ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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四一話

晴風にサクラがお邪魔をしてから数日後

猿島フロート スキッパー演習場

 

「ふんふふふ~♪」

 

西崎はスキッパーが多数置かれている演習場の近くを歩いているとそこで明乃や姫路、松永が歩いているのを見かけた。

 

「珍しい組み合わせ……何しているんだろう?」

 

西崎にとってみれば同じ部署で働く一種の部下の様なもの。そんな人物が明乃と集まっている。気になって西崎は三人に声をかけた。

 

「おーい、なーにしてんのっ?」

「あっ、メイちゃん」

「あっ、水雷長だ」

「水雷長~」

 

そう言い、階段を降りると姫路と松永が意味深な行動をとる。

 

「我らが水雷長~!!」

「そう、私が水雷長!!」

 

そう言い、ポーズを取った姫路達にやや困惑する明乃。

 

「そんな水雷長に問題です」

「おっ?なに?急に?」

「私たち三人をある条件で二組に分けることが出来ます。それはどんな組み合わせでしょう?」

 

そう言い、姫路が突然問題を出した。

 

「答えはCMのあとで!!」

「Webで~」

「って!CM明けでも答えを教えないんかい!!」

 

姫路と松永はあくまでも答えを教えるつもりはないようで、西崎は突っ込んだ。

 

「それで、正解は?おせーて」

「おぉ~水雷長考える気ゼロだねぇ。甲斐がないなぁ~」

 

考えることもなく、正解を求める西崎。

 

「じゃあ、我らが艦長から正解発表~どうぞ〜」

 

姫路が明乃に正解を求めた。

 

「えっと……正解は、スキッパーの免許を持っている人と持っていない人」

「せーいかぁーい!!流石艦長~」

「物知り~」

「物知りじゃなくない?」

 

水雷員のテンションに何となく乗っている明乃に、西崎は軽く突っ込む。。

 

「それで、みんなはスキッパーの何かで集まっているの?」

「うん、そんなところかな」

「私も免許取ろっかな〜ってちょっと思ったり思わなかったり」

「ほうほう、なるほど」

「りっちゃんが意外と運転荒くて心配なんだよ~、だから代わりに運転できるようになろうかと思って」

 

そう言い、ここに集まった理由を知った。

 

「自覚はないんだけどねぇ~」

「あはは……スキッパーはノリでそう言う人が結構多いかも」

 

そう言い、明乃は興奮してボートを漕いでひっくり返った過去を思い出した。

 

「それで、実際に免許を取るかどうか決める前にとりあえず一回乗ってみようと思って」

「へぇー……って、免許ないのに乗れんの?」

「うん、学校にも許可はもらってあるから大丈夫」

「許可が出て、学校の敷地内なら免許がなくても乗れるよ」

 

明乃が免許がなくても学校の敷地内なら許可があれば乗ることが出来ると説明した。

 

「ほうほう。スキッパーか……私も行っていい?」

「いいよ」

 

そんな訳で西崎もスキッパーの練習に飛び入り参加する事となった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「へぇ~ここがスキッパーの練習場なんだぁ~……初めて来た」

「今の時間帯は誰も使っていないみたいだから、思いっきり練習が出来るよ」

 

中学生の頃に自転車感覚でモーターボードの免許などはとる人が多く、スキッパーはバイク感覚で免許を取る人が多かった。国際的な免許でもあるのでそのまま海外でも使える利点からどちらかと言うとスキッパーの免許を取る人は多かった。

 

そして演習場に着くと、そこで屯しているグループを見ていた。

彼女らは繋ぎを着たまま、純白に塗装されたスキッパーを囲んでいた。ただ、市販のものよりもスポーティーな見た目をしていたが……

 

「あっ、サクちゃん!」

 

すると明乃はその集団の中にいたサクラに声をかけた。

 

「お?ミケちゃん、どうしたの?」

「あぁ、ちょっとメイちゃん達にスキッパーの講座をしようかなってね」

「ああ、なるほどね」

 

相槌をうったサクラに今度は明乃が聞いた。

 

「サクちゃんは何しているの?」

 

そう聞くと、サクラは後ろの純白のスキッパー見ながら答えた。

 

「あれは今度スキッパーレース出る為のマシンのチューニング中よ」

「スキッパーレース?」

 

すると同じ様にチューニングしていたクレアが言う。

 

「ええ、ウチら機関科と艦長含めた航海科の一部が参加する。アメリカでも有数のストックスキッパーレース『インペリアル500』に出場する為よ」

「?」

 

クレアの話によればその『インペリアル500』と言うレースは耐久レースに似た様なものの様で、事前に設置されたコースを二〇〇周、五〇〇マイルを航行した時間を競うものだそうだ。

世の中にはそんなものまであるのかと思っていながら明乃はコレから練習場を使うことを伝えるとサクラと別れた。

 

「じゃあ……とりあえず乗ってみようか」

「どぇぇっいきなりっ!?操作方法とか全然教わってないんだけどっ!」

 

そう言い、松永に突っ込む西崎だった。

 

「大丈夫大丈夫、乗っちゃえば何となく操作の仕方は頭に流れてくるよ〜」

「そんなわけないでしょっ!?」

「操作自体は簡単だからやってみよう!」

 

そんなわけで扱い方を明乃と松永がそれぞれ西崎と姫路に説明する。

アクセルやブレーキ。バックの仕方など色々やっている中、サクラ達の方からもエンジンの咆哮が轟いていた。どうやらレース用スキッパーの試運転もしているみたいだった。

 

 

 

 

 

そんな感じで時間の経過と共にスキッパーの運転にも慣れて来ていた。

 

「メイちゃんはもう少し速度をあげてもいいかも。その方が安定するよ」

「いや、私は安全第一で乗っているだけでっ……!!」

 

