ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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三八話

明乃達が必死に報告書を書き終えた翌日。

パーシアス作戦時に対空兵装や主副砲を破壊され、ボロボロと言われた武蔵は修復を受けて今では破壊された武装も綺麗になっていた。

船体を弄るほどの改装工事を行なっているモンタナと違い、武蔵はユニット化された副砲並びに対空砲を再び設置しており、修理は比較的早めに終了した。

そんな武蔵の甲板には現在、三人が岸壁を歩くもえかを見ていた。

 

給養員の小林亜依子、航海員の吉田親子、応急員の角田夏美。

 

そんな三人には現在、共通の悩みがあった。

 

「「「艦長があんまりかまってくれない……」」」

 

そう、パーシアス作戦終了までずっと艦橋に篭っていた彼女らだったが、その後の報告書やらバタバタしていてあの頃よりも接する機会は減っていた。

おまけに報告書の時はもえかは明乃に付き添っていた為テスト休みに何処か遊びに行こうと言えなかったのだ。

サクラが明乃の尻に火を焚いたおかげで報告書は速やかに終わったが、その後ももえかは何かとサクラや明乃と共にいることが多かったのだ。

 

「空いてる時間、すぐに晴風艦長やモンタナ艦長のところに行っちゃうしね」

「仲良いなぁ、あの三人」

「子供の頃からの付き合いだって言ってたもんね」

 

三人はそういうと小林が嘆くように言う。

 

「だけど、艦長はウチ等の艦長なんだから、もっと私たちの時間も大切にしてほしいわ!!」

 

彼女はそう言うとある提案を持ちかけた。

 

「こうなったら、こっちから行くわよ!!」

「行ってどうするの?」

 

吉田がそう聞くと小林はこう答えた。

 

「好きな食べ物とか、将来の夢とか?何か色々話すことあるじゃない!!」

「もう少し、楽しい話題を用意しとかないとね」

 

返答を聞き、落ち着いた様子で吉田はそう呟くのだった。

 

「さて……話している間に見失ってしまったわね」

 

そんなことを言いながら小林は周りを見回しながら言った。

 

「どこに行ったのかしら?」

「図書室じゃないかな?」

 

少し前まで缶詰になっていたのを思い出しながらそう言うと、三人は図書室に移動していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「いない……」

「書類仕事ならここかと思ったんだけど……」 

 

そんな訳で図書室に来たがそこにもえかは居なかった。すると……

 

「おや?」

 

誰かの声掛けに思わず吉田が反応する。

 

親子(おやこ)じゃありません!親子(ちかこ)です!!」

 

確かに初見ではちかこではなくおやこと読めてしまう、彼女は過剰なまでな反応を示してしまった。

 

「うわっ、な、な、何だ!?いきなり!?」

 

過剰な吉田の反応に驚いたのは……

 

「あ、貴女は……」

「晴風の副長さん……?」

 

そう、真白であった。彼女は半ば呆然といった表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「……うちの書類仕事なら昨日終わったところだ」

 

話を聞き、真白は書類仕事は終わったと伝えた。昨日のサクラの焚き付けはなかなかに怖かったものだと思い出しながら真白はもえかの感想を言う。

 

「知名艦長には随分と助けられたと思う」

「こちらこそ、武蔵は晴風に救われましたから」

「……知名艦長は何でも出来て凄いな」

 

純粋な感想を言うと小林が思い返す様に言う。

 

「あの人わりと完璧超人ですからねー」

 

仕事を手伝おうとしてもすぐに終わり……

 

判断も早くて的確だし……

 

「それに、『なんでも美味しい』って言うしね」

「あぁ~そう言えば、あの事件の食事の時、いつも言っていたね。ただの缶詰めだったのに」

「あれは私たちを励ますために言っていたんじゃ……」

 

武蔵に籠城していた一ヶ月の三食は全て緊急時用の非常食だったが、何も不満を言わずにもえかはビスケットよりも硬い乾パンを食べ続けていた。

士気高揚のための励ましだったかもしれないが、もえかは施設で過ごした経験から好き嫌いがなかった。

 

「そ、そんな話は置いといて、ウチの艦長がどこにいるのか分かりませんか?多分、晴風の艦長と一緒に居ると思うのですが……?」

「しかし、書類仕事は終わっているから二人が一緒に居るとは限らないが……」

 

すると小林達はジト目で真白を見た。

 

「限らない……?」

「本当に?」

 

二人にそう言われ、真白は途端の自信を無くしてしまった。

 

「いや……あの三人なら、ほぼ確実に……」

 

すると真白は思い出したようにあることを伝えた。

 

「あっ、そう言えば……知名艦長から何か相談があるとか言っていたような……」

「それだっ!!もう、相談なら同じ艦の私たちに言ってくれれば良いのに……」

 

小林がそう言い。断定していると角田は少し残念気になりながら言う。

 

「私たちじゃあ、まだそう言う相手にはなれないのかな……?」

 

なにせ始まりがあの航海実習である。一ヶ月間共同生活をしていたから、信頼関係が築かれて居ると思ってる筈だが……

すると真白が三人に向かってアドバイスを送った。

 

