
この前調べてはいふり世界の日本の首都が長野にあるのを初めて知った。