西崎も操作には慣れているのだが、速度はノロノロだった。エンジンの音もトトトトトトトと鳴っていた。

 

「こうして見ると運転の時と普段の性格って結構違うモノなんだねぇ~」

「うん、ちょっとおもしろいね」

「ん~……やっぱり、私の運転って荒いのかな?」

「気にしているの?」

「うーん……だってほら、そのせいで実際に事故っちゃったし」

 

そう言い、思い出すのはあの機雷原の掃海をしていた時の事。松永のスピードの出し過ぎで親友の姫路を危険に晒したことを今でも悔やんでいた。

 

「あー……うん。でも……一人で乗っている時の運転はそこまで荒くはなかったよ」

「そう?」

「多分、かよちゃんを乗せた時は少し舞い上がっちゃっただけじゃないかな?張り切っていつもよりスピード出しちゃったり?」

「そうなのかな~?うぅ~……だとしたらなんか恥ずかしい」

 

そう言い、自身が戻った松永に、明乃は提案をした。

 

「まぁ、これからは気をつければ大丈夫じゃないかな?試しに今から練習してみたらどうかな?」

「うーん……おっけ~ちょっと行ってくる!!」

「頑張ってー!!」

「かよちゃ~ん。ちょっと後ろに乗って~」

「あまりスピード出さないでよ~」

 

そう言い、姫路と松永はスキッパーにのると姫路はあの時と同様に二人でスキッパーを運転していた。

 

「青春だなぁ~」

 

先程まで松永が居た場所には西崎がいつの間にか居た。

しかし、彼女はびしょ濡れだった。

 

「わっ!?メイちゃんどうしたの!?」

「落ちた」

 

何でもスキッパーから足を滑らして真っ逆さまに落っこちたようだった。

 

「シャワー室に行く?洗濯機に乾燥機もあるよ」

「うん……」

 

そう言い、西崎は濡れた服を全部乾燥機に放り込んでいた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「以上で講習を終わりにしまーす!」

「「いえーい!」」

 

数時間後、簡単な講習は終わりを迎えた。演習場の端っこではまだサクラ達はあれやこれやとチューニング作業を続けたままだった。

 

「これ、講習だったの?」

「まぁ、講習と言うよりも事前練習ってところかな?」

「かよちゃん、どうだった?免許取りたくなった?」

 

明乃は姫路にスキッパーの免許取得について訊ねる。

 

「うーん、楽しかったけど……さっき乗った感じ、りっちゃんの運転ももう、大丈夫そうだし、免許取得は保留で~」

 

姫路は松永の運転が多少、マシになったので、今回はスキッパーの免許をとることを保留すると言う。

 

「いえーい、お墨付き~」

 

後ろに乗せた姫路から運転が改められたと言われ喜ぶ松永。

 

「メイちゃんは?」

 

次に明乃は西崎にスキッパーの免許を取るかを訊ねる。

 

「私は取ってもいいかなー。自分のスキッパーを買って武装したい!!」

 

西崎は姫路と異なり、スキッパーの免許を取っても良いと言い、さらに自分でスキッパーを購入して、そのスキッパーに武装を施したいと言う。

 

「市販のスキッパーに武装は出来ないよ」

 

明乃は西崎に市販のスキッパーに武装をすることは出来ないことを伝えた。

てか、民間人がそんな事したらテロリストか海賊と勘違いされる。テクニカルでもあるまいし……

 

「できないの!?じゃあ、要らない」

 

そう言い、西崎はバッサリとスキッパーの免許取得を諦めるのだった。

するとサクラ達のいた方にあった純白のスキッパーが海上に押し出されていた。

 

「お、あのスキッパー。動くみたい」

「お〜、本当だ〜」

 

そう言い、その純白のスキッパーを眺めていた。機体には『Fabulous Raging Bull Mk.Ⅱ』と書かれていた。

そのスキッパーは高速運転向きにフルチューンされた完全競技用スキッパーだった。

操縦席周辺は空気抵抗を考慮して強化アクリルや軽量フレームで覆われ、フロートの形状も数も速度を重視しており、姿勢は恐ろしく低かった。

 

ブォォォォォンンン‼︎

 

少なくとも市販品では聞こえない音が聞こえ、操縦席にはクレアが搭乗していた。

そしてクレアは脇にあるレバーを手前に引くと後部にあったファンの付いた高速エンジンが回転数を上げていく。

 

キィィィィィイイイイ‼︎

 

そして、クレアが足元のペダルを踏み込むと、そのスキッパーは後方に水柱を立てながら勢いよく飛び出す。

一瞬だけだと言うのに練習場には大波が出来上がり、岸にいたサクラ達に海水がかかっていた。

 

「いや、すごっ」

「わぁ、なにあれ〜?」

「すっごい音だったね〜」

 

思わず耳を塞いでしまった姫路と松永。さっきまでいた演習場を見て半ば呆然としてしまう明乃達だった。




全米スキッパー競争協会HPより

インペリアル500は一周2.5マイルのコースを二〇〇周、総走行距離五〇〇マイルを航行する耐久レースの一つである。
この大会は通常のNASSERレースと違い、オフシーズンに開催される為。主に参加するのは国内の学校のスキッパーレースチームである。参加するのは学生の為、レースは一回のみ行われ。そのレースの時のみで勝敗が決まる。
また、学生限定のイベントのため『スクールカップ』とも呼ばれている。
平均周回速度は約150節(277km/h)であり、最高速度は180節(333km/h)を記録していた。

昨年度の結果
一位:サンディエゴ海洋学校女子部 モンタナクラス
二位:ニューポート海洋学校男子部 スプルーアンスクラス
三位:キトサップ海洋学校男子部 キッドクラス
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