「……うちの艦長は、よく、『海の仲間は家族』だと言う。……まるで口調の様に、晴風のみんなは家族だと……それは昔、知名艦長から教わった言葉だと言っていた。きっと、知名艦長やサクラ艦長も同じようにクラスメイトたちを家族だと思っている筈なのではないだろうか?」

 

すると吉田が純粋が疑問を投げた。

 

「じゃあ、家族に言えない相談ってなに?」

「そ、それは色々あるだろう。私も姉さんたちに言いにくいあれやこれや……!!」

 

特に真白は姉が姉だけにだいぶ苦労して来た。その為、そう言った面々は色々あった。

 

「私も小さい頃。食事が魚料理ばっかりだった時、洋食が良いって…ちょっと言いにくかったし‥‥」

「それはつまり、私たち主計科のメニューに不満が!?」

「それはそれ、これはこれ」

 

そう言い、三人は盛り上がっていると吉田が呟く。

 

「それで結局、艦長はどこで何をしているのか……?」

「私がどうかした?」

 

すると、探していたもえかが明乃と一緒に図書室にやって来ていた。

 

「艦長!」

 

すると小林がもえかに突撃しながら質問を投げかけた。

 

「早速ですけど、好きな食べ物は!?」

「えっ?ハヤシライスかな?」

「ほんとうに聞くんだ……」

「会話と言うか、インタビューだね」

 

そんな、小林の問いに苦笑気味の吉田と角田。するともえかは小林達を見ながら言った。

 

「それより、ちょうど良かった。みんなに話があったの。今度、クラスのみんなで親睦会を開こうと思っているんだけど‥‥」

「親睦会?」

「うん、本当は最初の海洋実習で、ちょっとしたことでも出来ればって思っていたんだけど。

あんなことになっちゃって、ちゃんと打ち解ける機会が失われちゃったじゃない?だから、改めて次の海洋実習前にそう言う機会を設けたくて」

「それで親睦会ですか……?」

 

もえかの提案に角田が反応した。

 

「私は良いと思う!!」

「そうね、元々私たちの目的もそうだし」

「目的?」

 

すると吉田が理由を話した。

 

「私たちも艦長ともっとお話をしようと思って艦長を探していたんです。艦長すぐに晴風の艦長かアメリカ艦の艦長の所に行ってしまうので‥‥」

「そうだったの?」

 

もえかがそう言う後ろでは真白が『気持ちはわかるぞ』と言い、明乃が申し訳なさそうにしていた。

 

「ごめんなさい。それじゃあ、予定や内容について話しましょう。ミケちゃんまたね、色々ありがとう」

 

もえかは明乃に一言声をかけ、三人と共にその場から去る。

 

「うん!私は何もしてないけど」

 

そう言いもえかが去っていくと真白は明乃に聞いた。

 

「何もしていないんですか?親睦会の相談を受けていたのでは……?」

 

てっきり今までに話から親睦会のことで話していたのかと思うと明乃は違うと答えた。

 

「でも、そう言うことなら初めから武蔵のみんなと話したほうが仲良くなれるでしょ?」

「はぁ……なるほど」

 

そう言い、真白は感心した目で明乃を見ていると、明乃は懐から一枚の紙を取り出しながら言った。

 

「ってことで……じゃ−ん!私は私で晴風親睦会を考えてみたんだけど!」

「晴風はもういいですよ。やり過ぎです。親睦深めすぎて穴が開きますから」

 

そう言い、真白はこれ以上親睦会をされてたまるかと言った印象だった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あちちち!…ったくあの馬鹿どもめ……」

 

至る所が焦げたつなぎを着た状態でサクラは食堂のお茶を飲んでいると向かい側からもえ達かがやってきた。

 

「あ、サクちゃん!」

「やぁ、何してんの?」

「実は、親睦会のことを考えてて……」

「親睦会?」

「そうそう」

 

そう言うともえかはサクラも混ぜて親睦会の話をした。

 

「親睦会か……」

 

思えばモンタナでそんなことやった事も無かったか。なんて思ってしまった。まぁ、()()()()()に巻き込まれては親睦会する余裕なんてなかったな……

なんて思いつつ、サクラはもえかの話を聞いていると。ふと、小林と吉田が聞いた。

 

「あの……なぜつなぎを着て居るんです?」

「それに、なんか焦げてません?」

 

そんな二人の指摘にサクラは焦げた部分を見ながら陽気に答えた。

 

「ん?あぁ、これは仕方ないよ。だって……

 

 

 

さっきエンジン燃えたからさ。

 

 

 

……ったく、クレアめ…チューニング中にエンジン吹かしやがって……」

「「「「え?」」」」

 

エンジンが燃えたと言うちょっと何言ってんのか分からない話に目が点になる四人だったが、サクラはこう言った。

 

「いやぁ、スキッパーの大会に出るための機体の調整をしていたんだけどね?エンジンのチューニング中にうちの機関長が無理にエンジンを吹かしたもんだからそこから出火してさ……いやぁ、危うく大火事になるところだったよ」

 

いや、火事以前に色々と聞きたい言葉あるのだか。なんて思っているとサクラは親指を立てながら陽気に言った。

 

 

「モンタナじゃあ、これが日常茶飯事よ?」

 

 

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